ダンジョンに蟲使いが現れるのは間違っているだろうか。   作:珊瑚宮出身イマジン

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クリスマスにも年末にも出せなかった上に次回から話が動くことになったアホなので初投稿です。
ま、まあこれで去年の書き納め兼今年の初書きということで…どうかお許しを。

それはさておき、今回は予告通りの回となります。

ではどうぞ。


グルメ16.5:かの女神

初めて見た時、美しいと思った。

 

こんなにも先が見たくなる魂、今までに見たことがなかった。

 

彼の魂は、それ程までに綺麗に映っていたのだから。

 

 

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私はいつも探していた。

 

伴侶(オーズ)となる存在を。

 

天界で何度も探したが、いなかった。

 

下界から還った魂の中にも、いなかった。

 

ならば、未知の可能性があるという下界ではどうだろうか。

 

……

 

結論から言えば、見つけることはできた。

 

漸く、という枕詞がつくが。

 

ただ、難点が幾つかあった。

 

1つは、彼の魂に少しではあるが靄がかかっていたこと。

 

これに関しては不明だが、私のものにできた時にでも対策を考えれば如何とでもなるはずだ。

 

そしてもう1つは、既に所有者らしき人物がいたことだ。

 

最初に見かけた際の雰囲気と行動を見るに、恐らくはあの女神のファミリアに入ったのだろう。

 

それだけでも少し厄介だ。

 

…まあ、少し手間がかかるというだけで、私の眷族(子ども)達にかかればあの女神相手だろうと奪う事自体は造作もないのだが。

 

問題は、所有者もそのファミリアに入ったということだ。

 

何者かは全くもって不明だが、第一級冒険者を凌駕する程の強さを持つ昆虫を使役する、()()()()()()を持っているのは間違いないようだ。

 

けれども、報告によればどうやら昆虫以外の武器や攻撃手段を持っていない様子という。

 

恐らくではあるけど、昆虫の強さを信じ切っていて自身が戦うことを想定していないのだろう。

 

ならば、それさえ()()()しまえば勝てない道理はない。

 

残りのファミリアの子ども達は、予定通り行けばオッタル達で対処可能だもの。

 

フフ、楽しみね…ヴァーリ?

 

 

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10分程前、ベルとヴァーリが店に着く前の道中にて……

 

「神様、これからどこへ行くんですか?」

 

「ん?あーそういや言ってなかったね。『豊穣の女主人』ってお店さ!」

 

「お店、ですか…?」

 

「そ!まあ外食みたいなものだね。」

 

先導するヴァーリと、その後ろをベルが歩きながら会話をする。

ベルがトミーロッドによって用意された食事を食べ終え完全ではなくとも声が概ね戻った状態になったため、連れて行けると判断したヴァーリが先に向かったアフテク達に合流しようとしているのだ。

 

「なるほど…でも僕、ホームでたくさん食べた後ですよ?そこまでしていただかなくても大丈夫です!」

 

「それは知ってるよ。でも、まだ()()()()()()んでしょ?」

 

「…!」

 

ベルの本音を言い当てるかのように歩みを止めゆっくりと振り向いて、そう答えるヴァーリ。

 

天界から下界へと降り立った神々、もとい超越存在(デウスデア)に、嘘は通じない。

例に漏れずヴァーリもその一柱のため、嘘は見抜いていた。

かつて天界での神々や下界の者達に言い寄られた際は、建前の言葉とは別で悪意や下心が見えていたため嘘が見えることにありがたみを感じつつも良しとは思わなかった。

だが、ベルの嘘は親切からくる優しい嘘ということも見抜いていたため、ヴァーリは密かに嬉しさを感じていた。

自然と声に優しさが篭もるのも、きっと必然だったのかもしれない。

 

「それは…はい。でも、なんでわかったんですか?僕、何か言いましたっけ?」

 

「ふふ、神に嘘はつけないのよ。それがなくとも、貴方の顔を見たらなんとなくわかっちゃった」

 

「そ、そういうものなんですか…」

 

「そういうものよ」

 

ふふっ、と軽く微笑んでからヴァーリは歩みを再開する。

顔に何かあったのかな、と自身の顔をペタペタと触りながら慌てて確認をするベルをチラリと見て、また微笑む。

 

「こんばんは、いい夜ね。」

 

少し遅れたベルが慌ててついていこうとしたその時、前方の道から黒いフードを被った人物が現れた。

先程まで暗闇だったその道からなんの前兆もなく現れる姿は、まさしく神出鬼没というに相応しいものだった。

 

「誰…っ!」

 

「……どういうつもりかしら、フレイヤ?」

 

「!?」

 

敵かと判断し慌ててヴァーリの前に出て剣を構えようとしたベルだが、ヴァーリがそれを片手で静止し落ち着いた声色でフードの人物…即ちフレイヤに話しかける。

フレイヤという名前を知ってはいても実際の人物を知らなかったベルは、その発言を聞き驚愕した。

 

「あら、もう見抜かれちゃったの…残念だわ」

 

「嘘つけ、そういうことは神威を隠してから言いなさい。それに、どうせ近くに眷族(子ども)達配置してるんでしょう?あんたんとこのやりそうな事よね」

 

「…そうね、それに関してはごめんなさいね、善処しておくわ。」

 

「改善する気皆無の発言やめなさい、聞いてるだけでイライラするわ」

 

表情を暗くしあからさまに不機嫌、という様子を見せながら話すヴァーリと、それを意に介さず応えるフレイヤ。

まるで対比にもなるこの2人の間には、神威によるものかはたまた純粋な怒りによるものか、今にも火花が散りそうな程に雰囲気が悪くなっていた。

 

「で?あんたがただで来るわけないのは知ってるのよ。…用件は?」

 

「そうね、私はそこの子に興味があるのだけども…」

 

「…僕、ですか?」

 

「そうよ、ちょっと2人でお話させてほしいのだけど…いいかしら?」

 

「はあ?あんたのその言葉が信用できるわけないでしょう?断固反た「いいですよ」っ、ベルくん…!?」

 

「大丈夫ですよ、神様……すぐ終わると思いますので。」

 

「…フフ。じゃあちょっとの間だけ、借りるわね?」

 

「ここで待っててください、神様。」

 

「え、あ、うん…」

 

そう言って2人は店への道から少し外れて近くの広場へと歩いていき、暗闇の中に消えていった。

 

「……大丈夫、かな…」

 

そんな2人の様子を、ヴァーリは後ろから見送ることしかできなかった。

そして一言、そう呟く。

それがフレイヤの魔の手によるベルへの不安か、一瞬ベルの手からバチバチ、と溢れ出した赤黒いエネルギーに対しての不安か…それは神のみぞ知る。




宜しければ感想や評価、指摘などありましたらよろしくお願いします!_|\○_

新年ということでダンメモやらFGOやらで色々とイベントが発表されましたね…情報量多くて大変だ…
ちなみに自分はFGO福袋で沖田オルタ以外狙いで引いたら沖田オルタ宝具2になりました。きっと一周回って大吉なんだろうな……(白目)

次回こそ話を動かしつつこれの続きとロキファミリアの方に少しだけ触れたいと思います。

それでは。
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