メイド共観察記録 作:ナレーショナー:[削除済み]
ロ─ゼは夢を見ていた。
この屋敷にやってきた頃、よく見ていた夢だ。
詳細も
遠──て─く─屋、
─暗─窓──い部─、
夜通し聞─え──て─る少─の─えぎ声、
むせ──るほ─の─臭─鼻をつ─
恐─に響──吠─、
─かい──プの味、
幸─そ─な─供達─笑─、
肌─焼─炎──気、
向け──た恨─の視─、
憎悪─眼─映──人々、
─ざ嗤う人、ヒト、─
......死にかけの少女が、血にまみれた手をわたしのほおにあてた。
生暖かい風が
むず痒い感覚によって目が覚めた。
目蓋を開けると、見渡す限り草木が生い茂る深い森だった。
ローゼは、その光が差さない森を一直線に切り開く道の上に立っていた。
私はお嬢様の寝顔を
私は、確かにパジャマに着替えたはずだが、何故メイド服でいるのか。
などとつらつら考えていたが、今のままでは埒が明かないと思い、歩き出した。
不自然に森を貫く道は、後ろ側にも続いていた。だが、迷うこと無く足を前に出した。
進むたび、背後で
どれぐらい経っただろうか、
時間の感覚が麻痺してきた頃。
知らない見知った屋敷が、道の前に、いや虚空の上に浮いていた。
知らない訳はあまりにも普段とかけ離れているからだった。
何が? 何が違う?
分からない。 何処がどう違うかは分からないが、
ただ一つだけ、
あの場所にはお嬢様はいない。
そのことだけは分かったローゼ。
吸血鬼がいられる場所は、生きていける場所はあの館しかない。
自分を救ってくれた主が、いるべき所にいない。
その事実だけで、ローゼは焦燥に駆られた。
正常な判断ができない状態になった、といってもいい。
あの屋敷の中には、主以外の何者かがいる。
ローゼにとって、それは予想ではなく確信だった。
主がどこにいるのか、などその他を問いただすために、覚悟を決め、
優雅でおどろおどろしい門を抜け、荘厳で頼りない玄関の大扉を開けた。
通常エントランスがあるはずだった場所は、空白で真っ白だった。
エントランスだけではない。
辺り一面真っ白で、入ってきた大扉さえ白く同化し分からなくなっていた。
そんな白く、だだっ広い空間になんかいた。
黒いモヤみたいなものが集まって、人型を形作っていた。
だが禍々しさはなく、コミカルな印象すら与える造形だった。
具体的には
●
/ lヽ
l
/ \
棒人間だった。
生き物とは断言できない人間と目が合った、気がした。
目が本来あるはずの場所、眼窩ごと目が存在していないが。
目をそらしたら負けだ、という言わんばかりにずっと睨み合う2人(?)。
「なに? お前は初対面の人の鼻を睨みつけるのがマナーだと思っているのか?」
残念! ローゼが睨みつけていた所は鼻だった! つまり棒人間の不戦勝!
棒人間は口もないのにヌケヌケと抜かす。
「ああ、すまない。子供にはまず椅子をすすめるのがマナーだったかな?」
「いえ、進められた椅子に座らないのはマナー違反になるので、ちょうどよかったです」
「では、その丸太に腰かけるといい」
[この後、長い間こんなやり取りしてたのでカットです。それにこの時の棒人間さんは煽りスキル低いので……。いつの間にか勝手に丸太出現してるし]
何を言っても皮肉にして返してくる棒人間。
長いこと言いあっていたローゼには疲弊の表情が浮かんでいた。
「さて、もういいだろう。腰でも落ち着かせて実のある話し合いをしようぜ」
「ええ、あなた(?)には答えてもらうことが多々ありますからね。だから腰を落ち着けて話すことは賛成です。が、その肝心の椅子はどこにあるのでしょうか」
「そこにあるじゃん」
「丸太は椅子とは言いません」
「いやどこ見てんの?」
漂白された空間にいきなり円卓と椅子が現れていた。
「どうした? 鳩が豆鉄砲食らった顔して。 いや、すまん。デフォでその顔だった」
ロ─ゼにしゃべる隙を与えず、続ける。
顔に各パ─ツは無いけれども、衝動的にぶちのめしたいと思わせるウザさだった。
殴ることは後でもできる、今は情報の確保が最優先です。
と、ローゼは自分に言い聞かせながら拳を握り、我慢する。
「それでは一から説明してもらいましょうか?」
「そうだな、どこから話そ━━━。……悪いな。答えられることは一つだけになった」
「全て話せなどには応じられない。具体的には、一から、説明して、もらいましょうか? とかな」
「ならば、あなたの正体を 「さっきの会話が1回分だ。だから先に言った───悪いな」
ロ─ゼの発言を遮り、
「願い事は吸血鬼が眠る部屋───その隣の仕事部屋にある両袖机。左側下から二段目の中から始まる」
ロ─ゼは何か言おうとしたが、
棒人間の黒い笑みを見てしまい、無意識に口をつぐんだ。
それが後から思えば間違いだった。
「さて、情報は絞れるだけ絞られたし(笑)、お前、ほかにやること残ってないか? 何か我慢してないか? 例えば俺を殴るとか」
ロ─ゼのまゆが一瞬ピクッと動く。
円卓と椅子が、元から無かったかのように消える。
「殴りたかったらどうぞ、ただし殴れたらな(笑)」
純白の部屋の中、棒人間は笑みを深め、
「ほら、どうしたんだ?」
煽る
「フルボッコにするんじゃなかったか? んん?」
煽る
「まぁ、でも? たとえ万が一、億が一、殴られてもそんな小枝のような腕じゃ痛くも痒くもないな。あ、いや、痒いか。蚊に刺された──吸血鬼に噛まれたぐらいには」
煽る
ロ─ゼは、もう一度拳を握りしめた。
今度は殴るために。
拳からは血は出ていないが、時間の問題だった。
親愛なる主人を侮辱した罪は重い。
それこそ、ローゼが言葉を忘れる程に
「──────────ッ!!」
人ならざる言葉と拳を持って、
[この時点で、実はもう大切なものが足りてなかったリ]