ソードアート・オンライン ラフコフ完全勝利チャートRTA 2年8ヶ月10日11時間45分14秒(WR)   作:TE勢残党

40 / 82
 バトルまで書こうと思ったら直前まででいい感じにまとまってしまったので初投稿です。
 Twitterに出回ってた「馬刺しになったウマ娘リスト」、あれ初めて見(ry


12/n おま○け(後半)

 26層の攻略が完了された。

 

 25層の時と打って変わって、盛大な街開きが行われている。あれだけの大打撃を受けてなお、攻略組の意思は折れていない。それを示すため、彼らは戦力の再編や新ギルドとの合流も含め、たったの10日間で26層を攻略したのだ。

 

 犠牲者もない。下層の人々は勇気づけられ、攻略組自身の士気もまた回復しつつある。

 

 アインクラッドの人々は、25層の悲劇から立ち直っていたのだ。

 

「…………」

 

 一方アルゴはそれを、一人で眺めていた。元来パーティー会場の外れで佇むタイプの彼女には、ああいう場は似合わない。

 

 組織再編を経てDDA(聖龍連合)、MTD(MMOトゥデイ)、KoB(血盟騎士団)となった三大ギルドの面々が、転移門広場に集まった群衆を沸かせている。

 

 見れば、カラードが何やら指示を飛ばしている。見たところ、その表情やしぐさに違和感は見られない。平常運転だ。

 

 それを確認し、アルゴは「安心した」と自分に言い聞かせる。カラードが元気そうなのは喜ぶべき。決して、寂しそうにしていて欲しかった訳ではない、はずだ。

 

 自分を納得させようとしていた時、ふと転移門広場にアレックスの姿がないことが気になった。カラードにベタベタしていないのはいいことだが、居ないなら居ないで何をしでかすか分からない。

 

(あいつどこ行っ――) 

 

 思考がまとまるより早く、背後から強引に肩を組まれる。

 

「よぉ」

「うぇア!?」

 

 アレックスだ。アルゴより頭一つ分大きな身体と巨大な乳房を背後に感じる。こいつは多分、男にもこの距離感なのだろう。そう思わせる無遠慮・無防備ぶりであった。

 

「なーにシケた面してんだよ、カラードとよろしくヤってるクセに」

 

 アレックスはその姿勢のまま、アルゴに話しかける。いつものヤンチャそうな笑顔と口調の中に、少しの羨望を感じた。

 

 嫉妬ではない。あくまで先にカラードの女になったライバルに、体験談を聞きに来たのである。アレックスはそういうことをやる女であった。

 

「――っ!!」

 

 だが、その言葉がアルゴの"地雷"を思い切り踏み抜いた。逆鱗に触れたという意味ではない。アルゴは悲痛に顔を歪めるばかりで、怒ることも反論することも出来なかった。

 

 周りの人々はまだ、カラードとアルゴの関係がぎくしゃくしていることを知らない。今は戦後処理やら何やらで忙しいだけで、相変わらずアルゴはカラードの彼女だと思われている。

 

 なのでアレックスは、普通に怒っているものと誤認した。

 

「教えろよ、カラード()ってどんなもんなんだ? やっぱりエグいのか?」

 

 興味津々なのを隠そうともせず、アルゴを質問攻めにする。

 

「……めロ」

「なんでだよー、いーじゃんかへるモンじゃなし! 25層ん時とか毎日のようにヤってたんだろ? ちょっとくらい教えろよな~」

 

 25層の話が出た瞬間、アルゴが明確にびくり、と反応した。それに気を良くしたアレックスは、ニヤニヤしながら返答を待つ。

 

「やめろって言って……!!」

 

 たまらず振り返ったアルゴは、その目尻に涙を溜めていた。

 

「な、なんだよ、泣くことないだろ」

 

 今度はアレックスが困惑する番だ。嫌われている自覚はあったが、この反応は彼女らしくない。ウブではあっても極端に下ネタ嫌いという訳でもなかったはず。と言うことは……

 

「ははぁ、ケンカでもしたか?」

 

 アレックスはすぐ、正解に近いところまでたどり着いた。アルゴは声にならない声を短く出して、二の句が継げない。本当はもう少し厄介な事情があるのだが……図星だと、アレックスは判断した。

 

 同時に、アルゴの表情の曇り具合から見て、原因はカラードではなくアルゴにあるのだろうと当たりを付ける。

 

 ――チャンスだ。

 

「いいのかよ、カラードが()()()()()こっちに来ても知らねぇからな?」

「……っ!!」

 

 アルゴはその挑発にも乗れず、涙目のまま歯を食いしばってアレックスを睨みつけるばかり。

 

 カラードはそんなことをしない、と言える自信がなく、させない、と自分が言う資格があるとも思えなかったからだ。

 

 アレックスはあずかり知らぬことだが、自分のせい(とアルゴは思っている)で数十人の死者を出した以上、カラードが自分の所から離れても何も言えないとアルゴは考えていた。アルゴ自身がどう思うかは、別として。

 

 一方、アレックスは(カラードが否と言わない限りは)アルゴを味方につけて、二人かもっと多くの女でカラードを共有しようと思っている。

 

 "あれ"を受け止めるには一人では足りないと、アレックスの野生が告げるのだ。変に独占してカラードを満足させられないくらいなら、はじめから複数でかかった方がよい。

 

 だからこの時は、わざと焚きつけるような言い方をして発破をかけた。

 

 元鞘に戻させてからこの時の"貸し"を持ち出し、愛人のポジションを認めさせる。それが一番実現可能性が高いだろうと、アレックスは無意識に計算していたのだ。

 

 だがアルゴからすれば、彼女の元を離れたカラードがアレックスの方に行く、というのは「ありそうな未来」に見えた。だからアルゴは遂にその場にいられなくなって、逃げるように走り去る。 

 

「あっ、おい! ……足はっや」

 

 攻略組クラスのレベル帯でステータスポイントを敏捷に極振りした上、指輪によるブーストまでかかっている。今のアインクラッドに、走るアルゴを捉えられるものはいない。

 

 想定外の反応に面食らったアレックスは、頭をポリポリと搔きながら呆然とアルゴを見送る。同時に、カラードにアルゴの話をするのは当分止めておこうと心に誓った。

 

「はっ、はぁ、はっ、うぇっ!」

 

 アルゴは行先がある訳でもなく、涙で霞む視界を無理矢理拭いながらとにかく走る。

 

 SAOにスタミナの概念はない。脳に直接流し込まれる疲労感や足の重さを無視出来れば、理論上は無限に走り続けられる。

 

 だがカラードほどその手の訓練を積んでいる訳でもないアルゴは、町の外周部の路地まで来た当たりで足がもつれ、顔から思い切り転んだ。

 

「うぐっ!! うぇっ、えぐ、ぐしゅっ……うぇぇええ……」

 

 起き上がる気力も湧かず、その場にうずくまる。

 

 ひとしきり泣いた後、アルゴはようやく、自分にはカラードがいないとダメだと気が付いた。

 

「……そっカ、オレっちもう、とっくニ」 

 

 好きだの嫌いだのではなく、もうカラードの虜なのだ。多分自分は、カラードがどこかへ行ってしまったら堪えられない。

 

「カー、くン」

 

 しかし、今の彼女には、名前を呼ぶことしかできない。

 

 結局アルゴが決意を決めてカラードの元を訪れるまで、約3週間の時間を要することになる。

 

 後になって分かることだが、ここで3週間もウジウジとしていなければ、彼女はあのような光景を見ることはなかったのである。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 それから、約3週間。最前線は30層になった。

 

 カラードのアルゴとの不仲はあちこちで噂になりつつある。気の早い所では、既にアレックスに乗り換えたとも。

 

 それでもアレックスは、なんだかんだカラードの心はアルゴを向いているものと思っていた。実際、それは正しい。

 

「これを装備してみろ」

 

 アレックスが思っている以上にカラードが計算高く、同時に女ったらしでもあるというだけのことだ。

 

「……これ」

「敏捷力が20上がる。2つで40だ」

 

 カラードの差し出した手の中には、赤い石がはめ込まれた指輪が二つ。その力は、カラードと誰より多くの模擬戦をこなしているアレックスが一番よく知っている。

 

 カラードがこれと同じデザインの、緑色の石が嵌った指輪を身に着けてから、突然一回り以上強くなった。

 

 一つで数レベル相当のステータスの底上げをしてしまう、武器でいう魔剣クラスの代物。それが二つ。アレックスはそれ以来、またカラードに一太刀も入れられなくなった。

 

 指輪の存在とその効果に気づいた時、アレックスはカラードに散々同じものが欲しいとねだった。それをのらりくらりと躱されたしばらく後、アルゴが赤い指輪を愛おしそうに撫でているのを見かけて、正妻の座は無理そうだと察したのだ。

 

 だがアレックスは諦めなかった。彼女は自らを「カラードのもの」と自認している。カラードが満足してくれるのが最優先、それに自分も使ってくれれば言う事なし。

 

 カラード本人から「やめろ」と命じられない限り、2番でも何でも、「カラードのもの」の座を狙い続けるつもりでいたのだ。

 

 そう思っていたアレックスに、にわかに「希望」が現れた。

 

 差しだされた指輪は二つ。カラードも、二つ指輪を付けている。

 

 何があったか知らないが、恐らくアルゴと不仲。

 

 諦めていた"一番"が、目の前に転がってきた気がしたのだ。

 

『戦いで役に立っているから』

『カラードと一番多く戦い、その強さを体に分からされているから』

 

 そう思い、必死で押さえつけてきた情欲。近頃はカラードと戦い、負けるたびに耐えがたい疼きをこらえなければならない位に肥大化したそれに、あまりにも甘美な燃料が注ぎこまれた。

 

 身体が急速に火照り、錯覚だろうが■■が降りていくのを感じる。それまで自分を抑えていたのは、ひとえにカラードが求めていなかったからだ。そこに、この指輪である。

 

 数か月間ずっと抱えていた欲求不満の蓋が、他ならぬカラードの手でこじ開けられてしまったのだ。倫理コードがあるにも関わらず、アレックスはあまりの興奮に意識を焼かれた。

 

「こ、れ。そういう意味だって受け取るぞ? ……貰っちまったら、アタシもう抑え効かねえからな?」

 

 辛うじて残った意地で、カラードに問いかける。既に息は荒く、「フー、フー」という興奮し切った、すぐにでもハートマークの混じり出しそうな息遣いがカラードの耳にも入ってくる。

 

()()()()()ために渡した。だが」

 

 カラードは兜のバイザーを下ろすと、背中の大剣をアレックスへ向け構える。

 

 同時に、デュエル申請のウインドウが届いた。だが普段のそれとは違う「完全決着」の四文字が、アレックスにほんの少しの理性を取り戻させる。

 

「一本、入れて見せろ。お前の望むモノをくれてやる」

 

 "実戦"。殺し合いの中で、カラードを納得させろ。

 

 自分に相応しい雌であると示して見せろ。

 

 カラードはそう発し、確かにアレックスは、そう受け取った。

 

 アレックスの思考が、嘘のように凪いでいくのを感じる。

 

 渇望。欲求。力。屈服。生殖。奉仕。愛。高揚。焦燥。死。

 

 アレックスの中で荒れ狂っていた衝動が、全て一点(カラード)に向けられ、集中していく。

 

「――ぁは」

 

 その時確かに、アレックスはひとつの"壁"を超えた。




 お気に入り4500、ありがとナス!!
 13/nはバトルから40層までになるかと思うゾ。その後久し振りにR-18やって、暇があったらムゲン団。

 18:46追記:一部ストーリーを加筆修正。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。