鴉の航路(ver2.0)   作:ダイヤモンド傭兵

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雪が振る日に、レヴォツィは1つを出会いを経験する。


DLCです。本編(番外編と外伝を含む)を読み終わってない方は、読み終わってから来てください。


DLC④ 雪の振る日に(新実装)

深海棲艦との戦争が始まってから1年を過ぎ、ロシアは雪の降る季節になっていた。とある辺境の鎮守府に所属しているレヴォツィは秘書艦であり、艦隊唯一の戦艦であるガングートと執務をこなしていた。

 

ロシア、中国、アメリカの提督達の主流となっている派閥は兵器派であり、兵器派の流れは他国の提督達にも広がりを見せている。その結果、艦娘の扱いは徐々に劣悪になっていき、轟沈する艦娘も増えてしまっている。

 

更に、艦娘が轟沈するだけでなく深海化してしまう現象まで起きてしまい、それは増加の傾向にある。

 

レヴォツィ「この流れ、どうにかして止めねば」

 

レヴォツィは書類を纏めると艦娘達の様子を見に行く。ロシア所属の提督の中でも、レヴォツィは指揮能力が高いだけでなく、艦娘の士気も他の鎮守府より高い事で有名である。

 

 

 

 

 

レヴォツィは軍人の家系に生まれ、その家系は代々優秀な軍人が多く、軍人の中にはその家系の者に憧れる者も少なくない。レヴォツィも優秀な軍人の1人であるが、軍の上層部はレヴォツィを快く思ってはいなかった。

 

兵器派に真っ向から反対しているだけでなく、軍人としての姿勢や能力は上層部の人間を明らかに凌いでいる。そして、艦娘の実力さえ上層部とそのお抱えの提督よりも高いのである。

 

 

 

上層部はレヴォツィをどうにかして軍から追い出したく、または消そうとすらした。しかしそれは極めて難しいことであった。

 

つい最近、軍内部にいた深淵教の人間の手により提督が暗殺される事件があり、軍の信用は落ちてしまった。しかしその信頼の回復に務めたのは、他ならぬレヴォツィである。

 

それだけでなく、レヴォツィはその行動により国民からも支持を得ており、仮に政治家として立候補すれば高確率で当選できるほどだった。

 

レヴォツィを暗殺すれば軍が怪しまれ、国民からの信頼も落ちてしまう。更に防衛の面で考えてもレヴォツィの戦力は必要である。そのため、軍はレヴォツィを辺境の鎮守府に移動させることにした。

 

更に、何かあっても不干渉を貫こうという腹でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レヴォツィは海辺で何者かが倒れているのを発見した。すぐに駆け寄るが、立ち止まってしまう。なぜなら、倒れていたのは駆逐棲姫だったからだ。見たところ、大破しているようでもある。

 

レヴォツィ「駆逐、棲姫···?討ち漏らしが流れ着いたのか?」

 

レヴォツィの脳裏に艦娘と深海棲艦の関係···互いが表裏一体であることがよぎる。そのためレヴォツィはガングートを呼び、接近する。

 

レヴォツィ「···おい」

 

レヴォツィの声を聞いた駆逐棲姫は体を震わせる。ガングートが駆逐棲姫の顔を確認すると、息を詰まらせる。

 

 

 

駆逐棲姫の両目は、太い釘で貫かれていた。

 

 

 

レヴォツィ「これは···!?」

 

駆逐棲姫は震えながら辺りを見渡すように頭を動かす。

 

駆逐棲姫「ダ、誰···?ココ、ドコ···?痛イ、見エナイ···暗イヨォ···」

 

レヴォツィは駆逐棲姫を抱き起こし、そっと抱き締める。

 

レヴォツィ「···大丈夫だ、ここは安全だ」

 

駆逐棲姫は潰れた目から血と共に涙を流す。

 

駆逐棲姫「ワ、ワタ···私···アッ、アアア···」

 

すると駆逐棲姫は気を失い、すぐに入渠ドックへと駆逐棲姫は運ばれる。

 

 

 

 

 

しばらくして、駆逐棲姫が目を覚ますと入渠用の湯船の中だった。状況が飲み込めず、少しの間放心していると脱衣場に誰かが入ってくる音がする。

そして浴場の扉が開けられると、ガングートが入ってくる。

 

ガングート「ようやく起きたか」

 

駆逐棲姫はガングートから離れようとする。しかしガングートは攻撃してくる様子は無かった。

 

ガングート「貴様はこちらの提督が助けた、だから殺さない。体を拭いたら来い···まあ、同志に手を出したら問答無用で仕留めるがな」

 

ガングートはそういうと浴場から出ていった。駆逐棲姫はなぜ助けられたのか気になりながらも、警戒しつつ入渠ドックから出る。入渠ドックの前ではガングートが待っており、提督の執務室へ案内される。

 

 

 

駆逐棲姫が恐る恐る執務室へ入ると、座っていたレヴォツィの顔は安堵に染まる。

 

レヴォツィ「良かった、無事に回復したようだな」

 

なぜ助けられたのか解らず、更には回復した自分を見て安堵しているレヴォツィに、駆逐棲姫は困惑する。だが、少なくとも自分を助けた借りはあるため、危害は加えない事にする。

 

駆逐棲姫「助テクレタ事ニハ感謝スル。ソレデ、私ヲドウスルツモリ?」

 

駆逐棲姫をどうするか、それはガングートも気になっており、ガングートはレヴォツィに目線を送る。

 

レヴォツィ「まず、君がこちらに危害を加えなければこちらも危害を加えるつもりは無い。次に、君が出立する時は無事に行けるよう手配しよう」

 

駆逐棲姫は目を丸くし、瞬きをする。

 

駆逐棲姫「私ハ、深海棲艦ダヨ?」

 

レヴォツィはそれを解った上である。

 

レヴォツィ「それは承知の上だ。しかし、我々は君を助けた。助けたのなら、出立までは守るのが道義だと思っている」

 

駆逐棲姫はその日の夜、出立することにした。暗い夜の中、レヴォツィとガングートは駆逐棲姫を見送る。

 

レヴォツィ「達者でな」

 

レヴォツィはそっと駆逐棲姫の背中を押す。その手は暖かく、駆逐棲姫は少しだけ俯き、すぐに前を向いて鎮守府を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、午後22:00──

 

 

 

雪が舞う夜···駆逐棲姫が鎮守府の海岸に現れ、付近にいたガングート、鳥海、最上が向かう。現れた駆逐棲姫は俯いたままだった。

 

駆逐棲姫「アノ人二、会ワセテ···」

 

3人とも砲口を向けているが、駆逐棲姫は主砲と一体化した左手を下ろしたままである。ガングートは通信により、他の艦娘も集まってきている事を知る。

 

同じ駆逐棲姫ではあるものの、別個体である可能性を考慮してガングートはレヴォツィを呼ぼうとはしなかった。駆逐棲姫は右手を握り締めている。

 

撃つべきか、そう考えている間に背後から聞き慣れた足音が聞こえてくる。ガングートが目線だけ動かすと、レヴォツィがいた。その隣には矢萩がおり、いつでもレヴォツィを守れる体勢に入っていた。

 

レヴォツィ「なぜ、戻ってきた?」

 

顔を上げた駆逐棲姫の目には涙が浮かんでおり、今にも泣き出しそうであった。

 

駆逐棲姫「私、ココニイて、良イ?」

 

 

 

ガングートは眉を潜めるが、レヴォツィは真剣な眼差しをしている。

 

駆逐棲姫「アナたノ手、暖かカッタ···ココニ、イたいノ···」

 

駆逐棲姫の艤装にヒビが入り、僅かに欠片が落ちる。

 

駆逐棲姫「暗イのは、もう···嫌ダヨ···」

 

駆逐棲姫の目からは涙が溢れ、頬を伝う。

 

駆逐棲姫「お願い···ココに、いさせテ···」

 

駆逐棲姫は嗚咽を出し始める。すると、離れたところから狙撃の体勢に入っている榛名から通信が入る。

 

榛名《少なからず、演技の可能性があります。けれど、榛名はいつでも撃てます》

 

レヴォツィは1度目を閉じ、再び駆逐棲姫を見る。駆逐棲姫は右手で涙を拭おうとしているが、拭いきれぬ程の涙を流し続けている。

そして、レヴォツィは1歩前へ出る。

 

レヴォツィ「覚悟はあるか?」

 

駆逐棲姫の手が止まり、辺りは静まり返る。

 

レヴォツィ「ここに来るということは、私の指揮下に入るだけではない、国のために戦い、深海棲艦に砲を向ける事になるということだ。その覚悟はあるか?」

 

駆逐棲姫は「はい」と答え、レヴォツィはまた1歩前へ出る。

 

レヴォツィ「戦いの先にある"答え"がいかなるものか、それでも進む覚悟はあるか?」

 

駆逐棲姫の艤装のヒビが増え、剥がれ落ちていく。再び駆逐棲姫が答えるとレヴォツィは再び前進する。

 

レヴォツィ「ならば来い!この艦隊に!」

 

駆逐棲姫の艤装のヒビは肉体にまで広がり、光と共に姿が変わっていく。レヴォツィは手を差し出し、光に包まれた駆逐棲姫はレヴォツィの手を取る。

そして光は収まり、駆逐棲姫は艦娘の姿となっていた。

 

ヴェールヌイ

「私は駆逐艦、ヴェールヌイ。よろしく、提督」

 

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます!

今回はレヴォツィの過去を書きましたが、どうだったでしょうか?
感想や高評価、お待ちしています。
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