ダンジョンに蟲使いが現れるのは間違っているだろうか。   作:珊瑚宮出身イマジン

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活動報告で遅れることを書いてから、罪悪感が半端なくて寝る時間削りつつ書いたらなんとか納得できるものが書けたので初投稿です。

今回で前回告知した四天王の正体とベルくんのステイタスが明かされます!ではどうぞ。


グルメ4:グルメ細胞と覚醒

side ベル

 

「んっ……あれ?ここ、どこ…?」

あれから気絶しそのまま眠ってしまい、体内時計で朝と思われる時間に起き上がったベル。だが、そこは真っ白な空間だ。まっさらで何もない場所と言ってもいいのかもしれない。

なぜこんなところにいるのか、よくわからない。けど、ここにいると不思議と落ち着ける、そんな風にベルは感じた。気絶する直前にトミーロッドに何か注入されたのは覚えている。恐らくそれが原因だろうと推察。

そこまで考えたところで、

 

『ようやく起きやがったか小僧。気の短ぇ俺を待たせるたぁいい度胸してんじゃねぇか、おぉ?』

 

少し遠い位置からか、唸り声に似た響きのする声で話しかけられる。

モンスターの唸り声ならばそれなりに聞き慣れてるはずのベルですら、その声は聞いたことがなかった。

何かデジャヴを感じつつ一瞬体が飛び上がりそうになるが、それをなんとか抑え恐る恐る顔をあげるベル。

そこにはオールバックの赤い髪と大きく裂けている左頬、そして朱色のシャツの上に紫色の毛皮のコートを羽織り、グレーのズボンと茶色のブーツを履いている大男がベルの元へと歩き、目の前で止まった。

 

「おい小僧、なぜお前はここに来た?」

 

「え?いや、来たくて来たわけではないんですけど…逆にここどこなんですか?それと、僕は小僧じゃなくてベル・クラネルです」

 

なんか、トミーロッドさんと初めて会った時も似たようなこと言った気がするなぁ…と少し思い出す。実際は初めてというより昨日のことなんだけれども。

 

「あぁ?………嘘は、ついてねぇみてぇだな」

 

目の前の大男は神様みたいに嘘を見抜くことができるのか…もしかして同じ神様ってのだったりは……いやないか、と少し考えたがすぐ切り替える。

 

「むしろこんな時に嘘をつく理由がないですよ!」

 

「!…うははははは!!そりゃそうだ!おもしれぇ奴だなぁ!!えぇおい!

 

あの時の小松によく似てやがるな。

 

で、ベルだったか。ここはお前の精神世界だ。心の中とでも思っときゃいい。何があったか知らねぇが、現実で意識を失ってなけりゃここには来れねぇ。」

 

「そう…ですね。確かに今の僕は、現実では意識を失っています。」

 

「あぁ。俺ぁ宇宙のとある星で寝てたんだが、なぜかここに来ちまった。で、なんでてめぇは意識を失った?」

 

「貴方もですか…あっえっと、それは…」

 

この大男の人も…?僕とは違って普通に寝てたらって言ってたけど、何か関係があったのだろうか…と気になるが、考えてもわからないまま時間が無駄に無くなりそうなのでそのまま僕はこうなるまでの出来事を話す。

トミーロッドさんの名前を出した瞬間、ほんの一瞬だけれど元々険しい顔をさらに険しくしていたように見えたのは気のせいなのだろうか…そうでないのならばきっと何か知っているのかな、今聞くべきかな……?

そんなことをちょっと考えながら説明をし終えると、大男の人は

 

「サニーの奴が出していたあの虫野郎か……フッ、そういうことか。

わーったよ…ったく。」

 

「?」

 

話を聞き終えて独り言を言ってると思ったら、一瞬だけどこちらを見てきた。そして小声でよく聞こえなかったが何かを呟いた直後

 

「おい小僧」

 

「だからベルですってば」

 

「呼び方なんざどーだっていいだろうが。

…単刀直入に言うぞ、小僧に()()()()()()()()()。」

 

「……え?」

 

今、彼はなんと言ったのだろうか。

力を貸す?僕に?理解が追いつかない待ってほしい。

何がどうしてこうなったのだろうか……

必死に考えを整理して纏めようとしている僕を見向きもせずに、彼は話を続けていく。

 

「安心しな、俺の力をそっくりそのまま渡したところでてめぇには扱い切れねぇ。そこの調整だけはしてやらぁ。だがな、思い上がって調子に乗るんじゃねぇぞ。調子に乗ったら、その場で殺すからな!!」

 

いや、そういうことではないんだけども……

彼が僕の目の前まで来て物凄い圧をかけてくるが、恐怖より先に僕は次々とわけわからないことが流れ込んできて思考が追い付かず、理解不能だったためそれどころではなかった。

そうして目を回して僕の頭からぷすーっと音が出てショートした状態になっていると、僕の周りから光の粒のようなのが出てきた。

それと同時に僕の意識が途切れはじめた。

 

「ふん、小僧の本体が目を覚ます頃か…ちょうどいい。

おい、これからてめぇは美味いもんをたらふく食え。てめぇ自身のグルメ細胞を進化させろ。そうすりゃてめぇの言っていた()()()()()に近づける。」

 

「!!」

 

「それと、グルメ細胞の悪魔を介してだがてめぇの動向は見れる。暇があれば手伝ってやらぁ。」

 

「あ、ありがとうございます!!絶対、英雄になってみせます!

あ、えっと、貴方の名前は!!」

 

光の粒が増えてきて目の前が見えなくなり意識が朦朧としてくる中、ふと僕は名前を聞けてないことを思い出す。

これからもこの声を聞くことになるのなら、聞いておかなければならないことだ。

 

「あぁ?名前だぁ?……そういや言ってなかったな」

 

だんだん目の前が暗くなる。聞き逃さないように耳に全神経を傾ける。

 

「俺は、ゼブラだ」

 

そう聞き終え、僕は再び意識を失う。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ん……ここ、は…?」

 

僕が再び目を覚ました場所は、自室のベッドだ。

気のせいなのか起きる前より、耳が…というよりは()()が良くなりすぎて遠くの音も聞き分けれるようになっているっぽい…?

これもグルメ細胞?ってものの影響なのかなと思ったが、まだ判断材料が少なすぎて自分では解決できない。とりあえずなってしまったからには仕方ないので、必要以上に音を拾ってしまうこの耳の対処として耳栓でも買うかゼブラさんに聞かないと…などと思いつつそのまま起き上がろうと上半身を起こすと、隣で本を閉じる音が聞こえた。

 

「起きたか、ベル。」

 

そう言いながら本を仕舞ったのは、このファミリアの団長であるアフテクさんだ。

 

「アフテクさん。おはようございます。あ、あの、心配かけてごめんなさい…」

 

「あぁ、おはよう。ベルが気にする必要は全くないぞ。トミーロッド、だったか。あいつがそうしたようだからな。」

 

「あはは……そういえば、トミーロッドさんは?」

 

「む?あぁ、あいつは主神の部屋にいるぞ。

何か話をしているようだったが、まあ気にすることでもないだろう。」

 

そんな気はしてた、と僕は内心苦笑する。

あの人は多分これも織り込み済なのだろう。どこまで見抜いているのだろうか、と考えると少し怖くなってきた。

 

「そういえばベル、神の恩恵と冒険者登録がまだだったな。体に問題ないようなら今から行うか?」

 

「あ、はい!!是非!!体は大丈夫です!」

 

「そうか。ならついてこい、主神の部屋を案内しよう。」

 

団長さんにそう言われ、僕は後ろをついていく。

 

そうして廊下を歩き階段を降りてとある一室の前のドアに到着すると、団長さんはノックをする。

 

「ヴァーリ、私だ。ベルの恩恵を刻みに来た。」

 

「ん?あぁアフテクね!いいよー入っておいで!鍵は空いてるよ!」

 

失礼します。そうアフテクさんは言いながら入室した。僕もそのままお邪魔します、と言い入る。

そこには、アフテクさんの言う通りさっきまでずっと話していたのか椅子を向かい合わせて話をしている様子だった神様とトミーロッドさんがいた。

トミーロッドさんが僕を見て少しニヤッとしていたのが見えたが、どういう反応なのかわからない。それに対して、神様がどことなく疲れているような顔をしているのはどうしてだろうか…空元気にも見えるけど、とりあえず本人が気にしてない風だったからそこについて触れないようにはしようと決めた。

 

「おはよーベルくん!昨日は恩恵刻むの忘れちゃってごめんね…今からパパっとやっちゃおうね!」

 

「はい!大丈夫ですよ!」

 

「……いい子過ぎて泣ける……」

 

「良かったなヴァーリ。他のやつだったら一瞬で勘違いされて退団されていたぞ」

 

「ちょっ!!そういうこと言わないの!!今こうしてちゃんといてくれてるんだから!ね!!」

 

「これから気をつけろということだ馬鹿者!」ゴンッ

 

「ふぐぅ!!……わ、わかってるよぉ…」

 

……神様ってもしかして狙ってるのかな?それとも天然?

ちょっと失礼なことを考えてしまったが、神様はすぐ気を取り直していた。

 

「さてベルくん、上着を脱いでそこの椅子に座ってくれ。」

 

「はい!」

 

僕は言われた通り上着を脱いで椅子に座る。

こういうことは初めてなので、少しスースーしてて気恥ずかしい。けど、これからもこういったことが増えるだろう。なるべく早めに慣れておきたいなと切り替える。

 

「では私は部屋に戻るとしようか。冒険者登録に行く時は呼んでくれ。」

 

「おっけー!ベルくんの案内ありがとね!」

 

「案内ありがとうございました!アフテクさん!」

 

「あぁ。」

 

そう言いアフテクさんは退室していく。

昨日から思っていたことだけど、アフテクさんってクールですごくかっこいいなぁ…エルフってみんなあんな感じなのかなぁ、と考えていると

 

 

「な……なんだこれぇぇぇぇぇ!!?!?」

 

 

神様が突然叫び出した。近くにいた僕はあまりの叫び声の大きさと耳の良さで必要以上に音を拾ってしまっていたので、思わず目を閉じて耳を塞いだ。またもや意識を失いそうになるが、なんとか気力で保てた。

そんな僕や慌てて戻ってきたアフテクさんとその従者のディニエルさん、そしてどこから聞いたのかやってきたレグリオさんを他所に、神様はやっと落ち着いたのか慌てて僕のステイタスを紙に写し出す。

 

「どうしたヴァーリ!!」

 

「こ……これ…ベルくん!いったい何があったの!?」

 

写し終わって自身で確認し終えたのか僕に紙を差し出す神様。

それを受け取るとアフテクさんやレグリオさん、トミーロッドさんまで覗いてきた。

それほど気になる内容なのだろうか。そう思い僕もステイタスを見てみる。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ベル・クラネル

 

Lv.1

 

力:I 0

 

耐久:I 0

 

器用:I 0

 

敏捷:I 0

 

魔力:I 0

 

 

グルメ細胞:I

 

 

《スキル》

【グルメ細胞の食欲】

・超早熟する。

・食欲が続く限り効果持続&食欲が上がる。

・未知なる食材への好奇心の丈により効果向上。

・身体能力の大幅向上。

・損失した体の各部分の再生可能。

 

音の悪魔(ボイスデーモン)

・グルメ細胞に宿る。

・音の悪魔の力を行使可能。

・聴覚超向上。

・カロリーを消費して食欲のエネルギー放出可能。

・威嚇行動可能。

 

 

【英雄決意】

・能動的行動に対するチャージ実行権

 

 

《魔法》

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

既にステイタスを見ていた神様は頭を抱え、レグリオさんとアフテクさん、そしてアフテクさんに呼ばれたのかディニエルさんまで見に来ては開いた口が塞がらないを体現したかのようにそのまま固まっていて、トミーロッドさんはなぜか楽しそうに見ていた。

かくいう僕はというと、皆と同じく突っ込みどころが多い内容での少し驚きと起きた時に気になっていたことが解決できたからかの安堵と、早く試したくて仕方ないという歓喜の表情を見せていた。(らしい)

ちなみにこの時パーポスさんは、自室でアイテム製作をしていたため来なかったと後でアフテクさんから聞かされた。




なんとか書き切りました…とりあえずは一段落ってとこですかね。
今回も引き続き感想や評価などあればぜひお願いします。

さて、今回も軽めに補足をしておきます。

まず四天王をゼブラにした理由ですが、四天王の能力のうち一番応用が効きやすいのが彼の音の力だからですね。次点ではココの毒もありだったんですが、戦い方がだいぶ地味になるかと思ったのと強度に難ありだったのでやめておきました。
あと、毒で無意識に人殺しちゃったり誰かに撒き散らしちゃいそうですしお寿司。
トリコのは使うとしてもフォークやナイフくらいでそれなら形変えてついでみたいな感じで出せばだいたいなんとかなる、サニーのは……うん、ちょっと難しいかな…って感じですはい。
それに、ゼブラは言動があれですけど実は結構面倒みがいい奴ですから結構合うかなと思いました。個人的にこのキャラ好きなのもありますけどw

あと、トミーロッドはベルが起き上がるのを確信していたので、先に主神の方に行ってグルメ細胞の説明やらを軽くしていました。他にも色々話していましたが、それは追々書いていきます。
それらしい表現は書いてあるので、それを見ていただければと思います。

そしてステイタスですが、正直こんだけ時間かけといて本気でこれで大丈夫なのかと言われるとうーん…って感じです。
スキル名他に候補がなくてちょっと適当っぽく見えちゃっているのが不安ですので、これがいいんじゃない?とかありましたら教えてください!自身で気づいた部分も含めてなるべく修正していきます!

あと、グルメ細胞の食欲にある超早熟するという項目については
憧憬一途(この作品のベルくんはまだ誰にも惚れてないので発動しません、メインヒロインもちょっと決めきれてません。)に似たスキルの早熟する+グルメ細胞の成長の速さ等を見て更に一段階上げました。まあ憧憬一途とグルメ細胞のスキル一部の複合スキルと思っといてください。

次回はやっとダンジョンに潜る予定です!

ベルくん以外のキャラにグルメ細胞が入るのはあり?(悪魔が付くことはありません)

  • あり
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