プロローグ!
俺、金池 茜一《かないけ せんいち》のいる環境はいたって普通である。
季節はずれの風鈴が風に揺られ鳴いている。
まったくいたって普通だ。
春の温かい気候のなかでウグイスが鳴いている。
まったくいたって普通だ。
少し古いソファの上で少年が気持ち良さそうに寝息を立てている。
これも、どちらかといえば普通だ。
暗く古くぼろいアパートの一室で俺こと金池茜一ががたいのいい男に囲まれている
これは…いたって普通だと思いたい。
…どうしてこうなった。
一
この俺、金池茜一は自分で言うのもなんだがだれよりも普通という言葉が似合うのである。
昨年の春から翠岱(せいだい)高校に入学が決まり通う高校生である。
体格はどちらかというと細い筋肉は人並み、もちろん異能(のうりょく)なんて持ち合わせていない。
それなりに友人もいる。
「やっほー、マーイフレーーーンド!」
背中の方から声が飛んできたと思ったが気のせいであろう
「あれれ?無視キメこんじゃう?」
空耳であろう
「おーい、そこのおにーさん」
これもまた空耳だ。
「俺の声を聞けええええ!」
「それ以上余計なことを言うと口を縫い合わすぞ。」
うるさいあまり突っ込んでしまった、俺の負けである。
「おお、やっと気づいたよー」
「お前はうるさいんだよ、そして馴れ馴れしいんだよ」
うるさい、うざい、うっとうしいという三原則が揃ったこの生ご…じゃなくて
友人の草野 惇《くさの じゅん》
今までの高校生活の中で一番つるんでいる友人だ。
こいつは俺が入学して何日かすると「お前は、同じクラスの中でどの女子がタイプだ?
」と聞いてきた奴だ。
正直、第一印象は面倒だった。
だって、名前より先にタイプ聞くとか、ちょっと…
なんだかんだ言いながら、こいつとは気が合い、話す機会が増えてしまったのだ。
別に、仲良い訳じゃないんだからねっ!
「まあまあ、お兄さん。ちょいとおいしい話がありんすよ!」
言葉が間違ってるのはスルーして、とにかくこいつのおいしい話というのは嫌な予感しかしない。
「じゃじゃーん、これどうよ!」
俺に見せてきたのは…二、三冊の聖書(エロ本)であった。
全国の男子が好きであろう聖書(エロ本)が二、三冊も!
俺だって健全な男子ですもの、いいでしょうよ。
「おい、場を考えろよ!」
今、ソレを見て女子が顔を真っ赤にしながら教室に走っていったぞ。
好きだからといって場所はさすがに考えろよ!
「え、いいじゃないか。わが同士。それよりこれすんげーおすすめ、買うなら今しかないよ!」
やはりこいつの目的は聖書(エロ本)の販売らしい、この異端者め。
どうもこいつは俺が交渉に乗るまでソレをしまわないっぽいので買うことにした。
「で、いくら?」
「じゃあ二千」
「高っ!、もっと値下げしろ!」
二冊買ってやるのに二千円はないわー、超ないわー
「うーんじゃあ、千五百」
五百円だけ下げてくれた、まあ買うが
高校生の財布に意外とくる値段だった。
くそ、お勧めなら値下げしろ。
といった具合のやり取りをしていると昼休みが終わった。
二
授業もまじめに受けすべて終わり放課後になった。
俺は二年になっても特に部活をやっていないのでさっさと帰ることにした
「あ、あぶなーい!」
が、美術部の連中とぶつかって書類と絵の具をぶちまけられたので片付けをする羽目になってしまった。
そして、美術部の部員に全力で謝られてもいい気分にはなれない。
ジャージでよかった、制服を汚されたらたまったもんじゃない。
なぜ今ジャージなのかというと深い意味はなくただ最後の授業が体育だったからである。
じゃあ、なぜ着替えないかというと面倒でジュースでも買おうかと思っていたのだ。
しかし、もう何か飲むという気にはなれなかった。
片付けついでに着替えなくてはいけないみたいだ。
学校の校則では部のないものは制服で帰宅しなければならないらしい。
くそ、どうしてここまで面倒なことを…。
二章 サマーソルトな出会い
無事、片づけが終わり教室に制服を取りに行き扉を開けると
「ふぎぃ」
という効果音が聞こえた。
足元を見ると横たわった少女がいた。
「……」
「何か言うことは?」
そううつぶせになりながら少女が言うので
「パンツ見えてるよ?」
というと、瞬間移動としか言いようのない速度で教室の端でうずくまった
だからといって、こいつは能力者ではない。
「お、おい」
「もう、私お嫁行けなーい」
そう言って涙目なこいつを可愛いと思うのは罪であろうか?
にしても、あの瞬間移動としかいえない速度をどうやって出したのだろう
かの有名なボルト選手もびっくりだ。
「気にするな、嘘だよ、嘘。」
「ふぇ、嘘か、よかったぁ」
といって、嘘をついたことに関しては怒らない優しさは聖母よりもすばらしいと思う。
その聖母よりも優しいこいつは神田 夏樹《かんだ なつき》
こいつとの関係はというと幼馴染でも、近所の女子でもない、ただ高校生になってクラスが一緒ということぐらいだ。
特徴といえば、ドジしやすいというとこだ。
奇跡にも値するようなくらいのドジなのだ。
一年生のとき何もないところで転び、書類が飛び出すようなことのないファイルの中から綺麗に書類が飛び出したのだ。
本人曰く、これは自然だよぉ、とのことだ。
世に言う、ドジッ娘または天然というやつだろう。
だから、教室で転がってたのか説明がつく。
「あ、それより、何で教室に?」
出会った人のキャラが濃いと本来の目的を忘れかける。
「制服取りに来たんだよ。」
「あー、そういやジャージ汚れてるね、どしたの?」
「えーっと、…」
そう考えてる途中、俺の中のイタズラ心がうずいた
やっぱりそのまま答えてしまうのはなんだかつまらないし
そして、服にかかってる塗料の色を見て思いついた原因が
「ちょーっと、人間にまぎれた宇宙人と波乱の戦闘をしてきたんだ。」
まあ、ありきたりの冗談を言ってみたわけだが…
「ええええ!だ、大丈夫なの?その宇宙人さんは?茜一くんは?」
「…」
どうしよう、予想の斜め七十六度くらい上の反応をされた。
あ、いっけね、この娘は天然なんだったっけ別に知っててやったわけじゃないもん
「えーっと、あの?神田さん?」
「とにかくそこまで行こっ!」
まじかよ、聞く耳待ってねえ、この娘どーしよ…
そういって、俺の手をひっぱり走ろうとすると、
やっぱりそこで彼女の性質が現れた。
「きゃっ!」
「うおぁ!」
彼女がこけてくれたおかげで俺の手も引かれまきぞいになった。
その結果、まるで俺が彼女を押し倒したと勘違いされてもおかしくない体勢になっていた。
両手はかろうじて地に着いた、だが俺の右ひざが彼女の太ももにサンドウィッチされていた。
これは、ラッキースケベってやつか?
いいや、誤解されそうで俺は嬉しくないそしてきっと彼女もだ。
「…あの、その」
まあ、予想どうり彼女の頬は真っ赤に染まり、りんごのようだった。
「えっち…ほんとにお嫁にいけないぃ」
うん、こんな状況でも可愛い、天使だ。
って違う違うこの状況をどう打開するかだよ。
「ご、ごめん、そのさっきの話は冗談でいまのは不可抗力なんだ」
「そうなの?ならノーカン!」
なんとも天然な娘だ、そしてノーカンってなにがだ?
そこまでなんやかんやあったが制服に着替え帰ることができた。
あの後、神田はニコニコしながら帰っていった。
聖母のような心は訂正だ、ただ気づかないほどの天然なだけらしい。
二
こうして、学校を出て俺はまっすぐ家に帰ろうとしていた。
「へへっ、クソガキ金だしたら帰してやるよ」
ん?
路地裏からどうやらカツアゲのような声が聞こえた気がした。
正義心というより好奇心が働き、その路地裏の現場を見ようとしてしまった。
「おいおい、びびらしちゃだめだろうがもうちょっと優しく聞かなきゃだろ?」
その現場には三人の俺と同い年ぐらいの高校生が中学生らしき少年を脅していた。
俺と同年とか恥ずかしすぎる…。
しかし、脅されている少年はどちらかというとびびってはいなかった。
「ねえ君、お金持ってない?ちょっとお兄さんたちお金なくてさ貸して欲しいんだけど」
そういうと、そいつらのゲスい笑い声が響いた。
それでも少年は無表情だった。
どちらかというとダルそうな顔をしていた。
なにやってんだあいつ…
「…ごめん、お兄さんたち。」
そしてその少年から出た言葉に俺は度肝を抜かれた。
「薄汚いごみにやるような、お金は持ち合わせてないんだ。」
バカっ!ンなこと言ったらあいつら逆上してぼこられるって…
脅してた集団は何事かと理解できず二秒程度呆然としていた。
「ご、ゴミだと!?てめえ調子乗るんじゃねえぞ!ゴルァ!」
あーあ、もう終わったな…
俺はできるだけ少年が怪我しないようにと祈りながら目を伏せたが
「ごぺぁ!」
という意味不明な音が聞こえた。
目を開けて俺が見たものは右アッパーを繰り出したと思われる少年とのびてるヤンキーだった。
他の二人は状況が理解できず唖然としていた。
俺もきっと唖然としていた。
「こ、こいつ、所詮は一人だ。二人で殺っちまおうぜ!」
その言葉が発された後の数分は無意識に目が離せなくずっと見ていた。
少年は一切として蹴りや殴りの攻撃を受けず二人のヤンキーもダウンさせてしまった。
「ったく…くそ面倒なことさせやがって」
少年は捨て台詞のように言い放ちどこかへと消えようとしていた。
「お、おい、君大丈夫か?」
俺の口から零れた言葉は脊髄反射で出たようだった。
なんで声かけたの俺…。
そしてその少年は振り返りこっちに来た。
「なに?お兄さん。ずっと見てたんなら警察に連絡するとかあるんじゃない?」
「え?」
今こいつなんていった?
確かにこの少年はずっと見てたんならといった。
…気づかれてた
「おーい、お兄さん顔色悪いけど大丈夫?って心配されてんの僕か」
どうやらこの少年は俺の存在にまで気づきあの戦闘をずっとしていたらしい。
とにかくこの少年に怪我がないか聞かなきゃ。
「ごめん、えっと怪我とかない?」
「お兄さん見てたんだから分かるでしょ?なに?バカなの?」
…すげえ生意気だ、殴りたい。
それに馬鹿はお前だろと出かかったが飲み込んだ。
だが、やっぱり見た目は小さかった。
「ん?なにじろじろ見てるんですか?変態ですか?」
やっぱりこいつ殴っても問題ないんじゃないかな?
心の中だけじゃどうも耐えられなかったらしく、つい口から
「やっぱちっせえな。」
といってしまった。
その瞬間俺の体は宙を舞った。
きれいなy=マイナスxの二乗の放射線を描き地に落ちた。
そして主にあごに痛みを感じ、そして俺は気を失った。
三章 本日、新しいバイトにつきました。
一
そして今に至る、いったい何がなんだか分からないがやはり普通と思いたい環境は確実に異様だった。
起きてみれば、知らないアパートの一室にいて、どうやら椅子に手を縛り付けられ周りにはボディビルダーなみの筋肉を持ち合わせている男とメガネをかけたお兄さんたちに囲まれ、俺に向かってサマーソルトキックを華麗に決めた少年はソファで眠りこけている。
異様過ぎて普通にすら感じる。
「でよ、このガキ何者だよ」
極普通の一般人です。
「ジュニア曰く、こいつは次世代のくそ野郎だとよ」
いえ、私は普通の人です。
てか、次世代のくそ野郎ってなんだよ、そんなすげえくそがいるのか?
「まあまあ、そこまで怪しむことないですよ」
二人のがたいのいいお兄さんたち以外にメガネをかけた話の通じそうな人がいた。
おお、これは奇跡か。
「後でじっくり服を脱がせて、調べれば分かりますし」
訂正、死に値する危険でした。
まともさを求めた俺がおおばかでした、本当にすいません。
この人はなんだろう、痛いとかそういう危機感じゃなくて男として貞操の危機感を感じる。
「で、お前は何者なんだ?」
がたいのいいお兄さんの一人が威圧的に聞いてきた。
「えっと、その俺は翠岱高校の二年で・・・その、そこまで怪しくないです」
怪しくないって自分で言っていいのだろうか。
そしてこの自己紹介でいっそう表情が険しくなるお兄さん。
この人の普通の表情を見てみたいものだ。
って、そんなこと考えてる場合か!
「普通の学生が何でこいつと絡むんだ?」
あ、そういやそのことに関して言ってなかったな…
「まったく、この男の子はずいぶんと脱がされたいみたいだな」
「ヤンキーにからまれているこの少年が心配になって、この少年に気絶させられました」
このメガネに関しては即答しないと危険なのですごい速さで答えてやった。
たぶんこのメガネに脅されながらならどんな早押しクイズもまける気がしない。
にしてもだれかこのメガネの脱衣癖を治してくれる人はいないだろうか。
「なるほど、ジュニアに気絶させられてここにいるって感じか」
どうやら脱衣癖メガネは物事を冷静に考えるのはできるらしい、せめてでもの常識人要素。
「僕が気絶させたわけじゃないよ、そいつが次世代のくそ野郎だから。」
どうやら俺のことを気絶させた少年が起きたらしい。
さっきから、次世代のくそ野郎って言うけど流行らせたいのか?こいつ。
「まあまあ、そういうなよ。」
そうそう、俺はつい口を滑らしちゃっただけだって
「この男の子なかなか顔も整ってるし・・・」
そろそろこの変態メガネだまらねえかな…
この男はもうだめだ、何かにつけてホモ発言をしてきやがる。
「まあ、僕は男には興味ないけど」
嘘だ。ぜってー嘘だ。
すると、がたいのいいお兄さんは咳払いをして話を戻した。
「とにかく、お前は特に危険人物って感じでもねえし帰してやる。」
安心した、このお兄さんはまだどちらかというとまともだ。
「その代わり、ぜってー俺らのことしゃべるんじゃねえぞ」
「…」
「まあ、冗談だ。話してもいいけど頭おかしい奴だと思われるだけだからな」
そうだろう、だれががたいの良いお兄さんとホモメガネとちびっ子のことなんて話すか・・・
今俺がいるだけでも頭おかしくなりそうだ。
しかし、なんだろうこんなおかしい集団なのにまだ帰りたくない。
こいつらにでも汚染でもされたか…。
別に、メガネには会いたいなんて思ってない。ガチで。
しかしなぜか、ここに惹かれている自分がいた。
「あの、ここってなにしてるんですか?」
「あぁ、えっと、言うべきなのか・・・?」
がたいのいいお兄さんは頭を掻きながら少年に向けてヘルプを求めてた。
・・・押しには弱いのかもしれないこの人
「・・・どっちにしろ、話そうが話すまいが口止めはするんだろ?いいんじゃね?」
少年はめんどそうに投げやりな回答をした。
それにがたいのいいお兄さんはまた困ったらしく顔を険しくしていた。
娘とあるごとに険しくするな、この人
「では僕から言います、ここは通称SPYって呼ばれてるんだ・・・」
そう切り出したのは、メガネだった。
そこから説明するメガネは常識人に見えた。
それで、この組織は非公式の犯罪防止組織だそうだ。
そんな組織あっていいのか?とツッコミを入れたかったがまじめに聞くことにした。
まあ、それでこの組織は通称SPYと呼ばれているそうだ。
しかし、今やこの組織も便利屋として使われてしまっているらしい。
仕事は依頼ができるようになっているらしい。
なんだか、そこまでやばそうな組織って訳じゃなさそうだなと思ってしまったがそのメガネが最後に言った言葉でその思いは消えた。
「まあ、便利屋の最近頼まれる仕事は暴走族、暴力団の清掃かな?」
「せい…そう」
『清掃』その言葉は簡単に発されたがその内容は重すぎて清掃とはなにかなんて聞けなかった。
「まあ、そんぐらいかな。」
「つまり、なんでもするってこと?」
「まあ、つまりそうゆうことだ。」
最後は、がたいのいいお兄さんが締めてくれた。
どうやら、この組織は自分が思っているよりもやばかったらしい。
「まぁ、こういう現実味のねえ組織だからだから誰に話しても信じてもらえないから、だれに話したっていいぞ。じゃあな。」
そういってがたいのいいお兄さんは俺を玄関まで送ってくれた。
・・・しかし、引っかかるものだ。
とくに30分程度しか話していないこいつらになんで心残りがあるんだろうか・・・。
2
その日は長居しても仕方ないのですぐに家に向かった。
あのぼろいアパートは少年と出会ったとこから徒歩10分程度でいけるとこだった。
お兄さんがわざわざ案内してくれたってことはどうやら俺を運んだのはごついお兄さんだろう
・・・明日は特に何もないから、もう一度行ってみようかな
やっぱり少し汚染されてる、あの空気に。
まあ、少しぐらいの普通少年の非行だ。
そして翌日、俺は学校の中では部活もしてないので、放課後にあの場所へと向かった。
「あれ?開いてない・・・」
アパートに着き、何度かドアを開けようとしたが開かなかった。
「おい、小僧。」
やけにドスの利いた声が俺の真後ろから聞こえた。
小僧とは失敬な・・・。
振り向くとそこには昨日あった、ごついお兄さんだった
「何でお前がここにいるんだよ」
やばい、理由聞かれただけなのになんも言えない。
動悸が激しくて耳にまで聞こえるレベルだ。
これは・・・恋?
違う違う違う違う、男になんて興味ねえよ。
ただ恐怖が体を支配してるだけだ・・・。
この人の威圧が半端ない。
「その、いや、・・・。」
やばい、殺される。
「・・・はぁ、まあいい」
予想外、いきなり「死ね」なんか言われて撲殺されるかと思ったが、
・・・いや「まあいい、半殺しで済ましてやる」なんてくるのじゃないか?
「なんで俺にすごく警戒してんだ?」
「まあ、なにしてるんだかわかんないが今日はやってねえぞ」
「そうなんですか?」
どうやら今日は定休日らしい。
「追い払ったのに、なんでまた来るんだよ」
「暇だったので、」
「暇で来るやつがいるか!」
さっきの威圧感は消え、普通のがたいのいいお兄さんに戻った。
「お前が来てもただ足手まといになるだけなんだよ」
うんむ、邪魔ではなく足手まといと完全に言われた。
しかし、気になることをひとつぐらい聞いてみよう
「あの、依頼が来ないとなにをしてるんですか?」
「あぁ?なんで言わなくちゃいけないんだよ」
「現実味のない組織だから別になに聞いてもいいですよね」
がたいのいいお兄さんに言われたことをそっくりそのまま言ってやった。
「ぬう・・・分かった、言おう。」
どうやら、やっぱりがたいのいいお兄さんは優しいらしい。
「普段、依頼が来ないときは依頼待ちでみんな自由にしてる」
「普段は依頼来ないんですか?」
「・・・まあな、そんな頻繁に来られても困るしな」
やる気のない部活のようだ、仕事じゃないのか?
「とにかく話は終わりだ。」
どうやら、ここはだらりともできるらしい。
俺が求めてたのはこれかもしれない。
「さあ、帰れ」
・・・どうやらあまりここに近づけたくないみたいだ。
まあ、今日は素直に帰ろう。
3
「で、どうして、昨日も一昨日も追い払ったのにここにいるんだ」
がたいのいいお兄さんは呆れ返って、威圧する気も消えたらしい。
ここというのはアジトみたいなアパートのことである。
今日は開いていた、むかつくが変態メガネが「入りたいんだろ?開けてあげるよ」と言い
扉を開けてくれた。
「いや、お前は危険人物だったようだな、しつこさに定評がありすぎる」
誰がしつこいんだ、一昨日、昨日と追い返されただけじゃないか
「で、今日はなんのようだよ、次世代のゴミ」
次世代のクソ野郎から次世代のゴミにレベルアーップ!
こいつ、殴ってやりたい。
まあ、それはおいといて。
俺はどうやらまったりと刺激を求めてたらしい。
「俺も、SPYに入れてください!」
四章 初仕事、それは・・・
口からこぼれた言葉は一昨日より前の自分にとっては意外すぎだろう。
どうやら完全にここの空気に汚染されてしまったらしい。
「は?」
俺の目の前ではがたいのいいお兄さんが目を真ん丸くしていた。
「お、とうとう僕に堕ちたのかい?」
相変わらず、クソメガネはそういう雰囲気+言葉を発している。
お前は奈落のそこに落ちてしまえ。
「・・・」
少年は俺がなんと言おうと動ないらしい。
なにがあってもこいつは動じないんじゃないだろうか。
「今、なんていった?」
「SPYに入れてください」
はあ・・・とため息をついてこいつは馬鹿かというような目を向けてきた。
そりゃそうだ、こんなやばい組織に入りたいなんていうやつがいるか?
あ、俺か
「なあ、一昨日のハジメの説明聞いてたか?」
「もちろんです。」
「あぁ、この組織は頭的にも内容的にもやばいとか感じなかった?」
「もちろん、感じました。」
「じゃあなんで」
そう聞かれてなんと答えればよろしいのだろうか。
ただ俺は、普通の学校生活を送り続けてこんな誰もが聞いたら馬鹿らしいというようなやばそうな組織を楽しそうだと思ったからなのだ。
・・・少しだらっとしているSPYに好奇心と何もないこの生活に刺激を求めているのか。
「好奇心と刺激を求めて入りたいと思いました。」
「お前は軽犯罪を犯した青少年か?」
志望動機がこんな物だから仕方ない。
そんな空気の中ひとつの声が解決してくれた。
「いいんじゃないの?その次世代のゴミにも使い道があるかもなしれないよ?」
と、少年が言い放った。
次世代のゴミに関してはスルーしてやった。
とりあえずは承諾してくれたらしい。
「だが、大丈夫なのかこんなパッとしないやつ入れて」
面接みたいに特徴がなくちゃいけないのか?
「俺がふと言ったことに左右されるな、メンバーに関してはお前に任せてるわけだから好きにするといい」
少年ががたいのいいお兄さんに上から言い放った
なかなかのいい態度してやがる。
「いや、そうだが・・・」
俺の顔と少年の顔を交互に見てすごく悩んでいる。
決断力もどうやら弱いらしい。
「分かった、じゃあお前をメンバーにしてやる。しかしでしゃばったまねはするなよ?」
「ありがとうございます!」
どうゆうことか分からんが、俺も刺激を求めていたらしい。
「おお、これで僕と仲良くできるね。」
お前とだけは仲良くしたくない、ホモ野郎!
「ところでお前の名前は?」
「俺は金池茜一です。」
そのあとからこの数少ないメンバーから紹介があった。
このがたいのいいお兄さんは百目鬼(どうめき) 駿二(しゅんじ)
年齢は24歳で昼間はふつうのデスクワークをしているらしい。
特技といえば空手、すべて独学だそうだ。
今日はちょうど休みだったらしく私服だ。
百目鬼のルーツは栃木県のほうである。
しかし、見た目に合って恐い名前だ。
そして変態メガネは金城(きんじょう) 朔(はじめ)
年齢は20歳らしく就活中だそうだ
特技は有名サイトのハッキング、クラッキング
今まで運よく見つからずそういうことをしてきたらしい。
壱でも一でも始でもなく朔という漢字でハジメと読むらしい。
顔立ちはどちらかというと整っている。
俺からはホモ疑惑を上げられたがふつうに女子のことが好きらしい。
ホモ発言さえしなければイケメンなのに・・・。
そして少年は九十九(つくも) 睦(むつみ)
年齢は16歳らしく副業としてなのか本業なのか分からない、職業関係は謎である。
特技は格闘技、ダンスらしい。
格闘技では、柔道、合気道、空手の三つすべて黒帯を持っており、ダンスではブレイクダンス全国大会で優勝をしている。
空手をやっている百目鬼さんにも勝利をしたことがあるそうだ。
顔立ちはどちらかというと童顔、身長は俺よりか小さい。
空手などをやっていても体は細い。
まあ、俺をサマーソルトキックするぐらいたやすいであろう。くそっ!
そして彼の過去については誰に聞いても明かしてはくれなかった。
まあということで、こんな感じのわけ分からんグループについてしまったわけであります。
とりあえずバイトになるのかな・・・?
そう考えていると、九十九が口を開いた。
「で、まあゴミ含めてのさっそく仕事なんだが・・・」
そして、早速の仕事とゴミ呼ばわりである・・・
俺より年下なんだからせめて、その呼び方ぐらいはやめろよ。
しかし、このグループの頼まれる仕事は普通じゃないのは金城さんも言っていた。
一応、年上だしホモはかわいそうだと思ったので、金城と言うことにした。
「それで、その仕事って・・・?」
やはり、俺が思う賊潰しなのだろうか。
「ああ、ミーちゃんの捕獲だ。」
・・・俺は考えることをやめた・・・
2
「ミーちゃんってなんですか」
おれは、まったくといっていいほどこのグループに危機感を感じなくなってしまったようだ。
・・・ミーちゃんってなんだよ、おい
「・・・み、ミーちゃんが?」
「あの、ミーちゃんですか・・・」
なぜか、金城さんと百目鬼さんはとても焦りと緊張感を漂わせているようだった。
まさか、あだ名でミーちゃんと呼ばれてるやくざのトップとかなのか?
「ああそうだ、シェリアさんの猫のミーちゃんだ」
ああ、もうだめだ。このグループに危機感を一ミリも感じない。
大体なぜ、猫ごときでこの人達は戦慄を漂わせるよな表現をするんだ?
「そんな猫なんてすぐ捕まえられるじゃないですか」
「お前、猫ごときだと思ってるだろう」
「?」
どうやら、ミーちゃんとは先ほど言っていたようにシェリア家の猫だそうだ。
ミーちゃんの捕獲に関してはシェリアさんの家を抜け出せば依頼に来るという常連に近いらしい。
しかし、ミーちゃんは猫であってもなめてはいけないらしい。
捕まえようとすればえぐるレベルで引っ掻くらしい。
それは、猫といえるのかと突っ込んでは絶対にいけない。
そしてなかなか、逃げに関しては人よりも頭がいいらしい。
もとは野良猫のためそういうとこがすばらしく優れているらしい。
このグループで一度捕まえるときに、メンバー全員が恐怖を味わったという。
冷淡で落ち着き払っている睦も本気で恐がっていたことがあったという。
「で、そのミーちゃんはどこにいるんですか?」
「予想としては、隣町の駅前の商店街だな。」
隣町まで行く猫とか迷子レベルがすごい。
すごい区切れの悪い部分ですがつづきはまた五日後程度に投稿したいと思います、アドバイスなどがあればお願いしますby紅葉鬼