思いついた短編集   作:樹矢

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弟版。

オリ主:兵藤 真誠
設定はオリ兄番とほぼ変わらない。ただ一誠の弟として生まれてしまった故に、兄の被害者達からの怒りの矛先を向けられる立場になる。
重度の鬱になり、一誠を殺そうとするも未遂に終わる。


ハイスクールD×D:兄を殺したかった弟

 何故兄を手に掛けようとしたか? ですか。僕からしてみれば、それは当然の行動です。

 

 兄は中学に上がってからずっと覗きをやっていました。これは軽犯罪法1条23号にあたるそうですね。ですが兄はそれを知らず、女子更衣室を覗き見たのです。そこにあった光景は、さぞかし兄を喜ばせたことでしょう。

 当然先生達は兄に指導を行いました。そして両親もPTAや町の教育委員会から忠告を受けたりもしました。

 

 ですが兄はやめなかったんです。それがどれだけ悪いことなのか言われたにも関わらず、怒られて、説教されてもやめなかったんです。

 おかしいですよね。それは犯罪だって、先生からも両親の前で言われたのに、アレはやめなかったんです。ふざけていますよ。

 そのせいで僕は友達を次々と失っていきました。友達の中には兄に毎日毎日覗きをされて、不登校になった妹がいた人もいました。当然、その怒りの矛先は身近にいる加害者の身内…………僕に向きました。

 

 気がつけば友達なんて1人もいなくなってました。高校を敢えて兄とは違う所を選んでも、そこには兄の悪評がしっかりと届いていました。必要な会話しか、したことがないですね。

 その間も兄は駒王学園高等部で覗きを続け、あろうことかR18指定の雑誌やゲームを教室で広げて、友達とレビューをしていたんです。担任の先生から聞かされた話ですから、本当のことでしょう。

 ですが兄の通う学校はそれを問題にはしませんでした。揉み消しているのか、些細なことではないと気にしてすらいないのかはわかりません。しかし兄の被害者は増える一方。そして僕の味方は、兄への説教すら心折れた両親以外にはいなくなっていました。

 兄の犯罪を理由にクラスや近所の皆さんから除け者にされ、罵声を浴びせられ、兄からの偏見で通知表には人格面と性格についての一言が書かれるばかり。

 

 もう嫌になったんです。何で僕がこんな目にあわなきゃいけないんですか? 僕が何をしたって言うんですか? 

 この言葉は僕よりも兄の被害者達の方が言う資格があるのでしょう。実際、僕にそう問い詰めてきた人もいましたから。

 

 でも、僕は疲れました。拒食症になり、これまで受けてきた怒りと罵詈雑言が悪夢になって、眠れなくなりました。これはまずいと思った両親に病院に連れていかれ、重度の鬱だと診断されました。理由は兄以外に思いつきませんでした。

 

 そして兄の暴挙をどうにかして止めたいと思っていたある日、ふと思ったんです。

 

 ───兄を殺せば、こんな苦痛からは解放されるんじゃないかって。

 

 そうしたら、何も怖くなくなったんです。これが1番いい方法だと信じて、どうやって殺そうか考えるようになったんです。

 そしてあの日、決行したんです。不眠症の薬を兄に盛って眠らせて、何度も何度も包丁で滅多刺しにしました。心臓だって刺しました。首も確かに切ったのに、直ぐに死ななかったのは驚きましたけど。

 

 どうせ人生が台無しになるなら、これからも兄のせいで人生を台無しにされ続けるなら、いっその事全ての元凶の兄も道連れにして死んでやろうって思ったんです。

 誰かを好きになりたかったです。結婚して両親みたいな夫婦になって、兄とは違う、真っ当で優しい子供も育てたかったです。

 でもそれは全部諦めました。だって、兄の弟というレッテルで、僕を嫌う人は沢山いますから。

 でも、兄を道連れに死んでしまえば、僕のことを見直してくれる人もいるんじゃないかって思ったんです。

 でもダメでしたね。こうやって裁判所に立たされてる以上、僕は懲役か、禁固刑か、死刑か。兄を殺せなかった以上、僕の希望は潰えました。

 どうぞ好きな罪に裁いてください。兄さえ死んでくれるなら、僕はどんな罪でも受け入れます。

 

 お父さん。お母さん。こんな息子でごめんなさい。こんな親不孝者でごめんなさい。

 そして兄の被害者の皆さん。その家族の皆さん。兄を殺せず、これからも苦痛を受け続けさせてしまうことをに心から謝罪します。身内の恥をこの手で始末できなかったことを悔やむばかりです。

 

 せめて、兄に死の裁きを。それ以上は望みません。これ以上僕は何も言いません。弁護人も何も言わなくてもいいです。全て、司法の裁きに従います。以上です。

 

 

 ────『駒王学園生徒絞殺未遂事件』兵藤 真誠被告の答弁より抜粋

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