ダンジョンに蟲使いが現れるのは間違っているだろうか。   作:珊瑚宮出身イマジン

18 / 20
先週なんとか就活の内定決まったので初投稿です!ちょこっとでも更新頻度上げれるよう頑張ります…

もうここまでくると投稿の遅さがデフォになってる気がしちゃってますけど、それでも申し訳ないです…
代わりにと言ってはあれですけど、クリスマス辺りに(新規のも含めて)3か5?作分投稿する予定ではありますのでそれで許してください_|\○_

あとこれは読者の皆さんへの質問なんですけど、ダンまち本編の60階層から下の情報ってどこで入手できるのでしょうか…??文献とかあったら教えてください!


追記:誤字報告ありがとうございます!即確認して訂正させていただきました。


それではどうぞ。


グルメ16:豊穣の女主人にて

労働やボランティアといった自らの行動などで人や街に貢献した者には、相応の対価が必要だ。

ある時は、その者に対しての金や物といった形として残る報酬であったり。

またある時は約束事や信頼などの、形には残らないが当事者にとっての大事なものであったり。

その形は千差万別、人それぞれというものだ。

 

そしてそれは全ての者に与えられるべきものだと、(女神)は思う。

自身のみが娯楽を満喫したり裕福に暮らすというような事をせず、その娯楽や裕福さをなるべく全ての者に平等に分け与えるべきだと(女神)は思う。

 

「は〜〜〜!ベルくんの髪、サラッサラで触り心地最高だわぁ〜〜〜!!

私、これのために頑張りたくなっちゃうわねぇ……」

 

「(神様、そんなにくっつかれると食べ辛いのですが…。あと、擽ったいです…)」

 

ならば、普段あれこれと頑張っているーー今回はとある出来事によって多少の不機嫌も含むーー私に対して、新人ことベルくんのーーー現在食事中だけどもーーーこの触り心地のいい髪をひたすら触って顔を埋めても、きっと許されるだろう。

私はそう思うのだ。

ちなみにベルくんの髪の触り心地よさを知ったのは、前回ステイタス更新をした際に少し触れたからだ。

 

 

……等と、心の中で誰に向けてかもわからない言い訳を並べ立てながら、この女神ことヴァーリはベルの髪に癒されていた。

夕刻時、現在ファミリアのホームの法廷の館には起きたばっかりのベルとその看病役であるギルドから戻りたてのヴァーリのみが残っていた。

 

 

テーブルに、大量の料理を添えて。

 

 

あれから暫くしてベルは漸く起床。

しかし、ベルは先の戦闘の影響によってカロリー不足で声を発する事自体が難しい状態だった。

そのことを予め把握していたトミーロッドは、デーモンデビル大蛇をメインとした様々な食材を用いて傍から見ていたヴァーリが思わず引く程多数のメニューを高速で作り置き、本人はアフテク達に勧められ視察がてらオラリオの酒場である「豊穣の女主人」に先発して向かうことになったのである。

 

「(意外…!トミーロッドさんって誰の指示や誘いも受けないようなイメージあったんだけど、違うのかな…?)」

 

起きた後のヴァーリからの説明を聞いた際に、ベルはそう思っていたとかないとか。

なお、ベルが思っていたことは実際殆ど違っていたということだけここに記しておく。

 

一方、ヴァーリは仕事を終えて昼過ぎということで優雅な紅茶タイムを楽しんでいた時に、またもや巨大なモンスターを抱えて飛んでいた人物の件で再度ギルドから呼び出しを受ける。

「どういうことだね?これは」から始まったギルド長ロイマンの執拗な質問責めに合い、グッタリとした表情と脱力した状態の体を引き摺るようにホームに戻り玄関を開けた後、真っ先に視界に入ったのは倒れているベルとそれを担いでいるトミーロッドの歩いている後ろ姿。そして周辺の大小様々な食材が玄関一帯を支配している惨状。

 

足元の隙間すらないような状態に、さすがのヴァーリもこれには無意識に思考と足を止めてしまう。

また、今までに見かけたことすらもない香りや見た目の食材達に思わず目を奪われてしまうが、たまたま通りがかったレグリオの声かけによって我に返る。

そして慌ててベルの介抱に眷族たちと奔走している間に、いつの間にかトミーロッドが大量の料理を拵えていたという。

そうして起きたベルのステイタス更新を行う前に、現在こうしてトミーロッドが作り置いた料理を食べているということだ。

 

 

少しその様子を見ていたヴァーリだが、途中自身の顔ほどの大きさの色鮮やかなハンバーガーを顎を外す勢いで大きく口を開けて食べたり、逆に小さくも正確にサイコロ状に切られたステーキ肉を一個一個丁寧にフォークで口に運ぶなどといった、頬張りながらもしっかり噛んでゆっくり味わうように食べているベルに、小動物のような愛らしさがあると気付く。

気付いてからのヴァーリの行動は早く、ゆっくりと髪をなぞるように触ったり後頭部に軽く顔を埋めるといった、ベルの食べるところを邪魔しない程度(ヴァーリ談)に癒されていた。

 

それに対してのベルはというと、やめてほしいといえばそうなるのだが、生来の性格と神様相手ということであまり強く言えずにいた。

更に言うなれば、密着とは言わずともそれに近い状態で後ろからくっつかれているため当たるところが当たってしまい、ついでに後頭部越しで女性の吐息がかかっていることで男として邪な感情を抱かずにはいられないような状態だった。

 

……そう。

本来ならば世の男の100人中100人がそのような問いを投げかけられた場合、必ずと言っていいほどそう答えるだろう。

だが、ここにいるのはベル・クラネル。

そして、彼は()()()()()()もあり超がつくほどの鈍感男だ。

普通ならば男として抱くはずの感情を持つこともなく、むしろ普段と変わらないような態度で食事を続けていたのだ。

それどころか、少し()()()()と感じてしまっている…というのが現状だった。

 

『おい、このアホ女始末した方が早いんじゃねーのか?』

 

『ゼブラさん!?だ、ダメですよ!!この方は神様なんですから!!』

 

『知るか、俺の邪魔をするやつは全て消せば済む話なんだよ!』

 

『済みませんよ!?と、とりあえずそこをなんとか踏み留まってくださーい!!』

 

そんな彼の淡々とした気分は、少しした後に食事の速度が落ちていることに苛々し始めたゼブラによって一瞬にして焦りに変わってしまい、グルメ細胞の悪魔が顔を出すのを抑えるのに必死になっていたのだった……。

 

 

 

❏❑❐❐

 

 

 

「誘っといていうのもあれだが、来てくれるなんて珍しいなトミーロッド。てっきり断るかと思ってダメもとだったぞ」

 

「別に?この世界の食について理解を深めておこうと思っただけだよ、どうせ不味いのはわかっていることだけど」

 

「ほ〜ん?その割にはえらく乗り気だったように見えたんだが、俺の気のせいか〜?」

 

「………」カサカサカサ

 

「わ、わかった!わかったから無言で口から蟲出そうとするのをやめろ!な!?」

 

「…ふん、最初からそう言えばいいんだ。」ガリッ

 

「お、おう……(今の食った、のか…?えぇ…)」

 

「お前たち何をしている、早く行くぞ。」

 

「そうですよ!アフテク様をあまり待たせてはなりません!」

 

「副団長〜、あんまり遅いと置いて行っちゃいますぞ!」

 

「わ、わーったよ…」

 

一方、トミーロッドとヴァーリファミリアの全員は外食を取るということで雑談等を交えつつも、目的地の『豊穣の女主人』へと向かっていた。

…が、実際のところただ食事をするだけならば、トミーロッドが用いるグルメ食材の料理のがずっと美味しいことはここ1週間ほどで全員もわかっていた。

では何故豊穣の女主人へと向かうのか。

それは、今もその店にて働いている1人のとある店員に用があるからだ。

食事はそのついでのようなもの。

ヴァーリファミリアは、その店員に用がある時に連絡も兼ねて食事に行くということを、不定期に行っているのだ。

アフテクが今回持っている少し大きめの紙袋も、そのために用意したものと言える。

なおトミーロッドもこの件を一応伝えられてはいたのだが、本人はどうでもいい事柄だと判断し途中から適当に聞き流していたのだった。

 

「いらっしゃいま…ん?あっ!ヴァーリファミリア御一行様にゃ!」

 

「久し振りだな、アーニャ。元気にしていたか?」

 

「毎日ミア母ちゃんに扱き使われる日々だけど、なんとか元気にゃ!

…ん?今日は主神様はいないのかにゃ?」

 

「ああ、今は訳あって新人の面倒を見ていてな…後から来るとのことだ。」

 

「おお!ついにヴァーリファミリアに新人さん!これはめでたいにゃ! 早速ミア母ちゃんに伝えてくるにゃ!!」

 

「いや、先に席を案内して欲しいのだが……って、もう行ってしまったか。ふふ、相変わらず落ち着きのないやつだ」

 

「あんの小猫風情は…アフテク様を無視するどころか待たせるだなんて、いったいどういう神経しているんだか……」ブツブツ…

 

「(と言いつつ毒を出さなくなった辺り、ディニエルはしっかり変われたようで何よりだ…)

ふふっ…」

 

「アフテク様?如何なさいました?」

 

「ん。いや、特に何もないぞ。」

 

「…?」

 

そうこうしている内に一行は豊穣の女主人へと到着し、1人で盛り上がり先に店内へと駆け出して行った、猫人の店員であるアーニャを見送っていた。

その際にディニエルからの不穏な言葉が聞こえてくるが、心情と態度の変化に少し喜ぶアフテク以外の一行はいつものことのように流していた。

そうして少し待っていると、店の奥から1人の黒の髪をした女性でもう1人の猫人こと、クロエ・ロロが現れる。

 

「お待たせしてすみませんニャ!ヴァーリファミリア御一行様ですニャ?いらっしゃいませ!」

 

「ほう、クロエか。そちらも相変わらず元気そうで何よりだ」

 

「おかげさまでニャ!ささ、外で立ち話もなんですし、席に案内しますニャ!」

 

「ああ、頼む。」

 

「ん?お、おいあいつらって…」

「バカッもう忘れたのか…!?例のヴァーリファミリアだ」

「ああ、例の巨大モンスターの件のことか?あのオカマみてぇなやつもいるってことは、そういうことだよな…?」

 

クロエのアフテクとの会話を長くせず、かといって客を手ぶらで立たせないように手早く席へと案内する様子は、さながら接客に手慣れた1人の立派な店員の姿そのものだ。

そんなクロエの案内によって、一行は店の西側にある丸いテーブルを囲むように全員席に着く。

途中周りの客からひそひそと小さく会話が聞こえていたが、特に気にすることでもないというアフテクの判断によって無視を決めていた。

 

「久しいね、アフテク!事務仕事の方はもういいのかい?」

 

「久しいな。大丈夫だ、手分けして行えたからな」

 

「あっはっは!!そうかいそうかい、そいつはいいことだ!注文はいつものかい?」

 

「ああ、それで頼む」

 

「それじゃあ失礼しますニャ!」

 

「ああ、クロエもありがとう」

 

ミアとの軽い雑談を交え案内を終えたクロエが厨房に戻り少し経つと、漸く戻ってきたアーニャによってお冷が運ばれてきた。

そうして皆が一杯飲んで一息ついたところで、アフテクが立ち去ろうとしていたアーニャに声をかける。

 

「すまないがアーニャ、リューを呼んでくれないか?いつもの件だと伝えておいてくれ」

 

「了解にゃ!すぐ呼んでくるにゃ!」

 

そう聞いたアーニャは、すぐさま同じ店員の1人であるリューを呼ぶため再度店の奥に戻っていく。

そのまま暫く待っていると、それなりに多めの料理と共にそれを運ぶ薄緑色の髪を持つエルフこと、リュー・リオンが現れた。

 

「お待たせしました、こちらが料理です。

…そしてお久しぶりです、皆さん。お元気そうで何よりです。」

 

「久しいな、リュー。お前も元気そうで良かった。」

 

「ええ、本当に…。

 今日はいつもの件、で合っていますか?」

 

お互いに小さく微笑みながら、再会の挨拶を行う。

そう、ヴァーリファミリアが用があるという店員は、このリューのこと。

今でこそ彼女は店員だが、昔はれっきとしたレベル4であり現役冒険者だったのだ。

更に言うなれば、当時の彼女の所属ファミリアは『アストレア・ファミリア』。

かつてのオラリオ有数の精鋭揃いである正義の眷族にして、今はなきファミリア。

そして、数少ないヴァーリファミリアと深い親交があったファミリアだ。

かつては無償でお互いの眷族を遠征の手伝いに向かう程の仲のファミリアに、なくなってもなお気にかけたいというのはファミリアの総意なのだとか。

そんなわけで、不定期ではあるが時折食事ついでに様子を見に来たり用を済ませているということだ。

 

「ああ、今日はこれを渡しに来たんだ。」

 

そう言って、アフテクは所持していた少し大きな紙袋を丁寧にリューに渡す。

 

「本当にありがとうございます。アフテク様には、いつも助けられてばかりです…なんとお礼を申し上げれば良いのか……」

 

「なに、いつものことだ。こちらには何も影響はないから、気にすることはないぞ。」

 

受け取った紙袋を少し開き、中を見たリューがアフテクに深く頭を下げると共に心のこもった感謝の言葉を伝える。

それに対して、アフテクはまるで当然の事と言わんばかりにいつも通りに話す。

 

アフテク達ヴァーリファミリアがリューに渡した物とは、アストレア・ファミリアの元主神にして現在都市外に避難中の主神アストレアへのお金や服、日用品などの仕送りだ。

 

情報漏洩回避のためリューとアフテク、そしてヴァーリしか場所を知る者はいないのだが、現在アストレアは都市外にて貧しいわけではないが、そこそこ苦労する生活を送っているとのこと。

助けに行きたいのもやまやまなのだが、アフテクとヴァーリはそれぞれ1ファミリアの団長と主神。

不定期でも都市外に向かって直接仕送りを渡すことができるほど、長期的に暇ではない。

故に、唯一渡せるリューに中継して貰うしかなかったというわけだ。

 

そういったやり取りを行っていると、店の入り口の戸が開く音が響く。

 

「ちわーっすミアさん!元気にしてたー?」

 

「し、失礼しまぁす…」

 

「お、おい…あの白髪のガキって…」

 

「あ、ああ…多分例の運ばれていた新人らしきやつで間違いなさそうだぞ…」

 

「やっぱりか…」

 

女性らしからぬ豪快な声と共に店に入るヴァーリ、そしてその影で小声で続くベルの姿があった。

その影でまたも別の客が小声で話していたが、些細なことだった。

 

「…ほう?さすがグルメ細胞、といったところか…」

 

「またあのバ神は……いやそれよりも、ベルの声が戻っているようだな。良かった…」

 

そんなヴァーリの様子にため息混じりに呆れながらも、ベルの声が小さいながらも戻ったことに安堵の表情を見せるアフテクがいた。

そしてベルの回復の早さに内心感心しつつ、小声で呟くトミーロッド。

 

「そうだミアさん!また話聞いてもらっていい?まぁたストレス溜まることがあってねぇ…」

 

「またかい…あいよ!この仕込みが終わったら少しだけ行くから、ちょいと待ってな!」

 

ミアはいつものことのように軽くため息をつきながらも、料理の手を止めずにヴァーリの呼びかけに応える。

普段は厳格な姿勢で店を経営しているミアだが、時にはこういった世話焼きな部分もある辺りが慕われている所以なのだろう。

 

「んで?声はどのくらい戻った?」

 

「えっと……、多分8割くらいだ、ってゼブラさんが言ってます」

 

「そうか。ならここの飯でも食ってれば回復するだろ」

 

「そうですね…!」

 

「結構回復したんだな…って、ゼブラ?誰だそいつ?」

 

「ふむ……音の力、か…」

 

「え?えーっと…この力の元の持ち主、みたいなものです。」

 

「?…とりあえず規格外っぽそうな人、という認識で良さそうですかね…?」

 

「まあ、多分そんな感じで良いと思います」

 

「なにそれ、なんか響きがかっこいいね!」

 

「そ、そうですか?言われてみれば確かに…」

 

ヴァーリがミアを待っている最中、ヴァーリファミリアの席ではベルを中心にしてそんな会話が始まっていた。

ベルの力の話になった際、アフテクはふと自身の師のことを思い出す。

 

「ご予約のお客様、ご来店にゃ〜!」

 

そうして思いを馳せようとしていると、突如店員のアーニャの声と共に店の戸が開く音が響く。

音につられて全員が戸の方へ振り向くと、赤髪で糸目の人物を先頭に団体が入店し始める。

 

「ちわーっす!!ミア母さん元気にしとっ……あっ…」

 

「……あ゙?」

 

 

 

ーーーその瞬間、店内の空気が淀み始めた。




宜しければ感想や評価、指摘などありましたらよろしくお願いします!_|\○_

それはそれとして、活動報告の方にも書いてありますが自身のss関係用のTwitter作りました!時々呟いたりするのでよければ見ていってください。→@7538315DAAAAAA
普段はこちらにいますが、こっちではほぼ全く呟かずゲーム関係が多いのでご了承いただければと思います…。→@Hideout0417

次回は意図的に出さなかった店員の話の予定です!それでは。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。