サイバー流系メスガキinデュエルアカデミア   作:カイナ

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サイバー流系メスガキinデュエルアカデミア

 未来のデュエルエリートを育てる事を目的とし、ある孤島に設立された学園──デュエルアカデミア。

 その島の浜辺に早朝、突然ジェットスキーが滑り込む。見事に砂浜にダイブし、辛うじて転倒はせずに停止。そのジェットスキーに乗っていた人間がそこから飛び降りた。

 

「んっふふ~。デュエルアカデミアにとうちゃ~く♪」

 

 朝日に煌めく銀色の髪を緩くウェーブのかかったショートヘアにし、紅色の瞳をした少女。そして先ほどジェットスキーに乗っていたものの見た目はとても幼く、高等部であるデュエルアカデミアだが彼女は中学生か下手をすれば小学生とも思えるほどに小柄だった。さらに着用しているのが黒色のネコミミパーカーというのが余計に彼女に幼さを感じさせる。

 

「さ~ってと。あのジジイ達に見つかる前にあ~そぼっと♪」

 

 ニヤリ、と口元から八重歯を覗かせながら笑い、彼女はジェットスキーをそのままに浜辺を後にするのだった。

 

 

 

 

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

 豪華な室内。それもそうだろう、ここはデュエルアカデミアの校長室。早朝からここに集まっている恰幅の良い禿げ頭の男性と色白で長身に痩せ気味の男性と青色の髪に精悍な顔つきをした制服を着ている事から生徒だと分かる青年は無言で、禿げ頭の男性は椅子に座って前にある机の上で手を組んで顔を隠し、色白の男性がなんとも言いづらい顔で沈黙、青年も目を瞑って腕組みをしていた。

 

「……ついに今日、ですね」

 

 そしてようやく青年が口を開く。

 

「ええ。我がサイバー流最大の問題児、柳里(やなり)彩葉(あやは)君が我がデュエルアカデミアに来てしまう日が……」

 

「ところで、ワタクシーはそのシニョーラ彩葉に会った事がないんデスーガ、そんなに問題児ナノーネ?」

 

「ええ……今まではデュエルアカデミア中等部に行っていたんですが……」

 

 青年の言葉に禿げ頭の男性が漏らし、続けて色白の男性が尋ねると、禿げ頭の男性は机の中から何枚かの紙を取り出す。何かの手紙らしく、色白の男性は禿げ頭の男性から渡されたそれに目を通した。

 

「な……」

 

 そして大口を開けて絶句する。それらはかなり柔らかい表現でフィルターをかければ要するに「もう手に負えません」「中等部のレベルを超えています」「どうか高等部で引き取ってください」という内容だった。

 

「シ、シニョール亮、サイバー流ということは貴方も同門なんですヨーネ? これは一体……」

 

「サイバー流にいた頃から、奴は自分より強いと思った相手にデュエルを挑んではボコボコにして煽り倒していたんです……」

 

 三人の頭の中に、一人のデュエリストが死屍累々を築いてその頂点で笑っている姿を幻視される。

 

「免許皆伝の実力もあるんですが、彼女はサイバー・エンド・ドラゴンの継承を拒み、代わりにあるデッキの所有を希望したんですが……まあ、それは置いておきましょう」

 

 ふぅ、と禿げ頭の男性が一つ息を吐いて間を置いた。

 

「そういうわけで、彼女は本来まだ中学二年生なんですが幸か不幸かデュエルアカデミア高等部に編入できる程度の学力・実力を備えています……こうなればいっそ私の手元で監視──もとい教育し直した方が世のためというものです……」

 

「師範。心中お察しします……」

 

 禿げ頭の男性が手を組んでひどくうつむいて大きくため息を漏らしながら呟き、亮と呼ばれた青年がそう答える。

 

「ともかく、今日この日曜日にデュエルアカデミアにやってくる定期船に乗ってデュエルアカデミアまで来るように通達しています。サイバー流の門下生だった教員数人がかりで彩葉君を捕まえて私の元まで連れてくるよう指示を出していますし、今はそれを待つと──」

 

 禿げ頭の男性がそう言っていた時、突然机に置いていた電話が鳴り出す。男性が「失礼」と断って受話器を取った。

 

「もしもし、何かありましたか?」

 

[大変です校長! 定期船に柳里さんの姿が見えず、船長に確認を取ったところそんな女の子は乗せていないということで……]

 

「なんですって!?」

 

 部下である教員からの報告に校長と呼ばれた禿げ頭の男性が声を上げる。何かあったのか、もしや船に乗る前にトラブルに巻き込まれたか。そんな想像が校長の頭の中を駆け巡る。

 

「会議中失礼します! 鮫島校長! 警備員から、浜辺に不審なジェットスキーが放置されていたと連絡が! もしかしたら学園に不審者が入り込んだかもしれません!」

 

「……ジェットスキー」

「不審者……」

「そして船に彩葉の奴はいない……」

 

 さらに校長室に入ってきた教員から報告が続き、三人が声を漏らす。そして校長と亮の中でそれらの情報が繋がった。

 

「「あいつはぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

 二人の叫びが校長室内に響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

 デュエルアカデミアのブルー専用デュエルリング。そこを使うのを許される生徒の証であるブルー寮の制服を着た青年──万丈目準は、取り巻き二人を従えてデュエルするわけでもなく苛立たし気な顔をしていた。

 

「あの忌々しい遊城十代め……この俺を一度ならず二度までもコケにするとは……」

 

「そうですね。月一試験一つで調子に乗って、ははは……」

「次があれば今度こそ万丈目さんの勝利ですよ、へへへ……」

 

 万丈目のぼやきに取り巻き二人がゴマすりしながら彼を持ち上げる。しかしその目はどこか万丈目を見下しているようにも見え、例えるならいつか目上の相手の寝首を掻こうとしている部下のような様子が伺えた。

 

「あのぉ……高等部入学主席の、万丈目準さんですかぁ?」

 

「あん?」

 

 そんな女の子の声が聞こえ、万丈目とその取り巻き二人がそっちを向く。

 そこには黒色ネコミミパーカーを着用した銀髪紅眼の女の子が、お淑やかな笑みを浮かべて立っている姿があった。

 

「見覚えのない顔だな……誰だ貴様は?」

 

「わたしぃ、今度高等部に編入することになったんですぅ。そこでぇ、入学主席の万丈目準様とぜひ一度デュエルしたいと思いましてぇ……」

 

「消えろ。俺は今虫の居所が悪いんだ」

 

 めちゃめちゃ猫なで声で話しかけてくる女子に万丈目がフンと鼻を鳴らして追い払うように言い放ち、しっしっと手を振る。しかしその瞬間女の子の笑みの質が変わった。

 

「あれぇ? もしかしてこんな女の子一人に──ビビってるんですかぁ?」

 

「……なんだと?」

 

 八重歯を見せてニヤリとしたその微笑みに、相手を見透かすように薄く開いた目、それは相手を見下している特有の気配を見せていた。

 ちなみに女の子の台詞を聞いた取り巻き二人が小さく笑い声を漏らしていたが、万丈目は気づかずに女の子に睨みを利かせていた。その「もう一度言ってみろ」という様子の言葉も語気が強くなっている。

 

「あははこわーい♪ おにーさんってば、こんな冗談を真に受けちゃってー……もしかして図星でしたぁ?」

 

「……いいだろう。貴様の挑発に乗ってやる……リングに上がれ、少し目上のものに対する態度というものを教えてやろう」

 

 挑発に乗った万丈目はリングを指して促し、席を立って歩き出す。

 

「……キャハッ☆」

 

 そんな彼の後姿を見た少女は口角を吊り上げ、口を歪めて笑う。

 その笑みを見た万丈目の取り巻き二名は背筋にぞくりとした感覚を覚えるのだった。

 そしてデュエルリングに上がった二人は向かい合ってデッキをセットしたデュエルディスクを構える。

 

「俺は虫の居所が悪いと言った通りだ。手加減はせんぞ」

 

「そんな事言ったら、負けた言い訳出来ないよ? だいじょーぶ?」

 

 眉間に皺を寄せて睨みつける万丈目に笑みを零して切り返す少女。万丈目の額に青筋が一つ浮かんだ。

 

「「デュエル!!!」」

 

 そして二人の声が重なり合い、デュエルの幕が上がるのだった。

 

「先攻は俺だ! ドロー!!」

 

 先攻となった万丈目が勢いよくカードをドロー。手札の一枚を取った。

 

「俺は[地獄戦士(ヘルソルジャー)]を攻撃表示で召喚!」

 地獄戦士 攻撃力:1200

 

「地獄戦士? 防御しながら相手に戦闘ダメージを与えたいんなら、[アマゾネスの剣士]の方がいいんじゃないのぉ? あ、もしかして持ってないとか? だったらごめんなさ~い♪」

 

「好きに言っていろ。俺はカードを一枚セットしてターンエンドだ!」

 

「私のターン、ドロー……ニヒ☆」

 

 万丈目の場に鉈のような太い刃の剣を持ったずん胴の戦士が現れるも、その効果を知っているのか少女は別の上位互換的効果を持っているカードを使えばいいんじゃないかと不思議そうに問うた後、わざとらしく謝る。

 しかし万丈目は苛立たし気に舌打ちを叩いたのみで終わらせ、さらにその後ろに一枚のカードが伏せてターンエンドを宣言した。

 そして少女──柳里彩葉にターンが回り、彼女はカードをドローすると八重歯を見せて怪しい笑みを零した。

 

「私は[アックス・ドラゴニュート]を攻撃表示で召喚!」

 アックス・ドラゴニュート 攻撃力:2000

 

 彩葉の場に出現するのはその名の通り両手持ちの斧を持った黒い竜人。「攻撃力2000!」「万丈目さんの場のモンスターの攻撃力を上回った!」と、万丈目の取り巻き二人が合いの手を入れた。

 

「バトル! アックス・ドラゴニュートで地獄戦士を攻撃!」

 

「く……」LP4000→3200

 

 黒い竜人の振るった斧が地獄戦士の剣を弾き飛ばし、そこに牙を剥いて噛みつき地獄戦士を噛み千切る。地獄戦士が破壊され、その際に生じた衝撃波が万丈目にダメージを与えるが、彼は僅かに怯んだのみで左手をかざした。

 

「リバースカードオープン[ダメージ・コンデンサー]! 自分が戦闘ダメージを受けた時、手札を一枚捨てる事で、受けたそのダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター一体をデッキから表側攻撃表示で特殊召喚する! 俺が受けた戦闘ダメージは800! よって攻撃力700の[ヘルゲート・ディーグ]を特殊召喚!

 さらに地獄戦士が戦闘によって破壊されたことで効果発動! このカードが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時、この戦闘によって自分が受けた戦闘ダメージを相手ライフにも与える! この800ダメージ、貴様にも負ってもらうぞ!」

 ヘルゲート・ディーグ 攻撃力:700

 

「っ、成程、こんな手が……」LP4000→3200

 

 アックス・ドラゴニュートの斧に弾き飛ばされた地獄戦士の剣が落ちてきて彩葉を傷つける。その僅かなダメージに彼女が小さく驚きの声を上げると共に万丈目の場に小さな悪魔が出現した。

 これが万丈目の狙い。地獄戦士の効果は戦闘ダメージを相手に跳ね返すアマゾネスの剣士と比べれば、自分もダメージを受けるという点では確かに下位互換ではあるが、万丈目はその効果を逆に利用して後続の展開に繋げてみせたのだ。

 

「……ふふ。転んでもただじゃ起きないんだね、おにーさん。けちくさーい♪」

アックス・ドラゴニュート 攻撃力:2000→守備力:1200

 

 なおその間にアックス・ドラゴニュートは自身の効果により守備表示に変更されて守りの構えを取り、相手が後続に繋げてきたのに対してニヤニヤ笑いで煽る彩葉に万丈目も顔をしかめるが、そこで下手に口を出せば相手の思うつぼだと理解しているのか黙るのみ。彩葉は「ちえー」と声を漏らした。

 

「黙られちゃったら面白くないなー。メインフェイズ2、私は手札から[タイムカプセル]を発動。デッキからカードを一枚選択して、そのカードをタイムカプセルに入れる。発動後二回目の自分のスタンバイフェイズ時にタイムカプセルは破壊され、中のカードは私の手札に加わる。何が入るのか楽しみにしててね♪ 私はカードを一枚セットしてターンエンド」

 

「ふん。要はこれから二ターン来る前に貴様を倒せば何の意味もないカードというわけだ。俺のターン、ドロー!」

 

 彼女の場に出現した棺型のタイムカプセルに一枚のカードが封印され、タイムカプセルは地中に姿を消す。

 キャハ、とあざとく笑う彩葉に対して万丈目は速攻で終わらせればいいだけだと切り返し、カードをドロー、己のターンを進める事を宣言する。

 

「俺はヘルゲート・ディーグを生贄に捧げ、[地獄詩人ヘルポエマー]を召喚!」

 地獄詩人ヘルポエマー 攻撃力:2000

 

 ヘルゲート・ディーグの腹から繋がる地獄への門が開かれ、そこから地獄の詩人が姿を現して人間では聞き取り切れない奇怪な言語で詩を詠み始める。ヘルポエマーを呼び出すことで力を使い果たしたヘルゲート・ディーグはその詩を聞きながら消滅していった。

 

「バトルだ! ゆけ、ヘルポエマー! 呪いの詩でアックス・ドラゴニュートを呪殺しろ!」

 

 万丈目の指示を受けたヘルポエマーが口ずさむ詩がおどろおどろしいフォントになって実体化、アックス・ドラゴニュートを包み込むと、竜人は苦し気な悲鳴を上げて絶命。消滅した。

 

「俺はリバースカードを二枚セットし、ターンエンドだ!」

 

 そして万丈目はカードを二枚伏せてターンエンドを宣言。地獄詩人は相変わらず奇怪な言語で詩を詠っていた。

 

「私のターン、ドロー」

 

 相手の場に攻撃力はそれほどでもないとはいえ上級モンスターが存在し、さらに二枚の伏せカードで守りを固めている。対してこちらの場にモンスターはいない、という状況にも関わらず彩葉はニヤニヤ笑いを崩さずにカードをドロー。四枚になった手札をじっと見た。

 

「き~めた☆」

 

 そしてニシシとした笑みで呟き、手札の一枚を取る。

 

「私は魔法カード[融合]を発動!」

 

「融合だと!?」

 

「あれぇ? おにーさん、融合も知らないの? 仕方ないなぁ教えてあげるね? 融合はね、手札またはフィールドから融合素材として決められたモンスターを──」

黙れ!! 融合ぐらい知っているわ! とっとと進めろ!」

「──ハーイ。私は手札の[ベビードラゴン]と[融合呪印生物-闇]を融合! 赤子の竜よ、呪いの力により、千年の時を経て成長せよ! [千年竜(サウザンド・ドラゴン)]!!」

 千年竜 攻撃力:2400

 

 再び彩葉が万丈目を煽ろうとするも万丈目が一喝、彩葉はぺろりと舌を出した後に口上を開始。彼女の場に老体と言っても過言ではないドラゴンが姿を現した。

 

「あ、あれは伝説のデュエリスト、城之内克也さんが使っていたモンスター!」

 

「でも待てよ。あれの融合素材はたしかベビー・ドラゴンと時の魔術師のはず……なんで時の魔術師も使っていないのに融合召喚出来たんだ?」

 

 取り巻き二名が彩葉の操るモンスターを見てざわつき出し、二人の間で「まさかイカサマか?」なんて台詞が出た途端、彩葉がにやぁっと八重歯を口元から出して微笑んだ。

 

「わー♪ おにーさん達ってば融合素材代用モンスターも知らないのぉ? 融合呪印生物-闇にはねー、融合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター一体の代わりにできるっていう効果があるんだよー? そんなのも知らないでよくオベリスクブルーなんて入れたよねー☆」

 

 

「な、なんだとこのガキ!?」

 

「万丈目さん! そんな奴やっちまってください!」

 

 彩葉の煽りを受けた取り巻き二人の内一人が彩葉に怒り、もう一人が万丈目に彩葉を倒せと叫ぶ。それに万丈目が「貴様らに言われるまでもないわ!」と怒鳴り返している間に、彩葉は最後の手札を魔法・罠ゾーンにセットしてから、彼の場のヘルポエマーを指差して千年竜を見た。

 

「バトルだよ、千年竜。ヘルポエマーを攻撃! サウザンド・ノーズ・ブレス!」

 

「ぐううぅぅぅっ……」LP3200→2800

 

 千年竜がけだるげに鼻息を噴き出すが、永い時を生きたドラゴンの鼻息はそれだけでも魔力を帯びたブレスに等しく、それを受けたヘルポエマーは断末魔の詩を詠いながら消滅する。

 

「チッ! だが戦闘で破壊されたヘルポエマーが墓地に存在する限り、相手はバトルフェイズ終了ごとに手札を一枚ランダムに捨てなければならない! これから貴様はバトルする限り碌に手札を持てないと思え!」

 

 戦わなければ勝つ事は出来ず、さりとて下手に戦えば手札が減らされる。この二者択一を相手に強制するコンボに万丈目は得意気な顔を見せた。が、彩葉は特にプレッシャーなど感じていないようにニヤリと笑っているのだが。

 

「まあ私の手札はゼロ枚だから関係ないけどねー。私はこれでターンエンドだよ☆」

 

「いくぞ、俺のターンだ! ドロー!」

 

 彩葉のターンエンド宣言を聞いた万丈目が勢いよくカードをドロー。ドローカードを見てニヤリと笑った。

 

「揃ったな。このターンで決めてやろう。俺は魔法カード[死者蘇生]を発動! 自分、または相手の墓地からモンスターを一体特殊召喚する!」

 

 

「だけど、今あのガキの墓地にも万丈目さんの墓地にも、千年竜を越えるモンスターはいないはず……」

 

 

「だから青いというのだ貴様らは。我が地獄から這い上がれ──」

 

 万丈目が天を指差すように腕を掲げた時、彼の場の床にヒビが入ったかと思うとそこから炎が噴きあがり、さらにヒビ割れて炎が噴き出たことで生じた穴から巨大な腕が伸びる。

 

「──[炎獄魔人ヘル・バーナー]!!! フ、フフ、フハハ、フハハハハハハ!!!

 炎獄魔人ヘル・バーナー 攻撃力:2800

 

 そして万丈目の場に奇怪な姿の悪魔が姿を現し、万丈目はその姿に高らかに笑い声を上げ始めた。

 

「炎獄魔人ヘル・バーナー!?」

 

「あんなモンスター、破壊されたところなんて……」

 

 

「なるほどねー。ダメージ・コンデンサーのコストで捨てちゃってたんだー。ヘル・バーナーの召喚には攻撃力2000以上のモンスターを生贄にしなきゃいけない上に手札を全て捨てるっていうデメリットがあるから、先に墓地に捨てておいて蘇生カードを使った方が効率いいもんね。まあ、オベリスクブルーのエリートだっていう人達ならこんなの分かって当たり前だよねー☆」

 

 困惑する取り巻きに対して彩葉がすらすらと説明、にやぁっと煽るような微笑みを取り巻き二人に向けると、気づいてなかったらしい二人が顔を赤くしてぐぅっと唸り声を上げる。

 

「フン、ヘル・バーナーの召喚条件を知っていたか。ならばこれも知っているだろう? ヘルバーナーは相手フィールド上のモンスター一体につき攻撃力が200ポイントアップする! 貴様の場のモンスターは一体だが、それでも充分だ!」

 炎獄魔人ヘル・バーナー 攻撃力:2800→3000

 

「なるほどー」

 

 万丈目の宣言通りヘル・バーナーの攻撃力が上昇、彩葉がふんふんと頷いた後、リバースカードを翻した。

 

「じゃあ私は速攻魔法[神秘の中華なべ]を発動するね☆ 千年竜を生贄に捧げる事で、その攻撃力2400ポイント分、私のライフを回復。これでヘル・バーナーの攻撃力もダウンするね。残念でした♪」LP3200→5600

 

 千年竜が巨大な鍋に被さって消滅、上空で振られる鍋から降り注ぐ光が彩葉のライフを大幅に回復させ、同時に彩葉の場のモンスターがすべて消えた事でヘル・バーナーの攻撃力も元々の2800へと減少した。

 

「フ、所詮はガキか。その程度で逃げられると思っていたとはな……」

 

 しかし万丈目は、今度は自分が煽る番だと彩葉に見下した視線を向けながら、手札のカードをデュエルディスクに差し込んだ。

 

「俺は装備魔法[巨大化]をヘル・バーナーに装備! 自分のLPが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の倍になる! よってヘル・バーナーの攻撃力は──」

 炎獄魔人ヘル・バーナー 攻撃力:2800→5600

 

 ヘル・バーナーの身体が巨大化し、攻撃力が倍増。それを示すように大きな咆哮をデュエルアリーナに響かせる。しかしそれだけではない。

 

「攻撃力5600!」

「あのガキのライフと丁度同じだ!」

 

 その攻撃力は地獄戦士によるバーンや千年竜による回復を経た彩葉のライフと丁度並んでいた。

 

「今、俺とお前の実力の違いを分からせてやる! バトルだ! 炎獄魔人ヘル・バーナー! ダイレクトアタック!!」

 

 ヘル・バーナーの巨大な口から地獄の火炎が噴き出され、彩葉に襲い掛かる。そして彼女の場が一気に炎に包まれた。

 

フハハハハハハ!! 編入生だかなんだか知らんが、これで己の身の程が分かっただろう!? そうだ。俺が奴に負けたのはたまたまだ。遊城十代、今度こそ──

 

 勝利を確信して高笑いをする万丈目は、この勝利で自信を持ち直したか十代に負けた事をたまたまだと言い、彼へのリベンジを誓う。

 

「ねーねー。もーいーいー?」

 

 そこに彩葉の能天気な声が聞こえてきたかと思うと地獄の火炎が消滅する。その炎の中にいたはずの彩葉は無傷のまま、ニヤニヤと笑って小首を傾げていた。彼女の場で、最初のターンに伏せられていた最後のリバースカードが翻っていた。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「私はダメージ計算時にトラップカード[パワー・ウォール]を発動したんだよ♪ 相手モンスターの攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けるダメージ計算時に発動できて、その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージが0になるように500ダメージにつき一枚、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。私が受ける戦闘ダメージは5600、これが0になるように500ダメージにつき一枚、つまり十二枚のカードを墓地に送って、今回の戦闘は無傷で終了。残念でしたー☆」

 

 たしかに彼女の周辺に十二枚のカードがばら撒かれており、彼女は演出のつもりだったのかばら撒いたのだろう十二枚のカードを一枚一枚拾って改めて墓地に送っていた。

 

「なるほどな、しぶといのは褒めてやる……だが、これで貴様の場、そして手札にカードはない! この俺の地獄のコンボはまだ終わっていない! トラップカードオープン[火霊術-紅]発動! 自分フィールドの炎属性モンスター一体を生贄に捧げる事で、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える! 地獄の炎の弾丸と化せ、ヘル・バーナー!!」

 

「防ぐカード──」

「などないに決まっているだろう! 2800のダメージをくらえ!!」

「──きゃあぁぁっ!!」LP5600→2800

 

 ヘル・バーナーが火の霊術によって炎の弾丸となり、僅かに焦った顔を見せた彩葉に直撃。一気に彼女のライフを半分削った。

 

「ふ、ふふふ……で、でも~、もう場にモンスターはいないでしょ~? 焦って子供でも出来る計算間違えちゃいました~?」

 

 悲鳴を上げた彩葉ははっとした顔になって再び嘲るような笑みを見せ、今度は万丈目の場からモンスターが消えたと笑う。

 

「リバースカードオープン」

 

 だがそれに万丈目は言葉ではなくプレイングで反論を開始した。

 

「永続罠[リビングデッドの呼び声]発動。墓地のモンスターを一体、攻撃表示で特殊召喚する」

 

「え?」

 

「再び戻って来い、[炎獄魔人ヘル・バーナー]」

 炎獄魔人ヘル・バーナー 攻撃力:2800

 

「え?」

 

 死者蘇生で呼び戻され、巨大化して攻撃し、火霊術でバーン、そしてリビングデッドの呼び声によって、再びヘル・バーナーが出現した。まさかの展開に彩葉はついていけてないのか呆然としている。

 

「バトルフェイズ中に特殊召喚されたモンスターにも攻撃の権利はある。ま、言うまでもないだろう? そして貴様のライフは残り2800だ」

 

 次のヘル・バーナーのダイレクトアタックで終わり。と言外で言う万丈目は、顔を青ざめさせた彩葉を見て嗜虐的に笑う。対して彩葉もきゃはっと、しかし引きつった笑みを浮かべた。

 

「お、おにーさんってば、女の子に対しておとなげなーい♪」

 

「最初に言ったはずだ、手加減しないとな。やれ、ヘル・バーナー。奴に身の程というものを分からせてやれ」

 

 彩葉の煽りもなんのその、万丈目は静かに言い捨ててヘル・バーナーに攻撃を指示。再び放たれた地獄の火炎が、場ががら空きで防御手段もなくおろおろしている彩葉を焼き尽くそうと迫っていく。

 

 

 

 

 

「なーんちゃって」

 

 その時、彩葉が静かに呟く。その口元にはおろおろしていたりピンチに引きつっていたとは思えない笑みが浮かんでいた。

 

「墓地の[ネクロ・ガードナー]を除外して効果を発動。相手ターンに墓地のこのカードを除外する事でこのターン、相手モンスターの攻撃を一度だけ無効にする。ヘル・バーナーの攻撃を無効」

 

 彩葉の眼前にプロテクターで全身を固めた戦士が半透明の出現し、その身を挺して地獄の火炎から彩葉を守り、地獄の火炎が消えると共に消滅する。

 

「ば、馬鹿な……」

 

「どーしたの、おにーさん? もう終わりー? ねーねー。このターンで決めるんでしょー?」

 

 攻撃力5600のダイレクトアタック、2800ダメージのバーン、そして再び攻撃力2800のダイレクトアタック。通れば合計ダメージ11200。相手の初期ライフを二回消し飛ばしてお釣りがくる程の大ダメージを与えられたはずの必殺の地獄のコンボを受けて生き残っている彩葉の姿を見た万丈目が絶句するが、彩葉は絶句している万丈目に対してニヤニヤ笑いで煽るように言葉を突きつける。

 ぐぅっと万丈目が唸り声を上げる。既に彼に手札はなく、場に未知のカードもない。つまりこれから先、彼がデュエルを進めるために行えるのはたった一つだけ。彼は悔しそうに拳を震わせ、うつむきながら口を開く。

 

「ターンエンドだ……」

 

「えー? なにー? 聞こえなーい☆」

 

ターンエンドと言ったんだ! だが、貴様の場にカードはない! 手札は次にドローする一枚のみ! 俺の場にはヘル・バーナーが残っている! 次のターンで今度こそ終わりだ!」

 

 小さな声でのエンド宣言にわざとらしく聞こえないと、よく聞かせてというように耳に手を当ててその耳を万丈目に向けるジェスチャーをする彩葉に苛立った万丈目が怒鳴るようにターンエンドを宣言し直し、彩葉の場と手札もない事を指摘、次のターンで今度こそ終わらせると告げた。

 

「……場にカードがない?」

 

 しかし彩葉はきょとんとしながらターン開始を宣言するようにカードをドローする。その瞬間彼女の場の床がひび割れ、そこから棺型タイムカプセルが出現、それを見た万丈目と取り巻き二人の目が見開かれる。

 

「し、しまった!?」

 

「タイムカプセル発動後、二回目のスタンバイフェイズ。私はタイムカプセルを破壊し、棺に入れたカードを手札に加えるよ♪」

 

 彼女の場に密かに残っていたカード──タイムカプセル。それが破壊され、棺の中に封印されていたカードが彩葉の手に渡った。

 

「おにーさんとのデュエル、けっこー面白かったよ。だから私も、ちょっと本気出してあげるね。キャハッ☆」

 

 そう言って彩葉はタイムカプセルに封印していたカードをデュエルディスクに差し込む。

 

「魔法カード[サイバーダーク・インパクト!]を発動! 自分の手札・フィールド・墓地から、[サイバー・ダーク・ホーン]、[サイバー・ダーク・エッジ]、[サイバー・ダーク・キール]を一枚ずつ持ち主のデッキに戻し、[鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン]一体を融合召喚する!」

 

 

「サ、サイバー・ダークだって!?」

 

「そんなカード今まで一枚も……」

 

 

「……そうか、パワー・ウォールはそのために……」

 

 彩葉の発動したカードの効果を聞いた取り巻き二人が困惑するが、万丈目は先ほどのターンに使った防御カード──パワー・ウォールの真意を悟る。十二枚もカードを墓地に送れば狙いのカードが入っていてもおかしくはない。

 さらに言えばあの神秘の中華なべでライフを回復しつつ場を空け、ダイレクトアタックを誘ったのも自身が受ける戦闘ダメージを増やすことで墓地に送るカードを増やすための布石だったのだろう。

 

(馬鹿な……こいつ、どこまで計算して……)

 

 そこで万丈目はようやく目の前にいる相手がただのガキではない、計算し尽くした緻密なプレイングを行うデュエリストだと判断した。

 

「墓地のホーン、エッジ、キールでサイバーダーク・インパクト! 現れろ、[鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン]!!」

 鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン 攻撃力:1000

 

「こ、攻撃力1000?」

 炎獄魔人ヘル・バーナー 攻撃力:2800→3000

 

 出現した機械竜の攻撃力に万丈目が困惑。あそこまで計算して呼び出したのだろう切り札に見合うとは思えない攻撃力だが、取り巻き二人は「ただの見掛け倒しか」と笑っていた。

 

「サイバー・ダーク・ドラゴンの効果発動! このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地のドラゴン族モンスター一体を装備カード扱いとしてこのカードに装備。このカードの攻撃力はこの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力分アップする。私は墓地の[比翼レンリン]を装備、その元々の攻撃力1500、サイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃力がアップ」

 鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン 攻撃力:1000→2500

 

 機械竜──サイバー・ダーク・ドラゴンの身体のケーブルが地中に伸び、そこから引きずり出された双頭の竜がサイバー・ダーク・ドラゴンに取り込まれるように装着。繋がれたケーブルからエネルギーを取り込んだのか、サイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃力が一気にアップした。しかしその攻撃力はヘル・バーナーに及ばず、万丈目は困惑の顔を見せた。

 

「攻撃力2500だと……」

 

「まだ終わらないよ☆ サイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃力は装備したモンスターの攻撃力だけじゃなく、自分の墓地のモンスターの数×100アップする。私の墓地のモンスターはアックス・ドラゴニュート、ベビー・ドラゴン、融合呪印生物-闇、千年竜、ハウンド・ドラゴンの五枚。よって攻撃力はさらに500ポイントアップ」

 鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン 攻撃力:2500→3000

 

「攻撃力が並んだ……」

 

 元々の攻撃力と比べればゆうに三倍。だがそれでやっとヘル・バーナーに並んだ程度で、万丈目の困惑顔は晴れない。

 

「バトル! サイバー・ダーク・ドラゴンでヘル・バーナーに攻撃!」

 

「なんだと!? く、迎撃しろ! ヘル・バーナー!!」

 

 攻撃力が同等のモンスター同士でのバトル、ここまでやって相殺狙いか、と万丈目が困惑しつつ迎撃を命令。サイバー・ダーク・ドラゴンの放つブレス型レーザーとヘル・バーナーの放つ地獄の火炎がぶつかり合う。

 

「この瞬間、墓地の[スキル・サクセサー]の効果発動! 墓地のこのカードをゲームから除外することで、自分フィールド上のモンスター一体の攻撃力はエンドフェイズ時まで800ポイントアップする!」

 鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン 攻撃力:3000→3800

 

「な、なんだと!?」

 

 パワー・ウォールで墓地に送ったのはモンスターだけではなく、墓地で発動するカード全般を利用するため。それにようやく気づいた万丈目が声を上げるが既に遅く、勢いを増したレーザーが地獄の火炎を押し返し、ついにヘル・バーナーを貫いて破壊した。

 

「ぐあああぁぁぁぁっ! ぐ、だがこれで貴様の攻撃は終わった! まだ勝負はついていない!」LP2800→2000

 

 万丈目は切り札は破壊されたがライフは尽きていない以上まだ勝負はついていないと諦めない様子を見せる。

 

「ざんねーん☆」

 

 だが彩葉はニヤニヤと笑い、彼女が従えるサイバー・ダーク・ドラゴンもまだ戦えるというように咆哮していた。

 

「な、に……?」

 

「サイバー・ダーク・ドラゴンが装備した比翼レンリンには、装備カードになった時初めて発揮される効果があるんだよ☆ このカードの装備モンスターの元々の攻撃力は1000になり、一度のバトルフェイズ中に二回攻撃できる」

 

「な……」

 

 サイバー・ダーク・ドラゴンの元々の攻撃力は元々1000なんだから前半の効果は実質意味がない。だが後半の効果により、サイバー・ダーク・ドラゴンはもう一度攻撃が出来る。

 

「サイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃力は3800、おにーさんのライフは残り2000……もう分かるよね。おにーさん☆」

 

「そ、そんな……そんな馬鹿な……この俺が……」

 

 にぱっと可愛く笑う彩葉。だが万丈目にとっては己を敗北に導く悪魔の顔に見え、彼は呆然としながらレーザーのエネルギーチャージを再度開始したサイバー・ダーク・ドラゴンを見上げる事しか出来なかった。

 

「サイバー・ダーク・ドラゴンでダイレクトアタック!! フル・ダークネス・バースト!!!」

 

「ぐああああぁぁぁぁぁっ!!!」LP2000→0

 

 そしてサイバー・ダーク・ドラゴンの放ったレーザーブレスが万丈目のフィールドに直撃。彼の場を黒煙が包み込み、その煙が晴れた時、万丈目のライフは0を、即ち彼の敗北を示していた。

 

 

「今の攻撃はフル・ダークネス・バースト……ということは……」

 

 その時、デュエルアリーナの外からそんな声と複数人の足音が聞こえてくる。

 

「いた! こっちです!!」

 

「シ、シニョール万丈目!? 一体どういう事ナノーネ!?」

 

「デュエルリングを囲め!!」

 

 デュエルアリーナに飛び込んできた亮が入り口に向けて呼びかけると一斉に教員がなだれ込み、クロノスはデュエルリングで膝をついている万丈目を見て驚愕。その間に教員達がまるで彩葉を包囲するようにデュエルリングを取り囲んだ。

 

「キャハッ☆ おじさん達数人がかりなんて情けなーい、恥ずかしいとか思わないのー?」

 

「お前を逃がす方が後々面倒だと判断したまでだ」

 

 デュエルリングを囲まれ、逃げ場を失った彩葉はしかし笑って周りの教員を煽る。だがその時、デュエルリングに亮が上がって彩葉と対峙した。ちなみに万丈目はクロノスに連れられてデュエルリングを降りている。

 

「彩葉、大人しく校長室まで一緒に来て師範から説教を受けるか。それとも、ここで俺とデュエルをして負けて無理矢理連れていかれるか……好きな方を選べ」

 

 亮は彩葉を睨みつけてデュエルディスクを構える。カイザーと呼ばれる男が本気になったと察した万丈目の取り巻き二人が言葉を失って動けないというように固まり、亮に睨まれた彩葉は僅かに黙った後、ひょいと両手を上げた。

 

「まー、もう戦って満足しましたしー、カイザーと戦って分からせられるなんて勘弁してほしいですしー、了解でーす」

 

 大人しく降参した様子の彩葉を見て亮がふぅと息を吐き、彼女はまるで護送される犯人のように教師に取り囲まれて校長室に向かうように歩き出す。

 

「あ、そうそう」

 

 しかし彼女は思い出したように足を止め、デュエルリングから降りて呆然とうつむき、流石にどうするべきか困っておろおろしているクロノスを横にしている万丈目を見た。

 

「おにーさん☆ 楽しいデュエルだったよ。またやろーね♪」

 

 そうとだけ言い残してまた歩き出す。教師の包囲されている彼女の隣を歩くように亮が立った。

 

「お前は相変わらず、相手へのリスペクトがなっていないな」

 

「私なりのリスペクトだよ?」

 

 亮の注意に彩葉はニシシと笑いながら答え、相変わらずな妹弟子に亮は言っても無駄かと諦めたように顔を逸らす。

 

「中等部を追い出されるレベルで暴れ回った件、ジェットスキーでデュエルアカデミアに乗り込んだ件、その他諸々で師範はお怒りだ。しばらく説教を覚悟しておくんだな」

 

「聞こえなーい☆」

 

 呆れ声の亮とネコミミパーカーを被って現実逃避という名の誤魔化しをする彩葉、そして彩葉を取り囲んで連行する教員達。この珍妙な集団の行列は校長室まで続くのだった。




初めましての方は初めまして、こんにちはの方はこんにちは。カイナと申します。
皆様「(裏)サイバー流系メスガキinデュエルアカデミア」ご読了いただき誠にありがとうございます。え、タイトルがおかしい?何のことですか?(すっとぼけ)

今回は思いついたというか、別の作品の感想返しでメスガキ的な返しを~とかの話をした時に唐突にメスガキ主人公というネタを思いついて
その感想があった作品の原作であるインフィニット・ストラトスで書こうと思ったんですが、どうにもネタが纏まらなかったというか纏まったといえば纏まったんですが原作設定的にどうよこれってなったので没にして
でもせっかく思いついたんだしメスガキネタで一本書きたいなって思った時になんとなく「裏サイバー流デッキを使うメスガキデュエリスト」というネタを思いついたので今回の話を書かせていただきました。

相手が万丈目なのはなんというか「ざーこざーこ♡」ってやって、一番いいリアクション取ってくれそうだと思ったんですが……話が一年目&月一試験後&サンダー前の時間軸になったこの段階で「ざーこざーこ」やらさせたら割と洒落になりそうにねえなと書きながら判断したのでマイルドに留めました。(汗)

まあその辺差し引いても所謂「メスガキ」という属性がこんなもんなのかよく分からない部分もあるので、その辺の感想などいただけたらありがたいなと思います。要は男を見下して弄ぶ系の女の子と解釈して書いたつもりではあるんですが……。

あと一応言っておきますが短編です。主人公のキャラ属性すらちゃんと理解してないのに長編で書けとか絶対無理です。(汗)
では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
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