鴉の航路(ver2.0)   作:ダイヤモンド傭兵

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艦娘が現れてから2ヶ月、各国は艦娘の処遇を決めたり配属先に追われるなどしていたが、人々は希望を抱いていた···

そして、運命の出会いにより、世界は変わり始める。




第1章 傭兵
第1話 焼き尽くす者達(ver2.0)


 

 

艦娘の出現に、人々は始め困惑していた。

しかし日本、中国などのアジア周辺の人々は比較的早く受け入れられたが、他の国々では受け入れられていない人々が多かった···

 

しかも、艦娘が従うのは提督であり、掌サイズの小人『妖精』が見える者が"艦娘の提督"となるようである。

そのため、各国は妖精の見える"提督適正"を持つ者達をすぐさま探し始めた。

 

また、艦娘を深海棲艦と同じだとみなし、排除しようとする者達が現れ、深海棲艦を信仰する宗教団体まで現れる始末···

これらは仕方のない事だったが、対応はしておかねばならないと各国はそれらの対応にも追われていく。

 

 

 

 

 

そして1年が経った。

現在ではようやく半分程の配属が決まり、各国の防衛も徐々に整ってきた頃、深海側では動きがあった。

 

 

 

 

 

深海棲艦のとある泊地にて──

 

黒い長髪の深海棲艦

「今回ハ私達ネ···」

 

黒い長髪でアイマスクのようなものを着けた深海棲艦

「オイ、サッサト斬リタイゼ!」

 

その他にも多くの深海棲艦が群れ、各国に向かっていた···

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、日本では新しい首相である『中島(なかじま) 創平(そうへい)』が対策に追われていた。

 

創平「今いる適正を持つ海上自衛隊所属の数は8人、民間人で適正のある人達は見つかっているだけで20人ですか···」

 

提督適正のある国民の数が想定より少なかったため、創平や防衛関係の人間は頭を悩ませていた。

そして、あまり自信の無い創平は頭の中が不安で一杯だった。

 

秘書「はい。しかしまだ見つかっていないだけで、適正を持つ人達は多くいるかと」

 

秘書は創平を元気づけようと励ます。

 

創平「しかし、艦娘達のおかげで国民に希望が持てたのは大きい。この"希望"をもっと大きくしていかなきゃいけませんね!」

 

創平は、空元気で笑顔を見せる。

 

秘書「首相、その意気です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある一戸建ての1室に、1人の少年がいた···

まだ16才だがDVといじめにあい、その体は痩せ細り、いつも怯えていた。しかも先日、幼い頃にある男性から貰った小説を目の前で燃やされてしまった···

自殺しようかとも考えたが、小説をくれた人の言葉が脳裏に甦る。

 

少年「生きなきゃな···」

 

そして少年は親が置いていったキャベツの葉を食べる。両親は2人でテレビを見ながら笑っており、少年の食事を作る様子は無い。

その夜、両親が寝静まったのを確認した少年は、綿密に計画した夜逃げを実行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、月明かりすら無い真っ暗な夜──

各国は深海棲艦による本土への一斉奇襲を受けた。艦娘達がなんとか対処にあたったものの、海沿いの地域はかなりの被害が発生した···

しかも深海棲艦の数が多いため、対処にあたった艦娘達はその数に圧倒されてしまっている。

 

 

 

少年はその本土への奇襲に、夜逃げ中に遭ってしまった。しかし、運良く空爆は少年のいる公園には爆撃はされず、民家を中心として爆撃は行われた···

 

少年は見た。

自分が育った町が、自分を傷つけてきた者達の住む町が、焼き尽くされていく···

しかし、少年がいる場所は海のすぐ近くだったため、すぐに少年は駆け出した。

 

少年「このままいたらマズイ···どこかに、隠れる場所は···」

 

少年はヨタヨタと走り出すが、少年の近くに砲撃が着弾する。どうやら深海棲艦の一部が防衛戦を突破してきたようである。

町には避難誘導を促すサイレンが鳴り響き、空爆を免れた人々は逃げ惑う。

 

そして少年は逃げ道を失い、やむ無く海の近くを通ることとなる。

海では艦娘と深海棲艦が戦闘中であり、砲撃音や爆炎が次々と出ている。

しかし、深海棲艦の一部が海辺に忍び寄っており、少年は深海棲艦に発見されてしまう。

 

艦娘「下がってください!」

 

ピンク色の髪をした艦娘が少年と深海棲艦の前に現れ、深海棲艦に向けて砲撃する。少年に砲撃をしてきた深海棲艦はそれで撃破できたが、他の深海棲艦の攻撃を受けてその艦娘は中破してしまう。

 

艦娘「逃げてください!私が時間を稼ぎます!」

 

少年の脳裏に再び小説をくれた人物の言葉が甦る。

そして少年は近くの木の枝を持って構える。その少年の手は震えていたが、目は真っ直ぐと目の前の深海棲艦『重巡リ級』に向けられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性「良く耐えました。後は任せてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年と艦娘は見た──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空から巨大な艤装を装備し、黒いボディースーツを纏った白い髪の女性が降ってくるのを──

 

 

 

 

 

 

 

 

女性「殲滅を開始します···」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年と艦娘の前に現れた女性の艤装は太い触手のようなものが4本伸び、そこから砲撃をしているようで、その一撃で『戦艦ル級』が両手の盾ごと粉砕される。

 

しかしそれだけではなく、両手に持つ巨大なガトリングを連射し、艦載機を撃ち落としていく···が、そのグレネードガトリングから発射されているのは徹甲榴弾であり、敵の艦載機を撃ち落とした後はそのまま深海棲艦に対し弾幕を張り続ける。

 

眼前の敵艦隊の旗艦である、『軽巡棲姫』が女性に向かって突撃してくるが、グレネードガトリングの連射で何もできないまま撃破されてしまう。

それだけで少年と艦娘は、そのグレネードガトリングの強力さを見せつけられる。

 

その後全ての深海棲艦が、近づくことすらままならず、撃破されていった···かろうじて着弾した砲弾も、傷1つ付けることすらできなかった···

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカでは、港町の深海棲艦の群れに向かって1人の女性が突撃し、狂ったような笑い声をあげながら深海棲艦を撃破していった。

 

狂った笑顔の女性

「アハハハハハ!ねぇどうしたのぉ!?その程度なのぉ!?」

 

彼女の背部にある巨大な3連装砲は、砲身ひとつひとつから撃っているため、ほぼ同時に12人の深海棲艦が撃破されていく。

町が燃え、深海棲艦と艦娘、民間人の死体が横たわる中、彼女は狂ったような笑い声をあげながらどこかへ去っていった···

 

アメリカの艦娘

「はぁ、はぁ···crazy(クレイジー)···」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イギリスでは、上陸されかけている戦場に突如巨大な砲弾が次々と沖合いから撃ち込まれ、深海棲艦が次々と撃破されていく。

 

イギリスの艦娘

「い、今の何っ!?」

 

艦娘と深海棲艦は辺りを見渡すが、敵の姿は見えない。

それもそのはずで、砲弾を撃ち込んだ本人は水平線の彼方におり、巨大な艤装を支えるため、艤装に4本の足がつけられている。

 

女性「祝福のあらんことを···」

 

まるで祈るかのような動作と共に、再び砲撃が行われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロシアでも水平線の彼方から砲撃され、深海棲艦は撤退しようとしていた。

 

ロシアの艦娘「今のうちに、追撃を!」

 

しかし水平線の彼方からの砲撃は、深海棲艦と艦娘の間に撃ち込まれる。

その砲撃は極めて正確で、誤差は極めて小さいものだった。

 

女性「今のあなた方では、追撃しても返り討ちにされるだけです」

 

砲撃をしている女性は、腰だめに構えた長銃身のレールキャノンと背部から肩越しに構えている2つのスナイパーキャノンを装備しており、誤差の修正をすると再び砲撃を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

中国では、突如として現れた空母4隻分の艦載機によって制空権は封じられ、更にはどこかから砲撃までされている。

『駆逐古鬼』は周囲を見渡し、目標を確認する。敵は複数ではなく、単独だった。

 

黒い巫女服を纏った女性と、駆逐古鬼は目が合う。女性の艤装にある主砲は、駆逐古鬼を捉えていた。

 

駆逐古鬼「卑怯デショ···コンナノ···」

 

女性「"不幸"による、鉄槌を」

 

駆逐古鬼は、その砲撃により上半身を吹き飛ばされ、沈んでいく···

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペルーでは、深海棲艦と艦娘との間に"壁"があり、互いに攻撃できずにいた。しかし"壁"に装備されているグレネードガトリングと巨体なミサイル砲台により、深海棲艦は撃破されていく。

その凄まじい弾幕に、深海棲艦達は逃げることすらできないでいる。

 

女性「決して通しませんわ」

 

深海棲艦が全滅すると、壁は移動を始める。それはまるで、列車のようだった。

帰路に着く壁の中には1人の女性がおり、道中の深海棲艦を轢き殺しながら進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーストラリアでは、艦娘達は第1波を辛うじて防いだものの、第2波に怯えていた。

しかし、艦娘の前に黒い日本甲冑を纏った女性が割り込み、そのまま深海棲艦の元へ進んでいく。

 

オーストラリアの艦娘

「ちょっとあなた!」

 

女性「邪魔だ、下がっていろ」

 

女性が持つ棒状のものは、半分から突如左右に折れると、青白いレーザーの刀身が現れ、女性は正面を左から右へと薙ぎ払う。

その一撃で、深海棲艦が全滅してしまう。

しかし、女性はそのまま闇に紛れて消えてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モロッコでは、3人の艦娘が必死に避難民の乗った船を護衛しているが、深海棲艦の猛攻に全滅しかけていた。

 

女性「そらっ!」

 

赤い作業服と赤い装甲板のスカートを纏った女性が、チェーンソーと背部の艤装にあるショットガンで深海棲艦を薙ぎ倒していく。

 

女性「ほら、今のうちに逃げな!」

 

モロッコの艦娘「あ、あなたは!?」

 

艦娘が名前を聞く間も無く、女性は深海棲艦の群れに突撃していく···

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インドでは上陸されたも同然の状況となっていたが、突如空から青白いレーザーが放たれる。

そのレーザーは一撃で戦艦棲姫を撃破し、更にはミサイルまで降り注ぐ。

 

インドの艦娘「あれは···!?」

 

町の炎に照らされたのは、空を旋回する灰色の服を着た女性で、腰だめに構えた長銃身のレーザーキャノンで深海棲艦を撃ち抜いている。

 

女性「この程度、簡単すぎるのだ」

 

女性は建物の陰に隠れた駆逐イ級を、建物ごと撃ち抜く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランスでは、青白い刀身のレーザーブレードを逆手に持った女性が、目にも止まらぬ速さで敵を切り刻んでいく。

戦艦や空母の深海棲艦であろうと、装甲が意味を為さない。

踊るかのようで、速すぎるその動きに、見る者は恐怖する。

 

距離を取ろうとした深海棲艦は、女性の背部から放たれたミサイルにより動きを止められ、その隙に女性は深海棲艦達を切り刻む。

 

女性「目障りなんだよぉ!」

 

更には、逃げようとした深海棲艦の首をすれ違い様に切り落としていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナダでは、宙に浮かぶ4つの巨体な黒い球体が深海棲艦達を攻撃していた。赤く光る目のような部位が輝きだし、赤い粒子を集束させると赤い粒子の巨大な塊を放つ。

それを受けた深海棲艦は一撃で撃破されてしまう。

 

深海棲艦達は球体に攻撃しようとするものの、球体の機動力は高く、辛うじて当てた攻撃は効いている様子は無い。

艦娘達はその様子を見ているしかなく、不気味な球体に恐怖していた。

 

カナダの艦娘

「これ、現実···よね···?」

 

球体は深海棲艦を殲滅すると、艦娘達を一瞥してからどこかへ飛び去っていってしまった···

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツでは青白いレーザーが空から降り注ぎ、深海棲艦が撃破されていく。

しかし、艦娘に当てないようにするつもりは無いようで、一部の艦娘はレーザーにより艤装が破壊されてしまっている。

 

女性「···」

 

空に浮かぶ女性の目は冷ややかで、艦娘達は全力でその場から退避する。

しかし、純白のドレスを纏っている女性は、まるで天使かのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘が終わった日本では、腰を抜かした艦娘と少年に、女性が手を差し伸べていた。

 

女性「立てる?」

 

艦娘「あ、はい···」

 

女性「あなたの所属していた鎮守府の提督、逃げましたよ?」

 

艦娘「えっ!?そんな···」

 

女性「だって私さっきその現場見ましたし···なんなら映像記録見ますか?」

 

女性はスマホを見せる。そこに映っていたのは紛れもなく艦娘の所属していた鎮守府の提督とその車である。

 

艦娘「そんな···」

 

少年は女性の付けている艤装の触手を見上げる。周囲を警戒するように動くその先端には龍の頭部のような形状をしたものがあり、口があり、頭の上であろう場所に2連装の砲身がある。

 

女性「あなた達2人は運が良いですね。一緒に来ませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性「この後、私と私の仲間達で傭兵組織を立ち上げるんですが、重要なメンバーが欠けてるんですよ···どうです?」

 

艦娘「あ、あなたは···あなたは何者ですか?」

 

女性「私は『大蛇(オロチ)』です。さぁ、どうしますか?"先輩"と人間さん?」

 

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます!

今回の話は1度アップデートしたのですが、足りない部分に気がつき、急ぎ修正しました。
すいません。

まだ戦力や配属先が決まってない序盤から本土に奇襲というのは完全に潰しに来てますね。
え?まだ甘い?···そんなぁ。

●妖精
掌サイズの小人達の総称。
艤装を作ったり、艦娘を建造する技術は彼女達しか知らず、人間に教えるつもりはない様子である。

●提督適正
妖精が見える人は艦娘達の提督となることができ、基本的に艦娘と妖精は提督の指示のみに従う。
しかし適正の条件については不明である。

●中島 創平
黒い短髪で身長178cm、48歳で5月9日生まれ。

あまり自分に自信を持てずにおり、気弱な面があるが、世の中を良くしたいという思いが強く、提案するものは非常に的を得ており、なおかつ無理の無い範囲でできるもののため、首相になることに成功する。

●重巡リ級
黒いショートヘアの深海棲艦。
背部から伸びた主砲兼雷撃兵装を手に持っている。しかし精度と引き換えに持たずに撃つ事も可能。

●戦艦ル級
黒いロングヘアの深海棲艦。
両手がシールド兼主砲と一体化しており、攻守に優れている。しかし状況によって武装と手を分離させる事も可能。

●グレネードガトリング
弾丸ではなく砲弾を撃ち出すガトリング。
通常のガトリング系兵器と比べて大型であるが、連射力と火力を両立したこれはかなり強力となっている。

●レールキャノン
レールガンを大型化し、キャノンとしたもの。
レールガンより携行性は低下しているものの、それに見合った火力を持つ。

●スナイパーキャノン
スナイパーライフルを大型化し、キャノンとしたもの。
スナイパーライフルより携行性は(ry

●レーザーキャノン
レーザーを撃ち出すレーザーライフルを大型化し、キャノンと(ry

●レーザーブレード
レーザーを用いた刀身を使い、敵を攻撃する武装。
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