江ノ島鎮守府に憤怒が向かっていることを知った横須賀提督は艦娘達を激励する。
武龍サイドからはヘンダーソン、ツル、古風、大潮、雪風が援軍に向かったが、距離的に間に合わない。しかし周辺の深海棲艦が駆け付け、迎撃体制に入っている。
その深海棲艦の中には江ノ島鎮守府に移籍した深海吹雪棲姫、そしてオリジナルの『南太平洋空母棲姫』もいる。
また、この領域のオペレーターはリプが行うことになっている。そして迎撃体制を整えたところで、迫ってくる憤怒を確認する。
深海吹雪棲姫「来ました!」
リプ《皆!戦闘体制にはいるのだ!》
南太平洋空母棲姫
「もう少しで戦いの無いシャングリラに辿り着けるのに···やらせない!」
吹雪「行きましょう!」
艦隊の視線の先には真っ直ぐに向かってくる憤怒の姿が···
憤怒「よう···オレの怒り、受けてみろよ!」
推奨BGM『Blue Magnolia」(ACVDより)
単体戦力を攻撃するための陣形から繰り出される砲雷爆撃を憤怒は避けていく。そのスピードはその場にいるどの艦娘や深海棲艦よりも圧倒的に速く、動きの遅い者は捉えることすらできずにいる。
江ノ島鎮守府所属長門
「くっ、速い!」
江ノ島鎮守府の全艦娘とヘンダーソン達の包囲網は意味をなさず、次々と艦娘や深海棲艦が大破していく。砲雷撃だけでなく、スピードを乗せた格闘攻撃により大きなダメージを負う者もいる。
憤怒「あぁもう!イライラする!雑兵だらけかここは!?」
隙を突いて深海吹雪棲姫が左腕で殴りつけ、背部艤装にダメージを負わせる。
しかしそれに激昂した憤怒に格闘攻撃を連続で受け、深海吹雪棲姫は大破してしまう。
そこに憤怒がトドメを刺そうとしたその時、憤怒はバックステップで横から飛んできた砲弾を回避する。
見ると、武龍サイドの援軍が駆け付けていた。
ツル「負傷してる人は一旦下がって!」
ヘンダーソンのレールキャノンを憤怒は横ステップで回避し、再びステップで前方に飛び出ると、ヘンダーソンに接近しようとする。その動きはネクストに近いものだった。
ヘンダーソン「なるほど···思ってたよりも厄介ね」
ヘンダーソンの所に向かおうとした憤怒に、ツルと雪風の砲撃が放たれるが、やはりかわされてしまう。
リプ《あのスピード···あれだけ速いなら燃費は良くないはずなのだ!》
古風「てことは···」
大潮「燃料切れにすれば良いってことですね!」
江ノ島艦隊の攻撃がほぼ同時に憤怒に迫る。憤怒はその一斉攻撃を回避したものの、僅かにタイミングをずらして撃ち込まれた雪風のの砲撃が、苛立ちにより動きにブレが生まれた憤怒の顔面に命中する。
憤怒は怒りに体を震わせつつも、鼻血を拭うと深呼吸する。
憤怒「やるじゃねぇか···なら、こっちも本気出さねぇとなぁ!」
憤怒の艤装の胸、肩、背部にある排熱部から蒸気が吹き出し、その排熱部は赤熱する。
憤怒「オレは···沈められた艦達の···"怒りの代弁者"だ!」
憤怒はヘンダーソンに向けて駆け出すと、一瞬で距離を詰めてヘンダーソンの腹部に拳を打ち込み、その拳は手首まで埋まった。
ヘンダーソン「ゴボァッ···!」
古風が憤怒に砲撃するが、憤怒は古風の背後に一瞬で回り込んで砲撃する。
江ノ島提督《なんだよ···あの速さ!?》
憤怒は獰猛な笑みを浮かべながら次々と攻撃を仕掛けていき、その度に被害が拡大していく。しかし深海吹雪棲姫が海中から黒い手を大量に出現させ、憤怒の動きを止める。
憤怒「テメェッ!」
憤怒は推進力を活かして振りほどこうとするが、かつて吹雪を掴んだ時よりも多い手の数に苦戦している。
深海吹雪棲姫「今ですっ!」
その憤怒に大和と武蔵の砲撃が命中し、憤怒は大破する。そしてそれと共に機関部が損傷し、艤装は動きを止めてしまう。
憤怒「ちくしょう!動け!動けよぉっ!クソォォォォォォォォォ!」
その憤怒に大量の砲雷爆撃が着弾する。だが、それでも憤怒は立っており、吹雪達に迫ろうとする。しかしその動きはフラついており、1歩進む度に艤装の破片やパーツが落ち、艤装の一部は爆撃を起こしたりする。
吹雪「なぜ···あなたはそんなに怒って、人類や私達を目の敵にするんですか?」
憤怒「あぁ?そんなもん、決まってんだろ···オレ達を捨てて···あんなに輝いて···(艤装の爆発)ガハッ···それに、オレは怒りの···代弁者だからな···」
憤怒は膝を着く。背部艤装からは絶えず黒い煙が溢れ出しており、赤熱している排熱部は赤みを増している。
ヘンダーソン「···怖かったのね。消えるのが」
憤怒「あ?」
ヘンダーソン「自分の存在を忘れられ、技術者達の努力が無駄になることが···それが許せなくて、憎くて···」
憤怒「黙れぇぇぇぇぇ!てめぇらに何がワカル!?オレタチ ノ心が!過去ガ!」
憤怒は左手に持つ、折れ曲がった砲身の15cm2連装砲を向けるが、引き金を引いた瞬間に爆発し、左腕の肘から先が吹き飛ぶ。
憤怒「ガアアアッ!クソッ!クソッ!」
すると吹雪は憤怒に歩み寄る。
吹雪「私はあなた達の心を完全に理解することはできません···けれど、寄り添う事ならできます···だって、私の妹ですから!」
吹雪は憤怒を抱き締め、憤怒は目を見開く。
吹雪「誰かが忘れるのなら、私達が覚えています!私達があなた達の存在を伝えます!だから、もう···」
憤怒「もう···いいさ···」
憤怒は吹雪を突き飛ばすと同時に最後の力でバックステップをし、距離を離す。
憤怒「姉貴達みたいなのと···初めっから出会えてたらな···ああ、最高に、イライラするぜ···」
吹雪を見ながら、憤怒は初めての笑顔を浮かべる。
憤怒「じゃあな···姉貴···」
その瞬間、憤怒の艤装から溢れ出ていた粒子が光り輝き、爆発を起こす。それにより、艤装は完全に破壊され、憤怒も跡形もなく吹き飛ぶ。
吹雪「憤怒っ!」
吹雪は泣き崩れ、その肩を深海吹雪棲姫が抱き止める。
横須賀提督《···憤怒の轟沈を確認···皆、戻ってきてくれ》
特型秘匿駆逐艦『憤怒』
江ノ島鎮守府正面海域にて轟沈。轟沈理由としては自爆ではなく、機関部の損傷による熱暴走が原因だと推測される。
また、憤怒による艦娘と深海棲艦の合計撃破数は確認されているだけでも200を越えている。
余談だが、憤怒の艤装の残骸は解体されたものの、その破片の内1つは横須賀鎮守府所属の吹雪がネックレスにし、お守りとしている。
読んでくださり、ありがとうございます!
しばらくはこの時と同じ時間の戦闘が描かれます。
●憤怒の加速
憤怒は本来、ただでさえ扱いが困難なそのスピードを制御するためにリミッターをつけており、そのリミッターを外すことにより、尋常ではないスピードを解放することができる。
しかしリミッターを外しての行動は燃料を著しく消費し、更に排熱部が赤熱するため、リミッターを外しての行動は短時間しかできない。
また、リミッターを外した状態では機関部の損傷により熱暴走を起こしやすく、常に危険な状態である。