ちょっとずつアニメ本編の内容に入っていきますので!
今回もよろしくお願いいたします!
少し長くなっております!
「ふぅ〜、中々有意義な見学になったな」
「そうだね、慎はどこに行くか決めた?」
「まだ、他のやつも見てみたいかな〜」
部活動見学を終了し、気になる部活について話し合った。
お互いにまだここと決めた部活は無いようだ。
「じゃあ、俺は帰るけど輝弥はどうするんだ?」
「うーん、俺はもうちょっと残るかな。先に帰っていいよ」
俺はとある場所へ行きたかったので、もう少し滞在していようと思う。
「そっか。わかった。じゃあここでさよならだな! また明日な、輝弥!」
「うん、また明日ね」
慎は気にすることもなく俺に手を振り帰路に着いた。
「……さて、生徒会室へと……」
俺は慎の姿が見えなくなった後、とある申請を出すために生徒会室へ向かった。
生徒会室へ着き、扉を3回ノックする。
「……はい」
中から女生徒の返事が帰ってきたため自己紹介をする。
「失礼します。音楽科1年 巴 輝弥です」
「どうぞ」
入室許可が降りたため中に入る。
生徒会室は普通の教室よりも広く、生徒会長専用のデスクや生徒会メンバーが会議を行うための机とソファが置いてある。
また、壁側に書類を保管する為の棚が置いてあり、中には生徒名簿や活動記録をまとめたファイルが羅列されている。
生徒会室の中には副会長だけがいた。
濃緑色の髪を長く伸ばしたメガネの似合う知的な印象を受ける方だ。
「どうかしましたか?」
「はい、音楽室の使用許可を頂きたくて」
「分かりました。ではこちらの申請書に必要事項を書いて下さい」
副会長は訪問理由を聞いた後、音楽室使用許可書を用意し手渡してくれる。
「……これでよろしいですかね?」
必要事項を記載し確認をしてもらう。
「……はい、問題無しです。捺印しておくので、こちらを音楽室の見える場所に掲示しておいて下さい。使用が終わったら申請書は生徒会室前のラックへ置いておいて下さい」
「分かりました、ありがとうございます」
捺印済みの申請書を受け取り、生徒会室を後にした。
音楽室へたどり着き、申請書は黒板へマグネットで固定しピアノの前に移動する。
「ふぅ……。……俺のやりたいことか……」
俺は席に着きながら演劇部部長さんの言葉を思い出していた。
(姉さんが部長だからとか身内の実績なんて気にしないで、きみのやりたいことをやれば良いと思うけど)
俺のやりたいこと、それはまだ定まったものはない。
この学校で夢を見つけることが出来ると思ったけど、まだ不明瞭となっている。
「……」
考えても仕方ないと思い、俺は自分の好きな曲を弾くことにした。
「~♪」
慎との鑑賞会で一番最後に弾いた俺の好きなゲームに出てくるBGM。
悲しげで切ないメロディーだけれども不思議と惹かれてしまう。
初めて聞いた時の衝撃は忘れられず動画サイトで様々なアレンジを探したり自分で頑張って弾けるように練習したのは良い思い出だ。
そしてゲームBGMだからこそ曲の終わりがないのが俺としてはすごく好都合でもある。
考え事をしているときや気持ちを落ち着けたいときにこれを満足するまでループして弾くことで気持ちをリセットできる。
そんな時、ピアノを弾きながら昔のことを思い出していた。
「姉さん! 見て見て! こんなに弾けるようになったよ!」
「本当ね。すごく上手よ」
小学生の時、好きな曲を弾いてみたいという事で両親が元々所持していた電子ピアノを使用し、何の脈絡もない音を紡いでばかりいたが、少しずつ音階や旋律など基礎について勉強をして、スローテンポながらに弾けるようになったとき、一つの音楽として聴かせられるレベルまで上がった嬉しさは何物にも代えがたい感動だった。
「ずっと練習していたものね。音楽教室に通わずただ自分の音感だけを頼りにここまで弾けるようになって……すごい努力だわ」
「えへへ、いつか俺がピアノを弾いて姉ちゃんが歌う。そんなことをやってみたいんだ!」
「そうね、輝弥なら絶対できるわ。お姉ちゃんも応援する」
「うん!」
俺の屈託のない笑顔を見て、姉さんもまっすぐな笑顔で俺に返してくれた。
それが俺に活力を与えてくれたのだ。
「……っ!」
今は姉さんと違う学校に行ったのもあって、その夢を叶えるのはもう少し先になりそう。
でもここで腕を磨くことで、姉さんに自信を持った俺を見せることができる。
「もう少し……考えてみるか……」
そう、今考えているのは姉さんとの約束だから、将来やりたいこととは相反している。
音楽を用いた内容という方面で考えてみるの一考かと思う。
「……素敵な旋律ですね」
自分の中でやりたいことについてキリを付けたタイミングでピアノを称賛する声が聞こえてきた。
そこには中川さんが立っていた。
「……中川さん」
「またピアノが聴こえてきたので気になって来てみれば……。今回は申請書はちゃんと出しているようですね」
中川さんは黒板に貼付している申請書を一瞥し、俺へ近づいてきた。
「中川さんに怒られたくないですからね。それにしてもどうしたんですか?」
「……巴さんが奏でるメロディーに夢中になっていました」
訪問理由を聞いたら、中川さんは少し目を背けながら答えた。
「えっ……」
「最初はただ聴こえてきただけだったので誰が弾いてるのかを見てから立ち去ろうと思っていましたが、今の貴方はすごく楽しそうに曲を奏でていました。それで……音楽だけでなく素敵な顔をされている貴方を見て夢中になってしまったんです」
中川さんは最初は気恥ずかしそうだったが、途中から俺の顔をまっすぐに見据えて聴いてくれた理由を述べてくれた。
俺としてはそこまでまっすぐに、しかも姉さん以外の女性からそこまで褒められたことがなかったので恥ずかしくなり目を背けてしまった。
「そ、それは……ありがとう……ございます……」
「ふふっ、あまり褒められるのは得意ではないんですね?」
「今までそう言った経験もなかったので……」
「巴さんの貴重な一面を見られてよかったです。でも、どうして同じ曲をずっと繰り返しで弾いていたんですか?」
中川さんは俺をからかうように言ってから、弾いていた曲についての疑問をぶつけてきた。
それもそうだ。以前の鑑賞会では他にも曲を披露していたが今日は1曲をループで弾いていたのだから。
「……考え事をしていたんです。今日、部活動見学をしていたんですけど、あまりこれといった所が見つからなくて……何がやりたいかも決まってなかったのでどうしようかと悩んでいたから、これを弾いていたんです。これを弾いていれば自然と頭がリラックスされて気持ちが落ち着くので」
「やりたいこと……ですか……。私としてはもう決まっていると思っていましたが……?」
「えっ?」
途中からピアノの鍵盤を見つめながら話していたが、中川さんの言葉に俺は思わず中川さんを見つめ返してしまった。
「貴方が昨日、鈴川さんと一緒に鑑賞会をやっていたこと。何か思いつめたとき、悩んだときの気持ちの整理の仕方、先ほどの演奏。もう答えは出てるんじゃないんですか? 大好きなことはいつだって貴方の味方なんです。その気持ちに嘘を付いていたら、その気持ちに向き合う事が辛くなりますよ」
「中川さん……」
中川さんの言葉は演劇部長さんの言葉と違って暖かく俺の中に溶け込んでいく感覚があった。
そして、中川さんは俺に一枚のチラシを差し出した。
そこにはスクールアイドル同好会のライブ開催のお知らせと書かれていた。
「……これは?」
「見ての通りスクールアイドル同好会のライブです。来週ダイバーシティでやるそうですよ。同好会の部長から頂きましたが、私は行くことができないのでもし良ければ鈴川さんと一緒にでも行ってみてはどうですか? いい息抜きになると思いますよ」
そのチラシには中須さんとしずくさんが写っていた。
(この二人がいるのか……。どんなライブをするんだろう……)
「中川さん、ありがとうございます」
「気にしないでください。それでは私はこれで」
中川さんは仕事を戻るのか音楽室から去っていった。
このきっかけにより俺の運命の歯車が大きく回りだすことはまだ知る由もなかった。
最近はこの小説の内容を考えるのが日課になってきました。
すごく楽しくなっております。
次回もお楽しみに!