虹の袂   作:M-SYA

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今回は私の推しであるあの子が登場します!




演劇少女との邂逅

「いやぁ、今日はありがとうな! ピアノ演奏聴けたり歌えたりで本当に楽しかったよ!」

 

「こっちこそ楽しかったよ、ありがとう。慎って結構歌上手いんだな。弾いててテンションが上がってきちゃったよ」

 

「にしても輝弥も結構歌上手いじゃんか。ピアノ良し歌良しって反則じゃないか?」

 

 鑑賞会を終え、お互いへの賛辞を述べながら靴箱へ向かう。

 

 

 その道中、階段の踊り場にてとある光景が広がっていた。

 

「……あぁ……もはや誰も私のこの気持ちに気づいてくれない! 何が足りない? 何が必要? 私が持っていないものは一体何!?」

 

 まるで今まで愛していた男に見捨てられた女性を演じる様に動作しながら辺りに軽く響くくらいの声量で呟く少女。

 

 俺と慎はそれを見て固まっていた。

 

「……これは……一体何なんだ……?」

 

「……見てはいけないものを見てしまっている気がするよ……」

 

 俺と慎は固まっていたがずっと見ているわけにはいかず、別の道からと踵を返そうとした時、

 

「……っ!? 誰かいるんですか!?」

 

 演技をしていた少女に見つかってしまった。

 ずっと黙ってはいけないと思い俺は顔を出して声をかける。

 

「ご、ごめんなさい……。偶然目に入ってしまって……故意ではないんです」

 

「お、男の方ですか……この学校で珍しいですね」

 

 茶髪の長髪をハーフアップでまとめていて、大きく赤いリボンを後ろから覗かせる落ち着いて清楚な印象を受ける女の子だ。

 

「っていうか踊り場でそれなりの声量で演技してたら絶対誰かの目には止まるだろ!」

 

「むっ、確かにそう言われればそうですね。私こそすみませんでした。人気が無かったのでつい演技の練習をしたくなってしまいました」

 

 慎が喧嘩を売りそうな発言をしていたので少し寒気がしたが、少女は自分にも非があると感じたのか頭を下げながら謝罪の言葉を述べた。

 

 演技をしていた時は雰囲気が変わってかっこいい印象を受けていたが今は礼儀正しく話してくれる辺り、話していて気持ちが良い。

 

「いえ、お構いなく。それとその黄色リボン……という事は貴女も一年生ですか?」

 

「貴女も、ということはお二人もですか? 確かに言われてみれば黄色ネクタイですし同じ1年生ですね」

 

 俺たちはそれぞれ、胸元にある黄色のリボンとネクタイを見て同級生であることを確認した。

 

「でも、俺たちのクラスにはいなかったよな? どの科にいるんだ……いるんですか?」

 

「同級生ですし無理されなくて良いですよ。私は国際交流学科を専攻しています」

 

 慎は初対面であった事を思い出したのか、敬語で話そうとする。

 しかし、少女の方は気を遣われてると感じたのか、そのままでいいと諭した。

 

 同級生と偶然巡り会えたこともあり、お互いに自己紹介を行う。

 

「そうだったんですね。僕たちは音楽科にいるんです。僕は巴輝弥、彼は鈴川慎といいます」

 

「鈴川慎だ。よろしくお願いします」

 

「巴さんと鈴川さんですね。私は桜坂しずくと言います。先程までやっていたように演劇が好きでして、将来女優を目指したくてこの学校に入学しました」

 

「桜坂さんは女優志望なんですね。素敵な夢をお持ちだ」

 

 確かに芸能関係の道を進む人も多いから女優志望の生徒がいても何もおかしくはない。

 

 むしろ時間があればこうして練習している姿を見ると本気で目指しているんだなという気持ちが伝わってくる。

 

「ふふっ。ありがとうございます。あと私のことはしずくと呼んでくださって構いませんよ。こうして同級生の男の方らと知り合える機会もないですし」

 

「じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらうよ、しずく」

 

「よろしくね、しずく……さん」

 

 しずくさんは名前で呼んでいいと言ったので、堅苦しくなくて済んだのか慎は呼び捨てで話すが、俺は緊張からかさん付けで留まってしまった。

 

「え、輝弥……さん付けするのか……」

 

「知り合って間もない人を早々呼び捨てできる慎が羨ましいよ……」

 

 俺としては女性と話すのは緊張してしまうのでしばらくはこうなるんだろうな……

 

「俺の時はすぐに呼び捨てにして話してたのにな〜。しずくも俺たちのことは好きに呼んでいいからな」

 

「はい、輝弥くん、慎くん、よろしくお願いしますね。でもいつか輝弥くんとも対等にお話したいです」

 

 しずくさんは俺に向かってからかう様に言う。

 目も少し薄めながら言ってきているから、彼女も意外と策士なのかもしれない。

 

「……言われてんぞ〜……?」

 

「う、うるさい……」

 

 慎が明らかにニヤけながらこっちを見てくる。ちょっとムカついたから軽く肘打ちをお見舞いしておく。

 なんだか恥ずかしくなってきた……

 

「と、とにかく、まだ会って間もないけどこれからも何か助け合えたら嬉しいな。改めてよろしくね、しずくさん」

 

「ふふっ、なんだか輝弥くんって可愛らしい方ですね」

 

「ぶふっ……! 可愛らしいか……!」

 

「慎……流石に俺も怒るぞ」

 

 慎の奴……さっきまであんなに褒めてくれてたのに今度は一気にからかってくる。

 まあ、そこまで打ち解けられたと考えれば上出来なのだろうか……。




いやぁ、清楚系少女いいですねぇ。
自分はこういうの大好きです。

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