アンとティス以外のAF達との武龍の関係とは···
番外編ですが、第1章のものはこれでラストです!
ランの朝は早い。朝早くに起きてランニングしているが、武龍の修行が始まってからは武龍と一緒にランニングしている。終わったら休憩し、朝食をとる。
ラン「武龍も随分成長したなぁ···前はあんなにガリガリだったのによ」
武龍「皆の教えが上手いだけですよ」
出会ったばかりの頃はあんなに痩せ細っていた武龍が、今では確かな筋肉がつき、顔色も随分良くなっている。
ラン「いやぁ、それほどでもねぇよ···」
武龍にとってランは頼れる姉貴分のような存在となり、ランにとって武龍はかわいい弟分のような存在となっていった。
ある日、ランと武龍は山に木材の採取に向かい、武龍はランの切った木を運ぶ手伝いをすることになった。
ランが手際良く切り分けた木材を2人で担いで運び、トラックの荷台に乗せていく。
昼になり、2人が持ってきたおにぎりを食べている時、武龍はふとランに質問をした。
武龍「なぁ、AFだった頃のランってどんなのだったんだ?」
ラン「ん?あの頃のアタシは、正面についてる複数のでっかいチェーンソーで敵の拠点とかを破壊するAFだったな」
ラン···カブラカンはその装甲を用いて敵の拠点などに強引に突撃し、拠点を破壊するAFである。
そして、弱点であるキャタピラを破壊されないよう、分厚い装甲板でできたスカートを使い、キャタピラを保護している。
ラン「んで、目標に到達したら大量の自律兵器を射出して、建造物だけじゃなく、敵機体とかを殲滅するって感じだな」
ランは懐かしむような目で続ける。
ラン「でも、ある日敵の拠点じゃなくて、地上のコロニーを襲撃する任務で出撃することになったんだ」
武龍「コロニー···ってことは、民間人を狙って?」
ラン「ああ。民間人···といっても貧困層の人間だし、敵の戦力を削るためって言ってたが、実際は貧困層を見下してたりしててな···」
ランは悲しげな顔をするが、すぐにいつもの笑顔に戻る。
ラン「けど、武龍が前に聞いた"最強の単体戦力"の1機がアタシを撃破してくれてさ。アンやティスをやったのとは別の奴だけど、コロニーを潰す前にやってくれて良かったよ」
恨みなどは無く、サッパリとしているランの顔を見た武龍は安堵し、2人のおにぎりは食べ終わっていた。
リプはよく釣りをしている。最初は1人で釣りをしていたが、最近は武龍も釣りに参加してきている。
しかしその日のリプは浮かない顔で、武龍は困り顔をしていた。
リプ「今日は全然釣れなかったのだ···」
バケツの中の魚は1匹もおらず、リプはため息をついている。
実は先日、リプの使っていたルアーが壊れてしまい、そのまま海の中に沈んでしまったのだ。
そのため、手製のルアーを使ったものの、結果はこれである。
武龍「やっぱり魚の形をした針金じゃなくて、ミミズとかゴカイじゃないとダメか~」
リプ「よし!獲りに行くのだ!」
立ち上がったリプはすぐに走っていき、武龍もその後を追う。
そして土木関係に詳しいランに事情を話し、ミミズのいそうな場所を手当たり次第に探し、そのミミズで釣りをしてみる。
すると、普段より大きな魚が釣れる。
リプ「大きいのが釣れたのだ!」
その後も、生きの良いミミズに寄ってきた魚が次々と釣れ、リプと武龍は満足する。
武龍「よし、今夜の夕飯はこいつらだな!」
リプ「もちろんなのだ!」
その後夕飯にて···
有澤「それでは、2人の釣ってきた魚を使った煮物と味噌汁です」
リプ「え?有澤さん···」
武龍「魚の量、釣ってきた数より少なくないか?」
有澤「確かに釣ってきた魚の数は多く、本来であればもっと多くのおかずを出せました。しかし、釣ってきた魚の多くは毒のある魚でしたので、ここまでしか出せませんでした」
リプ「···」
武龍「···」
リプと武龍は無言で有澤達に頭を下げたのだった。
そして後日、リプは草薙から魚の図鑑を貰い、再び武龍と釣りに出かけたのだった。
ベスは基本的に執務室で執務をこなしているが、時折武龍を山に連れ出している。
それは山での動植物の観察や食べられる野草や毒草の見分け方を教えるためである。
しかしその日は違い、ベスは武龍に対物ライフル『M200』を手渡した。
独特な形と他の狙撃銃より重い重量のM200は、武龍に猟をする事を伝えていた。
ベス「本来であれば、通常の狙撃銃を使うところですが、拠点にはこれしかありませんでした」
武龍「なるほど」
ベス「あなたは射撃訓練を何度もしていますが、生きている獲物を仕留めるのは、これが初めてです」
その後2人は山を進み、遠くに鹿を発見する。武龍はベスの指示で伏せ撃ちの姿勢になり、ベスは武龍の左隣で双眼鏡を使って鹿を観察する。
鹿はこちらに気づいておらず、武龍は引き金に指をかける。
ベス「武龍、そのまま動かずに···今です!」
武龍は引き金を引き、放たれた弾丸は鹿の頭部を撃ち抜く。そしてベスと共に鹿の元に向かい、回収する。
武龍「なぁ、今夜の夕食は鹿鍋?それともシチュー?」
ベス「···今回は20点です。確かに正確に頭部に当たっている事は評価できます。的確な狙撃でしたね···しかし、仕留めた獲物に対する感謝の気持ちがあなたにはありません」
ベスの目は普段より厳しくなっていた。
ベス「本日仕留めた鹿は的ではなく、1つの命です。そして私達の生きる糧とするため、殺しました。その命をいただく立場にあるこちらは、決して感謝を忘れてはいけません」
武龍「はい···」
するとベスは軍手を取った後、武龍の頭に手を差し伸べる。武龍は殴られると思い、目を閉じて歯を食い縛る。
しかしベスは武龍を殴ることはなく、武龍の頭を優しく撫でた。
ベス「しかし、次から感謝すれば良いのです。これから拠点に戻り、解体作業と調理をします。その際、きちんと感謝するように」
武龍「はいっ!」
ベスは微笑みながら武龍と共に拠点へと戻っていった。武龍にとってベスは良い教官であり、ベスにとって武龍は教えがいのある弟子のようであった···
武龍はある日ふと『本来起こり得た未来』が気になってソラに聞きに行ってみた。
ソラ「どうして私なのかしら?もしかして、お姉さんに興味があるの?」
武龍「興味···というかその"未来"が気になって」
ソラ「フフフッ···どうせあの未来は来ないから気にしなくたって良いのに···でも、ちょっとだけ教えてあ·げ·る♡」
ソラは唇に人差し指を当てながら言い、それを見たソラの机の上にいる妖精は、ソラを疑いの眼差しで見上げている。
妖精「変なこと教えようとしたらバラしますよ?」
ソラ「うぅん、判ってるわよ···まず、世界に『大破壊』ってのが訪れて、人類はいくつかある地下施設に移り住んだの。そして自分達をAIで管理させて、人類の再生を目指したの」
武龍「なんかこの時点で起こりそうな未来なんだけど···」
ソラ「もしかしたら、"近い未来"は起こるかもね?でもその時は私達が阻止しなきゃいけないわ···あんな世界、私は御免よ」
ソラは天井を見上げると、続きを話す。
ソラ「そして、地下の人類がある程度成長したところで、それぞれのAIは担当の人類にテストを課して、合格者の出た人類は地上に出たの。
けれど、結局地上に出ても争いは続き、人類は地上を汚染したの」
ソラの机の上に妖精が4人集まり、軽い寸劇をしている。
ソラ「地上を汚染した人類は、地上を見限って空に逃げたの···まあ、その空も汚染され始めてたけどね」
武龍「自分達でやったことなのに···!?」
ソラ「そうよ。あの世界の人類に国家は無く、企業連が世界を握っていたわ。それも自分達以外はどうなろうと構わない、最低な連中がね」
武龍「ソラさん···」
武龍の唇に、ソラは人差し指を当てる。
ソラ「さん付けなんてやめて?お姉さんは呼び捨てが良いの♡」
武龍「ソ、ソラ···」
ソラ「ンフフッ」
姉のようで姉ではない、そんな不思議な関係のソラと武龍だった···
拠点の中にある道場で、ジュリアスが武龍に剣術を教えていた。
ジュリアス「どうした?そんな心構えでは、誰も守れんぞ!」
ジュリアスが武龍の足を払い、倒れた武龍の顔のすぐ横に木刀を突き刺す。
ジュリアス「戦場とは実力ではなく、意志の弱い者が死んでいく場所だ!それに、今のお前には明確な意志が無い、空っぽだ」
翌日、ジュリアスの言葉が心に刺さっている武龍は有澤の部屋の前で会話が聞こえてきた。
有澤「何もあそこまでやらなくても良いと思いますよ?」
ジュリアス「武龍は仮にも仲間だ···それに、戦場にしばらくはほぼ1人で向かわせるのだぞ?青葉を入れたとしても数的不利は変わらん。だから心配なのだ···」
有澤「だったら、もう少し優しく接してあげてはどうです?"仲間"なのでしょう?···それに、武龍?聞いているのは分かってますよ?お入りなさい」
武龍はおそるおそる部屋に入ると、ジュリアスの目を見て···
武龍「ジュリアス!俺に改めて剣を教えてくれ!」
頭を下げた武龍をジュリアスは試すような目で見る。
ジュリアス「···ほう、良いだろう。ではすぐに道場に行くぞ!」
2人が道場へ行くのを見て有澤は微笑んだ···
有澤「きっと、良い師弟になれますね···」
武龍はジュリアスと対峙するも、すぐに負けてしまう。
ジュリアス「どうした?そんなものか?」
武龍「俺は···何もないから···あの小説のこと以外、空っぽだから···けど、戦うための意志を探すために、俺は戦う!」
ジュリアス「なるほど、その答えも良いだろう···さぁ、来い!」
ある日、武龍はDVやいじめの事を夢に見て起き出し、廊下をヨロヨロと歩いていた。その時、拠点内を巡回していた有澤が声をかけてきた。
有澤「どうしました?悪い夢でも見ましたか?」
武龍「まあ、そんなとこだ···」
有澤は武龍を食堂に連れていき、抹茶と和菓子を出した。
有澤「今夜は特別ですよ?···それと、眠れないならちょっとお話ししていきません?」
そう言うと有澤は自分達AFの偽名について話し始めた。
有澤「私の偽名は、兵器だった頃に私の内部で敵の侵入を防いでくれていた人の名前を取ったんですよ。
あの人は社長でもありまして、自社の製品と関わった製品に誇りを持ち、整備も自ら行う人でしてね···」
武龍は抹茶を飲みつつ聞き続ける。
有澤「私はあの人のように誇れるようになりたくて、有澤の名を使ったのですよ」
武龍「そんなことが···」
有澤「ジュリアスも同じように、誰かの名を使っているんですよ。建造中に視察に来た誇り高い女性から取ったのだそうです···さて、どうです?」
武龍「ありがとう、けど···まだ少し寝付けない」
有澤「では、こちらへ」
有澤は武龍を屋上に連れていき、海を指差す。
有澤「あなたが戦場に降り立つ時、守る事になる世界です」
月は雲に隠れ、月明かりは少ない。
有澤「この世界には、様々な悪意が存在します。戦争を終わらせるために、様々な方がそれぞれの戦場で戦っていますが、戦争を続けようとする者は、それを上回る悪意で牙を向きます」
暖かい風が吹き、月明かりが2人を照らし始める。
有澤「あなたは、その者達を焼き尽くす鴉になってください」
武龍「···なれる、かな?」
有澤「それは、あなたがどうなりたいかによります。鴉とは自由であるべきですし···さぁ、そろそろもう寝ましょう」
武龍「···そうする」
ラビィはいつも臆病でおどおどしている。特に虫が苦手であるが···
武龍「こんなとこにイナゴかぁ···後で焼いて食べよ」
武龍とラビィは山の麓で木の実を採っていた。
ラビィ「武龍君は良く食べられますね···」
武龍「前は親が食べ物も満足にくれなかったから、こうやって自力で獲ってたんだよ」
実はラビィ、武龍のおかげで虫が少しは大丈夫になってきている。
武龍「そういえば、ラビィは兵器だった頃ってどうだったの?」
ラビィ「わ、私ですか?···私はティスちゃんやベスちゃんと同じ量産型AFでしたけど、ベスちゃんが出てきて生産終了したんですよ。けどやたらと鹵獲されて色々改造されたりして···でもそれで、私···あることを知っちゃったんです」
武龍「あること?」
ラビィは俯いていた顔を上げる。そこには普段の顔ではなく、目を見開き、三日月のような笑みを浮かべた顔をしていた。
ラビィ「『戦い続ける悦び』ですよ···いや、別に殺し合うわけじゃなくて良いんです。模擬弾を使ったり、BB弾を使うサバゲーでも構わないんですよ···」
するとすぐにいつものラビィは戻る。
ラビィ「あの···すいません!こんなのイカれてますよね?こんなの嫌ですよね?」
武龍は首を横に振り、微笑む。
武龍「別に良いんじゃない?だって殺し合う方の戦いじゃなくて良いんだろ?だったら問題ないじゃん」
武龍がそう言うと、ラビィはキョトンとした表情を浮かべた後、涙目になる。
ラビィ「ふえぇ~」
武龍「どっどうした!俺、なんか言ったか?」
ラビィ「嬉しいんですよ~!」
ピスは演習場で6種類の艦載機を順に発艦させ、あるいは複数発艦させ、武龍を模擬弾で攻撃する。
武龍「ハァ、ハァ···」
ピス「どうです?これが複数の空母を相手にした時の厄介さです」
ピスはその艦載機の搭載数と種類の多さを利用し、様々な戦況を作り出していた。しかも空母を越える数の艦載機を使っているため、かなりのハードモードである。
しかし、武龍はそれで空母への耐性をどんどん高めていった。
その後、食堂のテレビを見ていた武龍にピスが近づいていく。テレビでは宗教団体が家屋を燃やしたというニュースが放送されていた。
ピス「武龍、宗教は人々に希望を与えることは知っていますね?」
武龍「まあ、ある程度は···」
ピス「しかしこれを見てみなさい。己の欲のために宗教を作り、人々を煽動している輩が中にはいるのです。既にある宗教にさえ、自分の宗教を押し付けては害を与える輩もいるのです」
ピスはニュースを移すテレビを冷たい目で見ている。
武龍「まあな···」
ピス「しかし"基本的には"宗教が悪いのではなく、盲信する人々が悪いのです」
武龍「ん?基本的には?」
ピス「そう、その"疑問を持つ"事がとても重要なのです···宗教の中には『私(神)以外の神は偽物である』というものもあります。それらが宗教の押し付けを産んでしまう原因の1つになっている現状があるのです···だから武龍、あなたはそんな人間になってはいけませんよ?」
武龍「昔からそうだけど、頭に入れておくよ」
読んでくださり、ありがとうございます!
更新がまた遅れており、すみません···
キャラの詳細は次回で記述しておきます。
また、武龍のアンとティス以外のAF達との関係は2人に比べて少ないため、纏めさせていただきました。