いやぁ、時が流れるのは早いね…。
あと前回の投稿から間隔が空きすみませんでした…!
頑張って書いていくので引き続き見ていって下さい!
今回もよろしくお願いいたします!
先に着替えに戻ったしずくさんを追い、演劇部の部室へと向かう。
部室に着いたが、流石に中へ入るのはまずいので俺たちは外で待ってることにした。
待ってる最中、慎が声を掛けてきた。
「輝弥、さっきは大丈夫か?」
「部長さんに言われたこと?」
慎は静かに頷いた。
「……まあ言われ慣れてるからいいよ。実際姉さんがすごいのは分かってるんだし」
俺はため息を吐きながら諦めたように言う。
身内が優秀故の悩みというものだ。
「慎は兄弟はいないの?」
いつも俺の姉について話をしているので慎の身内についても興味が湧いた。
慎は少し顔をしかめ唇を噛んだがそれも一瞬の出来事だったので俺はそれを見ることが出来なかった。
「……一応妹がいる」
「そうなのか。俺は下にいないから羨ましいよ。今はいくつになるの?」
「……今頃は中2になってる……だろうな……」
慎は陰を落としながら答えていく。
最後の方が聞こえにくかったけど、大きくなった妹に兄心が強くなってしまったのだろうか。
(なんでそんなに悲しそうなんだ? 兄妹喧嘩でもしたのかな……)
慎の事についてもう少し聞こうとしたが、
「お、お待たせしました……」
しずくさんが部室の扉の陰から顔を覗かせてきた。
だいぶ居心地が悪そうな表情をしているが逃す気はさらさら無い。
「しずくさん、お疲れ様。もう大丈夫?」
「はい。とりあえずはいいですよ」
「じゃあ、ここにいるのもあれだし場所を移動しようぜ」
慎のことを聞きそびれたがまた聞けるチャンスはあるだろうと思い、慎への追求は一時ストップする事にした。
【??? 視点】
「はぁ…………」
私は今、カフェレインボーに来ています。
普通の人であればメニューを見ながらそこで何を食べようか期待に胸を膨らませますが、今日の私はむしろ食べ物が喉を通らないんじゃないかと思います。
原因はそう。私がここでやりたかった事が突拍子もなく終わりを告げてしまったからです。
私はスクールアイドルになりたくてこの学校に転校してきました。
ここから遥か遠い異国の地で日本のスクールアイドルの動画を観て、凄く元気と勇気を貰えました。
この場所で私も同じようにみんなの心をポカポカにしたいと思い、新しく立ち上げる事になった同好会でスクールアイドル活動を始めるつもりでした。
今年度から始まった同好会ですが、メンバー間の仲も良く練習についても何不自由なくやれていたのですごく充実していました。
ですが、そんな楽しい時間の終わりはあまりにも突然の出来事でした。
同好会での練習が最初は楽しくてみんなのやりたいことを尊重してやれていてメンバー間の歯車は噛み合っているように思えましたが、気づかない内に異音を放ちながら狂い始めていったのです。
お互いのやりたい事に対する想いが溢れすぎるあまり、知らず知らずの内にそれぞれの価値観を押し付けていました。
そして、メンバーの一人がそれに悲鳴を上げて、その声を聞いてからお互いのやりたい事を発言し辛くなりました。
また誰かを傷つけてしまうかもしれない。
であれば自分のやりたいことを我慢してみんなの意見に耳を傾ければ同好会の為になると思っていましたが、それでもスクールアイドルの神様は私たちに微笑んでくれる訳ではありませんでした。
今の私たちの関係性は、良く言えば譲り合いの精神、悪く言えば自主性が無いと言えたことでしょう。
強い絆が芽生えてるとは言えない私たちにライブでお客さんの心をときめかせるというのは些か厳しいのではという事で、一旦各々を見つめ直す形として活動休止にしようと部長のせつ菜ちゃんから提案がありました。
一時休止ということでメンバー全員で合意はしたけれど、今日学校に来てみたらスクールアイドル同好会は廃部になったって連絡が来て理解が追いつきませんでした。
せつ菜ちゃんに連絡を取ろうとしても電話は繋がらずどうしようか悩んでいる時、私はここで出会った友達に相談しようと思いました。
「元気ないわね、エマ?」
カフェレインボーの一角で気を落としながら待っているとその子はやってきました。
「果林ちゃん……」
青いセミロングの髪でスタイルも良いその子は普段読者モデルをやってていつも忙しいけど連絡したらすぐに駆けつけてくれるとても頼もしく優しい女の子。
朝香果林ちゃんは片手にコーヒーを持ちながら私の向かいの席に座ります。
私は何から話そうか考えていると果林ちゃんから話しかけてくれました。
「……どうするの? スクールアイドル」
その質問に対して私は途切れ途切れになりながら答えていく。
「……私にも分からないの……。部長のせつ菜ちゃんに連絡を取ろうとしても繋がらなくて……。一時的に活動を休止するだけって言ってたのに……廃部だなんて……」
私は一時休止にすると言ってた情景を思い浮かべて胸の中の想いが込み上げてくる。
果林ちゃんはカフェの外を見ながら私の話を聞いていましたが、何か思う事でもあるのか真剣な顔をしていました。
ですが、私に話しかけるときにはそれは崩し、いつもの優しい果林ちゃんで居てくれます。
「そんな顔しないで。力に……なれるかしら?」
「……っ! うん……!!」
その時の果林ちゃんの顔は凄くかっこよくてどんなことでも解決してくれるんじゃないかと思わせてくれるほどでした。
「部長さんに電話が通じないのなら直接会うしかないと思うの。話に聞く限り正体不明のスクールアイドルとして通っているようだけど、必ずどこかに尻尾は出てるはずよ」
コーヒーを飲みながら果林ちゃんは自分の考えを話してくれる。
こうして、私が中々切り出せない時とかにはいつも傍で助言してくれる。
「そっか……。いつも電話で話そうとしてたけど……そうだよね。絶対この学園にはいるんだもんね」
「えぇ。探す方法は幾らでもあると思うの。ただ、一つだけ確認したいのだけれど……」
果林ちゃんはまた真剣な顔になり私の顔を見つめる。
「……他のメンバーも同じ気持ちなのかしら?」
「……それは……そう……だと思う……」
私は同好会メンバーの気持ちについて確信を持った答えを返すことが出来なかった。
それだけ私の中にあるあの子たちのイメージが私の知っているものだと確証が持てなかったということ。
果林ちゃんはそんな私の返答に何も気に掛ける様子もなく考える素振りを見せる。
「……なるほどね……。私たちだけで勝手に動くのもいいけど、どうせなら味方は多くいてくれた方がいいわ。他のメンバーにも話を聞いてみましょ? ……ってあらっ……?」
果林ちゃんは話の結論を一旦出した後、カフェの出入り口の方を見て少し奇妙な表情をするのでした。
【輝弥視点】
俺は慎としずくさんと一緒にカフェレインボーに来ていた。
いつもの昼なら昼食に何を食べようかと友達同士で会話に花を咲かせていることだろうが、今日の俺たちは違う。
放課後のここであれば人は少ないし、お互いに落ち着いて話ができると踏んだからだ。
実際、ここにはごく少数の人しかいなかった。
窓側に二人の女生徒が座っているが、そこから遠い場所に別の生徒が勉強に利用していたりと使用用途は様々だった。
俺は周囲に人が少ない席を選びしずくさん達を座らせる。
「何か飲み物を買ってくるよ。二人は何がいい?」
「えっ!? いいよ、そんなことまでしなくても……!」
しずくさんは借りを作りたくないのか俺へ対して咎める様子を見せるが、俺はやめる素振りを見せない。
「いいんですよ。俺たちが勝手に誘ったのもあるんですから飲み物一杯くらい気にしないでください」
「……じゃあ……紅茶でお願いします……」
しずくさんはまだ納得がいっていないのか渋々承諾する形で飲み物をオーダーする。
「オッケー。慎は?」
「俺も紅茶でいいか?」
「いいよ、ちょっと待ってて」
そう言い、俺は飲み物を取りに行く。
二人分の飲み物を用意し、各々の前に置いていく。
ちなみに俺はコーヒーだ。
「じゃあ今日は改めて急に訪問してごめんね、しずくさん」
俺は、連絡もなく突然訪ねてしまったことを謝る。
彼女にも演劇の練習があったのだがそれを邪魔してしまったのが少し心が痛い。
「ううん。気にしなくていいよ輝弥君。むしろ私もあんまり練習に集中できてなかったから良いタイミングで来てくれたなって思ったし……」
「そういえば部長さんにも今日は帰れって言われてたよな? それってやっぱり……」
「……うん。二人の想像通りだよ。スクールアイドル同好会のこと……」
しずくさんは紅茶を一口飲んだあと、顔を俯かせる。
ここは俺も想像していたことだから何も疑問に思うことはなかった。
「そっか。俺達、今日はそのスクールアイドル同好会の事についてしずくさんに聞きたいことがあったの」
「……そうなんじゃないかなって思ってたよ。だって輝弥君は……」
この瞬間、俺としずくさんの思っている事は同じだと悟った。
「……単刀直入に聞かせてもらうよ。どうして昨日のライブにしずくさんと中須さんは出てこなかったの? あと……他の近江さんとエマ・ヴェルデさんもだけど……」
「あれは……私たちが決めたことなの」
「しずくさん達が決めたこと……?」
そこから昨日のライブに至るまでのスクールアイドル同好会の実情を知ることになった。
エマちゃんと果林ちゃんのカップリングは安心感があってすごく好きです。
次回でスクールアイドル同好会の過去について触れていきます。
是非お楽しみに!