ダンジョンに蟲使いが現れるのは間違っているだろうか。   作:珊瑚宮出身イマジン

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レジェンドアルセウスと原神にどハマりしてたので初投稿です。

この2つのゲーム面白すぎる…その間にソシャゲのイベント来るしどんどん書く時間減ってまう……頑張りますw

今回は久し振りの長めです!ではどうぞ。



グルメ17:混沌

「それで、要件は何でしょうか?」

 

「そうね。回りくどい事はやめておくべきでしょうし、単刀直入に言うわ」

 

日が落ちてきた中、近くの広場で腰を下ろした1人の少年と1柱の女神はそう言って話の本題に入ろうとしていた。

 

「貴方、私のところ(ファミリア)に来る気はない?歓迎するわ」

 

「お断りします」

 

聞く人が聞けば歓喜の涙に咽ぶであろう申し出を、ベルは間を置くことすらなく辞退した。

その一言を聞いた瞬間、2人の周辺一帯から凄まじい程の殺気が溢れ出すが、ベルはこれを無視していた。

そんなベルに対し、フレイヤは驚く事もなく至って平静な状態で聞いていた。

 

「…一応、理由を聞いても?」

 

「ご存知とは思いますが、僕は既にファミリアに所属している身であること、以前にレグリオさんとトミーロッドさんに眷族の方を仕向けていたこと、そして神の力とやらで僕を半ば強制的に引き込もうとしていたこと、この3つです」

 

「あら、そこまでとはさすがね」

 

片手の指を1本ずつ上げながら理由を述べていくベルに、特に悪びれる様子もなく話すフレイヤ。

 

「前2つはなんとなく察せるけど…最後のはどうやって知ったのかしら?」

 

「知ったわけではないですが、最初に気付いたのはこの力を()()()()()時で、そこからファミリアの皆さんの話をもとに予測しただけです」

 

「…そう、残念」

 

自身に浮かび上がった疑問を口にし、ベルからのその答えを聞いて、フレイヤは納得したような顔で返事をする。

普段のフレイヤであれば、このように答えられたところで強引に引き込もうとしていたのだが、ベルの片手の指から無意識に出ているであろう赤黒いエネルギーの弾ける様子を見て、それを中断した。

 

これが仮にただの一冒険者の魔法程度ならば、もしもの場合に備えて近くに待機させていた自身の眷族に対処させることなど造作もなかった。

だが、フレイヤはそうしなかった。

なぜか?

 

このエネルギーの放出を受けてしまうと、目の前の少年の意思とは無関係に、例えオッタルに任せたとしても魔法とは明らかに異なる何か洒落にならない結果になると感じ取ったからだ。

それは、フレイヤという神としての直感がそう判断したと言っても過言ではなかった。

 

それにベルは今、受け継いだ、という答え方をしていた。

それはつまり、ベルの手から溢れ出すエネルギーの力は自身で発現したものではなく、第三者の誰かから受け取ったもの。

それは誰なのか?

 

順当にいけば、あの水玉模様の格好をした蟲を生み出す者の仕業だと考えれるだろう。

しかし、フレイヤはそれだけではないのでは、と考えた。

これもまた神の直感によるものにはなるのだが、冗談と一蹴するには情報が不足しているのもまた事実なのだ。

少なくともわかっているのは、目の前の少年の魂の色が以前と比べて少し()()がかっているのだ。

それも内面的なものではなく、内側から()()()()()()()かのような何かが。

 

「話は以上ですか?なら、僕は早く神様のところに戻らないといけませんので、これで失礼します」

 

「ええ、そうね。邪魔しちゃったわね」

 

そうフレイヤが思索していると、ベルが立ちあがってそう告げる。

それに対してフレイヤはあっさりと返答をする。

ベルはその姿勢に少し疑問を抱くが、それよりも置いて行ってしまった神様のところに行かなきゃ、という思考に切り替えて走って行く。

 

 

 

 

「……ふふ、初めて振られちゃったわ」

 

「フレイヤ様、よろしかったのですか?」

 

面と向かって断られたにも関わらず、気にする様子もなくベルの背中を少し見送った後に、視線を変えて夜空を軽く見上げながらもどこか妖艶な雰囲気と共にそう呟くフレイヤに、近くの建物の影から現れたオッタルがそう言う。

その声を聞いたフレイヤは視線を変えることなく、独り言のように言葉を続ける。

 

「…本当は良くないわ。けど、今はこうするしかなかったの」

 

「……?」

 

そう言った後見上げていたフレイヤは、その視線を無表情ながらもその瞳の奥に疑問を浮かび上がらせているオッタルに移して、更に続ける。

 

「あの子を今回改めて見たけど、想像以上に()()()わ。私の魅了だって、どういうわけか別の感情で押し返されたもの。勿論あの子の魂は美しかったし欲しいけど、それ以上に対策をするためにも、早急に私のものにするしかない」

 

「……」

 

いったい何を言ってるのだろう…というオッタルの表情を意に介さず、「本題に入るわ」という切り替えの言葉と共にフレイヤはオッタルに告げる。

 

「この手紙を持って、あの子と同じ行き先の店にいるヴァーリに届けてきなさい。それが終わったら帰っていいわよ。私は先に戻って、準備を進めるわ」

 

「…御意。」

 

その指示を皮切りに、オッタルは即座に店へと向かう。

それを少し見送った後にフレイヤは、普段いるバベルへとは向かわずに、フレイヤファミリアの戦いの野(フォールクヴァング)へと向かう。

その後ろを、周辺に配備されていた眷族達が集まって同行する。

 

「─少し荒療治になるけど、許して頂戴ね」

 

 

──透き通るようなその一言を残して、女神は口角を上げながら進んでいく。

 

 

 

▲△▼▽▲△▼▽

 

 

 

豊穣の女主人に向かう少し前。

ロキファミリアのホーム『黄昏の館』にて。

 

「………」

 

ロキファミリア幹部の少女──アイズ・ヴァレンシュタインは、自室で黄昏れていた。

その原因は言わずもがな、少し前までの遠征もといダンジョンでの出来事にあった。

 

50階層での不気味な芋虫型のモンスターと、下半身が蟲、上半身が女性の人体というモンスター。

どちらも()()()()()()極彩色の未知の存在で強力なものだったが、それは今の彼女には関係がなかった。

 

今、彼女の頭の中にあるのは、17階層にて遭遇した巨大な蛇のようなモンスターこと、デーモンデビル大蛇。

そして、それを倒した赤黒い稲妻のようなものを纏う白髪の少年──ベルの姿だった。

 

「……凄かった」

 

その時の一部始終を思い返していた彼女は、ふとそう呟く。

自分どころか、ファミリア総勢で戦ってもまるで歯が立たなかった。

その上、久しく経験することがなかった絶体絶命の危機に陥る程に。

そんな相手に、多少苦戦している様子はあれど彼は1人で勝ってしまった。

 

「…どうしたら、あんなに強くなれるんだろう」

 

アイズという少女は、異常とも言える程強さに貪欲だ。

かつて両親を目の前で失って以来、その悲劇を二度と起こさないためにと彼女は自ら剣を取って強くなることを選んだ。

そしてひたすらに強さを求めた結果が、現在(第一級冒険者)に至る。

無論彼女は現在の強さで満足するわけではなく、これからも精進することに変わりはない。

 

 

だからこそ、あの少年が気になる。

あの強さの秘密が気になる。

 

 

あれ程の強さの秘訣を…そのきっかけでも得られたら、自分は更に……いや、今まで以上に成長が見込めるかもしれない、そう考えていた。

そうして、ちょうどよく近くで倒れていた本人にお礼がてら話を聞こうと思った。

 

…のだが、桃色の髪の変な人が奇妙な姿形の蟲達と一緒に彼を連れて行ってしまったから、話をすることすらできなかった。

それなら力ずくで…などと一瞬思いかけたが、自分はその時そんなことをする余裕すらない状態だったことを、動かそうとした際に各所が痛む身体が教えてくれた。

そのため、見ている事しかできなかったのだ。

 

「誰だったんだろう…」

 

今はただ、彼が気になってしょうがない。

けど、この後はファミリアでの宴会だから探すのは明日からになるかな…と思索して、目の前のことに集中しようと切り替えていた。

 

 

……そう、思っていたのだけれど……

 

 

まさか、ファミリアの宴会先でいち早く再会できるとは、夢にも思わなかった。

 

 

 

▼▽▲△▼▽▲△

 

 

 

「あっ…」

 

「……あ゙?」

 

店内にてのんびりとミアを待ちながら眷族達の楽しげな様子を眺めていたヴァーリは、突如開かれた店の扉から現れた赤髪の神の姿によって、ご機嫌とも言えるその緩んだ表情を一瞬にして険悪なものへと変えた。

それを無意識に見てしまった赤髪の女神ことロキは、一瞬にして後方にいたリヴェリアの背後へと隠れていった。

 

「な、なしてヴァーリがおるんや…助けてオカン!」

 

「誰がオカンだ!気持ちはわかるがいいからさっさと入れ」

 

「ひぃっ!わ、わかったからその拳骨落とそうとするのは勘弁してくれやぁ!」

 

隠れると共にそう言い出すロキを、リヴェリアはまるでいつも通りだと言わんばかりの呆れたような態度を取っていた。

後ろにいた団員たちはいつも通りだと思いつつも、過去に同じような場面を何度か見てきたものが多いためか、どこか同情の視線を主神に送っていた。

 

「……はあ、流石に酒場でまであんたに怒るほど短気じゃないわ。勝手に騒いでたら?」

 

少ししてから、ヴァーリが大きく溜息を吐いてロキにそう告げる。

その言葉によってロキはおろか、この場にいた全ての者が固まる程の衝撃をあたえていた。

 

「へ…?え、ええんか?」

 

「そう言ってるでしょ。公共の場でとやかく言うほど私は小物ではないわ、こっちはこっちで忙しいのよ」

 

「…!ありがとうな!ヴァーリたん!!」

 

「その呼び方はやめろ!気持ち悪いわ!!」

 

しっしっ、なんて声が聞こえるような表情と手の動きと共に淡々と理由を述べるヴァーリに、沈んだ表情から一転してぱぁぁっと明るい表情になったロキは、その言葉と共にヴァーリにお礼を告げる。

その際の呼び名が本気で嫌だったのか、顔を顰めながらツッコミを入れその後に自身のテーブルまで戻るヴァーリの姿があったが、お互いの眷族達はそれどころではない様子だった。

 

「「「「(ヴァーリ(様)がロキ相手に私情を優先しなかった…だと!?)」」」」

 

特に、程度の差はあれど同じようにロキを毛嫌いしている節のあるヴァーリファミリア一同は大きく驚いていた。

その様は凄まじく、アフテクとディニエルの2人は露骨に開いた口が塞がらないを体現しており、パーポスとレグリオは食べようと運んでいたものを思わず落としてしまう程である。

 

「…?」

 

…唯一、この場の状況を理解できていないパスタを大きく頬張りながら首を傾げている白兎は例外だったが。

ちなみに現在彼は、隣の席のヴァーリから不機嫌そうな表情をしながらも片手で酒を、もう片方の手でその白髪をワシャワシャと撫でられるという無駄に器用なことをされていた。

そんな彼は少し前にも同じようなことをされていたため、既に学習して抵抗を諦めているのである。

 

「さて!ヴァーリからの許しも得たことやし、今日は思う存分飲んだれやぁ〜!!」

 

『うぉぉ〜〜!!!』

 

ロキのテーブルに足をかける姿勢と共に告げられた音頭を皮切りに、ロキファミリアの宴会が始まった。

 

「師匠!!」

 

「ん?おおベートか!久し振りだな!」

 

「おう!遠征でもあんたの教え通りにやってきたぜ!」

 

音頭の直後、宴会の席から1人の狼人がガッツポーズをしながらヴァーリファミリアの狼人のもとに訪れる姿があった。

それがこのベート・ローガである。

 

彼はロキファミリアの幹部にして、()()()6()というロキファミリア内だけでなくオラリオ屈指の実力者である。

そんな彼は、現在レグリオの指導を受けている。

2人の出会いはオラリオの暗黒期が終わる頃からと長いものだが、それ故にファミリアの壁を越えて公然と関わることを可能としていた。

なおこの2人の関係について、ヴァーリファミリア一行は黙認の姿勢を取っていた。

 

 

余談だが、こちらのベートは原作と呼ばれる世界線のベートとは少し違い、誤差に近い程少々だが人付き合いが良い方向に変わっている。

これもレグリオとの関係による影響なのだが、詳細は割愛するとしよう。

 

 

「それでな、遠征の最中にあのクソアマゾネスがあんな巫山戯たこと言いやがってよ…」

 

「ふっ、相変わらずだなお前らは」

 

「うがー!!聞こえてるよクソ狼ぃ!!」

 

「おい、その悪口は俺にも効くんだが…?」

 

「そうだぞ、師匠にでけー口叩くんじゃねぇよアホが」

 

「えっ!?え、えーと…ごめんなさい!!」

 

「無鉄砲すぎんのよ、あんたは」

 

「うーん、じゃあなんて言おうかな…」

 

「何でもいいでしょうに…はぁ…」

 

「……あ!あっかんベートだ!」

 

「…くふっ、何それ」

 

「…はぁ?なんだそのガキでも言わねーようなダッセー悪口」

 

「ぶふっ!!…いや悪い、一周回って面白かった」

 

「ちょっ、師匠!!?」

 

「む〜!!一周回ってってなんだよーー!!」

 

そんなこんなで楽しそうにレグリオ達が団欒を始めている中、ただ一人アイズだけは視線を動かさずソワソワと落ち着きがない様子だった。

 

「……」

 

「アイズ、あそこの少年が気になるのか?」

 

「!リヴェリア…。うん…」

 

視線の先には、変わらず不機嫌そうに酒と食事を口に運びながらもミアに愚痴をこぼし、もう片方の手でベルの頭を撫でるという無駄に器用な様を展開しているヴァーリと、それをまるで意に介さず食事に没頭しているベルの姿があった。

 

「でも、ヴァーリ様が怖くて…」

 

「ああ…原因の一端は私にあるからな、仲介役くらいなら手伝ってやるとも」

 

「いいの…?その、前に危なかったって」

 

「……それを言われると何も言えないな…まあ、多分大丈夫だ」

 

「…?リヴェリアがそう言うなら、わかった」

 

そうして吹っ切れたアイズは、気合を入れるためかふんすという意気込みとリヴェリアと共にベルのもとへと向かおうとする。

 

 

「邪魔するぞ、神ヴァーリはどこだ」

 

 

その一歩を踏み出そうとした瞬間、扉の方からこの場に似つかわしくない重い声が響き渡る。

何事かと一同は扉の方を向くが、そこに立っている人物を一目見た瞬間、ぎょっと信じられないものを見るような目に変わる。

なぜならば、そこには──

 

『(オッタル……!!なぜ都市最強のあいつがここに!?)』

 

──【フレイヤ・ファミリア】の団長にして都市最強と名高い、【猛者(おうじゃ)】オッタルがそこにいたのだから。

 

「うぇっ…私?」

 

まさかそんな人物が来ると微塵も思っていなかったヴァーリは、不機嫌だった様子も引っ込んでしまい思わず気の抜けたような声を出してしまう。

 

「そうだ」

 

それに対して周りの視線を全て無視しながらもオッタルは、どこからか1枚の紙を取り出しながら、一直線にズンズンとヴァーリのもとへと向かう。

 

「我が主神、フレイヤ様から貴女への手紙だ。読んでくれ」

 

「え、ええ…。……これは…!?」

 

手紙を受け取り、言われるがままに開けて内容を読むと、その表情が一瞬にして驚愕の一色に染まった。

そこには、このような文面があった。

 

 

───明日、貴女のファミリアに戦争遊戯を申し込むわ。詳細を話してあげるから、バベルの塔まで来なさい。───

 

 

 

 

 

 

 

おまけ!

 

 

「俺の役目は終わった、戻らせてもらおう」

 

「あ、ちょっと待ちなさいオッタル!」

 

「……?」

 

「あんた、また目の下黒くなってるわよ?」

 

「……なんだと」ペタペタ

 

「はぁ…はい、これ使いなさい」ブンッ

 

パシッ「……これは?」

 

「私がよく使ってる、効果が強い方のアロマテラピーよ。貴方のことだから、どうせ幹部絡みでの厄介事なんでしょ?それで少しはストレスを和らげときなさい」

 

「……感謝する」スタスタ…

 

 

その後……

 

「最近のオッタルさん、なぜか女性っぽい匂いがするのよね…」

 

「でもその時のオッタルさん、なんだか表情が柔らかいわよ?」

 

「……色々大変なのは察せるけど、正直に言ってちょっと気持ち悪いわ…」

 

フレイヤお付きの侍女達の間でそんな話題が起き、それを聞いた幹部が更にオッタルを貶すタネができたと言わんばかりに口撃しまくったとかないとか……。




宜しければ感想や評価、指摘などありましたらよろしくお願いします!_|\○_

やっとここまで持ってこれた……。
この次辺りから自分の書きたい回が来るので、なんとかいいペースで進めていけるように努めます!

トミーロッドの出番皆無が続いてるような気がしますが、この後からはそれなりに出てくる予定ですのでどうかお許しを…

それと、今回のに合わせて設定の方も更新しておきました!

それでは。
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