今回もよろしくお願いいたします!
食堂でいきなり見知らぬ少女に声を掛けられ2人揃って思わず大きな声を出してしまい、周囲からの目が痛くなり場所を移すこととした。
「……はぁ……ここなら大丈夫かな……」
「別にかすみんとしてはあそこでもよかったんですけどぉ……?」
かすみんと自称する少女は場所を変える必要があるの? と言わんばかりに呆れた様子を見せた。
いや……君は気にしなくても俺たちが気にするんだよ……。
「……して、俺たちに何の用なんだ?」
慎は落ち着かない様子でかすみんに本題を話すように促す。
「改めまして、かすみんこと普通科1年中須かすみですぅ♪」
かすみんこと中須さんは気を取り直して両手の人差し指を両頬に当てながら自己紹介をする。
(うーん……俺はこういうタイプはイマイチ好きになれないんだよな……)
俺はこういった猫被りキャラは媚を売っている感じがしてどうにも好きになれない。
「かすみん、スクールアイドル同好会を立ち上げようとしているんですぅ。今は先輩方も集めて5人になったんですけど、かすみんとしてはもう少しメンバーを増やしたいんですぅ」
中須さんは新しく立ち上げる予定の同好会について説明を始めたが、俺には一つ腑に落ちないことがあった。
「とその前に……スクールアイドルって……何?」
俺の発言を聞いて、中須さんと慎が目を見開いて、
「「えぇ──────ー!?」」
絶叫を上げた。
っていうか、中須さんはともかくなんで慎まで驚いてるんだ?
「お前、知らないのかよ!? 今、全国の高校の間でめちゃくちゃ話題になってるんだぞ!?」
「えっ……そうなの? っていうか慎知ってるのか?」
俺が頭にハテナを浮かべているが慎は気にすることなく続ける。
「知ってるも何もスクールアイドルは俺の……!!」
慎は勢いのまま言葉を紡ごうとしたが、突然固まってしまった。
「慎……?」
突如慎の様子が変わり、俺にも少し戸惑いが生じる。
「いや……なんでもない……。まぁ、前に色々あってスクールアイドルのことは知ってるってだけだ」
慎は少し顔を伏せながらはぐらかしてしまった。
あいつの顔色になんだか翳りを感じる。
「そうなのか……?」
俺にはその先を聞くことが出来ずそこで話を止めてしまった。
「……ごっほん! 知らないという事でしたら代わりにかすみんが説明しますね♪」
話に置いてけぼりにされていた中須さんが大きく咳払いをして、スクールアイドルについて解説してくれた。
「スクールアイドルというのはその名の通り高校生がやるアイドル活動です! 応援してくれるみんなの為にライブをやったり、イベントを開催したりするんです♪」
「高校生のアイドル活動……。ということは中須さんもアイドルなの?」
「まだ同好会も完全に立ち上がった訳ではないので厳密にはスクールアイドルではないです。これからスクールアイドルとしてかすみんの名を全国に知らしめるのです!」
なるほど、つまり今は正確には入部前の状態だから今後なる予定ってイメージか。
「でも、何故俺たちを誘うんですか? 俺たちは男子だし、他に女子生徒を探すのでもよかったんじゃ……?」
俺は至極真っ当な質問をぶつけてみる。
アイドルと聞くと女の子達がグループで活動しているのを想像する。
確かに男性アイドルグループも存在するが、それでも女性アイドルの方がイメージは強いしこの学校ならそのアイドルになれる人財がいる気がするが。
「……一つだけ補足させて貰いますね。お二人に声を掛けたと思っている様ですけど、正確にはかすみんとしては貴方のことを誘っているつもりだったんですよ?」
そう言い、俺に視線を送ってきた。
「…………えっ?」
状況が理解できず、思わず問い返してしまった。
「もう一度言いましょうか?
か す み ん は あ な た の こ と を さ そ っ た ん で す !」
中須さんは呆れながら一字一句ハッキリと俺に噛み締めさせるように言ってきた。
「いやいや、何で俺が? こんなスクールアイドルのことも知らないのに?」
俺は信じられないと言うように両手を前で横に振りながら中須さんに反論する。
スクールアイドルのスの字も知らなかったんだぞ?
「かすみんも他の子を探していたんですよ? でも、かすみんの目に留まる子が見つからなくてぇ〜普通科にも男子はいるんですけどぉ〜そっちはアイドル向きな人がいなかったんですぅ」
中須さんは右手の人差し指を口元に当てながらこれまでのメンバー探しを語る。
っていうか普通科には男子いたんだ……。普通科なら多少はいるのか。
「そこでかすみんは閃いた訳です! 音楽科であれば、作曲もできてスクールアイドルにぴったりな人がいるんじゃないかと!」
閃いたと言ったタイミングで指を鳴らして中須さんは目を輝かせながら喋りを続ける。
「そこで、かすみんは見ました……入学式初日にも関わらず音楽室に入ろうとする男子の姿を……!」
拳をぐっと握りながら熱弁は続く。
この子、さっきから感情表現が豊かだな。
……ん? 音楽室に入る男子の姿……?
「そ、それって俺たちのことだよな!?」
俺が口を開く前に慎が口を挟んできた。
とりあえず気は戻ったようだ。
そして、その慎の反応に合わせるように慎に指を刺しながら中須さんは続ける。
人に指を刺すのはやめておいた方がいいぞ……。
「その通りです! いきなり音楽室に行く生徒が……しかもそれが同級生ですよ? そんなの気になるに決まってるじゃないですかぁ〜♪」
中須さんは両手を手元でぐっと握りながら俺たちに顔を近づけ足踏みしている。
この子にとってはよほどの出逢いだったんだね……。
「声を掛けようと思ったんですけど、話が盛り上がっていたようですし、鑑賞会がどうのって話が聞こえたので陰で聴こうとしたんですが……」
かすみは思い出すように話していたが途中でぐぬぬと悔しむような表情を浮かべた。
「……? どうかしたの?」
そんな中須さんの様子に俺は疑問を抱いた。
が、その返答を聞く前に慎が反応した。
「っていうかお前シンプルに盗み聞きしようとしてたのかよ!」
「かすみんはちょっとしたアクシデントがあって聞いてないですぅ!」
「それでも聞こうとしてた事実は変わらないだろう!」
「かすみんは聞いてないから事実も何もありませぇ〜ん!」
盗み聞き云々について慎が憤慨しては中須さんがぷんぷん言いながら反論してと水掛け論状態だった。
「はいはい、言い合いはそこまでにして……中須さん、さっきのお誘いの件だけど……」
「はい! 興味を持って下さいましたか?」
時間が惜しかったので返答をしようとした。
中須さんが目を輝かせながら俺の回答を待った。
「……その誘い……お断りします」
俺は首を縦に振ることはなかった。
「……えぇ────────!!!」
中須さんは誘いを受けた時の俺たちと同じくらいの声量で驚きの声を上げた。
今回もありがとうございました!
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