この小説のページに飛んでいただき、ありがとうございます。この作品は現在連載中の虹ヶ咲二次の『虹×夢カラフルデイズ』の番外編です。基本的にカラフルデイズ本編の内容を補完する内容になっていますので、こちらも読んでいただけると嬉しいです。
私には大切な幼馴染がいます。とってもとっても大切で、愛おしくて、大好きな幼馴染。
『高階紡』。それが彼の名前です。優しくて、頼りになって、誰よりも他人の為に頑張れて、他人の幸せを願う。そんな彼の純粋無垢な優しさが、小さい頃から好きでした。
スクールアイドルとして活動するようになったきっかけは、紡ちゃんが提案してくれたからなんです。「一緒に夢を追いかける」と言ってくれたのが嬉しくて、紡ちゃんの為に頑張る毎日です。スクールアイドル同好会に入ってからの紡ちゃんはすごく生き生きしていて、皆の役に立ちたいと、自分にできることを探して、サポートを頑張ってる。そういうところは昔から変わらない。『あんな事』があっても、根本的な優しさは変わらないでいてくれて本当に良かった。
紡ちゃんとは家が隣同士で、ずっと一緒にいます。幼馴染で、親友。それが紡ちゃんと私の関係。絶対に失いたくない、失っちゃいけない繋がり。私にとっては紡ちゃんが全て。紡ちゃんにできることはなんだってする。それで紡ちゃんの『本当の笑顔』を取り戻せるなら。
昔の紡ちゃんは、よく笑う子でした。些細なことで笑って、その笑顔に釣られて私も笑顔になれた。小さい時の紡ちゃんの笑顔を、私は一度たりとも忘れたことはありません。今でも鮮明に記憶に残ってる。でも今の紡ちゃんは、あの時のような笑顔を見せてはくれません。そうなってしまったのは紡ちゃんのお母さんと、お姉さんが深く関係しています。
私達が中学生になった時を境に、紡ちゃんはお母さんから酷い言葉を浴びせられるようになったんです。原因は、芸能人として活躍するお姉さんとの比較によるもので、そこから紡ちゃんはよく泣くようになりました。笑うことが目に見えて少なくなり、学校では明るく気丈に振る舞っていたけれど、私と2人でいる時は本音を言って、その度に泣いていました。
お母さんから言われる罵声は日に日に酷くなっていって、私の想像を絶するものでした。あまりにも酷くて、理不尽で、決して許すことができない言葉ばかり。でも私は紡ちゃんのお母さんに直接何かすることができなくて、唯一できることは紡ちゃんの側にいることでした。傷付いた紡ちゃんの心を癒したかった。それでまた小さい頃みたいに笑ってほしい。望んだことはそれだけ。たったそれだけなのに、それはいつまでも叶いませんでした。
ある時から、紡ちゃんは一切泣かなくなりました。毎日酷い言葉を言われているはずなのに、涙を流すことはなくなった。それと同時に、心からの笑顔も見せなくなりました。高等部に上がって、お母さんと別居することになっても、罵声を浴びせられることがなくなっても、紡ちゃんが思いきり笑うことはありません。同好会の皆の前では明るいですが、皆が計り知れないほどの苦しみや痛みを抱えている。同好会の人達にさえ他人行儀なのは、きっと否定されること、必要とされなくなるのが怖くて、仲良くなることを恐れてるからなんだと思う。それでも紡ちゃんは皆の役に立とうと努力する。本当は今でも辛いのに。辛いのは自分の方なのに、それでも他人を想っている。そんな紡ちゃんを見てると、嬉しくなるのと同時に苦しくて堪らなくなるんです。
スクールアイドルを始めたあの日から私は決めました。私が絶対、紡ちゃんの笑顔を取り戻す。ボロボロになった心を、今度こそ癒すと。また一緒に笑い合えるように。大好きな紡ちゃんと、同じ夢を見たい。紡ちゃんが抱えてる苦しみもなんとかしたいと思ってる。同好会の皆に相談して、紡ちゃんのことをわかってもらいたい。他人のことばかり優先して、自分のことをどうしても後回しにしてしまう紡ちゃんを一緒に支えてほしい。幼馴染として、仲間として、まず第一に叶えたい願い。紡ちゃん、あなたは特別な人。だから、本当の『心』だけは、閉ざさないでいてね。