メイド共観察記録 作:ナレーショナー:[削除済み]
唸りを上げるメイドの攻撃をヒョイギリ避けながら、
こんなんでいいのかよ。気の向くままにやってみたが。
──って危ねぇ! かすった。
人が出せる出力じゃ無いんだが。あのメイド、狂戦士《バーサーカー》か。魔法でも使ってる訳じゃあるめぇし。
心の中で一人つぶやく。返事がないはずだった。
が、問いかけに声が答えた。
〚引き出しのことを伝えられたならば、それで良い。あと
頭の中に直接声が響く。
だが棒人間は、それに少しも動揺せず念じた。
(いじりがいがある女神サマじゃなくて、あんたか)
〚……あと10分持たせろ〛
しょうがねぇなぁ、わかったよ………これ一発でももらったら俺、死ぬんじゃねぇか?
まあ、当たらなければどうということはないか
時は
「……──さい」「─きなさい」「おきなさい」
誰だよ、俺を呼ぶのは。
……真っ暗じゃねぇか。
あ、目閉じたままだった。
目ぇ開けるわ。
筋肉ムキムキでパンツ一丁のマッチョメンにブーメランを取る、胸筋を強調するポーズ変態だった。
待て待て、おかしい。混乱している。
ブーメランパンツ一丁で胸筋を強調するポーズを取る、筋肉ムキムキのマッチョメンの変態がいた。
……おやすみ、ちょっと深淵の向こうに旅立ってくる。
「え。えぇ!? ちょっとまって。待って、待ってください!」
あのマッチョが喋ってると思うと気色悪いほど可憐な声だな。
でも、待たない。待てない。
俺はもう………なんだ?
まあいい。忘れるようなものなら大切じゃないだろ。
じゃあお休
「ねぇ、起きてってば、目開けてってば、ねぇ」
うるさいなぁ。わかったよ。
はあ、うん、やっぱいるわ。
あの
なんかよくわからない汁で、テカテカ光ってやがる。
目がヤバい。
このままだと腐る。腐り落ちる。
目の保養ができるものはないか。
……あったわ。
気づくはずないだろ。
『アレ』見ないようにしてんだから。
このままだと目がやばいから、もちろんガン見一択。
ジー。ビクッ。
艶やかでなまめかしい光沢を帯びる黒い着物を
まだ幼さが残る顔立ちの
ジー。ソワソワ。
年は十六、十七歳ぐらいだろうか。
ジー。オドオド。
さっき、声をかけてきたのは、多分こいつだ。
こいつであってほしい。
うーん、さっきからオドオドしてるな、小動物みたいに。
それに比べて、あの
こうなったら、
あの小動物をオドオドさせ続けるしかあるまい!
〚それぐらいにしてやってくれ。進が話──────話が進まない〛
ギャァァアァアア!!
キンニク、シャベッタァァアアァァ!!
マジかよ。ああビックリしたわ。
でも、『アレ』に驚かされたと思うと、少し癪に障る。
ええい、報復だ。
「おまえ、頭の中までの筋肉たっぷりかと思ったら、存外喋る程度の能はあったんだな」
ップ。
ん? 今、誰か笑ったか。
1人と1匹は笑ってないな。もう1人いる?
…暗幕の向こうにいるな。
笑いこらえてやがる。羽がある。頭に輪っかさえついていやがる。ありゃ、天使か?
だとすると、この1人と1匹は神様か?
ともかく、あいつとはいい酒が飲めそうだ。
……待て。暗幕なんてはじめからあったか?
…………
記憶があやふやになっていやがる。
〚天使はもういない。移動させた。装内──内装は勝手に変わる。気にしない方がいい〛
「お父様!! 脳筋と言われた事をお気にかけてくださいっ。配下の天使に笑われたこともです! いくら脳味噌が通常の3%しか動いてなくても、それぐらいはお願いしますよ!!」
親子かよ!!!
マジか。
どうやったら『アレ』から、この女神ができるんだ。人間の神秘だな──人間かあれ?
まあいい。それよりも、
「それ、脳筋って認めてるようなもんだぞ」
親族公認で脳筋て………。
「そうで、しょうか? って、そ、そんなどうでもいい話をしている場合ではないんです。」
自分の親が脳筋疑惑はどうでもいいのか
「無駄話をする時間は創っていませんから」
? どういうことだ。
"時間がない" では無く、"用意をしていない" とは?
「説明は後です」
……さっきから、ちょくちょく思考をナチュラルに読んでくるな。お前ら。
えっ、なに、これ聞こえてんの?
「ええ、聞こえていますよ」
へーじゃあキッツイ下ネタ考えよ
「へ?」
〔
ハハッ。
見事なほどに、ゆでダコみたいに赤くなってらぁ。
下向いちゃってぇ。
〔で、時間がねえんだろ。ほら、はやく主題に入れよ。〕
「だったらそんなこと言わないでください!!」
〔俺は思っただけなんだけどねぇ。どう思います?
〚我が娘ながら、やはり可愛い〛
〔……話題が少しズレているが、あんたともいい酒が飲めそうだ。言うまでもなく、肴はあのお嬢さんだがな〕
さっきまでは、散々言って悪かった。
……
しかし、
実の娘が困っているところを見て、可愛いとはなかなかいい性格してんな、親父さん。
「困らせているのはどこのどなたですか!?」
〔お前の親父じゃねぇの?〕
「いいかげんにしないと、怒り──」
〔どこって、俺はここがどこか知らないし、そもそも俺誰だ?〕
「その説明をしようとするたびに邪魔してくるじゃないですか?!」
〔俺の覚えてる限りだと1回こっきりな気がするんだが、まあいい。〕
〔手足の先端が光ってるし、感覚がないから手短に説明頼む。〕
「ああっ!? 馬鹿なことをお二人がやっているからタイムリミットが! 後で説明しますから、一番重要なことだけ尋ねます!」
馬鹿なこと、ね
「あなたは生まれ変わりたいですか?」
〔いや、いい〕
「えっ?」
[あれ? いらないんですか? ええ、マジ?]