夢でもし逢えたらいいなという私の願望ですね。
夢を、夢を見ていたんです。
黒い服の幼女が私のような人と一緒に歩いてくるのです。
「久しぶり」
と言うのですが、それが誰だかわからないのです。
ただいちごと同じ制服を着て、同じ顔だけど双葉のペアピンが印象が強くて。そればかり見ていた気もするのです。
なんとなく幼女を見ます。
「りぱ~っ☆ 今のうちに遊ぶのです。時間は有限なのです」
その幼女はせっつくのです。満面の笑みで。
巨大なテレビ画面と、ゲーム機があるところへ誘われます。
よくわからないままゲームをするのです。本来ならやるべき時間を取り戻すように。
「楽しい?」
「んー、どうかな……?」
「あまあま、生クリームのコーヒーうまうま」
黒服幼女は生クリームが入ったコーヒーの生クリームをすくい舐めてます。
相当気に入ったようで、コーヒーが冷めた甘いコーヒーを啜っています。
「もっと一緒にいたかったんだよ?」
「そうね」
下唇を噛んでしまいます。
「病気は嫌ね」
「そうね」
同じように返されてしまいます。
あぁ、本当にこういう時間を楽しめていたのだと思うと本当に理不尽に腹が立ってしまう。
よっしゃぁぁぁとヘッドショットを決めると、再び静かになってしまう。FPSというゲームは一喜一憂が多い。同じように撃たれてしまう。死角から撃たれることも多い。理不尽な死が多い。
その死に慣れることはない。ただそれでも復活が早い。死なない。
そうであってほしい世界だと思ってしまいます。
「……うん、理不尽」
どれくらいたったのか。
その子はそういってコントローラーを置きます。同じように置きます。
「もういいの?」
幼女は問いかけます。
「うん」
その娘は笑います。満足したかのように。
――いや……
全てを受け入れているようなその笑顔はずるいと思ってしまいます。
「そんな顔しないで。いつもここにいるから」
胸に手を当てられます。その娘は驚きすぐに手を離し、じーっと見ては何かに気づいてぺたぺたと体を触り……最後に顔を流れている涙を拭いとってくれます。
「魅力的な体になってるなんて本当に損したよ。ボクもそうなれていたと思うと本当に……」
「だって……」
貴方はもういないのだと出る声を飲み込む。悲しくなる。涙がこぼれてしまう。
「その子がここに連れてきてくれたの。リーパーちゃんは優しいね」
「甘い人は好きですよ?」
「そりゃ私の――だもの」
あぁ、やはりそれを口にしますか。子どもの頃の一番古い記憶が蘇る。これは両親すら教えてくれなかったこと。私たちが喧嘩したりしたこと。
「――私が」
「お姉ちゃんなんだから――」
明け方近く、光が届かない闇の中で口にして起きた。涙が流れている。
悲しくも嬉しい夢を見た。今はもういないあの娘が成長した姿で来た。
一緒に遊んだ。もっともっとあの時からずっとそういう日があったはずなのに――
頬を抑える。今日も一日が始まる……
あの娘の分も頑張らないと……
……できる気はしないのだけど……
登場人物紹介~
森ふたば。(双子のもう一人・故人)
病気で亡くしたもう一人。二人生存の世界もあっていい。
容姿はいちごさんとうり二つ。違うのは双葉の髪飾りもしくはヘアピン。という設定。
もしかすると二人生存ルートへ捻じ曲げるかも。反応があればですが、おそらく反応はないでしょうw
リーパーちゃん(10歳)
黒服の幼女。前回シラノちゃんと一緒に喫茶店に来た幼女。
discordで理也さんがお亡くなりになる前後に生まれた存在。
本編からは剪定された存在です。
リーパーちゃん、あのアカウント関連で死神・監視者ですが、ここでは甘い人好きな幼女です。
無慈悲に理不尽に狩り取る存在ではありませんが、こういうこともしてくれそうなイメージです。