シラノちゃんは設定年齢11歳   作:しずくまい

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凹みました。本当に凹みましたが、とりあえず完成です。
いちごさんとこの喫茶店です。


~森いちごちゃんの場合~

『喫茶店いちごもり』

 

 両親がしている喫茶店はマンションの一階にある。その看板娘、店名にもあるいちごが時々働いている喫茶店は今日もいろんな人がやってくる。

 

 彼女がいる時、彼女を一人前のマスター、もしくはウェイトレスに育てるべく押しかけるファンは少なくない。

 

「いらっしゃいませ。ってどうしたの?」

 

 今日は静が来た。二人の幼女と連れている。黒い一色の恰好をした幼女と着物を着た白髪の女の子。りぱ~☆と驚きと緊張、そして期待に満ちた視線が向けられている。

 

「やっほー、来たよーいちごー」

 

 元気のいい掛け声。両手に花っぽい。二人を押して中に入って来る。

 

「コーヒー屋さん初めてだよ? りぱ~っ☆」

「はい、はじめてきました……りぱ~っ☆」

 

二人共笑顔が可愛い。でもりぱ~っ☆ってなんだろう……

 

「なに? 静ちゃん、もしかしてナンパ?」

「うん、そう。逃げようとするから捕まえちゃった♪」

「け、警察に通報しなきゃ」

「冗談冗談」

 

 目が左上に泳いでいく。幼女二人にしゃがんで聞いてみる。

 

「といっているけど本当のところは?」

「……捕まりました」

「……この私がまた捕まるなんて……」

「もしもし? ポリスメン?」

 

 電話の子機を握りしめ、耳に当てる。それを必死に止める静ちゃん。

必死すぎて笑えてくる。

 

「まってまってー。二人にここの超お勧めてきたお客さんだよ? 私が全額払うんだから! それが終わるまでは~いちごマスター御慈悲を~」

 

「え? いいの?」

 

 着物幼女が近くにいた常連の柏木さんに絡んでいく。こくりと頷くのを確認。

 待って待って。どうしてこんなことになってるの?

 

「あぁ、いちごも何かあげてみたほうがいい。絶対得するから」

「いや、損するだけじゃない?」

 

 幼女二人がりぱーっ☆と輝く瞳を向けてくる。

 

「あげると聞いて!」

「甘い人と聞いて!」

 

……なにこれ、サングラスが必要ね……

 いちごは二人の頭に手を置き諭すように話す。

 

「あーのーねー。働かざるもの食うべからずといってねぇ」

「じゃ、お手伝いするー」

「エプロンもってくるねー」

 

 素直な反応されてキッチンへ入っていく。

すぐにエプロン装着して帰って来る。

どうして場所知ってるのよ?

 

「ちょっ、静ちゃんなんとかしてー」

「幼女の接客、いいじゃない?」

「店長が親指立ててOKだって」

「確認はばっちし」

 

 うちの親も親である。

 

「ダメだ、この喫茶店。早くなんとかしないと」

 

 いちごは大きくため息をついた。

 

 

 

 一時間ほど、彼女たちはいそいそと喫茶店のお仕事を手伝っていた。

 

 注文をとり、危なっかしい足取りで商品を運び、店員と一緒にほっと胸を撫でおろす。常連の客以外の人は少ないが、そのうち多くが来るに違いない。

 

 看板娘たるいちごがいるから。燃え尽きるのも早いが、休みながらして慣れて行かなきゃ……

 

「いちごますたぁ~終わったよー」

「テーブル拭きおしまい」

 

 着物幼女と黒服幼女はりぱーっ☆と終わったことを告げてくる。あとは二人への食べ物を用意しないといけない。

 

「マスター禁止」

「えー☆」

「パンケーキかホットケーキを彼女たちに」

 

 常連の柏木さんが注文してくる。りぱーっ☆と笑顔で静ちゃんの席へ座る。

 

「んじゃいちごのパフェとコーヒーのお代わり~」

 

 いちごはえーと声を上げる。

 いちごが看板娘にいる時の特別メニュー。いちごが作るパフェのこと。何が乗ってくるのかは客はわからないメニューである。

 

「コーヒーって何? この黒いの?」

「飲んでみる?」

「飲むー」

「飲みたいです」

 

 すすっと飲んで何とも言えない顔をする。

 静はにかっと笑って

 

「大人の味だよー」

「これは駄目です。絶対に駄目なやつです」

「これは甘い人の所業じゃない……」

 

 ずずぃっと怖い顔で迫る。その口に残ったパフェを入れる。と途端に

 

「ふわぁぁぁぁぁ~」

「りぷぁぁぁぁぁ~」

 

 二人の幼女は眩い笑顔に戻る。

 いちごはその様子を見ながらなんともいえない笑顔を向ける。

 パフェは出来上がり。あとは出して同時に休憩するだけ。

 

 奥からボールを渡される。それだけでいちごはいいの? と父親に向ける。

 あの方法をしろと? 受け取ると親指を立ててきた。

 小学生ぐらいの子をコーヒーの魅力に落とさせるには最強兵器だ。

 ちびっこ共よ。我が喫茶店の、コーヒーの魅力に全面降伏するがよい。

 

 

 コーヒーを幼女たちの前に置く。何とも言えない顔をするが、無視をする。

 スプーンを渡し、ボールの中身を大量にコーヒーに沈める。それはぷかっと浮く。

 

「ほら、すくって食べてみて?」

「!?」

 

 幼女たちは警戒する顔をしたが笑顔を向ける。幼女たちは顔を見つめ、それを口に入れる。

 

「ななな生クリーム!!」

「お、美味しい!! 甘い!!」

『いちごますたーいい人』

 

「いちごマスターはやめて。ほーらホットケーキにも乗せちゃうぞー」

「ふあぁぁぁぁぁ☆」

「ぷああぁぁぁぁ☆」

 

 二人の幼女を見ながら静は言う。

 

「落ちたな」

 

 それは誰に向けてか。生暖かな視線のまま欲しそうな顔をしている。

 

「いーい、美味しいは正義。甘いは正義」

『甘いは正義、美味しいは正義』

 

「美味しいものはみんなで食べる」

『美味しいものはみんなで食べる! 覚えた」

「よろしい。もっと食べて」

 

 こうして二人の幼女に大事なことを教えるのであった

 




登場人物説明
森いちご
引っ込み思案で小動物系。
人付き合いが苦手で人といると気疲れするような娘。
幽霊ホラーは苦手ないちごの髪飾りが特徴の可愛い系美少女である。
双子だが片方は死去。
喫茶店を継ぐ為、自分の性格を変えようと頑張っている。
ゲーム、漫画、可愛い系が好き。

だが、本編では――な人。
可逆性SNSミステリー『Project:;COLD』の登場人物。
詳しくは公式サイトのほうで。

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