虹の袂   作:M-SYA

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お待たせいたしました!

鉄は熱いうちに打て、という事で久々の週二回目の更新です!

よろしくお願いいたします!


お疲れの方はいませんか?

 俺達は各メンバーの良いところを出し終わった所で次のステップに進もうとしていた。

 

「それじゃあ、次はみんなのやりたいステージ像についても一気にまとめていく?」

 

「そうだね、やれるところまでとことん詰めていきたいな」

 

 侑さんの提案に歩夢さんが賛同し、他の方々もそれに呼応するように頷いていく。

 

 そんな中で不安な面持ちをしている者が二人いた。

 

「……私、まだやってみたいステージ像、浮かんでない……」

 

「俺も具体的な案は浮かんでないから、構想が出来上がった時にお話ししても良いですか?」

 

 二人はスクールアイドルをやる上での目標は考えてはいるものの、どんなライブを作り上げられるかまでは考えられていないようだ。

 

 しかし、それも無理もないことだろう。

 

 璃奈は沢山の人と心を通わせる、慎は見ている人を熱くさせる。

 

 最初から大きな目標を掲げるのは容易いことだが、それをどう実践すれば実現できるのかと言われると中々に難しいものだと思う。

 

「そうだね、他の人の案も参考にしつつ二人の考えを纏めていけばいいと思うよ」

 

「では、かすみんの案からいいですかぁ~?」

 

 慎たちが早計しないようにフォローをしていると、早く自分の事を言いたくて仕方なかったのか、かすみが自分から率先して声を上げる。

 

「うんうん、かすみちゃんどうぞ!」

 

「はぁ~い♪ かすみんはステージ上でかすみんの王国を作りたいです!」

 

「王国?」

 

 かすみが作りたいという王国に興味が湧き、かすみに続きを喋ってもらうように促す。

 

「そう! かすみんは世界で一番かわいいスクールアイドルを目指しているんです! だからこそ、かすみんを王様としたキュンキュンする世界を作っていきたいんですよ!」

 

「かすみさん、それは具体的にどうするか決めてるの?」

 

「それはまだ決め切れてないけど、何か王国を象徴するものを作ってステージで披露してみたいんだよね~」

 

 かすみの意見は中々に新鮮なもので面白そうだった。

 

 彼女が自分の可愛いを見せるために実現出来得る演出を精一杯考えたのだ。

 

 そんなかすみの願いを叶えてあげたい。

 

 だが、それをやるために必要なことがあるのだが、それは追々やるとしよう。

 

 いつになく真面目な意見を出してくれたかすみにエマさんは感嘆の声が出ていた。

 

「かすみちゃんの王国、すごく可愛くなりそうで楽しそうだな~♪」

 

「確かに凄く華やかなステージになると思いますね。他にかすみのように道具を使ってみたい人はいますかね?」

 

 俺はかすみと同意見の人もいると思い、発言してもらうように促すと彼方さんが手を挙げてきた。

 

「なら彼方ちゃんはステージで枕とベッドを使いたいなぁ~♪」

 

「……まさか彼方さん、ステージ上で寝ようって魂胆じゃないですよね?」

 

 私欲にまみれているのでは、と疑ってかかる慎に彼方さんはジト目をかましながら反論する。

 

「む~、寝るんじゃないんです。みんなとリラックスタイムの時間を一緒に堪能するんです~」

 

「絶対にそれやる事変わらないですよね!?」

 

 ステージ上の彼方さんと一緒にリラックスタイムという名のお昼寝をやるのだろうが、そんな事をするスクールアイドルは全国を回ってもここでしか見れなさそうだ。

 

 興味はあるが攻めの姿勢にも程があり過ぎる。

 

「ほ、他はどうでしょうか……。エマさんとかは如何ですか?」

 

 彼方さんの案に少し気が抜けてしまったが、気を取り直して他の人はいないかとエマさんに話を振る。

 

「うーん、何が良いかなぁ……みんなを癒してあげるようなことをしてあげたいなとは思ってるんだけど……」

 

 どうやら、エマさんも具体的にやりたい事はまだ煮詰まっていないようだ。

 

 しずくさんもエマさんのコンセプトには難儀の表情を示していた。

 

「エマさんの案も中々に難しい内容ですね……」

 

「癒してあげるってどういう感じになるのかな?」

 

 歩夢さんが癒しというテーマに出来る事を考えているとせつ菜さんが横から大きな声で参加してきた。

 

「私であればアニメを見ると、力が湧いてきますよ! 推しが活躍する所を見られるのは私にとって最高の癒しです!」

 

「せつ菜ちゃんは相変わらずだね~! 私はスクールアイドルの動画を見ると癒されるな~。みんなが頑張っているところを見ると元気を貰える!」

 

「あっはは、こういう議論になるとやっぱりみんなバラバラになるね! 愛さんは友達の笑顔とか見ると嬉しくなるな~! それが自分のお陰で笑顔になったとかだとなお嬉しくなる!」

 

 歩夢さん以外の二年生組はそれぞれ負けじと自分の癒しを発表する。

 

 どれもその人達らしい意見で聞いてて楽しい。

 

「輝弥くんは何か癒しになることってあるの?」

 

 お三方のやり取りを微笑ましく見ていると璃奈が俺に話しかけてきた。

 

「うーん、俺にとって癒しになることは音楽を聴いてる時間だけど、人によっては触ってもらうと気持ち良くなるとかはあると思うな。例えば、頭を撫でてもらうとか」

 

「彼方さんだとそれに加えて膝枕なら一瞬で寝るな!」

 

「慎くん、さっきから彼方ちゃんに対しておちょくっているのかい~?」

 

 慎と彼方さんが先ほどからじゃれ合っているが仲が良い証拠だろう。

 

 エマさんは俺の意見に納得がいく表情をしていた。

 

「なるほど! 確かに人の温もりに触れるっていうのは癒し効果があるっていうもんね! というわけでかーくん!」

 

「いや、どういうわけですか!?」

 

 突然格闘ゲームでありそうなポーズを構えるエマさんを見て、思わず声が上がってしまった。

 

「つまりかーくんを癒してあげたいってことだね!」

 

「侑さん、解説しなくてもそれは分かります! でも……僕は大丈夫ですから」

 

 流石にこんな大人数の前で甘える姿なんて見せたくないので、無理やり以前までの話に切り返していく。

 

「それよりも先ほど話してたステージの事です。皆さんがやってみたい事をもっと具体的に考えられるように出来る事ってないですかね?」

 

 俺の強引な話の返しにもせつ菜さんは真面目に考えてくれていた。

 

「そうですね……。例えば、スクールアイドルはステージに立つのですから衣装も重要になってきます。どんな衣装を着てみたいのかを考えてみるのは如何でしょうか?」

 

「衣装……はっ! それならいい方法があるよ!」

 

 せつ菜さんの意見にエマさんがはっとした表情を浮かべ、スマートフォンをポケットから取り出して誰かに電話をかけ始めた。

 

「エマさん、やけに今日は元気いっぱいですね」

 

「いつもは私たちを見守るような感じで後ろにいるイメージだったんですけど、何かあったんですかね?」

 

 慎と歩夢さんがエマさんに対して微笑を浮かべているが、その明るさが逆に思う所があるようだ。

 

「さっき、カグヤンに拒否されたのが効いてるんじゃない?」

 

「愛さん、根も葉もないことを言わないで下さいよ……」

 

 少し揶揄いの意も込めた言い分に俺はただただ呆れるしかなかった。

 

 流石にあそこで折れてしまうほどエマさんは弱くないと思っているのだが。

 

「いやいや、だってエマっちも良きと思って言ったのに、意外とカグヤンはあっさり切り捨てたからさ~。それを引きずってるのかな~って思っちゃった」

 

「だって多くの人の前で頭を撫でられるんですよ? 慎だったら耐えられるか?」

 

「……多分……いや、俺も恥ずかしさのあまり逃げ出しそうだ」

 

 俺の意見を慎にも仰ぎ、彼も同様の事を思ったのか目線を反らしながら答える。

 

 そんな俺達に彼方さんは枕に顔を埋めながら質問する。

 

「でも私達だから大丈夫って事はないの~?」

 

「むしろ見知ってるからこそ恥ずかしいですよ。だからここはかすみや璃奈にバトンタッチを……」

 

「お待たせ―!」

 

 話の途中でエマさんが会話に戻ってきた。

 

 電話に出る時と顔色が変わっていないので、特に異常などはなさそうだ。

 

「みんなで何を話してたの?」

 

「こちらの話です。それより今のお電話は何だったんですか?」

 

 エマさんから話題の種について掘られるが、触れられたくなかったので種を埋め返していく。

 

 俺の問いにエマさんは手を一発叩くととある提案を発するのだった。

 

「これから衣装を貸してもらえることになったから、みんなで行こう!」

 

 あまりの急展開にエマさんを除く全員が付いていけていなかった。

 

 

 

 

 

 

 改めて話を聞くと、どうやら果林さんが服飾同好会に知り合いがいるとのことで、エマさんの相談を聞いて果林さんが取り持ってくれたみたいだ。

 

 服飾同好会の部室へ行くと、部室内にはたくさんの衣装が揃っていた。

 

「わぁ~、すげぇ……」

 

「こんなに色とりどりの衣装が揃ってるなんて……」

 

 女子組は衣装を見ながら黄色い声を上げているが、服装やファッションに対して元々関心を持っていなかった慎と俺は沢山の衣装を目の前にしてそんな小学生並みの感想しか出てこなかった。

 

 そんな俺達の横にしずくさんがやってきた。

 

「二人共、圧倒されてる?」

 

「衣装とか服の事をそこまで考えたことがなかったからな~。デザインとかこう……結構作りこまれてるんだなって思って……」

 

「ふふっ、慎くん、無理に衣装を褒めようとしなくてもいいんだよ?」

 

 珍しく言葉に詰まる慎にしずくさんは笑みを溢した。

 

「でも実際、この同好会の衣装って完成度が高いことで有名だから体育会系とかにも凄く人気なんだって。ユニフォームとかもその人達から案を貰って作ってるって聞いた事があるよ」

 

「そ、そんな事までできるの!? でも……これを見たら、それも納得出来る気がするよ……」

 

 海外にあるような民族衣装からユニフォームらしい軽装まで豊富な種類の服が揃っているので、外で購入するよりもここで作ってもらった方が気分も高まるし、より一層力が湧いてくるというものだろう。

 

「そういえば、演劇部も同じようにここで衣装を作ってもらう事とかあるの?」

 

「そうだよ。でも、私はこの同好会に知り合いがいなかったから提案し辛かったんだ」

 

「なら、果林さんに感謝だね」

 

 果林さんは確かライフデザイン学科にいると言っていたので、そういった服飾関係も頼れるというのは本当にありがたいことだ。

 

 果林さんもここで何か衣装をリクエストしたりするのだろうか。

 

 そんな事を考えていると着替えを終えたエマさんが試着室から出てきた。

 

「みんなお待たせ! どう……かな……?」

 

 俺達の前に姿を現したエマさんは、黒のストライプを基調としたメイド服に身を包み、白の布かけや帽子を纏って母性の溢れる優しいメイドがそこには立っていた。

 

「うわぁぁ!! エマさん可愛い──!! ときめいちゃうよぉ~~!」

 

「これは国宝級」

 

 エマさんの姿にトキメキが弾けすぎるがあまり彼女の周りをちょこまかと動く侑さんがいた。

 

 おまけに遠目から璃奈がエマさんの姿を写真に収めようとスマホを構えていた。

 

 そして、持て囃されているエマさんを見てかすみが悔しがっていた。

 

「ぐぬぬっ……確かにこれは可愛い……。でもかすみんだって着てみれば敏腕メイドとして、エマ先輩に負けるつもりはないですからね!!」

 

「お前は敏腕メイドというよりかはドジっ子メイドだろ」

 

「うるさい! 慎のすけなんか主人の靴を拭く役目で十分だよーっだ!」

 

「んだと、かすかす!?」

 

「はいはーい、かすかすも慎のすけもそこまで!」

 

「「かすかす(慎のすけ)言わないで下さい!!」」

 

 エマさんへの対抗心に燃えるかすみに慎が毒を吐くが、それにカチンときたかすみもお返しといつもの口喧嘩を始めていく。

 

 いつもの事と見慣れた愛さんが二人のあだ名を呼びながら制止する。

 

 なんで、この二人はこういう時には息がぴったりなのか不思議でならない。

 

「それじゃあ……お帰りなさいませ、ご主人様♪」

 

 エマさんは仲直り(?)した二人を見て、満足したのか俺の方へ向き直りメイドが良く口にする台詞を並べながら手を差し出した。

 

「えっ……そこで僕ですか?」

 

「ほらっ、エマがこう言ってるんだから輝弥くんも乗りなさいよ♪」

 

 エマさんの手を取ろうか躊躇していると果林さんが背中を押してエマさんの元へと持っていった。

 

 自然とみんなの視線がこちらに向くので心臓の鼓動が聞こえるのではないかと思うくらいに脈打っていた。

 

「うぅ……た、ただいま……」

 

「はうぅぅ~~!! 照れるかーくんもかわいいよぉぉぉ──ー!!」

 

「これは貴重な一面」

 

「って璃奈、動画で取るのは反則だってー!」

 

 俺の照れシーンにトキメキが限界突破した侑さんは左右にメトロノームの如くゆらゆらしていた。

 

 そして、どさくさに紛れて璃奈も動画を撮っているので思わずエマさんの元から離れ璃奈の元へとすっ飛んでいった。

 

「ふふっ、こんな輝弥くんも新鮮でいいね」

 

 俺が璃奈からスマホを奪おうと奮闘している横でそう呟くしずくさん。

 

「いや、そんな暖かい目で見てないで助けてよ──ー!!」

 

 俺達のやり取りを見て笑顔になっているメンバー達を見て、そう叫ばざるを得なかった俺だった。

 




読んで頂きありがとうございました!

エマちゃんのメイド服姿は全国民が一度は拝むべきだと思うんだ。
そうすれば世界はマイナスイオンに溢れて癒しの世界が……なんてないですね。


それでは、次回もお楽しみに!
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