雨上がりの日──
とある瓦礫が残る、かつて町だった場所にある簡素な慰霊碑。その前で手を合わせる男女がいた。武龍とミッドウェーである。本当なら青葉と大蛇も来るはずだったのだが、それぞれ用事が入ってしまったため来れなかった。
ミッドウェー「···なぜ、ここの慰霊碑に手を合わせる?この町の人間は君を散々な目に合わせたのだろう?」
武龍「ああ。けど、関係の無い人もいたとは思う。だからその人達のために、俺の故郷だった場所としても、こうしたかったんだ」
武龍は周囲の瓦礫を見渡す。かつて自身が引き取られた先の町であり、夜逃げした日に空爆を受けて瓦礫と化した町。この町にいた両親は本当の親ではなく、本当の両親の親族である。
引き取られる前に住んでいた場所は覚えていないが、武龍にとってはさほど問題ではないように感じている。
武龍「なぁミッドウェー、ちょっと歩いてみないか?」
武龍とミッドウェーは周囲を歩いてみる。ほとんどが瓦礫ではあるものの、僅かに残ったものが1つだけあった。それは武龍が夜逃げした際に最初に逃げ込んだ公園だった。
今では噴水は止まり、広場には工事業者のプレハブ小屋とテントがある。一通り公園を見て回ると、2人は青葉と出会った場所まで行く。
武龍「懐かしいなぁ。ある意味、ここから始まったと言っても良いくらいの場所だ」
ミッドウェー「ここが、武龍にとっての始まり、か···」
暖かい日の光が2人を照らし、2人は近くの木の下に座る。そしてぼんやりと海を眺めていると、心地よい風と暖かな日光により少しずつ眠気がやって来る。
ミッドウェー(なんだか気が抜けるな。少しだけ、少しだけ眠るか···)
そして、ミッドウェーはゆっくりと瞼を閉じるのだった。
ミッドウェーは暗い空間に立っていた。すると前方に歪んだ姿をした艦娘達が現れ、ミッドウェーにふらつきながらも歩み寄ってくる。ミッドウェーは悪寒を感じて引き下がる。
すると突然、ミッドウェーの後方から頭上を飛び越えて武龍が現れる。武龍は機甲兵装(バルバロイ)を頭以外に装備しており、歪んだ艦娘達に攻撃していく。
武龍の攻撃により、歪んだ艦娘達は次々と倒されていく。しかし歪んだ艦娘達は数を増やしていき、武龍は劣勢となる。そして次第に被弾が増えていき、遂には膝をつく。そこに歪んだ艦娘達は一斉に武器を向ける。
ミッドウェー「やめろ···」
歪んだ艦娘達の引き金にかかる指に力が入る。
ミッドウェー「やめろぉぉぉぉぉ!」
ミッドウェーは大量の艦載機を発艦させ、歪んだ艦娘達に攻撃する。歪んだ艦娘達は倒れ、ミッドウェーは武龍に駆け寄る。
すると、周囲の歪んだ艦娘達が喋り出す。
歪んだ艦娘A「なんで助けるの?」
歪んだ艦娘B「アンタら深海棲艦が嫌ってる"人間"だよ?」
歪んだ艦娘C「しかも深海棲艦を沢山沈めた」
歪んだ艦娘D「あなたの敵でしょう?」
歪んだ艦娘E「一緒に沈めましょう?」
ミッドウェーは拳を握り締め、立ち上がる。
ミッドウェー「確かに、この男は数多の深海棲艦を沈めた。しかし同時に数多の深海棲艦を救った···私も、その救われた深海棲艦の1人だ」
ミッドウェーは歪んだ艦娘達を睨み付ける。
ミッドウェー「だから私は···武龍を、守る!」
ミッドウェーは艤装を展開する。しかしこれまでの艤装と違い、両肩に1枚ずつ飛行甲板が、両手には14cm単装砲が現れる。
ミッドウェー「何度でも、何度でも沈んでいけ」
ミッドウェーは艦載機を発艦させると共に、単装砲の引き金を引く。
目が覚めると、ミッドウェーは頭を武龍の肩に預けて寝ていた。いつの間にか武龍も寝ていたようで、柔らかな寝息を立てている。その顔を見たミッドウェーはあることに気づく。
ミッドウェー(そうか、だから私は···)
読んでくださり、ありがとうございます!
今回は始まりの場所に訪れると共に、ミッドウェーの新たな艤装が発現した時の話を書きましたが、どうだったでしょうか?
感想、いつでもお待ちしています!