それではどうぞ!
(右手に温もりを感じる...)
少年はゆっくりと目を開ける。そこに映されたのは木で出来ている見慣れない天井だった。
何故か右手がとても温かいのを感じて目を向けると、あの時よりも綺麗で、血の気が戻った少年の妹ーカナヲが少年の手を握っていた。
「やっと起きてくれた...」
カナヲが目が覚めた少年に気付くと安堵の涙を流す。
「僕は大丈夫だよ。ごめんね、一人にして。」
気休めにしかならないことは分かっていたが、カナヲの声に反応してみせる。
その時、部屋を出た奥から誰かの足音が聞こえてきた。
「起きたのね!あなたは二ヶ月も寝ていたのよ?」
鈴を転がしたかのような可愛らしい声。一度聞いた事のある声だ。
「あなたは...」
「私の名前は胡蝶カナエよ。鬼殺隊という組織で鬼を滅する為に活動しているわ。」
「鬼殺隊」、「鬼」、聞き慣れない単語が一度に出てきてどれから聞くべきか迷っていると、急にカナエが頭を深く下げた。
「故に私はもっと速く着いてあなた達の両親を助けなければならなかったわ...助けられなくて本当にごめんなさい...」
少し涙ぐんだ声。これだけでこの言葉に嘘は無いと信用できる。
「そんな...頭を上げてください。確かに両親は亡くなってしまったけれど...私達は生きてます。それに、あのままでは私達もあの生物に殺されていました。
むしろあなたは命の恩人です。頭を下げるべきは私達の方です。」
そう言って少年とカナヲは深く頭を下げる。その姿を見てカナエは少し微笑んだ。
「そう言って貰えるととても助かるわ。ところで二人はもう家が無いのよね?」
カナエの言葉に少年は少し迷う。
無いと言われると厳密には違う。両親と今まで暮らしてきた家がある。
だが、そこは長屋(現代でいうアパート)のため、暮らすことは困難だろうと考えた。なので、二人とも首肯する。
「そうよね!それじゃあ二人にはこの屋敷で住んで貰おうと思うの!」
「いやいやいや、いくらなんでもそこまでは...」
突然の提案に少年は遠慮がちに声を上げる。
しかし、カナエはもう住ませる気でいるようだ。
「私があなたの両親を救えなかった償いだと思って。それに人として家の無い子供を見過ごせないもの。」
非常に少年達からしてみたら嫌な言い方だ。これでは断わるに断れない。
「では...すみません。お世話になります。」
もうこれは断れないと察した少年は、再び小さく礼をする。それをカナエは一輪の花のような笑顔で返した。
少なくとも少年にはそう見えた。
「起きたばかりだから無理に動かないでね。今軽く食べられるものを持ってくるから。」
そう言ってカナエは去っていく。
そしてしばらくしてカナエともう一人の少女が重湯を持って現れた。
「私は胡蝶しのぶです。姉さんの妹でこの蝶屋敷に住んでいます。これから関わることも多いと思うので以後お見知り置きを。」
そう言って小さく礼をするしのぶ。
少年もそれに対して小さく礼をした。
彼女は医療に特化しているらしい。また歳も少年と同じだそうだ。
少年は重い腰を上げ、カナエから貰った重湯を少し掬って口にする。
塩加減が丁度良い。この短期間で色々なことがあり、心身共に冷えきっていた身体が底から温まっていくのを感じる。
少年が無言で食べ進めていると、不意にカナエが口を開いた。
「そういえばまだ名前を聞いていなかったわね。」
「僕の名前は栗花落闇時です。呼び易い呼び方で構いませんよ。」
少し箸を休め、水を飲みつつ口にする。
「じゃあ闇時君って呼ばせて貰うわね!私達も敬語はいらないわ。」
いいものを聞いたと言うように笑顔なカナエ。
それに対し闇時は少し難しい顔をした。
「それでは...カナエさんって呼ぶね。」
少し敬語を外して話してみる。すると、カナエは更に笑顔になった。
「姉さん、あれ、言わなくていいの?」
あれとは何だろうと首を傾げる闇時達と逆に、カナエは何かを思い出したような顔になる。
「あれ...って何?」
恐る恐る聞くと、カナエの様子が先程と一変し、真剣な顔つきになった。
「教えなければならないわ。鬼、それと鬼殺隊について。」
ブツ切りのようになってしまってすみません!
今回で主人公の名前が明らかになりましたね。
栗花落闇時、読み方は「つゆり あんじ」です。
カナヲの兄ですね。
この世界線でカナヲの両親は虐待はしていません。
平和であってほしいという作者の些細な願いからです。
次回は簡単な鬼滅の刃の作品の概要から始まります。
もう既にご存知のかたは始めの方を飛ばしてもあまり影響はありません。
それでは皆さんまた次回お会いしましょう!
ヒロインは誰が良いですか?
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カナエ(カナエ生存ルート)
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しのぶ
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堕姫