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「そのお誘い……お断りします」
「えぇ──────ー!!」
俺は中須さんからの勧誘を断り、中須さんは驚きの声を上げた。
「ど、どうしてですか!?」
「……スクールアイドルをやるに当たって……俺には出来ないことが多すぎる。作曲……ダンス……表情……トーク力……。基礎も何も知らない俺が真剣にやろうとしている中須さん達と同じようにできると思えないんだ」
「そ、それは皆さん同じことです! 何も巴くんだけがそういう訳じゃないですよ!」
「……俺には……取り柄なんて何もない。いつも人の顔色を伺って過ごしている俺には……誰かを心から応援することなんて出来ない。それは上っ面の言葉でしかない。そんな人からの応援は……ファンの人達の心には……絶対に届かない」
「…………っ」
「………………」
俺は断った理由を述べた。
自分の中からスクールアイドル同好会に入らないための理由が沢山出てくる。
俺にはそれだけ……スクールアイドルとして誰かを応援することは出来ないという気持ちがあった。
その俺の意思を汲み取ったのか中須さんは反対の言葉を紡げず、慎はそんな俺の様子を静かに見守っていた。
「折角の誘いは嬉しいけど……俺はその話……引かせてもらうね」
「ま、待って下さ……!!」
「あっ……かすみさん。ここにいたんだね!」
中須さんの静止する声を振り切り、俺はその場を立ち去ろうと歩こうとした瞬間、別の女の子が中須さんへ声を掛けながら姿を現した。
その声と姿には覚えがあった。
「あれっ……しずくさん?」
「えっ、輝弥くん? それに慎くんも……?」
茶髪に赤いリボンが特徴的な桜坂しずくさん。
どうして彼女がここに……それにかすみさんと言っていた……。
「あっ、しず子じゃん。どうしたの? それにこの2人を知ってるの?」
「昨日、偶然会ってね。ってそれよりかすみさん、お昼にミーティングをするってせつ菜さんが言ってたでしょ? 全然来ないし、電話もしたのに出ないから探してたんだよ?」
「えっ……? あぁ〜! 本当だ〜! ごめんなさい〜!」
中須さんは携帯の着信履歴を確認して10件ほどの履歴が残っている事に気づき、左手を頬に当て目を見開いた。
「ミーティングって……しずくも同好会に入ってるのか? 昨日の話だと演劇部に行くかと思ってたけど」
慎がしずくさんに問いかける。
確かに、昨日の感じだと女優を目指したいからと演技の練習をしていたし、てっきりそっち方面の部活に行くと思っていたけど……。
「演劇部の方は掛け持ちしてるんです。演劇もやりたかった事ですので」
「そうなんだ、ならどうしてスクールアイドル同好会へ?」
「演劇をやるにあたって、表現力を身に付けたいなと思ってね。演劇部でも確かに鍛えることはできるけど、自然な表現とか手足の細やかな表現ってスクールアイドルも似ているけど全く異なるから挑戦してみたいなって思ったの」
しずくさんは自分の胸に手を当てながら答えていく。
この子は自分の夢を叶えるために真剣に考えてスクールアイドルをやろうと決めたんだ。
「なるほど、真面目なんだね。良い事だと思う」
「ありがとうございます。それよりどうして2人がかすみさんと一緒にいるの?」
今度は自分の番としずくさんが俺たちに質問する。
「中須さんにスクールアイドルにならないかって誘われたんだよ」
「だって、巴くんは音楽室でピアノを弾いてたんだよ!? そんなの活かさないなんてもったいないじゃん!」
「へぇー、輝弥くんはピアノが弾けるんだね。さすが音楽科にいるだけはあるね。でもその感じだと誘いはお断りって感じ?」
「まあね。俺はスクールアイドルとして誰かを応援することは出来ないから。人前で何かをやるのも恥ずかしいし」
「そっか。輝弥くんと慎くんは顔も良い方だと思うから似合ってると思うんだけどね……?」
「べ、別にそんなことはないよ……」
しずくさんが俺たちのことをアイドル向きと言ってくれたがそれはお世辞が過ぎる。
慎は確かにスポーツも出来て爽やかイケメンって感じでモテるだろうが、対して俺はあまり運動神経が良いわけでもないし、人付き合いが得意なわけでもない。
「と、とにかく俺は同好会には入らないから……。それじゃあそっちはミーティングもあるって言ってたし俺はこれで失礼するね」
「お、おいっ! 輝弥っ!」
俺は話の続きをしたくなかったので話を終わらせるために教室へ向かおうと校内へ戻った。
慎は俺の後に続き、校内へ戻る。