虹の袂   作:M-SYA

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大変長らくお待たせいたしました。

本編68話です!

よろしくお願いします。


過去から繋がる未来

 

 傷心している璃奈を救うため、俺は先に出発した同好会メンバーらのしんがりを務める形でしずくさんと一緒に向かっていた。

 

「そういえば璃奈の家ってどこら辺にあるのかな?」

 

「愛さんから貰った地図を見ると……この信号を渡ってもう少し道なりに真っすぐだね」

 

 璃奈の家の住所についてちゃんと覚えていなかったのでしずくさんに確認すると、しずくさんは事前に愛さんから送られた住所を頼りに地図アプリで確認した。

 

 そういえば屋上で最後にしずくさんと話していた時にスマホのバイブレーションが鳴っていたことを思い出した。あれはそういうことだったんだ。

 

「じゃあ、もう少し掛かりそうだね。早く皆に追いつかないと……」

 

「輝弥くん、逸る気持ちも分かるけど今は焦っても仕方ないよ。愛さん達は待ってくれてるはずだから急ぐけど焦らずで、ね?」

 

「……そうだね」

 

 しずくさんから諭されて俺は一呼吸着いて気持ちを落ち着ける。同好会のみんなは俺達が来てくれると信じているはず。だからこそ早く行かねば、と気持ちが()いていたが、焦るがあまりこの道中でトラブルを起こしてしまうことは言語道断だ。

 

 俺はまたしずくさんが居なければ独りで焦って動いていた事だろう。

 

「ありがとう、しずくさん」

 

「ふふっ、こういう時はお互い様だよ。私だって輝弥くんと同じ立場だったらきっと同じ気持ちになるだろうから」

 

「ははっ、ならその時は俺がしずくさんの為にがんばる!」

 

「うん! その時はよろしくね?」

 

 しずくさんと二人で笑い合っていた時、止まれを示していた信号が直進するように水先案内してくれていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、かーくん!」

 

 しずくさんと地図の案内通りに走っていると侑さんが俺達を見つけて手を振っていた。侑さんの周りには俺達より先に出発したメンバーが全員揃っていた。

 

「侑さん……、皆さんお待たせしました」

 

「もう大丈夫なんだね?」

 

「はい、僕も自分の為すべきことに向き合います。だから、一緒に行かせて下さい」

 

 自分一人で物事を解決させようとすること。それは今後の人生で必要な能力であることに間違いない。だが、全ての事柄を人からの助けなしにできる人間はいない。それを素直に認めなければならない。

 

 言葉足らずになってしまったもののその熱意が侑さんに届いたのか元気に笑ってみせた。

 

「オッケー! なら一緒に行こう!」

 

「あの……ちなみに璃奈さんの家はどちらにあるんですか? 皆さんがここにいるという事はもう到着したと思ったんですが……」

 

 しずくさんが璃奈の家について確認する。確かに彼女も璃奈の家について話を聞いたことが無いため詳細を知らない。俺としずくさん以外のメンバーらが揃っているので既に家が近いということは察しが付く。

 

「璃奈ちゃんの家はあそこだよ」

 

 しずくさんの問いに歩夢さんは指を差して答えを示してくれる。歩夢さんが指を差した場所にはマンションが建っており予想外の回答に俺としずくさんは怪訝な表情を浮かべるのみだった。

 

「……璃奈ってこんなところに住んでるのか……?」

 

「……璃奈さんの家って結構裕福な所なんだね……」

 

「ほらっ、二人共! 呆けてないで行くよ」

 

 璃奈の意外な家庭環境に驚いているが、今はそんな事に現を抜かしている場合じゃない。愛さんを筆頭に他のメンバーらも璃奈のマンションへと入っていく。侑さんに声を掛けられてなければもう少しここで固まっていたかもしれない。

 

「あっ、はいっ!」

 

 侑さんに付いていくように俺としずくさんも後を追うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 マンションのロビーで愛さんはインターホンで天王寺家の部屋番号を入力して呼び鈴を鳴らす。流石マンションという事もあって防犯性は高く家主が門扉のオートロックを解除しないと屋内へは入れない仕組みとなっていた。

 

「璃奈ちゃん。出てくれるかな~……」

 

「それはあの子次第ね」

 

 家主からの応答が来るまでの間にエマさんは不安を口にするが、果林さんは達観した様子でエマさんに返事をする。

 

「……りなりー、いる?」

 

 中々応答が来ないことに痺れを切らしたのかインターホン越しに璃奈へ問いかける。

 

「……やっぱり相当落ち込んでるのかな……」

 

 進展を見せない様子に俺も少し胸がざわついてくる。璃奈が出てくれる方法を考えようとした時。

 

『わっ……!?』

 

 機械越しに少女の声が聞こえた。それは紛れもない璃奈の声だった。

 

 だが、璃奈の返事について言及する前にせつ菜さんが困惑の声を上げる。

 

「あ、愛さん、いきなりりなりーはどうかと思いますよ!」

 

「あ、あぁごめんごめん。この時間帯はりなりー一人だって聞いたからつい……」

 

 せつ菜さんの問いに補足を入れる愛さん。それと合わせてエマさんも先ほど聞こえてきた声について確認する。

 

「でも、今璃奈ちゃんの声が聞こえた気がするよ?」

 

「本当ですかぁ……?」

 

「俺も聞こえたからいるにはいるんだろうな」

 

 かすみは聞き取れなかったようだが、慎も肯定してくれているから俺だけの思い過ごしというわけではなさそうだ。だが、こちらが一方的に話をしていても家主側からの返事は一向に返ってこない。

 

「りなりー?」

 

 画面越しに見ているであろう璃奈を怖がらせないように愛さんは一段明るい口調で彼女へ問いかける。

 

「ちょっとだけ、いいかな?」

 

 愛さんの問いかけに対する返しは無い。俺も璃奈と話したい事が沢山あるが、今はそのタイミングじゃない。こういう時は彼女と一番仲が良い愛さんに任せる事が得策だ。

 

 数十秒経過した後に愛さんの問いに応えるように門扉が開いた。これが璃奈の返事ということだろうか。

 

「……行こう!」

 

 愛さんを先頭に璃奈の部屋番号に向かう。

 

 そして、璃奈の部屋に辿り着き愛さんはドアへ手を掛ける。どうやら鍵が掛かっている様子はなく難なくドアが開いた。部屋の鍵は門扉と連携して錠が切り替えられるのだろうか。

 

「……勝手に人の家に入ってるけど大丈夫なのかな……?」

 

「今更そうも……と言いたい所だが、実は俺も気になってた……」

 

 この時間帯は両親が出払っているということだし、メンバーらもいるから心配する事は何もないのだが、不法侵入しているような感覚に陥ってしまい少し気持ちが落ち着かない。

 

 慎も同じことを思ったようでバツの悪そうに苦悶の表情をしていた。

 

「二人共~、別に部屋を荒らすつもりじゃないし後で璃奈ちゃんに説明すればいいから今は行くよ~?」

 

 背中を押されながら彼方さんに説得される。確かに今は是非も言ってられない状況なので侑さん達の後ろを付いていく。侑さんは一つだけ閉められていた扉の前で立ち止まる。おそらくそこが璃奈の部屋なのだろう。

 

 侑さんは一つ唾を飲み込むと意を決してノブを握りゆっくりと扉を開いた。

 

「お邪魔しまーす……。璃奈ちゃーん……?」

 

 扉を開けるとそこは部屋の電気が付いておらずカーテンも閉じており完璧に遮光していた。おかげで部屋の中は真っ暗であり部屋の中の様子が全く見えなかった。

 

 侑さんの返事に応える声がないのでここにも璃奈はいないのかと思っていたが、他に璃奈の部屋らしき場所は見つからなかったので他で見当の付く場所がない。

 

「……ここだよ」

 

「えっ?」

 

 どこからともなく突然璃奈の声が聞こえた。籠っているように聞こえた様子からどこかに隠れているということは感じ取れたが正確な場所までは分からない。

 

 かすみが近くの壁に取り付いていたスイッチを押すと部屋全体が明るくなったが、そこには明らかに部屋の雰囲気に合っていない段ボールが置かれていた。

 

 声の籠り方や聞こえた方角からしたらそこに璃奈が隠れているのは明白だった。

 

「えぇー!? な、なんで段ボール!?」

 

「ばかすかす、余計なことを言うな」

 

 かすみは璃奈の隠れ方に声を上げるが、傷心状態の彼女を刺激しているように感じて慎が喝を入れる。状況を察したかすみは自分の手で口を押さえ喋らないようにする。

 

 そんな中、無言で愛さんは璃奈が隠れている段ボールへと近づく。いつになく真剣な表情をしている愛さんを見るのはこれが初めてかもしれない。

 

「りなりー?」

 

「……ごめんね、急に練習休んじゃって……」

 

「本当だよ……。心配したんだぞ?」

 

 口調が強くなる愛さんだが、声音は怒気を含んでいなかった。そして、璃奈と同じ目線で話を聴こうと段ボールと同じ高さにまでしゃがみ込んだ。

 

「どうしたの?」

 

「……自分が恥ずかしくなった」

 

 璃奈の声音は心なしか憂いを帯びており、今にも泣きだしそうになるのではないかと錯覚してしまう。

 

「私は……何も変わってなかった。昔から楽しいのに怒ってるって思われたり、友達が欲しかったのにこんな私だから誰とも仲良くなれなかった。それどころか……私の事を不気味だって陰で言ってる人もいた」

 

 璃奈の言葉に俺は眉を顰めながら胸が痛くなるのを実感する。学校で笑っていない自分の表情を鏡越しに見た時、誰一人として友達がいなかった、辛かった頃の記憶がフラッシュバックしてしまったのだろう。

 

 そのトラウマが璃奈の中に蘇り、彼女の心を苛んでいたのだ。

 

「もうあの頃と同じようになりたくない。それを思って頑張ってきた。でも……どれだけ頑張っても私の心が晴れる事はなかった。今もクラスに友達は……いない」

 

 クラスに友達はいないと語る璃奈。表情が見えない中でそう語る彼女にただただ心が苦しくなる。

 

「ずっと独りで心が張り裂けそうだった。これからどうしようか悩んでた時に……愛さんに出会った」

 

「りなりー……」

 

「愛さんだけじゃない、輝弥くんや慎くんにも出会うことが出来た。こんな私を怖がらずに仲良くしてくれた。そのお陰で私ももう少しだけ頑張ってみようって思えた」

 

 愛さんや俺たちと出会って世界が変わった。それは璃奈が同好会に入ったばかりの頃にも話してくれたことだ。

 

 小さい頃から感情表現が苦手なために周囲の人間から煙たがられ、その結果、彼女も自分から仲良くなろうと声を掛けることが出来なくなっていた。当時はそんな事情も露知らずで璃奈に話しかけたがそれが彼女にとって大きな変革をもたらしていたのだ。

 

「そして、同好会に入ったことで私は自分に自信を持てた。今まで自分には出来ないと思ってたことが出来るようになってる実感があった」

 

 そう訴える璃奈の声音は先ほどよりもぐっと明るくなる。

 

「……でも、私は見ちゃった。楽しそうにしていない自分を」

 

 だが、付けつけられた事実を噛み締めながらすぐに声のトーンは下がる。

 

 自分の姿を見た、というのはやはり昨日の練習の最中に校舎のガラス越しに映った自分のことだろう。心の中では楽しいという感情が駆け巡っていたのにそれが表情にあらわれていない自分に恐怖を覚えてしまったようだ。

 

「その瞬間、怖くなった。自分だけが楽しいと思ってて周りの人にはそれが伝わっていなかった。昔の記憶が蘇って私は何も変わっていなかったんだって事実が……怖くなったの……」

 

 璃奈は自然と声が震えているようだった。それはまだ泣きまいと我慢してるようにも既に涙が堪え切れなくなってるようにも聞こえた。

 

「それから練習をすることが怖くなって逃げちゃった……。ごめんなさい……。みんなの期待を裏切って……ごめんなさい……」

 

 璃奈は懇願するようにただ謝罪の言葉を連ねる。

 

 俺達は璃奈が凄い勢いで成長を重ねているからこそ頼もしい存在に見えていた。彼女もそれを自分でも認識していたからこそ、もっとみんなの役に立とうと奔走していた。だが、自分の弱さが見えた瞬間に自分の中の何かがポキッと音を立てながら折れてしまい、立ち直れなくなってしまった。同好会メンバーの期待を背負っていたのにいとも容易く投げだしてしまった自分に嫌気が差してしまったのだろう。

 

「璃奈……」

 

 俺は彼女の名を呼びながら近づこうとすると先に侑さんが璃奈の元へと近づいた。そして、そっと璃奈の目線に並ぶようにしゃがみ込んだ。

 

「……ありがと、話してくれて」

 

 侑さんが真っ先に掛けた言葉は感謝の言葉だった。一人で健気に頑張る璃奈だからこそこうして本音を話してくれたことが純粋に嬉しかったのだろう。

 

「私、璃奈ちゃんのライブが観たいな」

 

「えっ?」

 

「だって、璃奈ちゃんの努力が沢山詰まったライブなんだもん。やっぱり報われてほしいし凄く楽しみにしてるよ?」

 

「……愛さんもそう思うよ」

 

 侑さんはそっと微笑みながら自分の気持ちを璃奈に伝える。今までの璃奈の姿を見て、侑さんは心の底から彼女の勇姿を拝みたいと思っているのだ。そして、侑さんの想いに呼応するように愛さんも同意を示す。

 

「璃奈……」

 

 次は自分の番と言わんばかりに俺も璃奈の元へ近づく。

 

「璃奈はさ、自分の事を何も変わってなかったって言ってるけど、それは違うと思うんだ」

 

「……輝弥くん?」

 

「確かに最初はずっと愛さんやみんなの後ろを付いてくることが多かったと思う。でもさ、自分のやりたい事を見つけてからはなんでも一人で頑張ってたじゃん。自分なりにどういうライブをやりたいか決めて、その為に何をしなくちゃいけないのかずっと意見を求めてくれてた。それって昔の自分のままでいたくないっていう璃奈自身の気持ちの表れだったんじゃないかな?」

 

 俺はこれまでの練習風景を思い返しながら璃奈を説得する。同好会に入部してからライブをやると決めた時までの間に璃奈は凄く頑張ってた。苦手だった運動に関しても自分なりに沢山努力を重ねてきたからこそ、みんなと同じくらいに練習についていけるようになっていた。それは璃奈の意欲が練習に出ていた何よりの証拠だ。

 

「それに……練習をしてる時の璃奈、凄く楽しそうなのが伝わってきてたよ?」

 

「えっ……?」

 

 俺は練習の時に璃奈へ感じていた想いを伝える。

 

 璃奈は表情には出ずともその仕草や行動から彼女の気持ちは伝わってきていた。声色が明るくなったり積極的に取り組んでいる様子だったり、璃奈が抱いていた熱意や感情は行動を通してこちらにも伝わっていた。

 

 だが、当人はそんな自覚が無く俺の言葉を素直に受け止める事が出来ていないようだ。

 

「うんうん、璃奈さんの楽しいって気持ち、私にも伝わってたよ!」

 

「誰よりも努力家な璃奈ちゃんって私たちにはない凄い所で本当に尊敬するよね♪」

 

「うむっ、璃奈ちゃんの健気な姿を見て彼方ちゃん達も良い刺激を貰うよね~」

 

 困惑している璃奈へしずくさん、エマさん、彼方さんも後に続いて璃奈の良い所を喋っていく。

 

「機械に強い所も私たちは持っていない要素ですので璃奈さんのお陰で動画投稿や配信に向けての準備は捗っていますよね!」

 

「出来なかったことを出来るようにしてる璃奈ちゃんを見てると私も負けていられないって熱くなっちゃうのよね」

 

 せつ菜さん、果林さんもこれまでを振り返って璃奈に対して思っていたことを告白する。

 

「……璃奈、まだ自分に自信が持てない?」

 

 メンバーらからの賛辞を一切の返事を示さない璃奈に俺は優しく問いかける。自分は大したことをしていないと、皆の方が凄いと思って卑下してしまっている彼女が顔を覗かせているのかもしれない。

 

「……全く……」

 

「わっ」

 

 すると、慎が俺の近くへ歩み寄り段ボールと同じ高さに座り込んできた。そして、いきなり彼女が入っている段ボールを上からとんとんと軽く叩いた。衝撃は無くともいきなり段ボールを叩かれて璃奈が驚きの声を上げる。

 

「璃奈、出来ないことを出来ないと言って何が悪いんだ?」

 

「慎くん?」

 

「ここにいる人たちがさ、全ての物事を当たり前にそつなくこなせる人達だと思うか? 勉強が苦手なかすみだって輝弥の手を借りながら曲の歌詞を作ってるんだ。人に頼ることが苦手な輝弥は俺らが見張ってないとすぐに一人で頑張ろうとする。こいつらだって、それぞれ苦手な事があるんだ」

 

 慎はため息を吐きながらも意固地になる子供に言い聞かせるように璃奈へ話しかける。いきなり例え話の種として名前を出されたかすみは一瞬怪訝な表情をしたが、慎が伝えようとしていることが分かっているのか、すぐに呆れたように笑って無言を貫いた。

 

「いいじゃねえか、苦手な事は苦手でも。俺達は自分達じゃどうにも出来ないことをいつも璃奈にも助けてもらってるんだ。璃奈も自分が出来ないことに対してそこまで責める必要はねえんじゃねえの?」

 

「慎の言う通りだよ。それに、出来ないことを自覚しているならそれを出来るようにすることはできる。過去の失敗を今から挑戦することで未来の成功に変えられるんだよ」

 

「過去の失敗を……未来の成功に……」

 

「そうだよ、りな子。自分の弱みを強みに変えるのだって一人前のスクールアイドルには必要なことだよ?」

 

 俺と慎の言葉を聞いて、璃奈は復唱してその内容を反芻する。かすみも少しからかうような口調でスクールアイドルの秘訣としてアドバイスを送る。彼女もよくライブ配信中に失敗をしてしまうが、それを逆手にドジっ子な私もかわいいとして短所を推す要素として取り入れているのだ。

 

「みんなの言うようにりなりーはりなりーが思っている以上に凄いことをしてるし、出来なかったことに対してこれから挑戦しようと歩き出してるんだよ。だから、愛さん達にもそれを手助けさせてよ。……りなりーが苦手にしてることを長所に変えられるようにあたしらもサポートするからさ」

 

 愛さんはそう言いながら璃奈のいる段ボールをそっと抱きしめる。段ボールは多少の変形を見せながらも璃奈が取っているであろう体勢に近しい形を形成していた。

 

「みんな……ありがとう……。こんな私を……応援してくれて……支えてくれてありがとう……」

 

 璃奈はもう一度声を震わせながらメンバー全員に対してお礼の言葉を述べる。同好会の皆が語った言葉が璃奈の心に届いたようだ。

 

「ライブまで時間はある。それまでに今できることを考えて最高のライブを迎えられるように頑張ろ?」

 

「……うん。私、もう逃げない。今までのダメだった私とお別れするために前に進む」

 

 璃奈はそう自分に言い聞かせると、段ボールを被りながらそっと立ち上がる。そして、段ボールを外して顔色を俺達に見せてくれた。目は少し赤くなっているがいつもより据わった表情をしているように感じた。

 

「璃奈ちゃん……! よし、璃奈ちゃんが次のライブを成功させられるように虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、ここから挽回していこうーー!!」

 

 改めて決意を固めた璃奈を見て安心した侑さんは力強く立ちあがりメンバー全員の顔を見渡し檄を飛ばす。侑さんの言葉に刺激を受け、同好会一同はそれに続くように腕を天井に向けながら掛け声を上げるのだった。

 





読んで頂きありがとうございました!

スーパースターの二次小説に注力し、こちらの更新が遅れていますので楽しみにされている方は申し訳ございません。

更新頻度が遅くなっておりますが、書くことを辞めるつもりはございませんので引き続き読んで頂けると嬉しいです。

それでは次回もお楽しみに!
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