虹の袂   作:M-SYA

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お待たせいたしました!

今日はみんなの太陽こと宮下愛ちゃんの誕生日です!

今回の話は今までの様なお付き合い設定はございませんのでご注意を!

それではどうぞ!


[特別編]宮下愛生誕祭

「ふぅー……今日の作曲はこんな感じかな……」

 

 次のライブに向けて俺は音楽室で一人粛々と作曲を行っていた。

 

 ちなみに他のみんなは筋トレ組と歌練組で別れて練習を行っている。

 

 今頃彼方さんとかすみが筋トレで果林と慎に絞られている事だろう。

 

 二人共平均よりは上なのだが同好会内で見ると少し柔軟性に弱い所があるからそこの改善がメインになる。

 

 一方、歌練組はしずくさんがリーダーとして先導してくれているだろうから心配はいらない。

 

 むしろあっちは璃奈やせつ菜さんという練習に対して殊勝な態度で向き合ってくれているメンバーがいるのでしずくはだいぶ張り切っていた。

 

 俺と侑さんはみんなのサポートとしてそれぞれの練習を見ていたがライブの新曲を作るという事もあり俺は一層体に力が入っていた。

 

 そして、見ているだけではいられないと侑さんにみんなの練習を押し付けてしまい自分は音楽室へ立て籠ってしまったのだ。

 

 みんなが歌う楽曲についておおまかなイメージは完成していたが、俺はとある人物のコンセプトに頭を悩ませていた。

 

「宮下愛さん……。この人の持ち前の明るさをどう表現できるのかな……」

 

 情報処理学科二年、宮下 愛さん。

 

 せつ菜さんが復活を遂げたあの日、璃奈と一緒にライブを見ていた彼女が心を滾らせてスクールアイドル同好会の門を叩いた時は驚いた。

 

 以前に部活見学をした時、慎と一緒に見ていく先で何回この人の姿を見たことかも分からない。

 

 それほどにこの人は運動部の助っ人として重宝されていた。

 

 そして、凄く明るい性格で誰にでも分け隔てなく接するので生徒会長と同じくらいに生徒からの支持も厚い。

 

 正直、俺みたいな陰で生きていた人間とは雲泥の差だった。

 

「やっほー! かぐやん! 今日はこっちにいたんだね?」

 

 自分と愛さんの格差を憂えていた時、大きな声で音楽室の門を叩く者がいた。

 

 その明るい声色と大きな声量からその正体を考えるのに時間を掛からなかった。

 

「愛さん、お疲れ様です。今日は筋トレ組でしたよね?」

 

「そうなんだけど、ゆうゆは歌練組を見てくれてるのに対してあたしらにはかぐやんがいないのが気になっちゃってね~。だからカナちゃんとかすみんはカリンとシンシンに任せてきちゃった!」

 

 愛さんはあははと笑いながら語りかけてくる。

 

 あの二人は熱意があり過ぎるせいで一時のせつ菜さんよりもスパルタな所がある。

 

 まあ、慎たちもそれは自覚してるから練習時間が増えた時には休憩時間は多めにしたりと飴と鞭をしっかり使いこなしているのは流石といった所だろう。

 

 ちなみにかぐやんとシンシンは愛さんが俺達に付けたあだ名である。

 

 俺のやつは良いのだが、慎のあだ名についてはこれを聞くたびに動物園のとある人気者が頭に浮かんできてしまうのはここだけの話。

 

「あぁ……すみません。次のライブが近づいてきてたのもあって落ち着いていられなくて……」

 

「別に謝る必要はないよ。作曲はかぐやんだけの専売特許なんだからさ。それに愛さん達全員のソロ曲を一人で作ってるんだからその時点で愛さん達はかぐやんに感謝してもしきれないよ!」

 

 そう、これは俺が直談判したことなのだがメンバー達のソロ曲については自分の手で作りたいとお願いした。

 

 だが、全てを俺に投げるわけではなく作詞や振付については自分たちで考えると申し入れてくれたので、そこに関しては任せることにした。

 

「それで? 今はどんな感じなのさ?」

 

「ひとまず璃奈の分までは終わりましたよ。次は愛さんの曲にかかろうと思ってたところでした」

 

「おっ! ならタイミングばっちしだったってことだね! 折角なら愛さんもご相伴に預からせてよ!」

 

 愛さんは言葉に合わせて指を鳴らした。

 

 そして、食い気味になりながらピアノ椅子に腰を掛ける。

 

 だが、ただ座るだけに留まらないのがこの人の溢れ出んばかりの人当たりの良さが発揮される瞬間だ。

 

「……愛さん、近くないですか?」

 

 この人は俺との距離を数ミリしか空けずに隣へ腰かけに来たのだ。

 

 俺としては二人の身体が当たったりしたら、なんてことを考えてしまい頭が軽くパニックになっているが、愛さんは変わらず笑顔のままだ。

 

 なんの躊躇もなく座る愛さんに俺はただ戸惑うのみだった。

 

「だってかぐやんとこうして喋る機会がなかったからさ~。それにかぐやんって愛さんが近づこうとしても少しだけ距離を空けようとするの、愛さんは見てるんだぞ~? だから折角の二人きりだし思い切っても良いかなって!」

 

「うぅ……距離を空けようとしてたのは面目ないです……」

 

 愛さんからの文句に対して、俺は弁解の余地すらないので申し訳なさしか出てこなかった。

 

 愛さんの持ち前の明るさが時に眩しすぎる時があるのだ。

 

 今までこうして関わってきた人間にまともと言える人がいなかったことが俺の逃げ腰を助長させていた。

 

 だからこそ愛さんを初めて見た時も苦手意識が働いてしまい、避けるような態度をとっていたのだ。

 

「そういえば、愛さんの曲を作るって言ってたけど譜面はまだ白紙だね?」

 

 愛さんはピアノの譜面台に置いてある譜面に顔を覗かせる。

 

 愛さんの言う通り譜面は真っ白だ。

 

 だが彼女の言った言葉に一つだけ指摘するとしたら。

 

 口を開こうとした時、愛さんが言葉を被せてきた。

 

「……いや、消した後? もしかしてあんまり作曲進んでない感じ?」

 

 愛さんは心配そうにこちらを見つめる。

 

「……そうなんです。愛さんが以前に披露した歌も参考にしつつ新曲を作ろうと思っていたんですけど、これといったインスピレーションが何にも浮かばなくて……」

 

 以前に披露したというのは同好会の方向性を決めるきっかけとなった公園でのゲリラライブの事だ。

 

 あの時は自分なりに愛さんのイメージソングを当てて、そこに後追いで愛さんが詞を作ったものを披露したのだが、今回は二番煎じにならないように独自性を入れていく必要がある。

 

 だが、今の俺の頭にはどう頑張っても前回と似たようなフレーズが浮かんでしまい、どれも愛さんの新しい可能性を引き出すには至らなかったのだ。

 

「そっか~……確かに同じようなメロディとかだと聞いてる人からしたら飽きが来たりするもんね~」

 

「はい。なので今は手詰まり状態なんです……」

 

 俺は段々と自信が無くなっていき声色が弱くなっていく。

 

 それを見かねた愛さんがピアノ椅子から立ち上がりとある提案をした。

 

「あっ、じゃあさ! 今度の土曜日、空いてる?」

 

「えっ? まぁ、空いてますよ?」

 

 突然の愛さんからの質問に一瞬気が抜けてしまったが、冷静に答えていく。

 

「なら、一緒に遊びに行こう──!!」

 

 俺の答えに満足した愛さんは大きく拳を天井に突き上げながらそう宣言するのだった。

 

「……えっ?」

 

 俺は状況が理解できず呆然としていた。

 

「だから、息抜きも込めて一緒に遊ぶんだよ! ライブまでまだ時間はあるし、そんなに急ぐような状況でもないからさ!」

 

「で、でも曲を作らないとこれからのダンス練習とかも進まないんですよ?」

 

「今、こうして気が滅入ってる状況だと曲も何もないんじゃない? だからリフレッシュの意味も含めて思いっきりはしゃいで遊ぼうよ!」

 

 俺の必死の反論も虚しく愛さんに一蹴されてしまう。

 

「じゃあ、また時間と場所は追って連絡するよ! それじゃあ愛さんはカナちゃん達の所へ戻るね!」

 

 愛さんは俺の返事を待たずに音楽室からいなくなってしまった。

 

 音楽室は嵐が過ぎ去った後のように静寂が訪れていた。

 

「はぁ、俺も今日はあっちに合流するか……」

 

 先ほどの愛さんの言葉が効いた俺は作曲の事をひとまず頭から切り離すために荷物をまとめて筋トレ組に合流することにした。

 

 その準備に取り掛かったとき、俺の脳裏に一つ疑問が浮かび上がった。

 

(……そういえば今週の土曜日って……)

 

 この誘いが意図的かはたまた偶然かは神のみぞ知るだが、何も準備しないわけにはいかないなと気持ちを引き締めるのだった。

 

 

 

 愛さんと遊びに行く当日、俺は愛さんから連絡を受けた場所で彼女が到着するのを待っていた。

 

 愛さんと遊ぶのはこれが初めてなので正直緊張で胃が痛くなってくる。

 

 ただ胃痛の原因がそれだけに留まらなかったのだ。

 

「やっほーかぐやん! 待たせちゃったかな?」

 

 俺が胃痛と戦っていると遠くから聞き馴染みのある明るい声が聞こえてきた。

 

「おはようございます、愛さん。僕はそんなに待っていないので大丈夫ですよ」

 

「そっか! 愛さんも約束の時間よりも早めに到着する派なんだけど、かぐやんも中々に早いんだね!」

 

 お互い、時間は守る方だったようで予定より15分早く集合してしまった。

 

「僕も時間に遅れるのだけはしないように心掛けているので」

 

「うんうん、良いことだよ! じゃあ時間も惜しいし早速出発しようか!」

 

 愛さんはそう言い出発の準備をする。

 

 俺が胃痛と戦う要因となった要素、それは今回のお出かけは二人きりという事だ。

 

 音楽室での約束の後に璃奈や慎も誘う提案をしたが、愛さんに拒否されてしまったのだ。

 

 俺としては他のメンバーもいれば少しは気持ちも楽になるかと思ったが、愛さんたっての希望なのでそこにとやかく言うつもりは無い。

 

 だが、俺は生まれてこの方、姉さん以外の異性とお出かけなど片手で数える程度なので余計に緊張していたのだ。

 

 愛さんの性分や人となりについてはまだ完全に分かっているとは言えないので、その中で二人きりのお出かけという高すぎるハードルを用意されてしまった。

 

「……カグヤ、ちょっと緊張してる?」

 

 俺の中で様々な感情がせめぎ合いをしている中、愛さんが声を掛けてくる。

 

 微笑んではいるもののいつもの明るい口調ではない。

 

「……気づきましたか?」

 

「そりゃね。なんかいつもと違ってだいぶ素っ気なく感じたからさ。それにあたしら二人だけのお出かけだしそれが拍車をかけたのかなって思って」

 

 愛さんは特に考え込む素振りもなく俺が不安視していたことを言い当てる。

 

 璃奈が彼女を慕うのもこうして気持ちを汲み取ってくれるからだろう。

 

「正直、愛さんの事をまだ分かってない中でのこのお誘いだったのでそれが余計に僕の中で枷になってて……」

 

 愛さんに心の内を言い当てられた以上、方便を並べても仕方ないので本心を吐露する。

 

 すると愛さんは歩みを止め、こちらに顔を向ける。

 

「カグヤはあたしとのお出かけ……楽しみじゃなかった?」

 

「いや、そんなことは断じてないです! むしろこうして誘ってくれることも嬉しかったです! ただそれでもこういう経験はしたことがなかったので緊張してしまったというか……」

 

 俺は他にどう弁解しようか悩んでいると愛さんは突然大きく笑い声を上げた。

 

「あっはは! そう言ってくれるなら誘ってよかったよ! カグヤがなんか困ってたみたいだから愛さんも力になってあげたいなって思って……そしたら勝手に体が動いちゃってさ……! 正直無理させてないかなって不安だったんだよ」

 

「ふふっ、愛さんでもそう思う事があるんですね」

 

「えぇ~? そりゃ愛さんだって人間だもん、他人の表情とかは伺っちゃうよ? もしかしてかぐやんの目には愛さんはそう映ってたのか~? このこの~!」

 

 愛さんは俺の発言を”人間味を感じられてなかった”と捉え、お仕置きと言わんばかりに俺の頬を両手で潰そうとする。

 

「うぅ~ひゅみまひぇんでひた~」

 

 押し潰す力は強くないが段々恥ずかしさが増して、思わず謝罪の言葉が出てくる。

 

 愛さんは満足したように両手を離して頬を解放してくれる。

 

「でも今のかぐやんの言葉を聞いて分かったことがあるんだ。あたしらって今まであんまり交流もなかったでしょ? だからカグヤが曲を作ろうにもあたしの変わらないイメージが定着しているから似たようなメロディが出来てたんだよ」

 

「た、確かにそうかもしれないですね……。知らず知らずの内に元々のイメージに固執していたってことですね」

 

 愛さんから解放され頬を軽くさすりながら愛さんの言葉に相槌を打つ。

 

「だから、今日は目一杯遊んであたしの良い所、沢山見つけていってよ!」

 

 愛さんはそう言い切ると俺に向かって手を差し伸べる。

 

 それは暗闇の中を彷徨う旅人に溢れ出んばかりの熱い輝きで道を照らす太陽のようだ。

 

「分かりました! 絶対に見つけてみせますよ!」

 

 俺の返事は愛さんに負けないくらい熱い想いが込められていた。

 

 

 

 その後、二人で一緒にクレープを買って食べさせ合ったり、最近の流行りファッションを愛さんに教えてもらいながら服を試着してみて回ったりと非常に充実した時間を過ごすことが出来た。

 

「……どうでしょうか……?」

 

 俺は緊張の面持ちで愛さんに姿を見せる。

 

「……うん! ばっちりだよ! やっぱりカグヤは素材が良いからこういうファッションもイケるね!」

 

 とあるお店で見つけた服を愛さんが「カグヤなら絶対に似合う!!」と有無を言わさない程に断言したので、俺はその熱に押され試着してみたのだが俺の普段とは違う姿を見て愛さんは嬉しそうに笑う。

 

「自分でも不思議な気持ちですけど……なんか悪くない感じがします」

 

「あっはは、そうやって自分に自信を持つことがモテる男への必須条件だよ!」

 

「……別に僕はモテようとしてるわけではないんですけどね……」

 

 そう苦言を呈す俺だが、愛さんに褒められて満更でもない気持ちになった。

 

 

 

「あっ、これかすみんに似合いそうじゃない!?」

 

「そうですね。あとこれは慎に似合うんじゃないですか?」

 

「うんうん絶対イケるよ! これは是非とも二人にプレゼントだね!」

 

 服屋から立ち去ったのち、アクセサリー屋を物色していた。

 

 普段ならば寄ることはないのだが、今度のライブに使える物があるかもしれないという愛さんからの提案により立ち寄ることにした。

 

 その結果、同好会メンバーに似合うアクセサリーが沢山見つかりお土産に買っていくことにしたのだ。

 

「いやぁ、こうして考えるとうちの同好会って中々高スペックだよね~。アクセサリー探しがここまで捗るとは思わなかったよ!」

 

「確かにそれには同意します。だからこそよりその子を魅力的に見せなければと気合が入りますもんね」

 

 愛さんと同好会メンバーの凄さについて喋っていると俺はとある宝石が埋め込まれたペンダントが目に入った。

 

「……愛さん、これらは僕がまとめて買っておくので先に外に出てていいですよ?」

 

「えっ? 別に一緒についていくけど?」

 

「ここまでだいぶ歩いてきたんですから、少し休んでてください」

 

 俺は愛さんにそう言い残すと店の奥へと消える。

 

 そして、目当てのペンダントを買おうと手に取る。

 

(これは……良いプレゼントになるな)

 

 そう今日という日に絶好のプレゼントだと心の中で確信した。

 

 

 

「いやぁ、もうこんな時間か~楽しすぎて朝まで居座る所だったよ~!」

 

 楽しい時間はそう長くは続かないもので気付けば日が暮れかけていた。

 

 愛さんはまだまだ遊べると言わんばかりに全身を伸ばす。

 

「本当ですね。幸せな時間でした」

 

「じゃあ、そろそろ帰ろっか」

 

「っとその前に一つだけ良いですか?」

 

 俺は帰ろうとする愛さんを呼び止める。

 

「ん? なになにー?」

 

 突然呼び止めた俺を愛さんは不思議に思い、こちらへと顔を向ける。

 

 そして俺は徐に今日のお出かけで買った小さな箱を愛さんへと差し出す。

 

「……今日、誕生日ですよね?」

 

「あっ……」

 

 愛さんは突然はっとするように顔を横に向ける。

 

「お出かけの日を今日に選んだのが狙ってやったことか偶然だったかは聞きません。ですけど、今日のお出かけで愛さんに似合う素敵なものに出会えたので僕からの些細なプレゼントです」

 

「……覚えてたんだ」

 

「勿論、仲間であり大切なお友達ですから」

 

 愛さんは恥ずかしがりながらも俺からのプレゼントを受け取る。

 

「……中、見てもいいかな?」

 

 愛さんの問いに俺は微笑みながら頷く。

 

 愛さんが緊張気味に開けた箱の中にはオレンジ色のオパールが埋め込まれたペンダントが入っていた。

 

「わぁっ……綺麗……」

 

「先ほどのアクセサリーショップで見つけたんです。愛さんって他のメンバーに対してのプレゼントは買うのに自分のには関しては何も提案してなかったですからね。だから僕が愛さんに似合うものをプレゼントします」

 

 愛さんは嬉し涙をこぼしそうになるがすぐにそれを引っ込めて笑って見せた。

 

「あぁ~もうやだなぁ~! そんなサプライズ用意するなんてずるいぞぉ~!」

 

「お出かけの日を今日に選んだ本人が言う事ですか?」

 

 愛さんの苦し紛れの文句に俺は正論で返す。

 

 この人は自分の誕生日であることを承知の上で設定したのだ。

 

 なら、それに応えるのが男だろう。

 

「正直、こんな素敵なものを貰えるとは思わなかったからすごく嬉しいよ……! ありがとう……!」

 

「どういたしましてです。それと、誕生日はまだまだ終わりませんよ?」

 

「へっ?」

 

 愛さんはまだこれ以上のものがあるのかと素っ頓狂な声を上げた。

 

「同好会のみんなに愛さんの家に集まるよう声を掛けたんです。ここからはメンバー全員による誕生日パーティの始まりです」

 

「えぇぇぇ…………マジっ……!?」

 

 愛さんは先ほどよりも大きなリアクションで驚きの声を上げる。

 

 愛さんの誕生日が休日という事もあり、みんなで愛さんの家にお邪魔して一緒にお祝いできないかと提案したのだ。

 

 それに関してメンバー全員賛成で同意、また宮下家の方には璃奈が掛け合ってくれて合意をもらっている。

 

「そうなんだ……どんだけ用意してくれたのさ……!」

 

「みんな、愛さんの真っすぐな応援に沢山の力を貰っているんです。それの恩返しですよ」

 

「もう……愛さん泣きそうだよ……」

 

 そう言う愛さんの眼には光るものがあった。

 

「さぁ、パーティはまだ終わりませんから一緒に行きましょう?」

 

 俺は手を差し出しながら答える。

 

 愛さんはもう一度涙を拭きとり、その手を取る。

 

「オッケー! ここまでしてもらったのに主役が泣いてたら駄目だね! ならここからは愛さん家まで競争だぁ──!」

 

 愛さんは言い切る前に駆け出してしまった。

 

「えぇ!? ちょっと、いきなりは反則ですよ──!!」

 

「愛さんは今日の主役だからいいのー!」

 

 愛さんからの無茶な言いがかりに俺は困り顔を見せる。

 

 だが、これも愛さんらしくて良い所なんだと俺は自然と笑みを溢しながら宮下家へ走り出すのだった。

 

 

 




読んで頂きありがとうございました!

如何でしたでしょうか?

正直今まで投稿した話の中でも1,2を争うボリュームなのかなと思っております。

愛ちゃんは人に対しては愛を振りまくのに自分の事になると弱くなると思うので、それを出していきました!

それでは次回もお楽しみに!

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