鴉の航路(ver2.0)   作:ダイヤモンド傭兵

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もしも、人類と深海棲艦との戦いが全く違う方向へ進んでいたら?
これはそんな、ifのとあるお話である。


DLCです。本編(番外編や外伝も含む)を全て読み終わってない方は読み終わってから来てください。
···が、この話しに関しては本編との繋がりはありませんので、この話だけは本編を読んでいなくても、問題はありません。


DLC⑨ 静かな世界(新実装)

ある町の海に面した土地に建てられた家。

そこに住む一家の少年は学校でいじめられ、加害者側は罰せられた。しかしその報復として家に火炎瓶が数個、投げ込まれた。

 

少年は燃える家の中で···息絶え、燃えている家族を目にし、叫ぶ。声が枯れる程に。声が途絶えてしまう程に。そして少年の近くで爆発が起き、少年は海に投げ出された。

 

少年(誰か···助けて···だれか、たすけて!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年が目を覚ますと、和室の布団の上に寝かされていた。左腕には点滴が刺さっており、股間にはカテーテルが挿入されていた。

また、少年は水色の患者衣を着ており、体を見ると傷跡が残っていた。

 

窓から見える空と、微かに見える青々とした木々、そして蝉の鳴き声。そこから察するに、おそらく季節は夏だろう。

 

誰かが自分を助け、治療してくれたのだろうか?そう思っていると、廊下から足音が聞こえてくる。引き戸が開けられると、そこには白いセーラー服を着た少女が立っており、少女は驚いていた。

 

少女「お、起きたんですか!?良かったぁ!」

 

少女は自身を吹雪と名乗り、待っているようにと言うとどこかへ走っていった。

そして吹雪が呼んできた女性によって、点滴やカテーテルが外される。

 

 

 

少年は2年程眠っていたそうだが、なぜか筋肉の衰えは無かった。そのため普通に歩けており、そんな少年を見た掌サイズの小人である妖精はサムズアップをしていた。

 

少年の名は『鴉間(からすま) ヒロ』と言い、現在は喋ることができなくなっていた。

 

ヒロや吹雪達がいるこの場所は1つの島であり、その北東側にある住宅街だそうだ。そして他の艦娘達とヒロは挨拶をしていった。しかしヒロにとって違和感があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この島に、艦娘と深海棲艦を名乗る者以外···つまり"人間"は、ヒロ以外に誰一人としていなかったのだ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロが目覚めてから、5時間が経った。

まずはヒロが住むことになった家の中と部屋を覚え、夕飯はカレーだった。

 

ヒロと同じ家に住んでいるのは金剛と吹雪である。ちなみに、ヒロが目覚めた家は満潮と曙が住む家の空き部屋だったようだ。

 

夕飯を食べ終わり、しばらくして眠ろうと布団に入るが···

 

ヒロ「ハッ···ハッ···ハッ···」

 

目覚めたばかりのヒロは家と家族が燃えた時の事を思い出し、震えていた。

そこに、念のために様子を見に来た金剛がそれを目撃する。すると金剛はヒロを抱き締める。まるで、なぜ震えているか知っているかのように。

 

金剛「大丈夫、大丈夫デース。ここには、私達がいマース」

 

あの日、ヒロが海に落ちた時のような冷たさではなく暖かさに包まれ、ヒロは安心してゆっくりと眠りに入った···

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後、ヒロは時雨に誘われて住宅街の東側にある海に行く事になった。

住宅街の中にある丘の頂上にある木の下で待ち合わせをしていた。そこから見える、住宅街を見下ろした景色は周囲を一望できる。

 

時雨「やぁ、少し早く着いたね。じゃあ、行こっか」

 

並んで歩く土手の道はやはり人はおらず、静かな風が吹いている。すると途中で戦艦タ級と出会った。そのタ級は通常のタ級とは違い、髪が短かった。

 

タ級「あら、これから何処へ行くのかしら?」

 

タ級からは明るい雰囲気が感じられる。

 

時雨「これからヒロと海へ行ってくるんだよ」

 

タ級「そう、気をつけて行ってらっしゃいな」

 

2人はタ級に手を振り、土手を歩いていく。しばらくすると山の断崖に挟まれた道に出る。しかしその先に海が見え、歩いていくと簡素な更衣室が建てられていた。

 

2人は水着に着替えて海に入る。

そこでは互いに水をかけ合ったり、泳いだりして海を満喫している。

しかし、時雨はある一定のところより先には行かせないように、さりげなく動いていた。

 

別に深いわけでもなく、ヒロと同じくらいの時雨の太ももの辺りまでの水深である。

そこで、ヒロは時雨の背後にある水中を見てみる。

 

 

 

そこは、時雨の後ろから一気に絶壁のようになって深くなっており、海の底には都市が沈んでいた。

 

 

 

時雨は、一気に深くなっている場所へ行かせないようにしている。そう気づいたヒロはそこまでは行かないように遊ぶ事にし、しばらく遊ぶと、戻る時間となる。

 

帰りの途中、土手の少し広くなっている場所で先程のタ級が空を眺めていた。

 

時雨「山城、どうしたんだい?」

 

あのタ級はどうやら山城のようで、タ級(山城)は2人の方を向く。

 

タ級(山城)「そろそろ、物資を積んだヘリが来ると思ってね···来たようね」

 

タ級の背後から1機のヘリが飛んできて、そのまま高度を下ろして行き、学校の校庭へと着陸する。

 

時雨「島の外からの面白いものがあるかも、行ってみよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロが目覚めてから1週間後、ヒロは住宅街の南側の用水路の掃除を手伝うことになった。

掃除場所へ行くと、曙、満潮、朝潮、荒潮の4人が点検をしていた。

曙はヒロに気づくと掃除用具を手渡してきた。

 

曙「ほら、これがアンタの分よ」

 

用水路の掃除は思っていたより早く終わり、ヒロは曙に掃除用具を返す。

 

曙「残りは私達がやっておくから、また後で」

 

 

 

ヒロは余った時間で山へと入ってみることにする。

しばらく歩くと、いくつかの家を発見する。すると背後から誰かが歩いてきたため、ヒロは振り返る。

そこには、手に何かが入ったビニール袋を持った中枢棲姫が立っていた。

 

中枢棲姫「なるほど、お前が···私は中枢棲姫。せっかくだ、茶でも飲んでいけ」

 

中枢棲姫はヒロを1つの家の中へ招き入れる。

廊下は少し狭いものの、掃除はきちんとされていた。家の中の1室にヒロを待たせると、中枢棲姫は台所へ向かった。

 

少しすると、中枢棲姫はお茶と冷蔵庫から出してきた桜の形の練り切りを持ってきた。

 

中枢棲姫「この島は落ち着くか?」

 

中枢棲姫の問いに、ヒロは練り切りを食べながら頷く。

 

中枢棲姫「好きなだけゆっくりしていくと良い」

 

中枢棲姫はそう言うと、縁側に座って空を眺め始める。ヒロも縁側に座って空を眺め、しばらくしてから帰ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロが目覚めてから10日後の夜、ヒロは住宅街の南側···用水路を囲んでいる田んぼの更に南側にある、田んぼに囲まれた2階建ての小さな校舎に自転車に乗って向かった。

 

時雨と海に行った帰りに見た、ヘリが着陸した校舎とは違い、小さな校庭にはキャベツ畑とジャングルジムがある。

夜にこの校舎に来た理由は、星を見るためである。

 

綺麗な星空が見れるスポットはいくつかあり、そのうちの1つがここだった。

雲は無く、月明かりに照らされたこの日は綺麗な星空を眺めることができた。

 

そしてそろそろ帰ろうとすると、住宅街から歩いてきた海防艦の艦娘達と会った。

択捉、国後、大東の3人である。

 

3人も星空を見に来たようで、軽い挨拶を交わすとヒロは住宅街へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ、もうじき夏が終わる頃になった。

ヒロと艦娘達の仲は深まり、静かなこの島でゆっくりと過ごしていた。

 

この世界に人はいるのか?その問いに艦娘からは「いるけれど、この島にはいない」と返ってきた。

 

ヒロはこの世界がどうなってしまったのか、それはこの先ゆっくりと探していくだろう。

自由に、気ままに。艦娘と深海棲艦と共に。

 

そしてある日、ヒロの口からようやく出せた言葉。それは──

 

ヒロ「皆、ありがとう」

 

様々な感情が籠ったその言葉は、未来に繋がっていく。

 

そう、今度こそ。

 

 




読んでくださり、ありがとうございます!

今回は、作者である私が実際に見た夢の内容を繋げて1つの話にしてみたものです。
(物語とするにあたって、欠けている部分は書き足しました)
感想や高評価、お待ちしています。

なお、これにてこの小説は一区切りとさせていただきます。
今後、DLCを追加するかもしれませんが、とりあえずはここで完結とさせていただきます。

ここまで、誠にありがとうございました。

※後日、活動報告にて私が小説を書くに至った経緯を発表しますので、ぜひ読んでみてください。

●鴉間 ヒロ
黒髪の短髪で身長155cm、17歳で8月9日生まれ。

家と家族を焼かれ、爆発物に火が引火した事から海に落ち、2年間眠っていた。
目覚めた後はトラウマにより声が出せなくなっていた。

実は妖精の手により、ドロップの判定となっていたため、眠っていても筋力は衰えなかった。
しかし、なぜヒロをドロップの判定として救ったのかは不明である。
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