Alstroemeria   作:ケンタッキーはおいしい

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初投稿です。


取材①

 編集長からある土地へ向かえと言われたのは3週間前だった。

 そこでの音楽祭を取材してこいという命である。

 何でも、その主催者が編集長の友人だそうで、自分で取材したかったもののその日どうしても避けられぬ会食があるとのこと。

 なんとしても旧来の友人と会いたいが、お得意様に対して不義理は出来ぬ。しかし、一旦行くと行った手前裏切るような真似は自分にはできない。一体どうすればいいんだ…

 ということで、暇そうだった自分を代理として行かせればいいじゃないかと考え、声をかけたということだ。

 事実、今週自分はとある地方での山車巡行を取材する以外に記者としての仕事はない、つまりとても暇なのだから適役ではある。

 

 

 

 …それにしても、いくら親しい間柄だとはいえ、渡してくれと言った土産物が多すぎやしないか。

 菓子の箱だけで4つ、その上一升瓶まで持っていけとか運ぶ自分のことは全く考えていなかったのか。

 しかしまあ、編集長は今冬のボーナスに少し色をつけると約束してくれたので文句はない。

 なにぶんこの前車を買ったのだ。それもゴリゴリのスポーツカー。

 唯一の趣味がクルマである自分だが、この趣味はあまりにも金がかかる。本体価格、車検費、ガソリン代、エンジンオイル代、トドメは税金である。

 こいつがまたバカにならないのだ。

 自動車税だけで13年以上前の車のため割増金込で65000円位、おまけに重量税その他が年間でかかるのである。フツーに月の家賃より高い。

 もっと語りたいこと(主に愚痴)はあるが、まあとにかく金が入用となる自分にとっては増収のチャンスをふいにするような真似はできるはずがなかった。

 ということで、只今絶賛移動中という訳だ。

 

 

 

 会社の最寄り駅から電車に乗り、途中で新幹線に乗り換える。西へ西へ向かい、今回の目的地を目指す。

 もちろん、新幹線は自由席だ。うちの会社交通費ケチるから。

 毎回新幹線に乗るとき、富士山が見える窓側の席に乗る。今回はうまいごと山側の席を取れた。だが生憎にも曇っていたせいで拝むことはできなかった。

 日が傾きかけたころ、ローカル線に乗り換え。

 海のそばを沿って進むこの路線。外が暗くなっていくほど、ビル街から遠ざかっていくほど、海の薫りが濃く強くなっていく。

 旧式の列車はやかましくモーター音を響かせ、走る。

 

 

 

 乗ってから約40分、目的の駅に到着する直前、海の方で明かりが見えた。

 漁火だろうかと思っていると一瞬で民家に隠れて見えなくなってしまった。

 結局あれはなんだったのか。考えているうちに列車がホームに滑り込んでいった。外はすでに暗かった。

 

 

 

 ホテルは駅から歩いてすぐ─歩いて3分ほどにある、どこででも見られるようなビジネスホテルだ。

 チェックインを済ませ、部屋に荷物を置く。

 そして、編集長に到着の報告。返信は、くれぐれも失礼のないように頼むよ。とだけ返ってきた。

 こう、もっと他に、なんか言うことあるんじゃないのとは思うが、グチグチするだけ無駄である。

 

 

 

 さてここからどうするか。明日の朝9時に先方と会うことになっているため、それまでは暇だ。

 取りあえず、腹が減ったので駅の牛丼屋で腹ごしらえをした。最近のトレンドは大盛り牛丼に卵2個乗っけるやつである。ちょいとした贅沢感があって良い。

 その後、コンビニへ。今日はたまたま読んでいるクルマ雑誌の発売日だったため、それを購入。あとは明日の朝食。おにぎりと烏龍茶を買った。

 そしてホテルに帰り、シャワーと歯磨きを済ませた。

 

 

 

 寝る前、ふとあの列車で見た明かりは何だろうかと考えた。しかし、考えると眠れなさそうなので漁火だろうと結論を出し、寝た。




 タグに艦これとありますが、その要素が出るのはしばらく先です。ゆるりとお待ちを。
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