悲しみの雨音   作:ルスワール

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今回は早めの投稿です!
明後日発売のAwakening promise と夢がここから始まるよが楽しみで仕方ないです!
それではどうぞ!


2話 過去

時は遡って中3年の夏休みの終盤、ため続けた課題に追われる時期だ。

 

 

「なぁ もういいだろー!俺は特待で高校行くんだから!」

 

 

「ダメに決まってるでしょ!いくら野球で動けてもバカは使えないでしょ!」

 

 

そう必死に俺に勉強を教えてくれていたのが桜坂しずく。彼女とは家も近く、昔から仲が良かった。いわゆる幼なじみってやつだ。

 

この時は、母さんから「せっかく勉強出来る子が近くにいるんだから教わってききなさいよー」と言われしずくも快く引き受けてくれた為、桜坂家で強制的に勉強させられている。

 

 

「なんでだよー!こんな英語とか国語とか野球にいらねぇじゃーん!」

 

 

「野球だけやって将来幸せになれるほど人生は甘くない!中学生の基礎レベルは出来てきおくべきよ!」

 

 

そう、俺は地元の甲子園常連である東海大相良高校から野球で特待をもらっていた。中学野球はリトルシニア、いわゆるエリートの集まりでキャプテンを務めていた。自分で言うのもあれだけど、正直野球の実力は飛び抜けていた為、高校では大好きな野球に死ぬほど打ち込んで甲子園で全国制覇するのが夢だった。

 

 

 

 

 

じゃあどうして、こんな可愛い幼なじみもいて、大きな夢を追いかけていたTHE・青春を今送れていないのか?

 

 

 

 

本題はここから。

 

 

ブー ブー

 

 

俺のスマホへ電話がかかってきた為、しずくの部屋の外へ出て電話に出た。

 

 

「もしもし? はい... はいそうです... え...? わかりました、直ぐに行きます。ピッ」

 

 

「電話終わった?早くやらないと...」

 

 

「すまんしずく!今日はおしまいだ!また今度!」

 

 

「ちょ、ちょっと!まだ全然終わってないわよ!逃げるなー!」

 

 

しずくがギャーギャーなんか言ってるが、今はそれどころではない。急いで支度をして桜坂家を後にした。

 

 

これが俺としずくの最後のやり取りだった。

 

 

 

空がオレンジ色に染まっている夕暮れ時、俺は走り出した。駅に着き、30分くらい電車に揺られ目的地へ到着した。

そこは東京にある西木野総合病院だ。

 

受付の人に名前を名乗るとすぐさま病室へ案内された。

 

 

「院長、福澤渡さんを連れてまいりました。」

 

 

「あぁ、ありがとう。 渡くん、先程の電話の通りだ...」

 

 

言葉も出なかった。そこにはベッドに横たわり顔にシートが掛けられた2人の大人の姿があった。

恐る恐るそのシートをめくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

信じたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは血まみれで傷だらけの両親の顔だった。

 

 

 

死因は交通事故らしい。確か今日は2人でコンサートに行ってたんだっけ。その帰りの信号待ちに大型トラックが突っ込んできたらしい。

トラックの運転手は重症だったが、アルコール濃度が基準値を大きく上回る数値が検測されたそうだ。

どうしてそんなたった1人のクソ人間に両親を奪われ、人生を左右されなきゃいけないんだ。

考えただけで今にも暴れだしたくなる。

 

 

しかしまた新たな問題が。

 

 

 

今後の生活について。

両親と俺の3人で生活していた為、一人暮らしは金銭面や知識的に厳しく、祖父母の家に引き取られることになったが、現在通っていた中学からは程遠く、祖父母の家の近くの中学に転校せざるを得なかった。

 

 

2年半も苦楽を共にした仲間たちと別れの挨拶をする暇もなければ、こんな感情のまま、人と会う気にもならなかった為すぐさま祖父母の家へ移動し、そこの近くの中学校へ通うことになった。

 

 

そんな頃、俺のスマホへ1件のメッセージが。

宛名は桜坂しずく。

 

 

『 いきなり転校って何考えてるの!?一言くらいの相談してよ!こっちの気持ちも考えてよね!?』

 

 

 

 

...は?

 

 

 

この感じは引越した事情を知らないんだろうなとは感じたが、流石に許せなかった。

 

 

『 お前こそ人の気持ち考えろよ。うざったい。もう二度と連絡してくんな。』

 

 

確かに向こうからすれば突然消えて納得がいかないのだろうが、どんなお人好しでも頭にくるだろう。

これ以降、彼女との連絡はとっていない。

 

 

転校先では、もう受験や卒業まっしぐらの人達しかいない訳だ。今更転校した所で相手にされる訳もなく、ろくな友達も出来ずにそのまま卒業した。俺にとっては空白の半年だった。

 

 

進路については、野球をするにあたって多額なお金が必要になる上に、保護者の大きなバックアップが揃って初めて成立するものだ。

こんな状況で続けられる訳もなく、特待を蹴らざるを得なかった。

 

野球を失った俺はもう人生がどうでもよくなっていた。

そんなことを祖父母に伝えたところ、

 

 

「渡もお父さんやお母さんの様な夢を目指して見たらどうだ?」

 

 

そう、両親は2人で協力し合って音楽家として稼いでいた。そんな2人の夢、それは"世界一のアーティストになって世界中に勇気を与える"こと。あまりにも漠然としているが、2人して俺が小さい頃からずっと言い続けて来ていたから本気なんだろう。

 

そんな両親の元で育ったからこそ、音楽関係はそこそこ得意でピアノを弾けたりもする。

休みの日は自分で作曲したりもしていた。

 

祖父母がそう言うのならと俺は近くの虹ヶ咲学園の音楽科へ進路を決めたのだか、両親のように本気で夢を追いかける気にはなれなかった...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。今でも桜坂しずくのことは許せないし、彼女を見るとあの一件を思い出す。今にでも殴り殺したい。

 

 

 

 

 

俺は... あいつが大っ嫌いだ。

 

 

 




ありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!
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