とうとう花の呼吸講座(んな大袈裟な)の時が来た。
今なら勝てるとまで行かなくともいい勝負くらいは出来るだろう。
そんなことを考えながら闇時は訓練所へ向かう。
しばらく歩いていると、後ろからカナヲが追いかけてきた。
「兄さん...!」
「お、カナヲか。ちょっとカナエさんに呼吸を教えてもらうけどカナヲも来る?」
「うん!」
カナヲが闇時の問いに笑顔で答える。そんな話をしている間に訓練所の目の前まで来ていた。
(とりあえず、見て盗める技は盗んでいこう。)
そう、心の中で呟く。
訓練所へ足を踏み入れ、顔を上げる。
訓練所の真ん中にもう既にカナエは来ていた。
「待ってたわよ、闇時君。」
「すみません。カナヲも見学させていいですか?
邪魔にはならないようにするので。」
「ええ、良いわよ。じゃあカナヲはしのぶと一緒に奥で見ていてね。」
カナヲが無言で頷き、しのぶと一緒に移動したのを確認すると、カナエは一本の木刀を闇時に差し出した。
「闇時君、今日は実戦形式のものを行うわ。分かっていると思うけど手加減なんてしなくていいわよ。私もしないから。」
「うん。」
二人の準備が終わったのを見計らい、二人同時に距離を取る。
充分な距離を取ったあと、お互いに振り返り木刀を構えた。
「それじゃあ!用意、始め!」
しのぶの合図と共に闇時が先手を取る。
カナエは闇時の実力を見定めるためにこの訓練を行っている為、先手を取るつもりは毛頭無かったが。
闇時の初手はカナエの頭部を狙った大きな一振。大雑把ではあったが、かなりのスピードと威力を持って振られた刃は重い一撃となった。
カナエは顔の前に刀を構え、闇時の一撃を受け止めるも、予想外の重さになんとか受け止めたという感じだった。
闇時は、近接戦は分が悪いと判断し、もう一度距離を取る。
しかし、カナエはその極わずかな隙を見逃さなかった。
鋭い一閃を闇時の胴めがけて放つ。
これには闇時も反応が遅れた。
胴に当たりそうな刀をなんのか木刀の側面に無理矢理当てて軌道を逸らそうとする...が、僅かに遅れ、もろに木刀が腹部に入った。
「グハッ!ゴホッゴホッ...」
肺に貯めていた空気が一気に吐き出される。カナエは、またも闇時の頭めがけて一撃を当てようとする。
しかし、この攻撃は読まれていたよか闇時は体を横にずらして躱した。
カナエは次の反撃を恐れ、一度距離を置いて闇時の方に顔を向ける。
「何で今打たなかったんですか。」
横腹を押さえて立ち上がりながら問う。
「思ったより強い一撃だったのよ。あの体勢だと威力を受けきれないのよね。」
少し困りながら返す。闇時は静かに刀を構え直し、呼吸を整えた。
「これで本気なんて思ってませんよね?」
闇時の言葉にカナエは少し身構える。更に速度や威力が上がってもいなせるように。
だが、そんな予想を闇時は遥かに上回ってきた。
「フゥゥゥゥ」
闇時から独特の呼吸音が聞こえる。
この呼吸音は、カナエがかつて一度だけ見せた花の呼吸の呼吸音だった。
(一度見せてくれた花の呼吸...見様見真似でも多少は使える!)
一歩を素早く、力強く踏み込む。
大切なのは努力。これは闇時の努力の賜物だった。
「花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬!!!!」
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カナエ(カナエ生存ルート)
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堕姫