シラノちゃんは設定年齢11歳   作:しずくまい

3 / 13
視点はシラノちゃん(11歳)です。


~岩永静ちゃんの場合2~

 昨日あった静って子がまた走ってる。

 薄暗い中、運動場でスタートの練習をしている。

 わっちとしては、どうしてそこまで頑張れるのかよくわからない。

 

 だから見に行ってみる。

 

「……」

 

 黙々と確かめるようにしている。その姿は必死にすら見える。

 

 死ぬわけじゃないのに。どうして頑張れるのか。

わっちにはわからない。

でも悲しくなるのは気のせいなのか?

 

 近くにおいてあるタオルとスポーツドリンクを握ると近づいてみる。

 

……

………

…………

……気づかれない。

 

 もっとスムーズにもっと速くという思いが強い。こちらに気づかない。

 

 仕方がない。耳元で

「りぱー☆」

 と囁いてみる。

 

 ビクッとしてこちらを凝視する。

 

「な、なんだびっくりした。昨日の子じゃ?」

「休憩!!」

「え?」

「きゅーけい。頑張りすぎ。や! す! めぇー」

 

「え、あぁ、もうそんな時間?」

 

 タオルとスポーツドリンクを飲みながらしばらく足踏みをする。

座るように服を引っ張るが

 

「すぐに座ると痔になって大変なことになるので待って」

「?」

「わかりやすくいえば」

 

 真顔で指を立て満面の笑顔を向ける

「お尻から血が出る」

「!!」

 

 それは大変なこと。絶対にあってはならない。

思わずわっちのお尻を抑える。首をふるふると横に振る。

 

「捧げられる血は多いけど、そんなとこは駄目絶対」

「なにそれ……?」

「こっちの話」

 

 しばらくして静は座り込み、またスポーツドリンクを飲む。

あれは美味しかった。水なのにあんなに美味しいのがあるとか凄いと思う。でも一度捧げられたのだからねだってはいけない。

 

「はしるのつらい?」

「いいや、何も考えなくてすむからいい、かな」

「そっか」

 

「どうして走るの?」

「えー、あー、んー、まぁ、好きだからかな?」

 

 複雑な感情が流れ込んでくる。褒められて嬉しかったこと。もっと褒められたいこととかも。

 子どもに言うことではないというのも流れてくる。気を使われたのかな?

まぁ、幼女だから。この体じゃしょうがない。

 

 運動場に寝転がり星を見ている。真似するように寝転がって見る。街の明かりにも負けないように星が瞬いて見える。

 

「いいね。お空」

 

 星が瞬いている。都会でもほんのり見える空は悪くない。

 

「そうだね……」

「汚れるけどね」

「そうだね……」

 

 風が通り過ぎていく。時間が過ぎていくのも悪くは……

 

「ってまった!! どうして幼女がこんな時間帯で一人でいる!!」

「え、今更?」

「まって、すぐに帰る用意するから。送っていくから。いいね、そこから逃げないでよ?」

「えぇぇぇ」

 駆けだしていく。速い!! この速さ、逃げても追いつかれるんじゃ?

――それより、わっちはどこに帰ればいいのだろう……

……

………よし。逃げよう!

 

 

――夜の街を駆ける二つの影。

わっちと静の追いかけっこは30分ほど続いた。

……きっちり捕まって、宿代わりに使っている近くまで送ってもらった。やっぱりこの体だと無理……

 




登場人物説明
シラノちゃん(設定年齢11歳)
可逆性SNSミステリー『Project:;COLD』に出てくる名前。
11歳ではない。彼女の名前は2021年1月13日段階では紙にしか書かれていない。
理也さんが――の時に多くの発想の中で生まれた存在であり、公式とは別という意味合いも込めて剪定された存在でもある。
シラノについては詳しくは公式サイトのほうで。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。