〜あらすじ〜
宿毛湾泊地第1泊地に着任した寮は、
ミスにより飛ばされた明石と大淀を、
その後の建造にて軽巡洋艦『天龍』を
新たに迎えた。
一方、第3泊地にも動きが…
明石「提督…こっそり建造しました?」
寮「そうなのか、吹雪さん」
吹雪「いきなり濡れ衣着せるのやめてもろて」
天龍「…じゃあ、この艤装誰の?」
一同「「「さぁ?」」」
俺と吹雪、そして昨日着任した天龍は
明石に呼ばれ、工廠に集められた。
大淀に関しては第2泊地に新任提督が
着任したらしく、今日は不在である。
その4人が囲んでいるのは、
大きな古ーい艤装だった。重そう。
その艤装はコの字型になっており、
左右に連装砲が2基ずつ、そして(多分)
背部に1基搭載されており、その連装砲が2基搭載
されている船体(の様な鉄の塊)側面外側には
何かを発射させる小さな筒状の兵装が左右対称に
搭載されていた。ミサイルポットか何かか?
あとは…色々積んでた。詳しくは分からん。
明石「吹雪ちゃんや天龍さんの艤装より
はるかに大きく、出力も凄いんですよ?
やっぱり提督が建造したのでは?」
寮「…あのなぁ、明石。俺昨日資材やら
レンガやら運んだせいか今日筋肉痛なのよ。
そんな中また100ずつの計400運べと?
明日には死んでるわ、てか殺す気か!?」
明石「…そういえば提督って
普通の人間でしたね。」
寮「なんか傷ついた」
吹雪「…コレって連装砲ですよね?
私の主砲より大きいですよねコレ。」
吹雪は大きな艤装に搭載された5基の
連装砲の1基を指差した。
寮「そういえば、吹雪の主砲って?」
吹雪「私のは『12.7㎝連装砲A型』という、
手に持つタイプの小口径主砲です。」
天龍「俺のは『14㎝単装砲』っていう
艤装に搭載されてるタイプの中口径主砲だ。」
寮「じゃあ、この艤装の口径は?」
明石「…それが、どうも大きすぎるんです。
主砲が『41㎝連装砲』なんて、
本来なら長門型戦艦の持つ大口径主砲なのに。
しかも変なことに長門型戦艦は4基8門。
対してこの艤装は5基10門。
…提督、おかしくないですか?」
寮「すいません、よく分かりません。」
天龍「吹雪、翻訳。」
吹雪「…要は『長門型戦艦じゃない
この艤装の持ち主は何者なのか』と
明石さんは聞いているのです。
さぁ司令官、誰を建造されたので?」
寮「あの俺がやったみたいに言うの
やめてもらってもいいですか?」
吹雪「あなた昨日『戦艦欲しい』って
言ってたじゃないですか!
コレもう確信犯ですよね!?」
寮「だから俺を犯人に仕立て上げるな!
確かに戦艦欲しいけれどもぉ!!」
吹雪「やりました明石捜査官!
容疑者が遂に吐きました!」
明石「よくやりました吹雪刑事!」
天龍「…急にどうしたお前ら」
寮「…なんか始まったな」
天龍「…で?提督はどうなんだ。
やったのか、やってないのか?」
寮「…全身筋肉痛の人が
自ら好んで重労働をするとでも?」
天龍「…提督も知らないみたいだな、
あの艤装については。」
寮「逆に天龍は知ってるのか?」
天龍「昨日着任したばかりだぞ、
忘れたのか!?」
寮「あー、俺も昨日着任したばかりだったわ」
天龍「結局のところ、誰一人知らないか…」
大淀「大淀、ただ今帰投しましたー…
…って提督、これは一体?」ガチャ
誰も知らない艤装を相手に困惑していた時に
大淀が帰ってきた。
…………え?
寮「…アレ?大淀って確か今日h」
大淀「あぁアレですか?聞いてくださいよ!
第2泊地の新任提督さん、驚くほど
もの凄く塩対応だったんですよ!
しかも視線も冷たいし雰囲気も怖いしで…
てな訳で帰ってやりました!!」プンプン
天龍「あー…うん、お疲れ。」
寮「あーそうだ、大淀ってさ、
この艤装が何なのか知ってるか?」
大淀「どうせ提督が建造したんでしょう?」
寮「」チーン
天龍「瞬殺されてやがる…」
大淀「はぁ…私今日はもう疲れました、
てな訳で横になってきます。
起こさないでくださいねー…」ハラリバタン
そう言い残し、大淀は眠りに行った。
寮「建造してないもんッッ!!(大泣き)」
天龍「あー分かった分かった、提督が建造
してないの信じるから…だから泣き止め。
今のお前上官の面影一切無いから」
寮「おいマジか…」ケロッ
天龍(泣き止むの早っ!?)
明石(ん?このプリント大淀が落とした…?)
明石は大淀が落としたプリントを拾い、
読んでみたが……
明石「待って全然分からん」
吹雪「⁇」
明石「あーもうヤメですヤメ!こんな古臭い
オンボロ艤装の持ち主を探してたら、
私たち老けちゃいます!はいこの話終了!!」
明石「提督!あなた一体いつになったら
出撃指示出すんですか!
出撃して戦果稼いでくれなきゃ新技術ちゃんを
拝めないじゃないですかぁ!!」
明石が半べそかきながら俺の肩を揺らす。
まるで俺から半径30センチ間のみ震度7
の地震が起きてるようなものだ。
寮「おい待て吐くから吐くからぁ!?
指示出すから揺らすなぁぁ!!!」
〜数十分後〜
妖精さんから色々助言を貰いながら、
俺はようやく作戦らしい作戦を作った。
そして、未だに修復していない司令室へ
(大淀以外)全員を集めた。
寮「えー、あー、うん。これより、
『宿毛湾泊地正面海域
を説明する。…えーっと地図地図…」ア、アッタコレダ
俺は倉庫に残っていた
宿毛湾沖合までの地図を
床に広げ、説明を開始した。
寮「俺達がいる宿毛湾泊地はココ。
今回はそこから先の沖合に出撃し、
付近の深海棲艦を撃破、そして
沖合の制海権を握る。
…まぁ、こんなものだろ。」
吹雪「今回出撃するのって、
私と天龍さんの2名だけですよね?
大丈夫かなぁ…」
天龍「心配すんなって!
なんてったって1番強い俺が
出撃するんだ、深海棲艦なんか
ビビって逃げちまうに決まってらぁ!!」
明石(今フラグ立った気がする)
寮(あっふーん)
寮「…とにかくブリーフィングは終了、
吹雪と天龍の2人はー………」
天龍「おい提督どうした」
寮「…そういえば明石、
艦娘ってどこから出撃するわけ?」
明石「工廠からですが何か?」
寮「…もしやカタパルトからとか!?
ランプが赤から青に変わったらとか!?」
明石「…大体合ってるのが少々悔しいです」
吹雪「でも私達は一度も見てないですよ?
どうして司令官はご存知なんですか?」
寮「出撃と聞いて条件反射で聞いたら
まさか合ってたという奇跡…!?
とても言えるわけがない!!」
天龍「思いっきり声に出てるから心配すんな」
大淀「…ブリーフィング終わったんですよね?
だったらさっさと出撃してもらっていいですか?」
吹雪&天龍「アッハイ」
寮「…お、大淀?起きたのか」
明石「お、おはよー?」
大淀「そりゃあ、あれだけ騒がしかったら
寝るに寝れませんから。…あと明石、
私が持ってた資料知らない?」
明石「…?資料って何の?」
明石(資料って大淀が帰ってきた時に
落とした資料の事だよね!?その紙は現在
行方不明だなんて言えるわけない!!
言ったらコロされる…黙っとこ)
大淀「……いいわ、なんでもない。
提督も、大人しく静かに執務に勤しんd」
寮「明石!工廠のカタパルト見に行くぞ!!」
明石「アイアイサー!!」スタコラサッサー
天龍「おいこら待てぇ!!」ピュー
吹雪「お、置いていかないでくださいぃ〜」ピュー
大淀「……大丈夫かなぁ、ここ。」ハァ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
工廠奥の扉を開けるとそこには
なかなかの広さを持ち、数多くの妖精さん達が
忙しそうに右へ左へと足場を走り回っていた。
そしてその足場がコの字状に囲んでいるふもとには
ゆらゆらと揺れ動く水面が浮かんでいた。
そう、艦娘はここから出撃するのである。
寮「…スゲーなぁ。」
明石「クレーン等が雨に濡れて錆びない様に、
工廠の室内に設けられているみたいですね。
他の鎮守府だと、屋外や地下に設けている所も
少なくありませんし。まぁ空爆に対しては…ね?」
無理もない。
工廠の屋根は瓦でできているとはいえ、
空爆に遭うとガレキで埋もれかねない。
どのみち使用不可となってしまいかねないのだ。
吹雪「そういえば、私達の艤装は?」
明石「あぁ出撃する艦娘の艤装ならば、
基本ガレージにて最終チェックが完了次第、
いつでも装着できますよ!
あ、装着する時はあのコの字状に囲まれた
足場の中央に立って下さいね。
ちなみに水面の所は、立つ際に水が引いて
立てる様になりますので心配しないでくださいね」
吹雪「は、はーい…」
天龍「………」
寮「…武者震い?」コソッ
天龍「うわぁ!?」ビクッ
天龍「脅かすんじゃねぇ!…ったく、
せっかく人が集中してたのによぉ」
寮「いつになく静かだったから」
天龍「お前らがうるさすぎるだけだ」
寮「ひどい」
吹雪「そんな」
明石「ありえない」
天龍「待ってもしや自覚無し?」
寮「逆に自覚してるとでも?」
天龍「確かに。」
吹雪&明石(即答しやがったあの軽巡!?)
整備妖精「…アノー、マダデナインデスカ?」
寮&吹雪&天龍&明石「「「「アッハイ」」」」
明石「艤装のメンテナンスは?」
妖精A「スデニオワッテオリマス」
明石「分かりました、ではー」
吹雪「ここに立っていれば良いんですか?」
整備妖精「オウ。ヨーシ、艤装ヲオロセー‼︎」
整備妖精の一声がかかった途端、
チェーンで吊るされた艤装が天井から降ろされ、
吹雪の背面で静止した。
整備妖精「ヨーシ、接続スルゾー。」
そう言った後、吹雪の背中と艤装が接面した。
その瞬間艤装がリュックサックの如く変化し、
まるで艤装をそのまま背負っているように見えた。
寮「すげーな、艤装って」
明石「あ、提督!まだ居らしたんですか?」
寮「あらあら明石さん、お忙しい中
わざわざどのような御用で?」
明石「…ご近所さんのマネは
また今度にしてもらっても?」
寮「(´・ω・`)」
明石「で、どうしてまだ居るんです?」
寮「どうせなら見届けようかと」
明石「吹雪ちゃん達を?」
寮「…いずれ生まれるであろう精鋭艦隊も
ここから出撃すると思うと…なんか、な?」
明石「もしやエモさ見出しました?」
寮「うん(*´∀`*)」
明石「…一応戦時ですよ?」
寮「私、戦時であれ出撃シーンに
激しく興奮する人ですので。」
明石「ア、ソウデスカ」
寮「悲しいなぁ(´ω`)」
明石「…そろそろ出撃しますよ。」
寮「お、いよいよか。」
吹雪「うわぁ、緊張します…」
『タービン出力125%!4連装魚雷並びに
12.7cm連装砲A型、セーフティー解除!
全搭乗妖精は第1種戦闘配置!
駆逐艦吹雪、発進どうぞ!』
吹雪「はっはい!吹雪、行きます‼︎」
その瞬間、吹雪の脚部を固定していた床(?)
が凄まじい速度で海へとスライドしていった。
その姿はまさに…
寮「…かの有名な出撃シーンをこの眼で
拝めるとはな、ガ○ダム!」
明石「…ちゃんとピー入れてますよね?」
寮「入れたが?」
明石(入ってる気がまるでしない!)
明石「…吹雪ちゃん、どうにか無事に
出撃できたみたいですね。」
寮「次は天龍か…『狙い撃つ!』とか
言わないといいが…」ハァ
明石「…一体誰の話を?」
寮「…そーゆー人がいるってことで」
明石「アッハイ」
天龍(ドキドキ)
『タービン出力105%!
14cm単装砲2門セーフティー解除!
専用太刀の使用を許可、
軽巡洋艦天龍は、速やかに装備されたし!
なお発進タイミングを天龍に譲渡する!』
天龍「よし来たぁ!天龍、出撃するぜ‼︎」
寮「…全員出たな、まだ2人だけど。」
明石「まぁそのうち増えてますよ、多分」
寮「…だといいなぁ。」
明石「…知ってます?深海棲艦って
元は私達と同じ艦娘だっていう事。」
寮「魔改造説?それとも地縛霊説⁇」
明石「もうちょいマシな表現無かったんすか」
寮「聞くな、コレは生まれつきに等しいから」
明石「はぁ………話戻しますけど、
もしかしたら深海棲艦…いや、
かつての艦娘たちと出会えるかもしれない、
でも皆が皆、心を開くかは分かりません。
それでも私達は、深海棲艦化した
戦友を助けなければならない。
…大規模な鎮守府ほど、
この悲惨な現実を受け止めて来た
実績があるんですよ。」
寮「なるほど。
つまり何が言いたいんだ?」
明石「話聞いてましたぁ⁉︎」
寮「聞いてた!でも分からん!」
明石「…つまり、この先深海棲艦と
戦っていくと深海化が解けた艦娘が
保護されてやって来るんです。
その艦娘たちの面倒を見きれますか?
………という話です。」
寮「ペット飼うんですか?」
明石「ちがいます」
寮「面倒見きるとかもう親が子に
『アンタ最後まで面倒見れるのか?』
って言ってるタイプじゃねぇか…」
明石「そんなつもりで言ってません。」
明石「つまりはメンタルケアだったり、
治療だったり、そういう事ですよ」
寮「…ちなみにだが、その保護した艦娘って
ウチに置けたりするのか?
言いぶり的に他所に送られるみたいに
聞こえたから……」
明石「編入なら自動で行われるのでご安心を。
あ、艦娘用の部屋なら私にお任せを!」
寮「…ここに置けるならよかった。
そういえば今ある艦娘の部屋の数は?」
明石「住めそうな部屋はざっと10部屋、
まぁ艦娘20人分くらいですかね。
あとは屋根やら壁やらに穴が空いてますし、
そこそこ時間が経ってるのか、
クモの巣だったりホコリが酷かったり
しますし…ある程度落ち着いたら
大掃除も検討しておいてください。」
寮「ハーイ…あれ?なぁ明石、
あれって吹雪と天龍だよな?
もう怖気付いて帰って来たのか?」
明石と軽ーい雑談をしていると、
向こうから吹雪と天龍が帰ってきた。
しかし、吹雪は誰かを抱きかかえていた。
明石「…提督、今すぐ入渠の準備に
取り掛かってきます!」
寮「へ、入渠⁉︎」
慌てて再度吹雪達を見ると、
吹雪が抱きかかえているのは艦娘のようで、
全身がボロボロになっていた。
薄橙色(?)のロングヘアも
かなり痛んでボサボサだった。
それを遠くから確認した途端
吹雪は母港に帰投してすぐ、
吹雪「今すぐこの娘を助けてくだざい!
だいぶ弱ってきてるんでず!!」
と涙ぐみながらに訴えてきた。
寮「とりあえず事情は後で聞く!
ちょうど明石が入渠の準備をしてる、
急いで向かうぞ‼︎」
吹雪「ヒグッはい!」
そして全速力で入渠施設へと走った。
……後にその艦娘は吹雪、天龍に並び
宿毛湾泊地にて最古参組となる。
だがそれはまだ先の話…。
〜一方その頃第3泊地〜
⁇「いや〜ようこそ来てくれました
ご主人様!!」
…ご主人様?
私はメイド喫茶にでも
来てしまったのだろうか?
それにしてもこの艦娘は一体…
漣「あ、申し遅れました!
私、『漣(さざなみ)』って
言います!
綾波型駆逐艦です、ご主人様!」
「はじめまして、今日から
この第3泊地の提督を務める…」
なつ芽「…姫流 なつ芽よ。」
〜一方その頃第2泊地〜
「…緊張してるか?」
⁇「いえ!むしろ楽しみです‼︎」
俺は『初期艦』と呼ばれる艦娘
ー青いロングヘアで小学生くらいの背ー
と一緒に今日、新たに配属された
泊地へと歩いていた。
俺は必要な物を詰めたスーツケース
を持って向かっていたが
「…なぁ五月雨?重くないか⁉︎」
俺が連れてる初期艦
駆逐艦『五月雨』はとても真面目で
いい子なんだ、なんだが。
五月雨「いえ、大丈夫です!」
「いや足ブルブル震えてるぞ⁉︎
あとスーツケースは引きずる物だから
箱みたいに持ち上げて運ばなくても
いいやつだからね⁉︎」
真面目すぎて変に天然なのだ。
他の鎮守府ではドジを連発するとか
聞いたんだがそんなドジっ子ではない。
「ほら疲れただろ?背負ってやるから。」
五月雨「で、でも…」
「大丈夫、スーツケースは引きずれば
重くないし、第一五月雨軽いから笑」
五月雨「もーひどいです!」
「あー悪かった悪かった、
ほら、乗った乗った。」
五月雨「…お言葉に甘えて…」
そしてスーツケースを引きずり
すっかり眠った五月雨をおんぶした俺は
着任先の第2泊地へと歩いて行った。
五月雨「…梅雨谷…司令官…さん……むにゃ」