鴉の航路(ver2.0)   作:ダイヤモンド傭兵

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?「結局あんなことになったね。まあ、頑張ってね。君ならできる、幸運を」


第20話 ミッドウェー(ver2.0)

武龍が目を覚ますと、小さな小島の砂浜寄りの木陰に寝かされていた。また、武器は左隣に置いてあった。

右隣には空母棲姫改が横たわっており、意識はまだ戻っていないようだ。

 

武龍「ここは···」

 

武龍が起き上がると、機甲兵装に着いていた妖精達が集まり、心配そうな顔をしている。しかし一部は周囲を警戒しており、森の奥からあの左頬の抉れた深海棲艦が現れる。

 

深海棲艦「起きたようだな」

 

武龍「お前は···」

 

深海棲艦「礼の1つでも言ったらどうだ?」

 

謎の深海棲姫は武龍の前に果物の入った網を置き、近くの焚き火を指差す。

焚き火には串に刺した魚が火にかけてあった。

 

深海棲艦「もうじき焼ける。焼けたら果物と一緒に食べてろ」

 

そう言うと深海棲艦は森の奥に戻っていってしまう。

 

武龍「おいっ···はぁ、なんなんだ」

 

武龍は空母棲姫改を見る。やはりうなされており、「沈ンデイク···皆、皆···」と寝言を言っている。

すると妖精が話しかけてくる。

 

妖精A「本当に、助けるつもりなんですね···」

 

武龍「ああ。それと、意識はまだ戻らないか?」

 

妖精B「頭部にはそんなにダメージ無いし、傷も再生してきてるから多分、あと1時間以内には目が覚めると思う」

 

武龍「解った、ちょっと見ててくれ」

 

妖精C「どこへ行くのです?」

 

武龍「あの深海棲艦に礼を言わなきゃいけない」

 

 

 

 

 

武龍は頭部装甲を脱ぎ、謎の深海棲艦を追って森の奥に入っていくと、謎の深海棲艦は小さな滝のある泉の前にある岩に座っていた。

 

謎の深海棲艦は白いボディースーツを着ており、肘から先と脚の部分の色は黒いが、白い部分は膝の部分まである。しかし太ももの左右はスリットのように黒くなっている。

また、手の甲の骨部分と指の関節と爪は白い装甲となっている。

 

武龍「あの···」

 

謎の深海棲艦「なんだ?」

 

武龍は謎の深海棲艦に頭を下げる。

 

武龍「助けてくれて、ありがとうございました!」

 

謎の深海棲艦「フン、敵に対しても礼を言えて、しかも頭を下げられるとは、中々良いじゃないか」

 

謎の深海棲艦は武龍に近づき、突然武龍を抱き締める。

 

謎の深海棲艦「(深呼吸)···立派に、ここまで来たな」

 

謎の深海棲艦は武龍から離れると、自分の名を名乗る。

 

謎の深海棲艦「私の名は『深海鴉棲姫』。こんなナリだが、鴉の名を持っている」

 

武龍「えっと、俺は···」

 

深海鴉棲姫「武龍、だろう?」

 

武龍「なんで、俺の名を?」

 

深海鴉棲姫「君の事は知っている。ずっと前からな···詳しいことは別の時に話そう。それより、空母棲姫改はそろそろ目が覚めるんじゃないのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、拠点では会議が行われていた。

 

ベス「AL海域でも敗退ですか···」

 

ラン「仕方ねぇよ···まさか後方から『装甲空母姫』と『北方水姫』が来るんだからよ···まあ、あっちはMI海域より順守守ってなかったから、余計にキツかったんだろうけどよ」

 

ティス「ちくしょう···武龍···」

 

アン「武龍は生きていると···私はそう信じています」

 

草薙「今頃は向こうも体制を整えているでしょう···今は待ちましょう···獲物を喰らうのは今ではありません···」

 

リプ「今すぐにでも行ければ···」

 

ピス「助けに行く事も可能ですが、間違い無く姿を晒しますし、それに···」

 

ラビィ「言わないでくださぁい···」

 

ジュリアス「にしても、中国がなんの声明も発表していないのが気になるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空母棲姫改が目を覚ますと、焚き火が焚かれ、串焼きにしている魚と···武龍がいた。

 

武龍「起きたか···具合はどうだ?」

 

空母棲姫改はすぐに戦闘態勢に入るが体が痛んで座り込み、攻撃できなかった。

 

武龍「君を攻撃するつもりはない···ほら、焼けたぞ」 

 

武龍は焼き魚を手渡す。空母棲姫改は匂いを嗅いだ後、物凄い勢いで食べる。

 

空母棲姫改「ナゼ助ケタ?」

 

武龍「君はあの時泣いてただろ?それに、あの君を最後に囲んでた艦隊のやり方には頭に来てな···まあ、最後には君の艤装に頼まれたんだがな」

 

空母棲姫改は小さなため息をつく。

 

空母棲姫改「ソウカ···ソレニハ感謝スル···ナラバサッサト行ケ。今ナラ手ハ出サナイ」

 

武龍「そういうわけにもいかない···放っておけない性分だからな」

 

空母棲姫改「オ前達ハ敵ダ!」

 

武龍「敵だろうと関係無い!俺は放っておけないし、何より戦争が嫌いだから···終わらせたいから俺は余計に放っておけないんだよ!」

 

空母棲姫改「コノ偽善者ガ···」

 

武龍「偽善でも構わない!俺は相手を助けられるならそれで良い!」

 

空母棲姫改「モウイイ···モウイイ出テ行ケ!コノ海カラ出テ行ケ!オ前ノ助ケナンカ イラナイ!人間ニ助ケラレル クライナラ、アソコデ 沈ンダホウガ マシダ!」

 

空母棲姫改は無理矢理艦載機を発艦させる。しかしその攻撃は武龍の頭ではなく胴体に命中した···というより武龍は避けなかった。武龍は無言で近づいて空母棲姫改を抱き締めた。

 

武龍のその行動は、不思議と自然に体が動いていた。

 

武龍「だったらなんであの時泣いてたんだよ!なんで苦しんでたんだよ!寝てる時になんでうなされてんだよ!」

 

一瞬、空母棲姫改は暖かさを感じた。

 

空母棲姫改「ハなせ···コノ!」

 

武龍「俺は誰かに苦しんで欲しくないんだ!誰かが泣いて欲しくもないんだ!」

 

空母棲姫改「離せト イッテいるだろウ!」

 

武龍「誰も信じられないのなら俺が信じる!苦しみを溜め込むなら、俺に吐き出せ!沈みそうな時はまた俺が助ける!苦しくて、泣くなら俺が守ってやる!」

 

しばらくすると空母棲姫改は抵抗を止め、静かになる。

それから空母棲姫改はポツリポツリと話し始めた···

 

自分が深海棲艦として産まれた時の事···

この海で沈んだ4隻の空母の集合体であること···

そして沈んだ時の事を未だに夢に見る事を···

 

そして話す度に右側頭部の角と手の赤い爪にヒビが入り、ボロボロと崩れ落ちていく···

全て話終える頃には角と赤い爪はすっかり無くなっていた···

 

空母棲姫改「私の事は···『ミッドウェー』と呼んでくれ···それで、お前はこの戦争を終わらせたいのだろう?」

 

武龍「ああ···まあ、傭兵っていう微妙な立場だけどな」 

 

ミッドウェーは顔を上げ、武龍の顔を見る。

 

ミッドウェー「···なら腹を括れ。お前を拠点まで案内する」

 

武龍「良いのか?」

 

ミッドウェー「もう吹っ切れた···で、行くのか?行かないのか?」

 

武龍「もちろん行くさ」

 

2人が立ち上がると、木の陰から深海鴉棲姫が現れる。

 

深海鴉棲姫「話しは纏まったようだな」

 

ミッドウェー「お前はっ!」

 

ミッドウェーは構えるが、深海鴉棲姫は飄々とした様子である。

 

深海鴉棲姫「おいおい、私はお前達2人をここまで運んだんだぞ?」

 

ミッドウェー「お前が?」

 

深海鴉棲姫は砂浜へ出つつ果物を丸かじりする。

 

深海鴉棲姫「私は無駄な殺しはせんよ。それに、武龍が行くなら私も行くまでだ」

 

ミッドウェー「···お前にとって、武龍はなんなんだ?」

 

深海鴉棲姫「さぁな、また今度話すさ···さぁ、行こう。時間はあまり無いぞ」

 

そして3人は海へ出て、赤い海を航行していく···しかしその海は少しだけ、青みを取り戻しているようにも見えた···

 

妖精A(武龍···あなたなら、成し遂げられるしれませんね···私達の願いを···)

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます!

今回から新しいオリジナルの深海棲艦が参戦しますが、よろしくお願いします。

●オリジナルとノーマル
深海棲艦の全ての種類にオリジナルが存在しており、他の同種とは比べ物にならない実力を持ち、特にオリジナルの鬼級姫級と戦うということは『その海域そのもの』と戦うに等しい。

ちなみに現在オリジナルは2人を除いて全て生存しており、そのほとんどはある海域に集っている。
また、そのオリジナルの1人は今はラングレーとなっている高速軽空母水鬼である。

●ミッドウェー(空母棲姫改)
空母棲鬼、空母棲姫のオリジナルであり、戦いを繰り返して自らを進化させた。

MI海域で沈んだ4隻の空母の集合体であり、その分の実力もある。
しかし、今回は武龍のバルバロイと同じオリジナルであるラングレーなどの様々な要因により、本領を発揮できなかった。

●深海鴉棲姫
白い3つ編みのツインテールで身長160cm、肉体年齢は17歳。

白いボディースーツを着ており、肘から先と脚は黒いが、白い部分は膝まである。しかし太ももの左右はスリットのように黒くなっている。
また、手の甲の骨部分と指の関節と爪は白い装甲をとなっている。

同じ深海棲艦からも危険視されている深海棲艦であり、艤装は刀1本のみだが、極めて高い戦闘能力を持っている。
しかし、なぜ武龍事を知っているかは現時点では不明である。
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