メイド共観察記録   作:ナレーショナー:[削除済み]

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[はい、新章です]
[旧英語のサブタイトルは、Bad End Start です。いったい誰にとってのバッドエンドなんでしょうか?]

[ヒントは、見え辛いどこかのあとがきにあります]
[現時点ではなかったりします]



第終章 人形たちは嫌い合う Please Restart
8 極限まで取り乱してると口調乱れるよね


〜ローゼ視点〜

 

──ふぅーーー。

どうしてこうなった。

昨日は、日付的には今日なんだけど、あんなことやっちゃったし、

早起きしてキビキビ働いて謝ろうって、覚悟決めて起きてみたら、

隣で全裸のお嬢様が寝ていらっしゃるんだけど。腕に抱き着いていらっしゃるんだけど。

ついでに私も全裸。

これ私やっちゃいましたか? またやらかしましたか? 

不敬罪+αで処刑ですか? 処刑なんて不経済ですよ! 御主人様!

 

思いだせ。思いだせ。

何故私とニルソニア様が全裸なのか。

どうしてお嬢さまが私の部屋にいらっしゃるのか。

 

え~と、あのあと、お嬢さまが泣き疲れて寝てしまわれたので、

お嬢さまの寝室のベットに寝かせて、

私も就寝しようって、自室に戻ってきて寝た。うん、寝た。

 

あれ? 原因が見当たらないんですが?

 

あ!

夜中……日は既に上がっていましたが……に扉が開く気配がしたけど、それですか?

それですね。

害意が無かったので無視しましたが、お嬢様だったのですね。

では、私の服を脱がせたのも、お嬢さま?

 

つまり、

この状況はお嬢さまが望まれたもの?

 

 

 

…………――――――!!!

 

 

ならば、据え膳喰わぬは漢の恥!!!

今の私は漢だ!! 狼だ!! さぁ! 愛を育みま―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――う、うぅん、お、かあさ、ま……」

 

 

 

 

 

 不意に腕を、キュッって抱きしめられた。

 みれば、ニルソニアの表情は安心しきっていた。

 何も怖いことや痛いこと、嫌なことは起こらないと、無邪気に信じているような顔だった。

 

 

 

 

 

 

……

・・・あーあ。どうしてこうなった。

こうなったら、襲うなんてできませんよ。……幼い娘を襲ったなんて罪状欲しくないですし。

それに、さっきまでは月が雲に隠れて、よく分からなかったけど、

 

今のお嬢様、体、三歳児と同じ。

もはや、赤ちゃん。

 

私を母親と間違えているのでしょうか。

こんな(とろ)けきった顔は見たことがありません。

 

……ああん、もう。可愛すぎ。

普段は十二歳ぐらいの大きさなのに、

何故三歳児になっているのか、なんてどうでもいい。

愛でよう!! 愛でましょう!!

 

 

……これ以上は無理ですね。

支離滅裂(しりめつれつ)な現実逃避をやめて、口調も元に戻さないと。

愛でるのは確定ですが。

 

再度、現状把握です。

お嬢さま全裸、ついでに私も全裸……服を着ないと、いくら吸血鬼とはいえ、風邪をひいてしまいます。

服は……あそこですか。

……お嬢さまが腕から離れてくれません。

仕方ありません。お嬢さまごと移動しましょう。

 

よいしょ。

…………こんなにも軽いのですか、ニルソニア様の肢体(からだ)は。

 

 

 

†     †     †

 

 

 

[おはようございます。仕事から戻ったら、ローゼさんが一人悶々(もんもん)としていました。]

[報告もとい、記述担当のナレーショナーです。]

[さっきまで私、あのお嬢さまの日記を、再度、隅から隅まで、解析していまして。]

[この日記、我らが父(上司)の力添えがあっても、一筋縄ではいかなくてですね。]

[――何で、神の機密文章が書けるほどの隠蔽(いんぺい)が為された紙を使って、日記を書いているのでしょうか。あのロリ吸血鬼は――]

[まあ、というわけでですね、地の文に割けるメモリというか、キャパというか、余裕が無くなりまして、上記のような書き方になりました。]

[いやぁ、『空理演算』(アカシックレコード)さまさまです。ローゼさん視点に切り替えて、出力すればいいんですから。]

[まあ、羽ペンを使って、紙に書き留めるのは、私なんですけどね]

 

 

 

[って、ローゼさん?! なにしてるんですか?! いくら三歳児でもそれは……あ、満更(まんざら)じゃなさそうですね。あの吸血鬼]

 

 

 

[見返してみると、ローゼさん、メイドとしては失格ですね。]

[やっぱり、駄目なメイドですね。駄メイド。]

 

 

[そろそろニルソニアさん(三歳児)が起きますよ。]

[それにしても、ニルソニアさんは幼児退行がひどいですね。]

[どちらかといえば、あの三歳児モードが本来のお嬢様(笑)な気がしますよ。]

 

 

[ひどい惨状になりそうですね?]

 

 

 

†     †     †

 

 

 

 時間は、どうしようもなく、凍結された。

 アインシュタインの一般相対性理論は、今この瞬間、破綻した。

 全粒子の熱振動は、完全に、停止した。

 不確定性原理は、ふざけたことに、意味を()さなくなった。

 

 ニルソニアには、そういう風に世界が見えた。

 無理もあるまい。

 彼女からすれば、頭と手に()()()感覚があり、それに癒され安心していたところ、なんだか鼻がむず(がゆ)く、そーっと薄目を開けて確認してみたら、

 ローゼが、否、自分自身がローゼのベットにいて、ローゼに抱きかかえられていたのだから。

 

 ニルソニアの鼻がむず痒かったのは、彼女の髪の毛が、鼻にかかっていたせいだった。

 優しい感覚の正体は、ニルソニアの頭をなでる真っ白い手と、

彼女自身が咥えるローゼのおっぱいからおっぱいを出しやすくするためにおっぱいを押している己の手から伝わるおっぱいの感触だった。

 

 想像してみてほしい。

 朝目が覚めたら、赤ちゃんプレイされていることを。

 しかも、その相手が、昨晩胸を借りて幼子の様に泣きじゃくった相手だったことを。

 

 そりゃあ、時も止まる。物理法則も瓦解する。

 

 

 

     

†     †     †

 

 

 

「な、なななな、何をしているの! ローゼ!!」

 

 結局、フリーズから復帰するのに11秒かかったニルソニア。

 ただし、受け入れも納得もいっていないようで、犯人と思わしきメイドを問い詰めていた。

 

 ち な み に、

 ニルソニアは、いまだローゼの胸に吸い付いている。

 よって、声はくぐもり、声の振動はローゼの胸に直接響く。

 

 つまり、

 こういうことだ。

「……あん♡」

 ニルソニアが喋ると、ローゼが喘ぐ。

 

「あふ……。おはようございます」

と、嬌声かあくびか区別できない声を漏らしながら、ローゼが起きた。

 

ねぇ(ふぇ)ローゼ(ほーぜ)()()()()()()()()()()()()()? (ひぞ)(ぞふ)()()()(へつ)(へい)()()()()()()?」

 

†     †     †

 

[いちいち喘がしたら、話が進まないので、省略しています。脳内補正を行ってくださると、有りがたいです]

 

†     †     †

 

 

 威厳タップリ、風格マシマシで喋っているが、今のニルソニアの残念な現状では、逆効果。

 幼子が背伸びをしているようで、微笑ましささえある。

 しかも、

「お嬢さま。溝足のいくではなく、満足のいく、または納得のいくですよ」

 背伸びした結果、こけてしまったようだ。

 

 これには、ニルソニアも顔を赤らめる。

 

†     †     †

 

[そうはならんやろ]

『なってるやろがい』

我らが父(上司)!?]

 

†     †     †

 

 

 

「た、ただの言い間違いよ、言い間違い。そ、そんな些細(ささい)なことは小事(しょうじ)よ!」

「二重表現です」

「――ロ、ローゼ?! 説明はまだかしら?!」

「――ハァー。分かりました。でもその前に、胸から口を離してくれませんか? 慣れてきましたが、我慢(がまん)しても気持ちい――くすぐったいので」

 

 

 

 配下になめられたままでは終われないニルソニア。

 反撃の糸口を見つけ内心笑う。

 

「なーに? あなた、感じてるの?」

「いえ、決して(けして)そのようなことは」

「そう、ならこれはどう?」

 

 ペロリ

 

「――ひゃう!?」

「あら、可愛い声ね」

 

 ジュルリ

 

「――っあん!」

「母乳は……出ないようね。でも血は出るでしょう」

 

 カリッ

 

「――ッ!! 噛みましたね、噛みましたね!」

「なら、どうするのよ?」

 

 クニクニ

 

「ど……っ、うするって!」

 

 コチョコチョコチョコチョ!

 

「あはははははは!!」

「こうするのです!!」

「やっ、たわね!」

 

 ツーッ

「んッ――あ。そっ、ちだって!」

 

 サワサワ

「あはははは!」

 

 ザラリ

「――ひあ!」

 

 コショコショ

「耳は、や、やめ」

 

 コリッ

「――ひ! 噛む――――っ…………の禁、止でっ、す」

 

       (コチョコチョ)

       (「あははは!」)

 

     (ペロリ)

       (――ひゃう!)

 

 

     

†     †     †

 

 

「年甲斐もなくはしゃいでしまったわ」

 あのあと、『滅茶苦茶セッ[言わせませんよ!? 事実を歪曲しないでください!! 上司に言いつけますよ! ……違った。娘さまだ。とにかく、止めてください!!]

『ショボーン(´・ω・`)』

 [キャラ崩壊しても、ダメなものはダメです!]

『そうか。ならば(いた)(かた)ない。業務に戻る』

 

 [ハァ……すみません。あれが我らが父(上司)で。閑話休題とまいりましょう。]

 

 

     

†     †     †

 

 

「年甲斐もなくはしゃいでしまったわ」

 あのあと、もうひと悶着あったが、その時の騒動は機会があればまたいずれ。

 今は、二人共にベットの端に腰かけて頭だけ向かい合っている状態だ。

 ただし、ニルソニアはまだ三歳児の姿で、服は先ほど出来上がったローゼお手製のワンピースだ。

 

 ニルソニアが口を開いた。

「それでは、改めてローゼ。説明を頼めるかしら」

 紅い唇から吸血鬼特有の八重歯(やえば)がのぞき、燭台(しょくだい)の揺らぐ光を受け鈍く光る。

「どうして、私とあなたは服を着ていないのか。どうして、私はローゼの部屋にいるのか。どうして、私は小さくなったのか」

 

 主の命を受け、メイドは滔々と話し始める。

 

(かしこ)まりました。それでは、説明させていただきます。まず第一に、何故お嬢さまが私の部屋にいるかですが、推測(すいそく)となります。ご了承ください」

「どういう事かしら」

 

 ニルソニアが首をかしげる。

 

「それは……結論に関係ある事柄なので、その時になったら説明します」

「そう……ならいいわ。続けて」

 

 ローゼが(うなず)き、話に戻った。

 

「はい。ですが、その前に。失礼ですが、お嬢さま。昨日寝ている間の記憶はありますか? 夢でも何でも(かま)いません」

「変なことを聞くのね、ローゼ。えっと………ああ、夢を見たわ。内容は憶えていないけど多分悪夢だったわ」

 

 主の返答を聞き、ローゼは納得する素振(すぶ)りを見せた。

 

「なるほど。 (――そういうことでしたか。)ありがとうございます、お嬢さま」

 

 逆にニルソニアは困惑したようだ。

 

「どうしてそんなこと聞いたのかしら」

「根拠の強化ですよ、お嬢さま」

 

 メイドは続ける。

 

「お嬢さまが、何故私の部屋にいるかですが、おそらく、自らの足で歩いてきたと思われます」

 

 一番想像していなかった『答』を伝えられたニルソニア。

 動揺からか、的外れな反論を(こころ)みる。

「私、吸血鬼。(はね)生えてるわよ。普段は畳んでいるけど。その(はね)で飛んできたってことは無い?」

 

 が、物的証拠があった。

 

「いいえ、お嬢さま。それは、ありません」

「なんでよ」

「お嬢さまの足の裏に、廊下のカーテンにしか使われていない生地の糸くずが付いていました」

「それは……廊下を歩かないと、付かないわね……歩いてここまで来た。それは分かったわ。でも何で歩いてこの部屋まで来たの?」

 

 コテン、と可愛らしく首を傾げた。

 三歳児がすると恐ろしいほど破壊力抜群のしぐさを、先ほどと同じように内心悶えながら、

 表情には出さず、

 

「憶測ですが、怖い夢を見たため人肌恋しくなったのでしょう。それこそ、飛んできた方が早いのに歩くといった非合理的判断を下すほどに」

 

 と、ローゼは結論づけた。

 

「なるほどね……そんなにも怖い夢だったのなら記憶がないことも納得できるわ。」

 

 ニルソニアは、左手をパーに右手をグーにして、 右手を左手に打ちつけた。所謂、ガ〇テンだ。、

 

 

「理解されたのなら良かったです。次は、何故お嬢さまと私が素っ裸だったのか、ですが、お嬢さまの場合は、お体が小さくなったのでしょう。私の場合は、大方お嬢さまに脱がされたのでしょう」

 

 これを聞き、ムッとするニルソニア。

「何で私があなたを剥かないといけないのよ」

 と、毒づく。

 

「申しましたように、合理性、つまり理性が吹っ飛ぶほど人肌恋しかったわけですから、体温がじかに伝わる真っ裸が一番良かったのでしょう」

 

 尤もなことを言われ、言葉に詰めるニルソニア。

 だが、まだ疑問が残っていることを思い出した。

 

「理解したわ。残るはあと一つ。どうして小さくなったのか」

「不明です」

「ローゼ? 私、耳が遠いみたい」

「三歳児なのにですが?」

「うるさいわね――もう一度言ってくれる?」

「不明です」

「……」

「ちなみに、お嬢さんを胸に近づけたら、勝手に吸い始めました」

「うそぉ?!」

「嘘です。口に入れてみたら、吸われました」

「それは、ほとんど同じことよ!?」

 

 

†     †     †

 

 

「少し取り乱したわ……」

 ニルソニアは少し俯いている。

 少し前の自分を思い出いて、これが人の上に立つ者のとる行動か、と今更ながら、本当に今更ながら悔いていた。

「情けない姿を見せたわね、ローゼ」

 それを聞き、慌ててフォローを入れようと、ローゼは口を開く。

「全くそんなことはありません――――」

「そう……よかったわ。あんなことはお父様お母様に対しても、したことなかったから」

 

 二ルソニアの顔が綻ぶ。だが、ローゼの台詞は続いていた。

 

「――――しゃぶられているときの恍惚感ときたら。つまり私にとってはご褒美です。至福のひと時でした」

 

「えっ」

「えっ」

「「えっ?」」

 

 再び、時が止まった。

 アインシュタインらは泣いていい。

 




[なぜ、アインシュタインさん達を知っているかというと、転生者たちの記憶から抜き取りました]
[脳に悪影響はないと思います。たぶん……]
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