梨:ゼロから二人で異世界生活を始める頃に   作:とある圭梨復権派

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雛見沢最高!雛見沢最高!雛見沢最高!雛見沢最高!雛見沢最高!雛見沢最高!雛見沢最高!雛見沢最高!雛見沢最高!

……あなたも雛見沢最高!と叫びなさい?

猫騙し編最新話恐ろしかったですね……


ボクこの作品の二話目に雛見沢の事は嫌いじゃないとかモノローグ書いちゃったんですけど、どうしましょうね(白目)

無理やり辻褄合わせるか目をつむってもらうか、「自殺を決心したことで雛見沢が嫌いじゃないことにに気づいた」みたいな適当な理由付で納得してもらうか

いやぁ大変だぁ……

あと今夜は猫騙し編最終回の放送日!どうなることやら……


心落し編 其の弐 「死体」

「……スバル?」

 

 ――路地裏に行けば、スバルに会える。その発想は何一つ間違っていなかった。

 現に古手梨花の目の前に彼は居た。

 

 ――いや、()()()()()と、そう表現する方が正確だろうか。  

 ()()は背中と腰の部分から血を流し、みっともなく涙で濡らした目が虚空を見つめていた。

 

 そう、そこにあったのはナツキ・スバルの成れの果て。その死体であった。 

 

「…………」 

 

 あのうざったいくらいに下手くそな会話術を披露していた口はもう何も紡ぎはしない。

 何かを求めるかのように、伸ばされている手は自身の腕を握ることもない。

 流れ出ている血は止まる気配がなく、彼がつい先程まで生きていた証拠のように思えた。

 

(……どうして?)

 

 その疑問に答えるかのように、目に入ってきたのはベットリと血に濡れたナイフ。  

 地面に落ちていたそれを拾うと、梨花は自嘲したように笑う。

 

「フフ……今度はあなたの番、というワケね……」

 

 前回、梨花はナイフで自分の首を思い切り裂き、自殺を図った。その結果、羽入と再開し、再び運命と戦う意志を取り戻した。

 だが、そうして再起した途端にカギと言われた少年がその『ナイフ』に刺されて死んでいる。  

 これは随分とまた酷い皮肉があったものだ。先程、羽入の話していた情報を制限する存在、そう神様なんてものがいるなら、なんて意地が悪いのだろう。

 

(……今回は最初から詰んでいた。もうこれ以上この世界で戦っても仕方ない)

 

 ジッと自身の手のナイフを見つめる。

 

 ああ、この少年が居なければ何も始まらないではないか。この世界で戦っても自分が聖ルチーア学園に帰れる可能性は限りなく低い。 

 ならば潔く今回は諦めて、もう次に進んだ方が良いのではないか?

 そうだ、これを前回と同じように自分の首に突き刺せば……

 

「バカね……もう逃げないって誓ったばかりじゃない……」

 

 そう呟いて手にしたナイフを地面にそっと置く。

 自分は今確かに、この世界を諦めかけていた。逃げようとしていた。

 だが、それをあの羽入が見たらどう思うだろうか?

 あの自分を叱咤激励して消えていった羽入がこうする事を良しと思うだろうか?

 

 そんな事、考えるまでもない事だった。 

 

「はあ……この世界でも私は賽の目に頼り続けなければならないのね……」

 

 ただ、再起した梨花の懸念はそこであった。

 前回、いや自殺したあの回をカウントするならば、前々回の世界。

 はじめてナツキ・スバルと出会った世界での事。彼はそこではこんなふうにナイフに刺されて死んではいなかった。

 少なくとも盗品蔵で死体を発見し、謎の女に襲撃されるまでは元気に生きていたはずだ。

 

 それがどうしてこうなってしまったのか。

 その謎の答えに心当たりはあるが、だとするならば、自分はまた世界へと来るたびに起きるイベントに対して一喜一憂する事になる。

 それが憂鬱で仕方ない。

 

 ――梨花の心当たり、それは世界のランダム性である。

 彼女は、100年間雛見沢でループを繰り返していたが、何も起きる事全てを把握し、予想できたわけではない。

 

 むしろ、ループ物によくある観測者の干渉――それだけでは決して説明できないような予測不能の出来事が数々起きていた。

 それは、梨花の巻戻りがその世界の時をそのまま戻すのでは無く、よく似た近くのカケラへと移るものである事の弊害であり、仕方の無い事でもある。

 そして、そうやって起きる出来事たちは梨花本人にはどうしようも出来ない部分であることが多い。

 

 例えば、真っ先に思いつくのは詩音が暴走する世界でのおもちゃ屋のイベントだ。

 このイベントは何もループ毎に毎回起きていたわけではない。起きない時もけっこうな確率であったりした。

 そういう時は、胸を撫で下ろしたものだった。ああ今回は拷問されないで済むな、と。

 

 他にも、圭一が法事のために東京へ行ってしまったり、北条鉄平が雛見沢にやってきてしまったりと、惨劇の発端になる事や予兆になるものが多く、そういったイベント達を把握し、攻略法を考えるのが梨花の戦い方だった。

 

 だが、正直このやり方はあまり気の進むものでは無い。

 これは()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ループを繰り返せば肉体は死なないが、心はやがてすり減って空っぽになって死んだも同然になってしまう。

 それは重々承知しているので、やはり死ぬ事はなるべく避けなければならない。

 

「それにしても、コイツ、なんでこんな早く死んでるのよ……」

 

 これもまた彼女の頭を悩ます問題であった。

 世界がランダム性だというのなら、梨花が目覚めてからのこの短期間でスバルが死んでしまうこのカケラはハズレ中のハズレだ。

 

 正直、目覚めてすぐに路地裏へ全速力で走って向かったとしても間に合う気がしない。

 それぐらいの速度で死んでしまっている。

 

 羽入の言葉からして彼が居ない世界なんてのは論外なのだ。

 それほどの重要人物の生死が干渉できないタイミングでランダムに決まってしまう、というのは本当に困る。

 

 もし、これ以上のランダム要素があったらどうすれば良いんだろう。もし、いつまでもスバルが死んでいない世界を引けなかったらどうすれば良いんだろう。

 

 そんなふうに浮かび続ける疑問が再び立ちあがった自分の足を挫きそうだ。

 

「いいえ、こんな事考えていても仕方ないわね」

 

 そう言って、無理やり湧き出る絶望感を振り切る。

 そうだ、考えても仕方ない。考えたところで事態が解決するワケでもない。

 こうやってウダウダ悩んで路地裏に突っ立っていても時間の無駄でしかない。

 

「今、私が向かうべきなのは……盗品蔵ね」

 

 今出来ることを、この世界でまだ出来そうな事をするしかない。

 例えば、情報収集だ。

 今後、スバルと行動を共にするつもりでいるのだ。ならば、また彼とサテラが出会い、徽章を探しにあの死の運命が待ち構える貧民街に行くことになるのは想像に難くない。

 無理やり、行く事を止められるだろうか? 

 いや、見ている感じだと彼はサテラに心底惚れているようだった。

 自分が止めたところできっと行ってしまうだろう。

 

 ならば、その盗品蔵で徽章を取り返しつつ死の運命を乗り越えるしかない。

 そのためには、情報が要る。

 あの自分たちを殺した謎の女はいつからあそこにいるのか?

 どうすれば逃げ切れるのか?

 きっとあの女に殺されたのであろう落ちていた死体はいつからあるのだろうか?

 使えそうな道具は?近くに頼りになりそうな人は?

 

 そういったヒントさえあれば、また攻略法も違ってくるだろう。

 もしかしたら次回へのあと一回だけのループで無傷で突破できるかもしれない。

 なんとしてでも突破口を見つけなくては。

 

「次はこんな簡単に死なないでね」

 

 スバルの頭をゆっくりと撫でながら願いを込めて呟く。

 もし彼が生きていたら、きっと狂喜乱舞するに違いないこの行為は弔いの意味を込めていた。

 今の梨花はお金どころか持ち物すら何もない。天下不滅の無一文なんて自己紹介していた彼を笑えないレベルだ。  

 それでも死者は弔わなければならない。

 人の死を悼む。それすら出来なくなってしまった時がきっと人の心を無くしてしまった時なのだろう。 

 

 そうはなりたくない。いや、なってはいけない。

 人としての一線として譲ってはならないのだ。

 

 彼の頭を撫でながら思う。

 さぞ彼も辛かったろう。

 突然連れ込まれた見ず知らずの世界で、ワケも分からぬままに殺されて。

 しかも、ナイフで二度も刺されて。刺殺の痛みは自分も知っている。

 血が抜けていって、死を悟った時、彼はどんな事を思っていたのだろう。

 想像すると、彼が不憫でならなかった。

 

「あなたも、次の世界では幸せになれますように……亅

 

 『幸せになれるまで戦う』。そんな目的を抱えている梨花であったが、そうして辿り着いた世界で彼もまた幸せに暮らせる事を願って止まないのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「相変わらず、あんまり長居したくないところね」

 

 まあ、ループして同じ日に来ているのでそれも当然なのだが。

 貧民街には二度目という事もあって簡単に辿り着くことが出来た。

 もはや聞き込みの必要もなく、真っ直ぐに盗品蔵へと迎える。

 

「開けた瞬間、あの女が飛び出してきて、即お陀仏なんて笑えない展開にならなければ良いけど……」

 

 そんな懸念を抱えながら、ゆっくりと取っ手に手をかけ、扉を開こうとする。

 

「……開かない?」

 

 おかしい。前回は、確かにカギがかかっておらず開いていたはずだ。

 早速前回との違いが起こったことに若干焦るが、すぐに落ち着く。

 こんな事でいちいち驚いてなんていられないのだ。

 

「誰か、居ないの?」

 

 コンコンと、扉を叩きながら、向こう側へ問いかける。

 正直とても怖い。

 もし、先程抱いた懸念の通りに殺人鬼の女が居たらどうしよう。

 こんな何も情報を得られていないままで死ぬわけにはいかない。

 

「……おねがい!誰か出てきて……」

 

 コンコンコンコンと、もはや連打に近い形で扉を叩く梨花。

 不安を誤魔化すための行為だったが、果たしてそれは良い結果をもたらすことになる。

 

「やかましいわぁ!! 合図と合言葉も……って嬢ちゃん、こんなところに何のようじゃ?」

 

「……!」

 

 勢い良く扉を開き、扉を叩き続ける無礼者への文句を漏らしながら一人の壮年の男性が出てくる。

 そこで出てきたのは、梨花にとって見覚えのある老人だった。

 

 前回、ここで殺された時に無残に喉を切り裂かれていた死体。そうだ、彼に違いない。

 彼はこの時点ではまだ生きていたのだ。

 早速かなりの情報を得ることが出来た。彼を殺したのは恐らく、自分たちを殺した謎の女のはずだ。

 だとするならば、少なくとも今この時点では盗品蔵の中に潜んでいる可能性はかなり低い。

 

 すると次回は、このタイミングまでにどうにかスバルとサテラをここに連れて来ることが出来れば、何とかなるかもしれない。

 それに中に誰も居ないのならば、今回の周はかなり安全に盗品蔵の中を探索できるだろう。徽章を手に入れる方法を見つけられるかもしれない。

 

「……嬢ちゃん?」

 

 考え込んで何も返さない梨花に老人は怪訝な顔で覗き込む。

 このまま何も答えずに怪しまれるのもまずい。

 さて、どうするか。

 いや、考えるまでもない。やはりあの手に限るだろう。今までの度重なるループで身につけた最強の処世術。圭一の言う萌えの塊である羽入を参考に編み出した最強の必殺技。

 これを使えば、老若男女問わず、どんな者だろうと即座に自分の味方に付く魅了技。

 

 さあ、とびきりの笑顔であのワードを口に出すのだ。 

 

「みー、にぱー☆」

 

「に……にぱー?」

 

 ここからが正念場だ。なんとしても徽章を手に入れる方法を見つける。

 大丈夫だ。自分にはこの萌え落としがある。

 これから行われるゲームにはかなり有効なスキルだ。

 

 ワケが分からないと停止してしまっている老人をよそにそんな頭の悪そうな理屈を展開する梨花。

 これは彼女の悪い癖の一つだが、勝てそうになると彼女はテンションが上がって調子に乗ってしまうのだ。

 

 そんな欠点をもちろん自覚していない彼女は、ただ心の中で宣言するのだった。

 

(さあ、『交渉』の時間よ!)

 

 

 

 

 




タイトルの『死体』はスバルとロム爺のことです
投稿ペース急激に落ちてマジで申し訳ないです
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