祖母の交通事故、理也さんとの出会いを書いてみました。
詳しい過去設定やらは提示されていないのでオリジナルです。妄想の産物です。
ではその汚点とは? ズバリ……!!
お婆様が交通事故に遭った。その知らせは青島家に衝撃が走った。
家族の多い青島家で祖母の存在は大きい。家を守り、弟たちの面倒を見ていたお婆様の交通事故と入院は生活を変えざるをえなかった。
弟たちの面倒を見、食事を作り、祖父の面倒を見る。それだけでも重労働だ。
祖母の病院にも足しげくいかなければいけなかった。
受験どころの騒ぎではない。
祖母は「大したことないって勉強しな」と笑うが、残念ながら放置できるほど器用な性格はしていない。
困った子だねぇと笑うお婆様は「埋め合わせはする。でーじょうぶだ」と笑っていた。
……両親が共働きな以上、家を守るのは玲子しかいない。
台所には立たない祖父の注文は厳しい。
手伝いをする弟たちにも無理はさせられない。
姉としてどうにかしなきゃいけない。
最後の追い込みの勉強ができなくなるが、一番問題なのは精神的なことだ。
ブレやすいその性格はもうどうしようもならない。ここ一番の度胸の無さは
心の弱さはもうどうしようもならない。
あのお婆様の血が玲子の中でもう少し濃ければ笑っていられたのかもしれない。
全てを飲み込める胆力があれば……
そして――
高校受験は失敗した。
目標だった高校には届かず、滑り止めの六泉ヶ丘高校は通った。
そのことでこちらの事情を知らない人たちが陰口を叩くのが耳に入る。
――あぁ、煩わしい……
先生方には事情を知っている者もいたが、当然知らない先生はネタにする。
それを咎める気はない。ただただ――
玲子の中にそれらは蓄積していった……
六泉ヶ丘高校に入学する季節になった。お婆様は無事に帰ってきた。
もういい歳してるのだから、大人しくなってほしい。
そんなある日。
「玲子や」
お婆様がポンと封筒をくれた。
「これは私からの、埋め合わせだよ。私の全てをおまえにやる」
「……お断りします」
封筒を押し返す。
「いや返すな。おまえにゃ悪いことをしたと思っているんだよ」
「……そういうのは気持ちだけで」
「いやそうはいかない。遠慮はするな」
「……いや、でも」
玲子は嫌な予感があった。このお婆様の全てとは、アレのことだ。
アレに関わることだと思い当たってしまった。
「なら家長命令だよ。玲子。受け取りな。そして……」
家長命令。それは青島家が代々守ってきた家訓。
家長の命令は絶対遵守。すなわち絶対命令権。
普段何もいわないお婆様は伝家の宝刀を抜いてみせた。
お婆様はにっこりと笑う。
「ちょっと、バイクに乗れるようになってきな」
うちのお婆様はいろいろと破天荒すぎる。ふらっと旅に出たと思えばバイクで京都まで行っていたとかザラで。
いい歳しているのにバイクを乗り回す。改造するのも楽し気。運転も大好きのようだ。
しかしその結果が受験で大変な時の交通事故。
さすがに勘弁してほしい。
「行動範囲が増えれば、それだけ見える部分も増えてくる。誰もが同じものを見えやしないが、見える先の風景はおまえを変えるさ」
……そういうわけで手に入れた自動二輪の免許である。
……そのお金を家計費に回せば少しは暮らしも楽になるだろう。だがしかしお婆様は年金は渡せども青島家の資産は余程のことでないかぎり使わせなかった。
お婆様所有の車庫の中には二台のバイクが置いてある。
乗っているバイクはアメリカンバイク。メーカーやらはよくわからない。
ただ群青色に輝く色に惹かれた。落ち着きのある深い青を見るとお婆様は無言でいじり出す。
見て覚える。目で盗む。体で覚え込む。重い車体も起こし方も自然と身についた。
一通り覚えきると、今度はお婆様とバイクを走らせる。
気が付いたら離されていくのだ。乗り方にコツがあるのか。玲子は考える。
頭の中でイメージするも、体と馴染むのにはやはり時間がかかった。
やさグレていた心にバイクはよく馴染んでいた。山を走り、風を切り、峠を走り、いつの頃か。悪くない気持ちだった。
だが、荷物、本を運ぶのにはやや問題がある。
――できるかぎり、安全運転を心がけている。慣れればなれるほど速度が上がっていくので自制も兼ねているのだが。
バードウォッチングに行くのにもバイクは役に立つ。
こういう状況だからか。いや、たまたま偶然だったのか。
――相棒にあった。
登場人物紹介~
青島玲子。
黒髪長髪、眼鏡っこ、真面目で現実主義、成績一位全国模試一桁台の秀才。しかも声がいい。ヒカリによって“歌声”という新しい長所を知り自信をつけた。
ヒカリのことが大好き。趣味はバードウォッチング。
黒髪美女です。
家は少し魔改造しました。
本編では――な感じだけど2021年1月15日段階では生存中。
可逆性SNSミステリー『Project:;COLD』の登場人物。
詳しくは公式サイトのほうで。