昨日、今日と虹ヶ咲3rdライブが行われておりますね!
ライブのお陰で執筆が捗ります!
それでも今回もよろしくお願いします!
「えぇ──!! 生徒会長がせつ菜先輩──!?」
スクールアイドル同好会の再始動に向けて俺たちが調査した結果を侑さん達に話していると、生徒会長の裏の顔を知ったかすみは驚きの表情を隠せなかった。
今までスクールアイドル同好会のリーダーとしてチームを引っ張ってきたせつ菜さんの正体が自分たちの活動を悉く邪魔してきた生徒会長だったのだから。
かすみが驚いている横で侑さんは顎に手を当て誰にも聞こえない声量で何かを呟いていた。
「……やっぱり……」
「侑ちゃん?」
隣にいた歩夢さんはそんな侑さんを不審に思ったが侑さんはそれを気付いていないようだ。
「せつ菜さんは自分のせいで同好会を壊してしまったと責任を感じてそのけじめとして自分が同好会から去ろうとしているんです」
「確かにかすみんもせつ菜先輩に言いすぎてしまった所はあるけど……だからってやめていい理由にはならないでしょ!」
同好会が廃部になった経緯を知ったかすみは自分の過去の態度を思い返しつつ、それでもせつ菜さんの行動にも憤慨していた。
「それにはかすみと同意見だよ。誰よりもスクールアイドルが大好きな人がこんな事で大好きなことから目を背けていいはずがない。それはあまりにも残酷すぎる」
俺はかすみの意見にも同意しつつ何とかせつ菜さんを引き戻せないか皆に提案する。
「でも、それは貴方達の一方的な考えでしょう? 優木せつ菜はどう思っているのかしらね」
「むぅ~~! いちいち鼻につきますねー! 嫌味を言いに来ただけならとっとと帰ってくれませんか?」
「かすみちゃん、そこまでにしよ? 果林ちゃんは私たちの事を考えて言ってくれてるだけだから」
果林さんが一歩離れた視点から持論を展開するが、かすみは先ほどから自分の考えとそぐわない果林さんに苛立ちを隠せずにいた。
だが、そんなかすみを見てエマさんが宥めている。
ここにいるかすみ、歩夢さん、侑さん以外のメンバーは果林さんの性格を理解しているつもりなので、その発言が間違っていると思っていないからこそ反論しない。
だが、もしかすみと同じように初対面であったならばかすみと同じようなリアクションを取る人は少なからずいただろう。
果林さんはかすみに噛みつかれたけれども気に留める様子もなくかすみから貰ったコッペパンを頬張ろうとしている。
「別に私もただ嫌味を言うためにここにいるわけじゃないんだけどね」
果林さんはそう言いながら貰ったコッペパンを半分に割り、半分をエマさんへ譲った。
果林さんとエマさんがコッペパンに頬張り始めると侑さんが口を開く。
「……あの……せつ菜ちゃんはスクールアイドルをやめたいんでしょうか……?」
侑さんの問いに俺は自然と口から言葉がこぼれる。
果林さんも頬張るのをやめ、侑さんを見つめる。
「侑さん……」
「……どういう事かしら?」
「あんなに情熱を持った人がやめるなんてあんまりです……。あの時のライブも全力で楽しんでいたせつ菜ちゃんが一人でこんな仕打ちを受けるなんて絶対におかしいですよ!」
「僕も侑さんに同意です。誰よりも自分の大好きを貫こうとしていた人が逆に大好きをひた隠しにしなくちゃいけないなんてそんなことあっては駄目です……!」
侑さんの発言に賛同の声を上げる。
あのライブを間近で鑑賞していた俺と侑さんの気持ちはせつ菜さんはスクールアイドルを辞めてはいけないという願いだけだった。
「みんなは……せつ菜ちゃんはこのまま辞めていいと思いますか?」
「「「それはだめだよ(です)!!」」」
侑さんの質問にエマさん、彼方さん、しずくさんが一斉に声を上げる。
「せつ菜ちゃん、誰よりもスクールアイドルに真剣に向き合ってて格好いいのにそれを押し殺して生活するのは絶対辛いよ!」
「彼方ちゃん、お姉さんなのにせつ菜ちゃんの事を何も見てあげられてなかったから……これはせつ菜ちゃんだけが背負う責任じゃないよ!」
「お披露目ライブは流れてしまいましたけど……出来ることならもう一度やりたいです! せつ菜さん無しのライブも……同好会も……そんなの絶対にあり得ません!」」
「かすみんも……あの時はついカッとなってしまったんですけど……今なら分かります。せつ菜先輩も同じくらいの情熱を持っていたんだって……! だから今度はせつ菜先輩の言葉を拒否しないでしっかりと受け入れた上で一緒に活動をやっていきたいです!!」
三人に追随する形でかすみも同じように決意を表明する。
同好会がバラバラになる一因を作ってしまったことを気にしているみたいだが、かすみもこれまでの反省も含めて真正面からせつ菜さんに向き合うつもりのようだ。
以前会ったときからぶりっ子キャラというイメージが張り付いていたが、今日のかすみはそのイメージを壊すには十分な程、他人の事も尊重する心が顔を覗かせていた。
彼方さんもそんなかすみを見て、思わず抱きついて頭を撫でていく。
「おぉ〜、大きくなったねぇ〜かすみちゃ〜ん」
「むぅ〜、彼方先輩それ褒めてます?」
「むふふ〜褒めてるよ〜」
「確かに前に会ったかすみとは印象がだいぶ変わってるぜ。しっかりと周りが見えてる良い奴っていうのが分かったよ」
かすみは彼方さんの反応に半信半疑だったが彼方さんは笑いながらも肯定していく。
また、それに合わせて慎もフォローしていく。
慎もかすみに対しての第一印象があまり良くないと思っていたので見直したようだ。
「それじゃあかすみんが元々自己中心的な人間みたいじゃん! かすみんはそんな人間じゃないよーっだ!! 慎のすけって本当に気が遣えないね!」
「はぁぁ!? 人が折角褒めてたのになんだよその態度はー!! やっぱりお前はかすかすがお似合いだな!」
「かすかす言うなぁぁ!! 慎のすけのくせに──!!」
かすみは慎の発言が気に入らなかったようで先ほどと同じようにお互いがそれぞれの蔑称を言いながら睨み合っていた。
仲良くなったのは良いけど、どうしてこうもいがみ合うのだろうか。
「かすみさん、落ち着いて」
「慎もそこまで」
「ちぃっ……ふん!」
「ぐぬぬ……ふん!」
しずくさんと俺はそれぞれを宥めるがまだ睨み合いは収まらず、ついにはそっぽを向いてしまった。
「まぁ、何はともあれやっぱりこの同好会にはせつ菜さんも必要不可欠ということですね」
「そうだね! せつ菜ちゃんは本当にすごい人だもん! せつ菜ちゃんの練習風景とかもっと見てみたい!」
俺が話題を戻すと侑さんもせつ菜さんを引き戻すことに賛同する。
それに他のメンバーも頷いて賛同の意を示す。
しかし、一人だけ異を唱える人物がいた。
「でも結局、戻るかどうかはあの子の気持ち次第よね」
果林さんだ。
確かにここまでは俺たちの願望で話を進めている。
本人がそれを跳ね除けて本当に辞めるつもりであるならば俺たちにそれを止める権利はない。
「ぐぅ……また水を差すことを……」
「でも、やっぱりそうだよね。せつ菜ちゃん自身がどう思ってるかが一番大事だもんね……」
かすみは果林さんがまた嫌味を言うことに苦言を呈すがエマさんが果林さんの発言を肯定する。
「直接本人に聞いてみる?」
「でもまず話してくれるでしょうか……?」
彼方さんも意見を出すがしずくさんが反論する。
俺たちがどんなに彼女に問い詰めて同好会に戻るように懇願しても口を開くことはないし首を縦に振ることもないだろう。
それだけ優木せつ菜さんが今回の事態を重く受け止めている証拠なのだ。
どう進めていこうか考えていると侑さんが口を開いた。
「……私に任せてくれないかな……?」
「侑ちゃん……?」
侑さんはいつにも増して真剣な表情でこちらを見つめる。
隣にいる歩夢さんもそんな侑さんを不思議に思い、彼女を見つめる。
「何か手があるんですか?」
「……これと言ったものは……正直浮かんでない……。だけど、せつ菜ちゃんの想いは以前に聞いたことがあるからそれを元に私が説得する」
侑さんは少し自信なさげに答える。
以前に聞いたというのはどこかでせつ菜さんと会ったということだろうか。
隣で歩夢さんが驚いた表情をしているので恐らく侑さんとせつ菜さんの二人だけで会ったのだ。
「侑さんも僕達と立ち位置としては同じだと思います。お一人で説得できるのですか?」
「それは……やってみないと分からない……。私もせつ菜ちゃんの本心を全部聞けたわけじゃないから……」
「そんな無知の知では状況は同じだと思います」
俺はそう言い放つと侑さんは少し落ち込んでしまう。
だがそれと同時に俺の頭では別の意見も出ていた。
(どんなに根拠は無くても侑さんみたいに情に任せてぶつかってみるのもありか……)
今までの俺ならこんな考えは切り捨てていたが背に腹は変えられないこの状況、やってみる価値はありだと思った。
やる前から無理だと決めつけるのは俺の悪い癖だがやらぬ後悔よりやる後悔、その気持ちで今はやってみよう。
「……ですが……今はそれしかないですもんね……」
「えっ?」
「僕もせつ菜さんの事を聞いて自分なりに思う所がありました。もし宜しければその案に僕も付いていってもいいですか?」
「輝弥君……! うん! 是非とも一緒に来てよ!」
侑さんは否定されると思っていたので逆に賛同してもらえることに驚きを隠さず、目を輝かせながら笑顔になり俺の手を両手で握ってくる。
「確かに今の状況じゃあ、せつ菜さんの事を一番分かってるのは輝弥と侑さんだろうから二人に任せるしかないか」
「そうだね。私も輝弥くんと一緒にせつ菜さんには会ってるけど、多分丸く収められちゃうと思うから悔しいけど輝弥くんに任せてもいいかな?」
慎としずくさんは賛同の意を示してくれる。
それに呼応するように他のメンバーも同意する。
「同好会で一緒だったかすみん達が何も出来ないのは正直悔しいですけど……こういうのは距離が近すぎない人間の方が話しやすいもんね……」
かすみも顔に悔しさを滲ませながら顔を落とす。
だが、それも一瞬のことで次に俺と侑さんに向き合った時には蟠りが無くなってすっきりした表情になっていた。
そして、俺たちに頭を深く下げる。
「かぐ男……侑先輩……。せつ菜先輩を……よろしくお願いします……!」
「みんな……ありがとう! 輝弥君、頑張ろうね!」
「はい! 絶対……せつ菜先輩をスクールアイドル同好会に連れ戻す!」
みんなからの激励の言葉を受け集まった熱意をせつ菜さんにぶつける為に、もう一度あの時のような本気の姿を見せてもらうために俺たちはより一層力が入るのだった。
今回もありがとうございました!
少し短くはなりましたが、次はせつ菜ちゃんの引き戻し回です!
全力で執筆していくのでお楽しみに!