こちら獄楽島泊地放送局   作:綺羅鷺肇

7 / 7
放送:3

「G・H・H、G・H・H。こちらは獄楽島泊地放送局です」

「南西諸島海域を航行中の船舶及び艦娘、聴取範囲でたまたまこの放送をひろった人や妖精さん、後、獄楽島泊地所属のみんなー! こんばんはー! 本放送局は、ええと、1900より2000までの1時間の間、娯楽厚生及び広報の一環としてっ、獄楽島泊地での出来事や日々の活動をお伝えし、またリスナーのみんなからの歌曲リクエストや誰かへの伝言等々を広く受け付けるよ! 今日のパーソナリティは陽炎型19番艦、秋雲だよぉ。よっろしくー!」

「ではでは、早速最初のナンバー! ラヂオネーム【きたのしまのほっぽ】さんから、『雪の進軍』!」

 

 ―歌曲放送中 『雪の進軍』

 

 ―歌曲終了(BGM『母港』が流れ始める)

 

「はーい、改めましてこんばんはぁ。本番組は日々の艦隊勤務や基地業務に追われている艦娘や妖精さん達、危険な南西諸島海域を行く船員さんに、一時の癒しと笑い、愚痴や怒りの吐き場所を! っていうことで始まった小規模軍用娯楽放送だよぉ」

 

 ―拍手喝さいのSE

 

「うーん、聞く側から話す側に回ることになるなんてさーぁ、昨日まで思ってもみなかったけど、やってみるとなんか楽しいっていうか、意外とこころ乗ってくるものがあるのかなー。って、こっちのことは置いといて、まずは今週の内に届いたお便りに参りましょう! えーとまずはー、ラヂオネーム【オータムクラウド49号】さんからー、『いいなー、108号の所はさぁ、かなりいそがしいみたいだけど、絵を描くこと自体は自由みたいだしさぁー。それに比べて、うちなんて絵を描く自体が禁止されてるしー、ほんと、ぜったいに、そっちのがましでしょー』。なにをいっているのか、さっぱりわかりませんねぇ。つぎいきましょー、ラヂオネーム【オータムクラウド88号】さんからー、『さっき有明さん見かけたからみんなの分も拝んどいたよー』、おお、これで今年もって、なにをしているのかわかりませんねー。次ー、【オータムクラウド102号】さんからー、『108号、なんか忙しそうだけどさー、次の合同誌どうするー? いけそー?』。いま少し時間があるか頼りになる助手(風雲)がいてくれればねぇって、な、なんのことでしょうかねー。はいつぎつぎー、ラヂオネーム【オータムクラウド1号】さんからー、『108号、つぎのコムパいけそう? どっちにしろ、いつも通りに連絡をよろしくー』。今回はー、んー、さすがにむりかなー、じゃなくて、さっきからほんとになんのことだかわかりませんねぇって! 司令ぇ、これどう考えても私宛の私信ばっかじゃんかっ! っていうか、笑いすぎっ!」

 

 ―何その顔? まさか不満なの?(ろくおん

 

「な、風雲の声! いつの間に!」

 

 ―秋雲……あっ、悪い子じゃないのよ?(ろくおん

 

「ちょ! なにそれ! いつのまにそんなの用意したのさ! え、秋雲の為に特別に?」

 

 ―ああ、お礼なんていいのよ~(ろくおん

 

「いや、お礼なんて言わないから! っていうか、司令がそんなことするんだったら、次はこっちで選ぶかんね! えーと、この山からー、よしこれ! 【ドュフフフのふ】さんから『艦娘の駆逐艦は我が理想の体現。なれど近所の鎮守府に近づけば荒々しい潮の流れに弄ばれて、……あ、あ、……ど、どこに、どこにいるでござるか? 憲兵さん達にお世話になる日々。嬉し楽しくも疲れもうした。ゆえに、せめて我らが同志たる秋雲様にお慰みいただきたい。今日のパンツのガラと、色は何色でございまするかぁ? くさい飯を食う前に是非とも教えてくだされ』って、なーにーこれー、セクハラぁ? いいのぉ? ……あ、当然ダメ? そりゃそうだよねぇ。……しかし、私はあえて応えてあげよう! 今日の私のパンツのガラは《ばばん》で、色は《どどん》! って、ちょっと、司令! 邪魔するのはなしっしょ!」

 

 ―あか~ん。こりゃあかんでぇ(ろくおん

 

「むむむ? 大本営のとある部署が聞き耳たててるから、下手うつと許可が取り消されてマズイ? んー、それならしかたないなー、ここは牛缶1つでって、んんっ? びびびっと、これは……ドラム缶を担いでいる我らが長姉からの電信かなー? なになにー、『イマノハアウトペントリアゲル』。……はい! じゃあ次のお便りに参りましょう! えーと、ラヂオネーム【長年のぎもん】さんから、『ずっと前からのぎもんなんですが、秋雲さんは陽炎型ですか? それとも夕雲型ですか? ご本人の見解が知りたいです』。……ブツブツ(またもうめんどうくさいところに)。こほん。えー、秋雲さん的には分類上は甲型駆逐艦なのは間違いはないので、もーどっちでもいいというか、面倒なら秋雲型にしてもらってもいいかなーって。え、司令、なに? ………………あ‶ー、もー、そんなに秋雲さんの好感度を上げても絵しか出てこないよ? ……って、はい、この話終わりやめやめ! 次に行きましょう! ラヂオネーム【しがないふなのり】さんから! 『獄楽島泊地ができてから、南西諸島海域での対潜警戒の回数が地味に減ってきてる。感謝!』。……おー、これはなにかなー、うちの働きが役立ってるってことなのかなー?」

 

 ―いえーす(ろくおん

 

「えー、司令さぁ、いくら今のがうれしいからってさ、簡単に表にだしたらダメじゃない? ここは提督らしく、峻厳な顔で謙遜の一つでもしないとって、え、いつ死ぬかわからないんだから喜べる時は喜びたい? あー、司令が気合入ってるのは知ってるけどさぁ、もう少し肩の力を抜いたほうがいいんじゃないかなぁ。……えっ、陸の時の同期は大半が九段に? だからこそ、か……、司令も職場環境が悪かったっていうか、私たち並みの……経験、してるんだねぇ」

 

 ―ノォぅーなんだからね!(ろくおん

 

「え、気にするなって? ……いや、それはさすがに秋雲さん的にもないっていうかー、ほらやっぱり、色々と思う所があるっていうかー、……んんっ、今届いたのを読め? どれどれー、ラヂオネームは【ふううんじゃないから!】さんから。『ちょっと大丈夫? 急にしんみりするなんて似合わないから。あっ、もしかして熱とか出てるんじゃない? 今度、こっちからお芋送ってあげるから元気出しなさいよ』 ………………くっ、心配されて嬉しいような悔しいような、この得も言われぬ感情はなんと呼べばいいモノか。とりあえず、こっちに遊びに来た時に水着姿描いたげるからね。あ、それと今度コムパ参加する時に売り子よろしくー」

 

 ―なんでぇ!?(ろくおん

 

「ぶふっ。し、司令、そんな声も取ってたの? え、大阪警備府のみんなが喜んで協力してくれた? ……そっか。よしっ、しんみりするのはここまでっ! 次のお便りー、いや、ここはリクエストに参りましょう!」

 

 その後、気を取り直した秋雲は陽気に、時に調子に乗りながら、無事に放送を終わらせたのだった。

 

 

 尚、長女によるペンの取り上げは提督のとりなしもあり、半日程度で済んだ模様。

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