こちら獄楽島泊地放送局   作:綺羅鷺肇

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放送:初

「G・H・H、G・H・H。こちらは獄楽島泊地放送局です」

「南西諸島海域を航行中の船舶及び艦娘、聴取範囲でたまたまこの放送をひろった人や妖精さん、後、獄楽島泊地所属のみんな! こんばんはー! 本放送局は、本日1900より2000までの1時間、娯楽厚生及び広報の一環として、獄楽島泊地での出来事や日々の活動をお伝えすると共に、リスナーの皆さんから歌曲リクエストや誰かへの伝言等々を受け付けます! パーソナリティは陽炎型ネームシップ陽炎よ。まだできたてのほやほやだから、手探り半分の進行になると思うけど、よろしくね!」

「さて、記念すべき最初のナンバーですが……、はいはい、ええと……、あー、えー、こほん、ラヂオネーム【ていとくぎょうはぶらっくなりぃ】さんからのリクエストで、『月月火水木金金』」

 

 ―歌曲放送中 『月月火水木金金』

 

 ―歌曲終了(BGM『母港』が流れ始める)

 

「さて、改めましてこんばんは。本番組は日々の艦隊勤務や基地業務に追われている艦娘や妖精さん達、危険な南西諸島海域を行く船員のみなさんに、一時の癒しと笑い、愚痴や怒りの吐き場所を! ということで、うちの司令が大本営とかなり激しくやりやってもぎ取った、小規模軍用娯楽放送です。……え、なに? そこは言わなくていい? またまたー、司令が普段見せないオスの顔で吠えてたの、みーんな知ってるんだからねぇ。これを今言わずにいつ言うの!」

 

 ―拍手喝さいのSE

 

「うんうん、妖精さん達、わかってるぅ。あ、司令、お礼なんていいのよぉ。っと言っている間にも早速お便りが、届いたのかなー。……はい、ラヂオネーム【ぶっらくたいどぅ】さんから頂きました。『こんばんはー。今日から始まるってことやから浴場で聞かせてもろてます。それでさっそくやけど愚痴吐かせてもらうでぇ。うちらの鎮守府、やなかった、泊地なんやけど、できたばかりで大変なんもわかってるし、司令はんが悪いわけやないのもじゅーぶんにわかってんのやけど、なぁ、こう毎日毎日出撃ばっかりやとたまらんで。今日もイイのもろてしもて、体中が痛くてなぁ。だから! 船渠なんやけど、エステとかマッサージとかみたいな贅沢はいわんから、せめて湯舟だけでも、もうちょう広うしてくれんかなぁ』とのことです。……あー、わかる、わかるわぁ。うちの泊地、元からあった古い避難小屋と灯台、プレハブの通信施設に後は……司令が妖精さん達と造った退避壕とほったて小屋二つがあるだけなんだけど、小屋の一つを船渠って言い張って使ってるだけだからねぇ。ほんと、一番いい建物が放送に使ってるプレハブだなんて、ねぇ。……というわけで、司令。……え、なに? 善処する?」

 

 ―ブーイングのSE

 

「言葉が足りない! ここは確約を頂かないとって、え? 当初の予定では資材は十分にあるはずだったし、設営隊も来てくれる予定だったんだけど、この前に大本営が《ばばん》作戦を実施した影響で、うちの割り当てが削られた? はぁ、またもう大本営は……、机上の作戦ばっかり優先して、補給計画がお粗末なのは今も昔と変わらないってことかしらねぇ」

 

 ―君たちには失望したよ(ろくおん

 

「はい、失望したよを頂きました! これには妖精さん達もお怒りのようですねぇ。まったくもぅ、この辺りをおろそかにして、前の大戦で痛い目にあったっていうのに、この始末。海の底や空の彼方から溜息が聞こえてきますわ。……といった大本営批判はひとまず置いて、うちみたいな場末の泊地って航路からかなり外れてるから、補給が後回しにされちゃうのよねぇ。仕方ないから、妖精さん達の謎装置で海水から必要な資源を抽出してるんだけど、足りる訳ないしで、はぁ。りっぱな泊地はいつになったらできるのか、ちら。……あーと、なになに、来週から週三で、沖縄か佐世保まで物資を取りに行ってもらう、よてい?」

 

 ―ぱたりと倒れる音

 

「ドラム缶、担いで?」

 

 ―いえーす(ろくおん

 

「ノーなんだからって言いたいけど、無理よねぇ」

 

 ―いえーす(ろくおん

 

「ならせめて、ようかんのひとつくらいは……」

 

 ―ノォぅーなんだからね!(ろくおん

 

「けちっ! え、司令が空き地で作ろうとしている、サトウキビ畑ができたらいくらでも、って! 年単位で待たないといけないじゃない! やだー、甘味甘味、いますぐ甘いモノほしいー、っと、んん、どうやら、はじめて島外からのリクエストかなーっという割には、なにか慌ただしいような? ……あー、司令が走って出て行ったってことは? まずい事態、かなー? ……えーと、うん、うんうん、了解。……只今、本放送局は近海を航行中の船団より救難信号を受信しました。当該船団が本放送を聞いているかはわかりませんが、佐世保鎮守府及び那覇基地に事態を通報すると共に、本泊地からも救援の駆逐隊を派遣します。……ん、了解。逆探により船団の推定位置を把握しました。先行して、ゼロ偵と瑞雲隊を発進させます。私たちはあなた方を決して見捨てません。救援は必ず届きます。護衛隊のみんなも、今こそが踏ん張り時よ! 今できることを全力で為し、諦めずに頑張りましょう!」

 

 

 ―以下、初回放送終了時まで、現状報告と激励の言葉が続いた。

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