鴉の航路(ver2.0)   作:ダイヤモンド傭兵

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月明かりに照らされし鴉。
決意に振るう拳は誰のためか。


DLCです。本編(番外編と外伝も含む)を全て読み終わってない方は読み終わってから来てください。


DLC⑥ 深海の鴉【中】 MOONLIGHT(ムーンライト)(新実装)

月明かりに照らされた、不気味な静けさを感じさせる廃校に深海鴉棲姫は足を踏み入れる。ガラスの割れた玄関扉を開き、下駄箱が並ぶ玄関を見渡す。

廊下に出ると、自身の足音以外は聞こえない。

 

まずは1階から探索を初めていくが、廃校というだけあって生活感が無く、荒れ果てている。

1回には何も無かったため、2階へ行く。2階の廊下を進んでいると、背後から声をかけられる。

 

 

 

???「良い夜でありますな」

 

深海鴉棲姫は瞬時に振り向き、刀に手を掛ける。少し離れた場所に、深海棲艦が立っていた。

 

おかっぱ頭の髪に、赤い目。胸から腹部にかけては骨となっており、心臓は青く光りながら脈動している。肉と皮のある両手は素肌を晒しており、下は和服を纏っている。

 

???「(それがし)は『侵攻揚陸(しんこうようりく)棲姫』であります、そちらは?」

 

深海鴉棲姫は刀に手をかけたまま名乗り、侵攻揚陸棲姫は首をかしげる。

 

侵攻揚陸棲姫

「ふむ、そのような深海棲艦は聞いたことがありませんな。某がここに潜入している間に生まれた者でしょうかな?」

 

深海鴉棲姫の放つ殺気に侵攻揚陸棲姫は違和感を覚える。

 

侵攻揚陸棲姫

「···そちら、何か勘違いをしてるようでありますな。我々は互いに深海棲艦、敵ではありませぬぞ?」

 

深海鴉棲姫はそのまま問いかける。

 

深海鴉棲姫「最近、ここで行方不明になっている子供がいたようだが?」

 

侵攻揚陸棲姫はキョトンとした表情を浮かべると、すぐに笑みを浮かべて答える。

 

侵攻揚陸棲姫

「ああ、あの子供ですか。腹が減っては戦はできぬと、骨まで食べたであります。その後の人間の捜査の目を掻い潜るのは大変だったでありますが」

 

その瞬間、深海鴉棲姫は居合い斬りをし、侵攻揚陸棲姫は間一髪で回避し、距離を取る。

 

侵攻揚陸棲姫「どういう、つもりでありますかな···?」

 

月明かりに照らされた2人は向かい合い、深海鴉棲姫は刀の矛先を向ける。

 

深海鴉棲姫「恩人の頼みでな···その子供を屠ったお前を、狩らせてもらう」

 

侵攻揚陸棲姫はくつくつと喉で笑う。

 

 

 

推奨BGM『褪色のスペクトル』

 

 

 

侵攻揚陸棲姫

「なるほど···しかし刀1本で某に勝つつもりでありますかな!?」

 

侵攻揚陸棲姫は腰にある軍刀を抜き、背中に折り畳まれていた鉤爪と単装砲が一体化した虫のような腕を伸ばす。

深海鴉棲姫は突撃し、砲撃を避けつつ懐に潜り込もうとする。

 

しかし侵攻揚陸棲姫の背部にある腕のせいで、接近しても砲撃が可能となっているため、深海鴉棲姫は攻撃がしにくい。

 

侵攻揚陸棲姫「どうしたでありますか?」

 

侵攻揚陸棲姫は深海鴉棲姫を煽るが、深海鴉棲姫は煽りに耳を貸さずに侵攻揚陸棲姫に攻撃を当てようとする。

侵攻揚陸棲姫が追加で砲撃すると、深海鴉棲姫は砲撃を回避すると共に教室の中に飛び込む。

 

侵攻揚陸棲姫は扉を蹴破りつつ教室に入ると、机が投げつけられる。

 

侵攻揚陸棲姫「小癪なっ!」

 

砲撃で机を破壊しても次々と机や椅子が投げられ、侵攻揚陸棲姫は砲撃し続けるしか無くなる。しかし机や椅子には限りがあるため、侵攻揚陸棲姫は舌舐りをする。

しかし次に投げられた机を砲撃で破壊すると···

 

深海鴉棲姫「捕まえた」

 

深海鴉棲姫が懐に潜り込み、侵攻揚陸棲姫の体を下から斬り上げた。

深海鴉棲姫は机と椅子を一定の感覚で投げ、時に頻度を上げたりして砲撃の連射力を試し、次弾を撃つまでの間に潜り込んだのだ。

 

斬られたのは骨だけでなく心臓にも傷が入っており、侵攻揚陸棲姫は既に次の攻撃の構えを取っている深海鴉棲姫から逃走する。

 

 

 

機動力は深海鴉棲姫が上回っているため、侵攻揚陸棲姫は砲撃や障害物を利用して逃げる。そして体育館に逃げると再び砲撃で深海鴉棲姫が近づけないようにする。

しかし、深海鴉棲姫はその砲弾を弾きながら接近してきている。

 

侵攻揚陸棲姫「この短時間で、動きを見切ったでありますか!?」

 

そして深海鴉棲姫は侵攻揚陸棲姫の左腕と左の虫の腕を上から一刀両断する。叫び声を上げた侵攻揚陸棲姫は、天井を砲撃して瓦礫を落として逃走する。

 

 

 

侵攻揚陸棲姫が逃げたのは屋上であり、血が溢れる傷口を押さえている。しかし血を辿って深海鴉棲姫が階段を駆け上がり、侵攻揚陸棲姫の目の前に仁王立ちする。

その右頬は小さく笑みを浮かべていた。

 

そして深海鴉棲姫は接近すると、侵攻揚陸棲姫の体を殺さない程度に切り刻む。喉も斬られ、喋る事のできない侵攻揚陸棲姫は弱々しく、やめてくれと懇願するように手を伸ばす。

 

深海鴉棲姫は侵攻揚陸棲姫の心臓に刀を突き刺し、侵攻揚陸棲姫の光は消えていった。そして撃破した証拠に侵攻揚陸棲姫の主砲を切り取って持ち帰った。

 

···が、裏山を駆け降りる姿を遠方から目撃した人影がいた。

 

???「あれは···?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

侵攻揚陸棲姫を撃破したことを理恵と恵理に伝え、2人は安堵すると共に深海鴉棲姫に感謝を述べた。その後も武龍の情報を探していき、武龍が見つかるまでの間はできればこのままでいたい、深海鴉棲姫はそう思っていた。

 

そんなある日、少し遠めの場所まで情報を集めに行った帰りに町に火の手が上がっているのを目撃し、深海鴉棲姫は走って燃えるマンションに辿り着く。

 

マンションは崩れており、深海鴉棲姫は炎の中に飛び込んで2人を探す。瓦礫をどかしていくと、ボロボロになった2人が現れる。

 

深海鴉棲姫「2人とも!」

 

2人の傷は深く、一目で助けられないと悟ってしまう。

 

理恵「ごめんね···こんなことになっちゃって···」

 

恵理「ホントにごめんね~···」

 

助けられなくとも、それでも深海鴉棲姫は2人を助けようと出血している箇所を布で縛ろうとする。しかし2人は自身の状態を悟っているらしく、首を横に振る。

そして、もう助からない事を自白する。

 

理恵「世の中って、理不尽だよね···」

 

恵理「狂ってるよね···」

 

2人は誰がこんなことをしたのかを告げ、息絶えてしまう。涙を流。し、拳を握り締め、そして深海鴉棲姫は炎の中で立ち上がる。すると、深海鴉棲姫は髪を三つ編みのツインテールにし、その場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深海鴉棲姫が向かった先は最寄りの鎮守府であり、そこに忍び込む。そして通信設備を片っ端から破壊する。それにより鎮守府では混乱が起き、そこの提督は指令室へ駆け込む。

 

すると、指令室の机の上に深海鴉棲姫が刀を抜いた状態で座っていた。

 

深海鴉棲姫

「やぁ、初めましてだな。よくもまああの町をやってくれたものだ」

 

提督はすぐさま逃走し、追おうとした深海鴉棲姫を横から掴みかかった艦娘がおり、そのまま艦娘と深海鴉棲姫は外へ転がり出る。

2人が立ち上がり、互いの顔を認識する。その艦娘は、過去に深海鴉棲姫が助けた艦娘だった。

 

艦娘「ここは···通しません」

 

おそらくは駆逐艦であろう、その艦娘とそこに集まってきた艦娘達は深海鴉棲姫に砲口を向ける。

 

艦娘「あなたは、過去に私達を助けてくれました。だから···今なら見逃します」

 

深海鴉棲姫は笑い声を上げる。

 

深海鴉棲姫「ハッハッハッハッハッ···はぁ~···ふざけるな」

 

深海鴉棲姫は艦娘達を睨み付ける。

 

深海鴉棲姫「自分達を助けた者を勝手に敵と認定し、匿っていた者の話に耳を貸そうとせず、連帯責任だと言って無関係の者達と共に殺しておいて何を言う?」

 

艦娘達の一部は歯軋りをする。

 

深海鴉棲姫「復讐は上等だ。敵討ちと言っても良い···少なくとも、ここにいる者共は···皆殺しだ」

 

深海鴉棲姫は刀を抜き、構える。

 

月明かりに照らされ、妖しく紫に輝くその刀の名は···『月光』。

 

 




読んでくださり、ありがとうございます!

今回は深海鴉棲姫の過去編の第2段でしたが、どうだったでしょうか?
感想や高評価、お待ちしています。

●侵攻揚陸棲姫
おかっぱの髪と赤い目をしており身長160cm。
胸から腹部にかけては骨となっており、下半身は和服を纏っている。また、心臓は青く発光しながら脈動している。

武装は軍刀と背部の鉤爪と15cm単装砲が一体化した虫の腕である。

地上戦と潜入に特化した深海棲艦であり、屋内での近接戦闘をメインとしている。
また、機動力はあるものの装甲は薄い。
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