字書きとして素人ですが、好きなことを自分なりに表現してみたいと思い、ラブライブを題材に書かせていただこうと思いました。
至らぬ点も多々あると思いますが、暖かい目で見て頂けると嬉しいです。
道の始まり
学校の校庭に咲き誇る桜、それは学生にとっては始まりと終わりのいずれかを連想させるものだと思う。
今の俺にとっては前者にあたる。
今日から新しい学校の制服を着て生徒としてこれからの3年間を全うしていくのだ。
「おはよう、輝弥」
朝、目が覚めリビングへ向かうと姉が声を掛けてきた。
「おはよう、姉さん」
珠緒姉さんはいつも朝早くに起き朝ご飯の準備をしてくれている。
親元を離れた姉との共同生活。その中で料理は姉に任せっきりになっている。
姉さんは俺の一個上で今年から高校2年生となるけど、その料理の腕前は同年代の中ではかなりのレベルだと思う。
「今日から晴れて高校生ね。新しい友達が出来ること、楽しみにしてるわね」
「出来るかな〜……まあ程々にやっていくよ」
姉からの質問にご飯を食べながら答える。
新しい学校での友人関係についてはできるかが自信がない。
それは俺の控えめな性格もあるのだが、一番はこの学校の入学者による影響が多いと思う。
何せその高校は毎年女子の入学が9割、男子が1割という半分女子校に近い所なのだから。
でも、俺としてはその条件は承知の上でここを選んだ。
いつか見ていた音楽関係への夢、それを叶える為に芸能関係の勉強についてはトップクラスであるこの学校を調べ自分で受験したのだから。
家を出てから学校に着くまでの間、そんな事を考えながら歩いていたらふと桜が目に入り、いつの間にか正門まで到着していた。
「ついに俺も虹学の生徒になるんだな……」
柄にない事を呟きながら周囲に目を向ける。
同じように緊張な面持ちで入学する一年生らしき人、新入生が入ってくるという事で辺りに可愛い子がいないか目を光らせてる人、正門前で元気に朝の挨拶をする生徒会のメンバーらしき人、それに合わせ覇気なく挨拶する人、ここまで見たところで思った事が一つ。
(……本当に男子いないなぁ……)
通学路で1人も男子を見なかったし、学校に着けば誰か1人くらいはいるだろうと楽観視していたが、現実は非情だった。
「まぁ、考えていても仕方ないし、クラスを確認してさっさと教室に行こう」
正門前で挨拶している人に軽く挨拶を済ませ、正門を潜る。
そして、1年生らしき集団がいる所へ行くと、そこに各クラス番号と生徒の名前が記載された名簿が掲示されていた。
この学校は普通科、国際交流学科、ライフデザイン学科、情報処理学科、音楽科の5つの専攻があり、俺は音楽科を選択している。
音楽科の名簿を確認し、自分の名前を探す。
「巴 輝弥……巴 輝弥と……」
音楽科1−1の名簿に自分の名前を見つけ、該当の教室を移動する。
教室に入っても生徒は過半数いる程度だったが、それでも男子は見つからない。
周囲の女子は珍しいものを見るかのように俺を一瞥する。
俺はそれを気にも留めず自分の席へと歩いていく。
女子らも特に小言を言う事もなく自分たちの会話に戻る。
席に着いてずっと何もしないわけにも行かないので、改めて事前に学校から配布されたタブレットを開き、パンフレットの中身に目を通す。
「にしてもこの学校、本当に広いなぁ。ここに着くまでも結構歩いたけど移動教室とかだと絶対に迷うよな……」
そう、この学校は全国から優秀な生徒が集まるマンモス校であり、だいたい1学年当たり1000人近くいるのである。
それだけ教室数が多い事、専攻数が豊富ということもあり様々な施設が揃っている為、初見の人は地図が無いとまず迷う。4月中は移動教室の際、目的の教室に着けず遅刻する生徒も少なくないだろう。
「あの……」
校内図を見て、ある程度レイアウトについて確認していると1人の男子が声を掛けてきた。
ミディアムの黒髪、赤い目が特徴的な温和な印象を受ける少年だ。
「はい。何ですか?」
「君もこの教室の生徒だよね?」
「そうですけど、もしかして君も?」
「そうなんです! やっと男子が見つかって安心したよ〜」
「そっか! 僕もここまで男子の姿を見なかったから凄く不安だったんですよ……」
正直、俺以外に男子生徒はいないんじゃないかと錯覚するほどに見かけなかったので内心不安に駆られていたが、お互いに念願の同性の姿を目にするとすぐに打ち解けた。
「俺、鈴川慎っていうんだ。よろしく。えっと……」
「僕……いや、俺は巴輝弥。気軽に輝弥って呼んで、それに堅くならなくてもいいから」
「輝弥か! 分かった。俺も慎って呼んでくれたら嬉しいな!」
「分かった、よろしくね、慎」
新学期初日から仲良くなれそうな生徒を見つけられて俺は少し運がいいのかもしれない。
感想等、お待ちしています。