悲しみの雨音   作:ルスワール

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今回は書くのが難しい内容でした...
悩んでいたらもうこんな時間に><
それではどうぞ!


7話 虚像

「ある街の、ある劇場に、一人の少女がいました。彼女の夢は、この街一番の歌手になること。そして、たくさんの人に歌を届けること――あなたの、理想のヒロインになりたいんです!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガバッ

 

 

「...夢か」

 

 

1人の演劇少女の舞台の夢を見た。

もちろんあの女... まじで何なんだよ。璃奈にお願いされてからあいつと関わることが多くなり、その度に過去の事を懐かしんでしまう。

 

 

もう取り返しのつかない過去。それを取り戻したくなる。

 

 

「ほんとに... もう俺に関わらないでくれよ...」

 

 

目から溢れ出す涙が頬をつたう。

 

もう、あの頃の俺はいない。今の俺には... 何も出来ない...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局今日も悪夢を見たせいで気分が乗らない。

何にせよ唯一の心の救いだった角田も今日は夏の大会で学校は休み。

まだ1年生だから試合には出てないだろうけど頑張って欲しい。

 

 

「福澤くん!ここの問題わからないんだけど... 教えてくれないかな?」

 

 

そう話しかけてきたのが、隣の席の女の子。あんま喋ったことなかったのに最近になってめっちゃ絡んでくるようになってきた。

 

あの球技大会以来、なんか女子たちから話しかけられることが多くなってきた気がする。

友達が増えてきて以前よりかは充実してきた。

 

 

「あぁ... この問題は...」

 

 

とりあえず丁寧に問題を教える。

問題は化学。昔から数学と理科は得意だった為、高校の勉強も他の人よりはそれなりに出来ている。

ただ、俺は英語が壊滅的に出来ない為総合成績では上位には入ることは出来ない。

 

これをいい事にたまに英語教えてもらったりしてるからWin-Winの関係だ。

 

 

「出来たー!福澤くんありがとう!!」

 

 

その子は笑顔でそう言ってくれた。

普通の男の子だったら絶対堕ちるだろうなぁ。めっちゃかわいいし。でも何故か俺は全くそう言う感情が湧かない。

 

遂に病みすぎて女の子に興味が無くなったか?

 

それにしてもこうやって人の役に立ててお礼を言って貰えるっいうのはほんとに気分がいいものだよな。

 

 

ブー ブー

 

 

そんな時に俺のスマホの元へ1件のメッセージが。

宛名は天王寺璃奈。

 

 

『 話があるから昼休み中庭に来て。』

 

 

嫌な予感しかしねぇー。どうせまたあいつの事だろうけど、行ってみるだけ行ってみるか...

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、来た来た!わたすけー!」

 

 

昼休みになり中庭へ来たところ、既にかすみと璃奈がいた。

 

 

「渡くん、この間はありがとう。」

 

 

「あぁ... 別に俺は何もしてねぇよ。あいつが勝手に頑張っただけだろ。」

 

 

「渡くんがいたから、しずくちゃんは頑張れたんだと思う。」

 

 

「なんだそうなるんだよ、話はそれだけか?それならもう...」

 

 

「待って!大事な相談なの... ちゃんと聞いて。」

 

 

かすみから声を張り上げそう言った。

これはこの間みたいな甘い感じじゃ無さそうだな。

 

 

「はぁ、わかったよ。何があったんだよ、あいつに。」

 

 

「しず子がね、今度の演劇祭の主役降ろされちゃったの...」

 

 

「え?あいつが?」

 

 

そう、あいつは昔から人並外れた演技力があり数多くの主役などをこなしていた。

 

そんなあいつが降ろされたって...

 

 

「まあ俺も驚いたし気の毒だとは思うけど、それは本人の問題だし俺には何も...」

 

 

「でも... 私たちだってしず子に何かしてあげたい... なんだか辛そうだから...」

 

 

ギューッと自分のスカートを握り下を向くかすみ。相当好きなんだな、あいつのこと。

 

 

「...あいつ、辛いことがあると隠そうとするんだよ。得意の演技力でね。」

 

 

「え?」

 

 

「それに気づいてあげて、励ましたりするのもいいし、バシッと言ってやるのもいいと思うぞ。」

 

 

あいつは自分を隠そうとする。そう、今の俺と一緒だ。辛いことに背を向け、新しい自分を創り出し現実から逃げる。

 

きっと今もそうなんだろう。主役を降ろされ、悲しみで溢れているはずなのに周りに迷惑をかけまいと普段通りを装っているだろう。

 

 

「俺から言えるのはこんくらいだわ。じゃ、頑張れよ。」

 

 

「やっぱり、わたすけに頼んでよかった。」

 

 

「え?」

 

 

「しず子のこと... 一緒に助けようね!」

 

 

彼女の見たこともない笑顔だった。それはいつものようにアイドルとしての笑顔ではなく、心の底から笑っているように見えた。

その違いは俺でもわかった。

 

 

「...あぁ、任せろ!」

 

 

俺には関係の無い話しだ。ましてやこいつらのせいで面倒なことに何度も巻き込まれてきた。それなのに何故か放っておけない。こいつらを助けることが出来るなら、俺は力になりたい。

 

こいつを見ていたらそう思ってしまった。

 

 

今の俺に出来ることってなんだ...

 

 

悩んでる人を、助けるには...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『 今度の役は、自分をさらけ出す感じでやって欲しいの。』

 

 

今度の演劇祭の主役を降ろされた時に部長に言われた言葉。私にとって1番難しいことだった。

 

 

昔から他のことは違うなって思うことが多かった。その度に"嫌われたらどうしよう"って思うばかりで、その度にいい子のふりをしてきた。

 

 

 

 

だけど、彼だけはそれをわかっていてくれた。

 

 

 

『 別にしずくがどんなものを好きになろうが、俺はしずくを嫌いになんてならないよ。』

 

 

そんな言葉に救われたこともあった。

その時から、彼の前では本当の私"桜坂しずく"でいられることができた。

 

 

でも、そんな彼は突然居なくなった。心の救いだった彼を失った私はまた、仮面を被るようになった。

 

そしたら、久しぶりに会えた彼の前では仮面を被ったままでしか話せなくなった。

私を避けるようにしてきた彼の対抗すべく、私も彼のことを遠ざけるようにしてきた。

 

本当は... 本当の私はそんな事望んでない...

 

 

 

 

それなのに... それなのに...

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり、私には出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も演劇の方の自主練をして帰ろう。

主役を降ろされたなんてみんなには言えないよ。

周りから期待されてる、いい子の"桜坂しずく"でありたい...

 

 

「しず子確保~!」

 

 

「か、かすみさん?な、なに...?」

 

 

「璃奈ちゃんボード"拘束"!」

 

 

「ちょ、ちょっと!これじゃ前が...」

 

突然かすみさんに捕まり、璃奈さんにボードをつけられた。

 

 

「それじゃあ、出発ー!!」

 

 

「おー!」

 

 

そんな2人に連れられ歩き出した。

 

 

着いたのはパンケーキ屋さん。

大きなパンケーキを出され、これを3人で食べるらしい...

 

 

「ほ、ほんとに食べるの...?」

 

 

「マウンテンパンケーキ!0勝5敗のかすみんが勝利の極意を教えてあげる!」

 

 

「勝ててないじゃん...」

 

 

訳のわからないことを言うかすみさんに璃奈さんが釘を刺す。私も同意見だ。

 

 

「ひたすら食べ続けるべし!いざ、かかれー!」

 

 

「いただきます!」

 

 

そう言って2人はパンケーキを食べ始めた。

そんな美味しそうに食べている2人を見ていたら、

 

 

「ほら、しず子も!」

 

 

かすみさんにパンケーキを差し出され、それを食べることに。

ふわふわでちょうど良い甘さ。生クリームもしっとりしていて...

 

「おいしい!」

 

 

思わず言ってしまった。

そのまま全員でマウンテンパンケーキに取り掛かり、30分後遂に完食を果たした。

 

 

「初勝利ー!いえーい!」

 

 

「「いえーい!」」

 

 

お店の外で3人でハイタッチを交わした。

その後もショッピングモールのありとあらゆる所へみんなで行き、色んなものを見たり買ったりした。

 

やっぱり、みんなといると楽しいな...

 

 

 

大きなショッピングモールの外のタピオカ屋さんでかすみさんが何を飲むか悩んでる時、ひとつのポスターが目に入った。

 

私の、大好きな昔の映画だった。

 

 

「好きなの?昔の映画。」

 

 

近くに璃奈さんが寄ってきてそう言った。

どうしよう、また変だって思われちゃうよ...

 

 

「もしかして、しずくちゃんが演劇を始めたのってこういうのを見たから?」

 

 

でも、璃奈さんはそう人じゃない。そう分かっているから、本当のこと少しだけなら話そうかな...

 

 

「そう... かな。それもあるけど...私ね、演じてる時が一番堂々としていられるの。誰の目も気にならないし... 自分が、桜坂しずくだってことを、忘れられるの。」

 

 

「...自分が嫌いなの?」

 

 

璃奈さんがそう言い、じっとこちらを見ている。

そう... 私は自分自身が...

 

 

「ご、ごめんね、変な話して。忘れて!」

 

 

「あー、また暗い顔してる!スマイルだよしず子!」

 

 

「か、かすみさん...」

 

 

「今日はやな事全部忘れて、パーっと遊ぼ! それで元気出たら、オーディション頑張って、主役取り返そう!」

 

 

そう言われてドキッとした。

今まで隠してたのに... 2人はそれを知って今日ここへ連れてきてくれてたんだ...

 

 

「知ってたんだ...」

 

 

「う、うん... でも、別に内緒にしなくてもいいじゃん。私たち応援するし... それに! しず子が落ち込んでるなら、話を聞くくらい...」

 

 

「大丈夫! でも心配しないで!私は平気だから。二人ともありがとう! 今日はもう帰らなきゃ。じゃあね!」

 

 

そう言って無理やりその場を立ち去った。

みんなには心配をかけたくない、気を遣って欲しくない。そう思って必死に隠してきたのにな...

 

 

 

 

人気の少ない所まで歩き、壁に寄りかかりながら腰を下ろす。

 

 

「出来ないよ... さらけ出すなんて...」

 

 

こんなの嫌だ。誰にも合わせる顔なんてない。

 

 

「嫌い... こんな私...」

 

 

「ったく、そんな所で何してんだよ。」

 

 

「...え?」

 

 

そんな私に言ってきたのは渡くんだった。

 

 

「ど、どうしてこんな所に...?」

 

 

「かすみから連絡があったんだよ。しず子と遊んでたら急に様子がおかしくなって帰っちゃったってな。」

 

 

やっぱり私って迷惑掛けたばかりだな...

せっかく私なんかの為にあの2人は時間を使ってくれたのに...

 

そんな連絡を受けた彼だってわざわざここまで来たであろう。

 

 

「ごめん... なさい...」

 

 

私には、もう何も出来ない。そう言うしかなかった...

 

 

「ったく... いつも俺の相手してる時の元気はどこ行ったんだよ。お前のことは嫌いだけど、昔っからおまえの悲しむ顔だけは見たくねぇんだよ。」

 

 

「...え?」

 

 

「答えを探すことは難しい。でも、その答えを見つけなきゃ始まらない。だから、見つかったらまた昔のように元気なお前でいろよ。」

 

 

そう言って彼はどこかへ行ってしまった。

 

 

答え... 見つけることが出来たら、また彼はまた昔の彼に戻ってくれるかな...

 

 

 

 

でもそんなこと... 私なんかに出来るのかな...

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました!
次回もよろしくお願いいたします!
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