虹の袂   作:M-SYA

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今回もよろしくお願いいたします!
同好会メンバーが少しずつ出てきますよー!




運命は突然に

 入学初日の学校を終え帰宅してきた。

 家に着くと既に姉さんの靴が置いてあった。

 

「ただいま、姉さん」

 

「おかえり輝弥。入学式だけの筈なのに随分遅かったわね?」

 

 姉さんは少し困ったように笑い、俺に話しかけてきた。

 

「うん、早速同じクラスの男子と仲良くなってね。ちょっと一緒に話してたんだ」

 

「あらっ、そうだったの? なら安心したわ」

 

 荷物を自席に置きネクタイを緩めながらその日あった出来事を話した。

 

 

「入学初日から色々とイベントが目白押しだったのね」

 

 俺の思い出話を聞きながら、姉さんは自分のことのように嬉しそうに微笑んだ。

 

「にしても演劇好きな子もやっぱりいるのね。少し気になるわ」

 

 姉さんは俺とは別の高校で演劇同好会に所属している。

 演劇好きな子もいるという事で、やっぱり気になるようだ。

 

「うん、学科が違うからあんまり話せる機会も多くはないと思うけどまた会ったときに色々話を聞いてみるよ」

 

「えぇ、お願いね」

 

 話を聞きながら、姉さんはコップにお茶を入れ俺に渡してくる。

 その後、自分用のコップにお茶を入れ席に着く。

 

「そういえば、部活はどこに入るか決めてるの?」

 

 姉さんからの問いにコップを置き、俺は少し考え込む。

 

「うーん、特にここにっていうのは決めてないんだよね」

 

「中学校でやってたテニスは続けないの?」

 

「続けようとは思ってないし、まずは部活見学をしてから決めていこうかなって思ってる」

 

 中学ではあまり大した成績を上げてないし、今やりたいっていう気持ちもないから他の運動部でも探そうと思う。

 とは言え、チーム種目も得意ではないんだけど……。

 

(そういえば、慎はどこに入るとか決めてるのかな……?)

 

 ふと、慎のことが頭によぎった。今度どの部活に入るつもりか聞いてみようかな。

 

「でも無理に運動部に入る必要もないんじゃない? 私みたいに演劇部とかやってみてもいいでしょうし」

 

 姉さんは普段は大和撫子の様に落ち着いて優しい雰囲気を醸し出しているが、舞台に立つと人が変わるように目つきが変わり声もすごく通るので、弟である俺も姉さんのその変わり様には脱帽している。

 

「俺は人前に立って演劇するなんて向いてないよ。恥ずかしくなってくるし……」

 

「別に恥ずかしさなんてすぐに慣れるわ。それに舞台上ではなくても音響に携わるっていうのも面白そうだと思うし」

 

 演者ではないやり方も姉さんは勧めてくるが少なからず姉さんと比べられるだろうし、演劇に関してはあんまりやろうとは思わない。

 

「まあ、やるやらないは輝弥の自由だし私は口出ししないわ。ただ、一緒にこの道へ進むのもお姉ちゃんとしては楽しそうかなって思っただけ」

 

「姉さん……」

 

 姉さんはそう言い、俺が飲んだコップを片付けてくれた。

 姉さんはいつもこうして、俺の話を聞いてくれて道を示してくれる。

 

(俺も……自分のやりたいことをちゃんと考えてみるか……)

 

 

 

 次の日、午前中の授業が終わり、昼休憩に入ったので食堂へ向かおうとすると、

 

「輝弥! 一緒に食べないか?」

 

 挨拶が終わったと同時に慎が俺の元へやってきて、誘って来てくれた。

 俺も声をかけようと思っていたが、彼の行動が早くて少し驚いた。

 

「あぁ、いいよ。一緒に行こう」

 

「ありがとう。やっぱりまだ1人で校内を歩くのは勇気が無くてな……」

 

 確かに俺もまだその勇気が出ない。

 今日も登校時に慎以外の男子の姿を全然見なかったのだ。

 杞憂に終わる筈だが、それでも慣れるのには時間がかかりそうだ。

 

「俺も。慎がいてくれて心強いよ」

 

「食堂では他の男子はいるのかな……?」

 

「……いるとは思うけど……どうだろうね……」

 

 2人の間で重い空気が流れてきた。

 

 

「……やっぱり……女子生徒が多いね……」

 

「……あぁ……。こうも多いと気疲れが激しそうだなぁ……」

 

 食堂であるカフェレインボーに着き、それぞれ食べたいものをとって隅の席に座る。

 

「そういえば、慎って部活はどこに入るか決めてるの?」

 

「えっ? そうだな〜。特にこれってのは決めてないけど……どうしてだ?」

 

 慎はいきなり質問されうーんと唸りながら答えた。

 

「いや、特にこれといった意図はないんだけど、ちょっと気になって」

 

「俺はまだ決めてない。色々部活を見てから決めようと思ってる」

 

 先ほどまで唸って答えを考えていたと思ったら、いきなり真面目に答えてきた。

 

「慎は結構運動は得意なタイプ?」

 

「まあ、それなりに得意な方だよ。と言っても表彰をもらうまではいかないけどな」

 

 俺はあまり運動神経がいいとは言えないので慎が羨ましい。

 

「そういう輝弥はどうなんだよ?」

 

「俺も同じ。どうしようか考えてるところ」

 

「ふぅーん、まっ、考えても仕方ないだろ。一緒に見つけていこうぜ」

 

「……そうだね」

 

 俺はここに来て本当に良き友人に巡り会えたのかもしれない。

 

「あのぅ〜?」

 

 2人で話していると1人の女子生徒が話しかけて来た。

 

 ベージュ髪のセミショートに赤色の目がくりっとして活発そうな印象だけれども小動物みたいな可愛さがある子だった。

 

 いきなり可愛らしい子が話しかけてきて少し緊張してしまう。

 

「どうかしました?」

 

 その子は右手の人差し指を口元に持ってきて意味ありげな目線を送りながら話し続ける。

 

「いきなりであれなんですけどぉ〜……スクールアイドルに興味ありません?」

 

 ……俺と慎は目を点にしながら固まっていた。

 

「「えぇ────ー!!」」

 

 いきなり波乱の予感がする……。

 




アニヶ咲で描かれなかった部分を独自で書いていきます!
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