シラノちゃんは設定年齢11歳   作:しずくまい

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4話目、というか三人目~
みんなの王子様ですがちょっと私味です


~星野理也さんの場合~

 バイクの端に不思議なものが見えた。慌ててバイクを止める。

見知った顔、そして得体のしれない、いや幼女の姿をした何か……

 

「ほーら、ぷちしゅーだよー」

「小さいー小さいーふわぁ」

 

 ぴょんぴょん跳ねるごとに白髪の髪がふわふわとしている。

 そんな光景だと言うのに汗が噴き出してくる。本能が語ってくる。

あれは普通ではない……

 

――なんでそんなのにかかわっているの二人共ぉぉぉ!

 

 不思議な幼女の形をしたそれはプチシューの魅力の前に喜んでいる。

 

 ヒカリたちからは、可愛らしいとしか思えない反応を示す食いしん坊生物――幼女としか思えないのだろう。

 

 ヒカリも静もそんな幼女の反応を微笑ましく見つめている。

 

――わ、わたしがどうにかしないと……

理也は覚悟を決めてヘルメットを脱いだ。

 

 

 バイクが止まり、長身のお姉さんがヘルメットをとるやいなや話しかけてきた。

 

「な、なにしてるの?」

 

 異様な光景を目を見ているような、引き気味に、恐怖を抑えながら。

 

「りぱー?」

ビクッと反応する。

 

「あ、りっちゃん」

「りーや、またバイク? 走ればいいのに」

「今はこっちがいいんだよ。で、なにその子。ま、まさか二人の子?」

 

 静は手でないないと手を振るが、ヒカリは何か考えている。

なるほどそれもありかと意味深な声が洩れているが、気にしたら負けだとシラノちゃんは思う。

 

「いやぁ違うんだなぁこれが」

 

 がっかりしたような顔をするヒカリをあえて見なかったこととする。

 

「この子を見たらついつい餌付けする習慣が」

「習慣って……」

 

 目と目が合う瞬間、りっちゃん? りーやの顔に何か怖れが浮かぶ。

――あ、この人、わかっちゃうタイプだ。

 普段から怖い話やそういうことが気になるタイプだとわかる。

 シラノちゃんはそういうのには好かれやすいのだが、同時に怖れも抱かせる。

怖れ? 畏れかも?

 

「わっちは怖い何かじゃないよ?」

「えー何? 幼女が怖いの?」

「そそ、そんなんじゃない! けど……」

 

 りぱ~☆と笑顔でりーやのそばへ行き、手招きしてしゃがませる。生唾を飲む音がした。

 

「んじゃなにか捧げたらそれでおしまい」

 かわいらしくにぱーっ☆と笑いかけるが、さらなる緊張でもって返してくる。

 

「血とか体の一部とか?」

 小声。畏れ度200%を越えている。泣きだしそうなのだがどうしよう。

 

「美味しいのがいい」

「ま、まさか血肉を所望?」

 

 そういうのは儀式で間に合ってるし……

 

「お菓子持ってる?」

 

 ヒカリが助け船を出す。

 

「ジュースでも可」

 

 静はペットボトルを振って見せる。

 

「コーヒーしかないよ!」

 

 あわあわしている姿がなかなかかわいらしくそして面白い。

 

「ほっほっほっ、そこにコンビニがあるじゃろ」

 

 静も助け船を出す。何故かないアゴヒゲを撫でながら仙人風な言い方で。

はっっとした長身のお姉さん。バイクを急発進させ、中に入っていく。

 

 短いとこでもヘルメットしないと怒られるよーと声は多分聞こえていない。

しばらく待っていると、静もびっくりするスピードで走ってきた。

 

 ずばっと差し出してくる。

 

「お納めください」

「うん、ありがとっあつっ」

 

 受け取ると、あまりの熱さに取り落としそうになる。

静が受け止め、ヒカリが覗き込む。

 

「まさかの肉まん?」

「あんまんじゃないところがりーやのいいところかな」

「いいじゃないか。美味しいんだから」

 

 りーやは声を上げる。

――なるほど、美味しいのなら試さなきゃいけない。

 期待と、未知との味に期待で心が躍る。

だが、熱い……

何度も取り落としそうになりながら、それを二人がカバーしながら、その様子をハラハラとした顔をしながら。

 

ようやく袋をはがしてほかほかの白い塊、肉まんを見る。

袋は紙だから食べられない。裏にも紙があるのを確認すると剥ぎ取る。

 

「ヒカリ、静ーふーふーしてー」

「お願いは?」

 

 胸を張り、ヒカリは急に姉の貫禄を見せつける。静もにこにこしてる。

 りーやだけがそういうのはと言うが、にぱー☆っと笑って見せる。それだけで黙ってしまう。

 

「お願いしますヒカリお姉ちゃん、静お姉ちゃん」

 教えられた言葉をそのまま返す。

「うん。よかろう」

「ヒ、ヒカリはなんで偉そうなの」

 

 へへへ~と笑っているヒカリに、りーやはあわあわとしている。

そんなことして大丈夫なの? と心配そうにしている。

 

はむっと一口。口の中に広がる暖かな感覚と細切れの肉の味。

きらりと光る瞳を見たりーやは一瞬怖れを失った。

 

 これはお菓子というよりお饅頭の一種だと理解する。

ふーふーと小さな口で吹きかける。中も結構な熱さでよい。

 ふーふーしてまた一口。ふーふーして一口。

小さな一口ごとに幸せになる。

 

「ふぁぁあ~」

 

 満足げな声を聞いて食べている間に三人とも笑顔になっていた。

 先ほどの畏れはどこにいったの?

 

「美味しかったー。肉まんいいよね肉まん♪」

「よろこんでもらえてなにより……」

 

 自然と頭をナデナデされる。首をかしげてりーやを見るとはっっと何かに気づく。

 一瞬やってしまったという顔をするが、最初から気にしていない。

 

「もっと撫でる?」

「い、いいの?」

「許す。もっとするといい。美味しかったもの」

「よし、私もしよう」

 

 ヒカリも撫でまわす。

 りーやは警戒半分残したまま、微妙な距離感で撫でる。

 

うむ。人間との関係は最低でもこれでいいと思う。

儀式する人たちがいなければこれでいい。

んだけどね~。

 




登場人物紹介~
星野理也。
THE 王子様。無口無表情で一見クール。かっこいい系なお姉さん。マイペースな人だがこうと決めれば即断即決の潔さと行動力を持つ。
たまに見せる弱いところやその後のかっこいいところが魅力的な人。オカルト方面にも明るい。
この世界では、『霊感やそういうのが見える』を付与しました。
なお本編ではその即断即決が悪いほうに働き――な人。

可逆性SNSミステリー『Project:;COLD』の登場人物。
詳しくは公式サイトのほうで。
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