突如として行われた裏切り。
そして、蛟の艤装が明らかとなる──
武龍「裏切ったのか?」
アイオワを旗艦とする艦隊は、多数の量産型と共に武龍達に砲口を向けている。
ベス《オペレーティングを変わりました···こちらでもアメリカ所属の艦隊が砲を向けているのですが、どういう事でしょう?》
青葉「私達は傭兵ですけれど、今は共闘してるのですよ?」
ベス《しかしながら、"傭兵には裏切りが付き物"ですが···まさか国を背負う軍人であるあなたが裏切るとは···見下げ果てたものですね》
ローレンス《命令だ!今すぐ投降しろ!》
北上「できるわけないよねぇ~」
アイオワ「投降して···今すぐに···」
アイオワは苦しげな表情で訴える。
武龍「そっちにどういう理由があるかは知らんが、投降するわけにはいかないな」
ローレンス《投降する気は無いということか···なら"敵艦隊"を撃破しろ!》
ローレンスの命令により、アイオワ達が攻撃を開始する。
武龍達は回避しつつ距離を離そうとする。しかしそれと同時に、武龍達はアイオワを旗艦とする艦娘達に違和感を覚えていた。
青葉「何かありますね···だったらあんな辛そうな顔しませんよ···」
武龍「皆、奴らの武装とかを中心に狙えるか?難しかったら中破止まり、かつ脚部の艤装を破壊してくれ」
北上「武装狙うのは無茶だよ···でも、やってみせるよ!」
陸奥「やるしかないようね」
青葉は全速力で突撃し、砲撃しつつ死角に回り込んでいく。
武龍は武装に向けてカラサワを撃ち、武装を破壊していく。しかしカラサワの爆発により、人体の部分にもダメージが入ってしまう。
武龍は歯軋りしつつ、人体へのダメージが少ないように撃っていく。
アークロイヤルは航空戦に専念し、そのアークロイヤルを島風が援護する。
陸奥は下側の主砲を敵艦娘(戦艦)の足元に撃ち込み、直前の位置を狙って水柱へ上側の主砲で砲撃する。
北上は敵艦娘(駆逐艦)の主砲を撃ち抜き、魚雷を1本だけ発射して左足の艤装を破壊する。
島風はアークロイヤルに接近しようとしてきた2機のS1型に艤装を撃ち込み、右側のS1型は外したものの連装砲ちゃんが撃破する。
その頃アメリカ海軍の内部では──
アメリカ海軍中将
「なに!?ローレンスが···レイヴンズ·ネストに攻撃を仕掛けただと!?」
アメリカ海軍兵士
「はい、それも日本にある拠点にも艦娘と量産型を出現させたようです」
ローレンスの暴走に、中将は怒りのあまり拳を机に叩きつける。
アメリカ海軍中将
「あんのっ···馬鹿者がぁ!すぐにローレンスを捕らえ、艦娘達と量産型を撤退させろ!手遅れになる前に!」
アメリカ海軍兵士
「はっ!」
兵士が立ち去ると、中将は頭を抱えて大きなため息をつく。
武龍達が投降しろと言われている頃、瑞希は海上用出撃ドックへと向かい、アンがローレンスの艦隊に通信をする。
アン《一体何が目的ですか?私達が何かしたのですか?》
長門(ローレンス艦隊所属)
「貴様らを国連へ反逆する者として拘束する!」
瑞希は出撃ドックの海上用カタパルトに立ち、壁のパネルが蛟に変わる。
そして、瑞希···蛟の体に艤装が取り付けられていく。
アン《ではその理由をこの場で述べてください。反逆に当たらない証拠も理由もこちらにありますが、それらを覆す決定的な証拠がお有りなのですね?それとも、私達の技術が欲しいのですか?》
長門(ローレンス艦隊所属)
「我々も手荒な事はしたくない、大人しく投降してくれ」
すると出撃ドックのハッチが開き、中から異形の形をした艤装を装備した蛟が現れる。
蛟「"先輩方"であろうと、それは聞けません」
蛟の艤装は巨大であり、扶桑型に近い形状をしていながら異形である。そして背部から伸びる4つの『50cm3連装砲』、そして艤装の斜め左右にXの文字を描くように伸びる4枚の飛行甲板。
その異様さに長門達は一瞬気圧される。
長門(ローレンス艦隊所属)
「先輩だと?お前のような後輩はいないぞ···いや、まさかその声は···ミグラントのオペレーターか!?貴様、艦娘だったのか!?」
蛟の目は赤くぼんやりと光り、表情はとても冷たいものだった。
蛟「あなた方の要求とやり方はよく分かりました···しかしいくら先輩方といえど、大切な仲間を傷付けようとする輩は排除いたします」
蛟「"扶桑型秘匿航空戦艦"『
蛟が右手を空へ掲げると、飛行甲板から大量の紙飛行機が出現し飛び立ち、それらが『震電改』『彗星』『流星改』『烈風』となり、空から襲い掛かる。
その数は圧倒的であり、即座に制空権は蛟のものとなった···
武龍「なぜ裏切った?」
武龍は中破し、膝をつくアイオワにカラサワの銃口を向けながら聞く。
ベス《答えてもらいます、ローレンス。また、既に記録は撮り続けていますので、逃げても無駄ですよ?》
ローレンスは答えず、黙り込む。武龍は小さなため息をつき、アイオワに質問をする。
武龍「ならアイオワ、何があったか言え」
アイオワは震えた声で答える。
アイオワ「
武龍「何?」
途端にローレンスは取り乱す。
ローレンス「アイオワ!それ以上話したらお前の提督を···ハッ!」
武龍「そうかそうか···お前が何をしたかがよく解った···」
ベス《武龍、現在拠点が襲撃されていますが、こちらは対処しています。ローレンス少将、あなたが彼女らの提督を殺そうがそもそもこちらは情報を流すので構いません》
アイオワ「なっ!?」
ベス《しかしその時は···あなたとあなたの大切な人々の首を洗って待っていてください···規約にもありますよね?『裏切った場合はそれ相応の対応をします』と···それと、今後はアメリカからの依頼もどうするか、考えなければですね》
ローレンス《なんだと貴様ら!》
ベス《アイオワさん、あなた方に1つだけ言えることは『我々は味方にもなり得れば敵にもなり得る』という事です···それでは皆さん、これより輸送機を向かわせます···こちらもどうやら"片付いた"ようですので》
武龍が裏切りの理由を聞いている頃、拠点周辺は阿鼻叫喚となっていた···
蛟の空母4人分の艦載機が空を支配し、その圧倒的な数に空母は完封され、一方的に攻撃されていく。その様子はまさに蹂躙だった。
艦載機だけでなく蛟の砲撃も加わっているため、駆逐艦と軽巡は既に全員大破してしまっている···
しかしローレンスの艦隊の長門は気づく。
蛟は、その場から1歩も動いていないのである──
そして爆撃などを行い、弾切れとなった艦載機は蛟の元に帰還し、補給して再び飛び立っているため、延々と一方的に攻撃を加えられ続けている。
長門の隣にいた戦艦が三式弾を発射し、蛟の艦載機の群れに穴を空けるが、すぐさま埋められてしまう。
そしてその戦艦は砲撃を受けて仰向けに倒れ、倒れたところに魚雷を撃ち込まれてしまう。
長門(ローレンス艦隊所属)
(なんだ···なんなんだ···こいつは!?)
そして遂に、全ての艦娘は何もできないままに撃破されてしまい、蛟は膝をついている長門に歩み寄り、首を掴んで持ち上げる。
蛟「これよりあなた方を拘束し、事情を聞かせてもらいます」
長門「貴様らは···何者だ···!?」
蛟「フフフッ···私は存在しない船···作られること無く忘れ去られた"設計図"ですよ···」
蛟のぼんやりと赤く光る目は、まるで深海棲艦のようだった──
読んでくださり、ありがとうございます!
蛟の事については次回お知らせします。