ダンジョンに蟲使いが現れるのは間違っているだろうか。   作:珊瑚宮出身イマジン

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初投稿です。


本編
グルメ1:昆虫使い、オラリオに立つ


「残飯食ってる暇はねーし!」

魔王の吐瀉物(サタンボミット)!!』

 

グルメ界。

全ての一般的な人間が居住することのできない、極めて過酷な環境で構成される地域だ。

 

その中のエリア2と呼ばれる地域にて起きようとしている戦いに向け、1人の男の髪から人が吐き出されていた。

オカマのような容姿と濃い青を基調とした赤い水玉模様の服装、昆虫を思わせる背中の羽と赤のズボン、茶色のブーツに両腕と腰に拘束具を付けた美食會と呼ばれる組織の副料理長であるトミーロッドという人物だ。

 

そして同じ美食會副料理長のスタージュン、グリンパーチと共に戦っていたが、その途中敵組織の頭目ジョアの菌によって溶かされてしまい、死を迎えていた…。

 

「(これが、死ぬという感覚か……存外に悪くない人生だったよ…。)」

 

不思議な光に包まれながら、トミーロッドはふとそんなことを思いつつ瞼を閉じた。

 

 

「………………?」

 

 

が、どれだけ経とうが意識が残っていることに違和感を感じ一度目を開けてみると、そこはグルメ界でも人間界でも見かけたことのない人が行き来している街の大通りの真っ只中であった。

周りを見渡すと、かつて所属していた美食會ですらも存在しなかった見た目の人たちが当たり前のように生活していた。

 

「(死後の世界、という風でもなさそうだが…ここは何処だ…?周りにいる奴らも気になるが、なぜボクは五体満足で生きてるんだ…?)」

 

突然の出来事にさしものトミーロッドも困惑を隠せないが、それも当然であろう。

本当に死んだと思っていた自分が見知らぬ世界に飛ばされていただけでなく、ジョアに溶かされたはずの体が嘘のように原型を保てているのだから。

そして、ふと自身の小型の収納袋に手を入れ手持ちを確認していると、料理人を奪っていた頃の美食會でも使用していたが自身が所持した覚えのない()()()()()()が入っていた。

 

「(こんな物持ってきた覚えなんてないが、ここでいくら考えてもしょうがないか……変わらず虫を出せるようだし、()()()もちゃんとついている。なら、とりあえずこの街について何か……ん?)」

 

「へぶっ」

 

そう考え、どこを見ても全く知らない街についての調査がてら歩き回ろうかと思ったその時、何かが背中の前羽に当たった。

 

「いてて……あっ!ご、ごめんなさいぶつかってしまって!」

 

「あぁ?……あっそ。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

side ベル

彼は、今は亡き祖父の「冒険者に、そして英雄になりたいならオラリオに行くといい」という遺言に従いこの地に足を踏み入れていた。

 

祖父に英雄になることを誓い日々その努力を怠っていないベルにとっては、確定事項にも等しかったため祖父の葬式が終わってすぐに向かっていた。

 

そして、オラリオの門番に「冒険者になるのなら、ギルドというところに行くとよい」と聞きギルドに向かったが、そこで「冒険者になるのであれば、まずどこかファミリアに入っていただいてから改めて冒険者登録をしにお越しください。」といった指示を受けた。

 

という経緯がありファミリア探しを行っていたベルだったが、(田舎で暮らしていた頃から欠かさず鍛えていたとはいえ)いかにも貧弱な見た目と可愛らしい容姿、そして駆け出しどころかギルドで支給されたナイフ以外ない装備も相まってどこのファミリアでも門前払いで終わっていた。

 

途方に暮れたベルだが…

 

「やっぱり見た目のせいなのかなぁ…そうだ!ダンジョンでモンスターから魔石を取ってそれを見せれb」

 

そんな無意識な独り言を言い切る前に、

 

「へぶっ」

 

前をよく見ていなかったためか、僕はすぐ前に立っていた人の硬い羽にぶつかってしまった。

 

「いてて……あっ!ご、ごめんなさいぶつかってしまって!」

 

「あぁ?ん。……あっそ。」

 

何か言われるのだろうなと無意識に内心身構えていると、声だけでもわかる程に興味なさげな返事が返ってきて思わず顔をあげた。

そして僕は、気づいたらそのまま立ち去ろうとしていく男の人?を追いかけていた。

 

「待ってください!」 「…んだよ」

 

その男の人?は立ち止まり、いかにも鬱陶しいと言わんばかりにイライラしてるような表情を見せる。

そして、僕も何も考えずに追いかけてしまったため何を言えばいいのかわからなくなってしまう。

「あ、あの…さっきの、その……」

 

とりあえず、先程のぶつかってしまったことについて何か言おうとしたが、

 

「……はぁ。おい、お前」

 

不意に声をかけられる。

 

「は、はい!」

 

「そんなに何かしたいんならこの街について教えな、それでいいだろ」

 

「へっ、えっ、それでいいんですか…?」

 

「いいも何も、ボクがそう言ってるんだ。それとも、こっちのがお望みなのかなぁ?」

 

男の人?はそう言い突然口を大きく開ける。その瞬間、その口の中から真っ黒で目と口と思わしき部分が赤く輝く模様…いや、()()と思わせるかのようにうねうねと動き出すそれを見せつけてくる。

 

村にいた頃に鍛える一環でモンスターと戦って多少の奇妙な見た目は見慣れているとはいえ、目の前のそれはモンスターの比にもならない脅威だと本能的に感じ取った。感じ取ってしまったのだ。

 

思わず無言で何度も首を横に振った僕を見て、その人は口を閉じ歩き出した。慌ててついて行きつつ、僕はオラリオについて自分が知る限りのこと(ほとんど祖父の受け売り)を話した。




ここまで読んでくださりありがとうございます。
よろしければ感想や評価などお願いします。今後のシナリオ大体はできてますが、指摘などありましたらちょこちょこ変えていくつもりです。

ベルくん以外のキャラにグルメ細胞が入るのはあり?(悪魔が付くことはありません)

  • あり
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