虹の袂   作:M-SYA

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彼方ちゃん、お誕生日おめでとう!

彼方ちゃんのマイペースな所は淀んだ空気を癒してくれるので、いつも心を洗われます……!

そんな彼方ちゃんの特別編です!

それではどうぞ!


[特別編]近江彼方生誕祭

 とある日の放課後、音楽室で作曲をしていると俺のスマホに一件の通知が入ってきた。

 

「ん? チャットの通知?」

 

 普段はプライバシーの観点から通知画面ではチャットの内容などが見えないようにしていたので、内容を確認するためにパスワードを解除する。

 

 内容を確認すると思わぬ人物からの連絡だった。

 

「遥さん……? どうして俺のIDを知ってるんだ?」

 

 それは同好会メンバーである彼方さんの妹、近江 遥さんだった。

 

 遥さんに対して連絡先を教えたことも含め、あまり喋ったこともないので何故彼女から連絡が来たのか俺には理解が出来なかった。

 

『突然のご連絡をすみません。桜坂さんから輝弥さんの連絡先を教えていただきました。ご相談させていただきたい事がありますので、もしよろしければお電話させていただいてもよろしいですか?』

 

 どうやらしずくさんと連絡を取って俺の連絡先を聞いたようだ。

 

 だが、遥さんから直々に連絡が来るというのはまた珍しいことだ。

 

 彼女たってのお願いなので力になりたいとは思うが、如何せん遥さんとの関わりが少ない俺にとって願いを叶えられるか不安になっていた。

 

『お疲れ様です。今からでもよろしければお電話していただいて大丈夫ですよ』

 

 とりあえず話を聞いてから判断しようと思い、承諾する旨を返信する。

 

 すると、すぐに既読がついて遥さんから感謝の言葉が送られてきた。

 

『ありがとうございます。それでは今から掛けさせてもらいます』

 

 返信が来てから数秒後、画面に遥さんから電話がかかってきたことを知らせる通知が届く。

 

 俺はすぐに快諾し、会話できるようにスマホを耳に当てる。

 

「はい、輝弥です」

 

「もしもし……? 突然ご連絡してしまいすみません……。いきなりで驚かれましたよね……?」

 

 挨拶をすると遥さんの声が聞こえてきた。

 

 突拍子もなく連絡を入れてきたことを心苦しく思ったのか随分と声が頼りない様子だった。

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。遥さんからの相談なんて珍しいですね? どうかしたんですか?」

 

「その件なんですが……お電話で話すのも長くなってしまうと思うので、もし輝弥さんさえよろしければ直接お会いできないかなと思ったんですが、大丈夫ですか……?」

 

 遥さんが直接会ってまで相談したい事というのが俺には分からず、少し反応に困っていた。

 

「それは彼方さんとかには出来ない事なんですか?」

 

「あっ、お姉ちゃんは駄目です!」

 

「えっ?」

 

 突然、彼方さんの事を否定したのでつい驚いてしまう。

 

 そんな俺の声を聞いてからか、遥さんは慌てた声を出す。

 

「あっ、す、すみません……! 今回の件は他でもないお姉ちゃんの事なんですよ」

 

「そういうことですか。よかった……かなり否定的になったから疎遠になってるのかと思っちゃいました」

 

「そ、そういうわけじゃないんです! 混乱させてすみません……」

 

 いつまでもあわあわとした声を上げる遥さんに俺は笑みがこぼれる。

 

「まあ、話を聞くのだけでも大丈夫だと思うので分かりました。これから練習を切り上げるので、後で落ち合いましょうか」

 

「い、いいんですか? ありがとうございます!」

 

 力になれるかどうかは分からないが、遥さんたっての相談となれば門前払いするわけにはいかないと俺が承諾する。

 

 そんな俺の反応に遥さんは嬉しそうに声を上げる。

 

「では、近くの喫茶店でお願いします。そこで詳細はお話します」

 

「はい、わかりました。それではまた後で」

 

 そう言って遥さんからの電話を切ると、俺は軽くため息を吐く。

 

「はぁっ、果たして俺でどうにか出来るものなのか……」

 

 遥さんの期待に応えられるか不安になりながらもこのままじっとしているわけにはいかないと、すぐに音楽室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 せつ菜さんに家の事情で帰宅する旨を連絡し、学校を抜けると遥さんから連絡を貰った喫茶店へと足を運ぶ。

 

 虹ヶ咲学園からは少し離れたところへ行くので他のメンバーとばったり遭遇するといったハプニングを避けるように選んだのはきっと遥さんなりの配慮なのだろう。

 

 喫茶店に入り、遥さんがいる場所を見つけると店員に先客がいる事を知らせ、彼女の元へと駆け寄る。

 

 近づく俺に気付いた遥さんは席を立ちあがりながら一礼する。

 

「お疲れさまです。輝弥さん、改めていきなりお呼び立てしてすみません」

 

「お疲れ様です。いえいえ、随分と珍しい方から連絡が来たな、と思ってちょっとびっくりしただけです」

 

「……そうですか……。えっ、という事は驚かれてたって事ですよね?」

 

「あっ……。……はい、そういうことです……」

 

 彼女に気を遣わせないようにと思って考えた冗談が全くフォローになっていなくてつい自己嫌悪に陥る。

 

 しょげる俺を見て安心したのか遥さんは緊張で高くなっていた声色が少し低くなり笑顔になる。

 

「ふふっ、お姉ちゃんから聞いてたことが本当みたいで少し安心しました」

 

「えっ、どんな内容を教えてるんですか?」

 

 彼方さんは俺を弟のように可愛がってくれているのだが、からかってくる頻度も高いのでその延長線で遥さんに情報が回っているかもしれないと俺は質問しながらドギマギしていた。

 

「普段は凄くしっかりしてるんだけど、ふとした時に見せるおっちょこちょいが可愛いんだ、って言ってました」

 

「あの人はなんてことを教えてるんですか……」

 

 案の定、彼方さんは俺の不甲斐ない所を見てからかっていたようだ。

 

 遥さんの前ではしっかりとしてる印象を見せたかったが、時すでに遅しのようだ。

 

 落ち込む俺に対して遥さんはフォローを入れる。

 

「でも、私は良いと思いますよ? 輝弥さんって年上なんじゃないかって思うくらいに真面目なので改めて同い年なんだなって事を認識できて私は親近感が湧きました!」

 

「うーん、褒められてるのか分からないけど、少なくとも貶してるつもりは無いって事は伝わりました……」

 

 遥さんからの言葉に棘は感じないので、素直に俺に対して抱いた感情をぶつけてくれているんだという事は伝わってきたのでそれで良しにしようと俺は開き直る。

 

 

 

 

 

 

 

 一旦落ち着きを取り戻すとそれぞれ飲み物を注文し、事の発端へと話題を振る。

 

「……そういえば要件ってなんでしたか?」

 

「はい、実はお姉ちゃんの誕生日がそろそろ近いんです」

 

「確かにもう二週間後に迫ってますもんね?」

 

 そう、俺も分かってはいたことだが、実は彼方さんの誕生日が近づいているのだ。

 

 彼方さんの事だからきっと遥さんとのひとときを第一優先とするだろうと思い、ささやかにプレゼントを送ることが出来ればよいかと密かに考えていた。

 

「はい。でも、誕生日の時でもお姉ちゃんは自分で普段より豪勢なご飯を作るんです。誕生日が土日ならお母さんがやるんですけど、今回は平日ですのでお仕事も忙しいから私とお姉ちゃんの二人だけのご飯になるんです」

 

「なるほど……」

 

 姉さんと二人きりの食事というのは俺自身は日常茶飯事なのであまり気にならなかったが、遥さんは折角の彼方さんの誕生日が二人だけになるというのが寂しいのだろうか。

 

「いつもはお姉ちゃんが料理を作っているので私が代わりにやろうと思ってるんですけど、私ってあまり料理が得意じゃないのでお姉ちゃんがやらせてくれないんです」

 

 遥さんの悩みを聞いて、コーヒーを飲んでいた俺はカップを置き一つの仮説を立てた。

 

「……つまりは彼方さんの為に何かご飯を作ってあげたいって事ですか?」

 

「そうなんです。正直こんなことを輝弥さんに相談しても姉弟だから違う事もあると思って、きっと輝弥さんを困らせてしまうんじゃないかと思ったんです」

 

 遥さんは姉妹と姉弟では誕生日での生活スタイルは異なるからという事で俺への相談を渋っていたようだ。

 

 それに加えて異性でもあるため、中々相談するための一歩を踏み出せずにいたのかもしれない。

 

「それで先ほどの相談を桜坂さんに話したんです。そうしたら、私よりも輝弥さんの方が良いよ、と話してくださって連絡先を教えてもらったんです」

 

「しずくさんが……それで……」

 

 遥さんの連絡がしずくさんを経由したものだと知り、俺は少し安堵する。

 

 それに加えて彼女が俺へ話を振るという事は俺ならば解決に導いてくれるという確証を持っているということ。

 

 ならば尚更、遥さんの想いを無下にはできないなと腹を括った。

 

「分かりました。僕で宜しければ力になりますよ」

 

「えっ、良いんですか?」

 

「しずくさんも同じように姉を持ってる身として僕に白羽の矢を立たせたと思うので、是非協力させて下さい。……と言っても僕も料理は大してできない身なんですけどね……」

 

 遥さんを安心させようと頼もしい発言をするが、それでも料理は出来ない点は否定できないのでその点を強調して自虐気味に笑う。

 

「そ、そんな事ないです! 助けていただけるだけでもありがたいので、本当に嬉しいです!」

 

 自虐する俺を見て再びフォローする遥さんだが、つい声が大きくなって周囲からの視線を集めてしまったので、つい隠れるように身体を縮こませ、紅茶を飲んで気分を落ち着けた。

 

「……すみません。私としたことがはしたない……」

 

「気にしないで下さい。誰でも嬉しいときは声が出ちゃうものなので」

 

「あははっ……ありがとうございます」

 

 俺の励ましの言葉に安心したのか、姿勢を戻して遥さんは話題を切り替える。

 

「早速なんですが、輝弥さんはいつもお姉さんの誕生日の時はどういった事をしてるんですか?」

 

「どういった事を……と言っても結局はあまり変わらないですね……。先ほども言った通り僕は料理が出来ないので姉がそういった事を全部一人でやるんです。強いて言えば、お祝いのケーキを買ってきて二人で食べるくらいですかね」

 

「そうですか……輝弥さんも同じような境遇なんですね……」

 

 お互いに料理が得意ではないという所から料理によるお祝いは難しいと判断して、話が難航してしまう。

 

「アクセサリーとかでも良いでしょうけど、僕はそういったセンスは持ち合わせていないですし……」

 

「そういったものはお姉ちゃんも喜んでつけてくれるとは思うんですけど、折角なら思い出に残る誕生日にしてあげたいなと思いまして……」

 

 二人で更に案を考えるが、特に刺さるものが見つからずだんまりとした空気が続く。

 

 お互いに飲み物を口にするが、飲むペースが速かったのか中身が底まで見えかけていた。

 

 そんな中で俺はとあることを思い出した。

 

「あっ」

 

「どうかしたんですか?」

 

 俺の突然の思いつきに遥さんも手を組みながら神妙にこちらを見つめる。

 

「実は、僕の姉も誕生日が近いんですよ」

 

「そうなんですか!?」

 

「はい、と言っても今日から二日後の話なんですけどね」

 

 そう、奇妙な事に姉さんの誕生日も近づいているのだ。

 

 姉さんの誕生日の際もケーキを買ってお祝いするつもりだったのだ。

 

「そうだったんですね……なんだか不思議な巡り合わせですね」

 

「ですね。あっ、でしたらこんなことはどうですか?」

 

 俺は姉さんの誕生日も近づいていることから頭に浮かんだ提案を遥さんに話す。

 

 その内容に遥さんも笑顔になる。

 

「それ、凄く名案だと思います! 今までにはない新しい誕生日プレゼントに出来そうな気がします!」

 

「本当ですか! なら早速姉さんたちに連絡して準備していきましょう!」

 

 そこから俺と遥さんは通常とは趣向が異なる誕生日パーティの準備を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 遥さんと打ち合わせをしてから一週間が経った。

 

 今日は彼方さんの誕生日の一週間前だ。

 

 普段であれば特にイベントもない日だが、俺は近江家に来ていた。

 

 近江家の所在は遥さんから教えてもらっているため、特に迷う事もなく到着することが出来た。

 

 俺は初めての彼方さんの家への来訪という事で緊張が走っていた。

 

「ふぅ……よしっ」

 

 家の前で突っ立っているわけにもいかないため、軽く息を吐いて意を決する。

 

 インターホンを一回押し、家の中にチャイムが鳴り響いているのが外に居ながらも聞き取れた。

 

 ホーンを鳴らして数秒後、聞き覚えのある声が機械越しに聞こえてきた。

 

「はいは~い?」

 

「すみません、巴です」

 

「おぉ~、かーくん待ってたよ~。今開けるね~?」

 

 インターホンからは彼方さんの声が聞こえてきた。

 

 俺が来たことを確認した彼方さんはホーンを切断する。

 

 それからすぐに目の前の扉から鍵の開く音がした。

 

「こんにちは、かーくん。 今日はよろしくね~♪」

 

「こんにちは、彼方さん。こちらこそ今日はよろしくお願いしますね」

 

 家着のようなゆったりとした服を着こなす彼方さんは学校で見る姿よりも大人っぽくてより体が自然と強張ってしまう。

 

「どうしたの~? もしかして緊張してる?」

 

「そんなこと……と言いたいところですがそんな所です」

 

 俺の様子が普段と違う事を感じ取った彼方さんは少しからかいの意を含めて目を細める。

 

 図星だった俺は特に捻くれるつもりもなく素直に心情を吐露した。

 

「ふ~ん、なんだか随分と素直だねぇ~? でも、そんなかーくんも好きだから彼方ちゃんは良しとします」

 

「それはどうもです」

 

「……と流石にこんな所で喋ってるのも酷だよね。ひとまず上がって上がって~」

 

 外は冷風が吹いており、彼方さんも一陣の風でつい身震いしていたので手招きして部屋に上がるように促す。

 

 リビングに到着したら、彼方さんは俺が椅子に座れるように少し下げてくれた。

 

「外、寒かったでしょ~? 今温かいお茶を入れるからちょっと待っててね~」

 

「そんな、そこまでしなくてもいいですよ?」

 

「むぅ~、かーくんはお客様なんだから何も用意しないのは非常識なんだよ? だから気にしないの」

 

 自分なんかの為に、と気を遣わせないように言うが彼方さんはそんな俺の姿にぷんぷんと怒る。

 

 だが、本気のそれとは違うのですぐに笑顔を見せて台所へ向かい急須で緑茶を作り始めた。

 

「すみません、ありがとうございます」

 

「もう、謝らなくてもいいんだよ?」

 

 すぐに謝ってしまう自分に彼方さんは呆れるように笑う。

 

 そして、二人分のお茶を用意した後に彼方さんも向かいの椅子に座る。

 

「今日はごめんね~。遥ちゃんは練習があるって事でいないんだ~」

 

「そうですか、それは残念ですね」

 

 彼方さんは申し訳なさそうに言い、俺もしょうがないですと気にしていない様子を見せる。

 

(まあ、いないのは知ってるんだけどね)

 

 そう、遥さんはこちらの事情で席を外しているのだ。

 

 とあることをやってもらうために遥さんにはお願いしているので、彼方さんの家を訪ねた際に遥さんが不在となっているのは想定の内だ。

 

「して、今日はお姉さんの誕生日後夜祭を実施したいってことなんだよね?」

 

「はい、先週に姉が誕生日を迎えたんですが、例年と同じように姉さんが料理を作ってケーキを僕が買って、と二人で変わらない誕生日を過ごしたんです」

 

「確かに、いつもお姉さんにお世話になっているって事だし、何か作ってあげたいって思うよね~」

 

「そうです。だけど、僕は料理の腕がないので逆に姉さんが心配してしまうんです。だから彼方さんのお力も借りて姉さんに料理を食べさせてあげたいんです」

 

 俺の話を聞いて、彼方さんはうんうんと頷く。

 

「確かに彼方ちゃんも遥ちゃんがそう言い出したら心配で過保護になっちゃう気がするな~……。でもかーくんがそこまで言うなら彼方ちゃんも一肌脱ぎます♪」

 

 彼方さんは自信満々に胸を張る。

 

 そんな頼もしい姿に俺は嬉しさが込み上げる。

 

「ありがとうございます。今日はここでご飯を作らせていただいて、それをうちまで持っていくという手筈でお願いします。姉さんは今日の練習は休みだと既に確認してるのでそこは大丈夫です」

 

「うむっ、なら早速始めていこっか♪」

 

 お茶を飲んで一息ついた所で彼方さんとの料理教室が始まった。

 

 

 

 

 

 

「ところでかーくんが作りたいものはハンバーグでよかったよね?」

 

 エプロンを身に纏い必要な材料を用意しながら、彼方さんは今回作るメニューについて確認をする。

 

 俺は姉さんへ食べさせたいものとしてハンバーグを提案していた。

 

「はい。料理は愛情を込めながら作るというのは聞いたことがありますので、その気持ちを形で表現できるものと言えばハンバーグかなと思いまして」

 

「うんうん。料理は基本的に作ってあげたい人の事を想って作るけど、ハンバーグなら頑張って作ったんだなって事が分かるから是非お勧めだよ」

 

 彼方さんはハンバーグに使用する材料と道具を揃えると、準備万端と言うように軽く手を叩いた。

 

「それじゃあ、早速始めていこう~!」

 

 

 

 

 

 

「まずは玉ねぎをみじん切りしてね。玉ねぎは切ってる最中に成分で目が痛くなるから無理をしないようにね」

 

 彼方さんの指示の元、用意された玉ねぎをみじん切りしていく。

 

 材料を切る際には猫の手を使う事というのは知っているので、猫の手を作って行程を進めていく。

 

「作業が終わったら、玉ねぎを焦げないように炒めてね」

 

「分かりました。玉ねぎはこんな感じですかね?」

 

 ひとしきり切り終えた玉ねぎを見せ彼方さんは満足気に頷く。

 

「うんうん、かーくんは上手だね~。じゃあそれをフライパンに入れちゃおう~」

 

 フライパンに玉ねぎを入れてやさしく炒めていく。

 

 中火で炒めているのもあり玉ねぎが飴色に変化するのに時間を要さなかった。

 

「うむっ、良き色まで変わってきたね。じゃあ、一度お皿に移して粗熱を取ってね」

 

「粗熱を取る?」

 

 聞き慣れない単語に俺は火を消しながら質問する。

 

「あぁ、ごめんね。かーくんは分からなかったよね。粗熱を取るって言うのは手で触れるくらいにまで熱を冷ますことだよ。飴色になった玉ねぎをひき肉と混ぜてタネにするから、この行程は必要になるんだ~」

 

「そういうことですか。勉強になります」

 

「まあ冷ますと言っても特別やることがあるわけじゃないからひき肉の準備をしていこっか」

 

 彼方さんはそう言うとゆったりとしたペースでひき肉をパックから取り出す。

 

 料理に長けている彼方さんは普段は見れないてきぱきとした行動で指示を出してくれるので、そのギャップに脱帽していた。

 

 準備を進めている中で俺は彼方さんのここまで料理が出来るようになったルーツが気になった。

 

「彼方さんってどうしてこんなに料理がお上手なんですか? それに今日は両親はいないんですか?」

 

「親はお仕事で毎日遅くまでいないんだ~。虹ヶ咲学園と東雲学園で学費が馬鹿にならないって事もあって働き詰めになってるんだよ~」

 

「えっ、そうだったんですか?」

 

 虹ヶ咲の学費は親が払ってくれていたので特にその額については言及したことが無かったが、彼方さんがこうして苦労を語るという事は実際にその問題があるんだろう。

 

「そうなの~。だけど、学業が成績上位に入っていれば特待生として学費を一部免除してくれるんだよね。親がそうして頑張ってくれた分も彼方ちゃんも努力しないとって事で家の事や学業を一生懸命頑張ってるんだ~」

 

「彼方さんが学校内で寝ちゃう理由は以前に遥さんから聞きましたが、家族の事を考えられてるんですね……」

 

 俺は以前に近江姉妹のいざこざがあった時の事を思い出し、普段は家で勉強漬けだったりバイトをしてお金を稼いでいると彼方さんを身を削って家の為に頑張っていることを思い出した。

 

「そうそう。それに親が平日はいない分、自分たちで家事もやれないと生活が出来なくなっちゃうからね。休日に親に料理を教えてもらって気が付けば、一人でここまでやれるようになったということなのです」

 

「なんだか、改めて聞くと遥さんが心配する気持ちが分かりますね」

 

「え~、そうなの?」

 

 彼方さんは心外と思ったようで、俺の発言に目を丸くしていた。

 

「親がいない分、自分たちで何とかしないとって思うのは僕ら姉弟も同じなので苦労は分かります。だけど、それを姉さんたちが一人でこなしているというのは、生活させてもらっている身としてはやはり落ち着かないんですよね」

 

「う~ん、やっぱり下の子はそう思っちゃうものなんだね。あの時は遥ちゃんの気持ちをしっかりと分かってあげられてなかったから今はやれることを分担しているけど、お姉ちゃんとしては心配しちゃうからな~」

 

 弟側としての意見を述べ彼方さんはそれに対して肯定の意を示すが、普段から自分で苦労を受け持つ性格だったからかまだすんなりと受け入れることが出来ないようだ。

 

「ですが、彼方さんが自分の好きで家の事をやっているという事は教えてもらっていますし、それがあったから僕も姉さんが同じようにやっているのだと気付かされたので、以前よりは心労は無くなってます。だからこそ、姉さんたちに普段はこうしてお任せしてしまっているのもあって、何か別の形で恩返しをしたいなって思うんですよ」

 

「そっか……。かーくんの所も同じように苦悩はあったんだね。でもこうして自分たちの為に陰で動こうとしてくれるのはお姉ちゃんとしては感無量だよ。絶対にお姉さんを喜ばせてあげようね♪」

 

「はい……!」

 

 姉さんへの感謝の想いを彼方さんに聞いてもらった所で彼方さんはふと天井を仰いだ。

 

「にしても、かーくんみたいな弟をいてお姉さんが羨ましいな~」

 

「それでも、遥さんも彼方さん想いで凄く素敵じゃないですか?」

 

「そうだけど、遥ちゃんに加えてかーくんも弟だったら彼方ちゃん嬉しくて涙が止まらなくなりそうだも~ん」

 

 遥さんの事を自慢の妹と思っていても隣の芝生は青く見えるように同じ生活スタイルとは言っても普段は見えない一面が見えてくると途端に羨ましく見えてくるものだ。

 

 彼方さんの弟発言に俺はそうであった場合の生活を想像した。

 

「もし彼方さんの弟なら遥さんと一緒に反発していたかもしれないですね」

 

「えぇ~!? そ、それは余計に辛くなるからそれだけはやめてね!?」

 

「……やめてねって、僕は彼方さんの弟じゃないですから……」

 

 俺の発言をオーバーに捉えた彼方さんは冷や汗を滲ませながら訴えかけてくる。

 

 実際にそうなることはないんじゃないかと思いながら、俺は苦笑するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、彼方さんとのハンバーグ作りを終えて、俺は彼方さんと一緒に帰宅していた。

 

 肩には大きな鞄を引っ提げ、その中に今回作ったハンバーグを収納している容器が入っている。

 

「はぁ……彼方さん、本当にありがとうございました。一時はどうなる事かと思いましたが……」

 

「まあまあ、ハプニングも料理には付き物だから大丈夫だよ。それにこういうミスがある方がかーくんが主体で作ったって事が伝わってより美味しさが伝わると思うもの♪」

 

 製作中に俺の油断が招いたミスもあってハンバーグの見栄えが悪くなってしまうトラブルもあったが、彼方さんはそれも味だ、として笑ってフォローしてくれる。

 

「それにしても彼方ちゃんも付いて来てよかったの? 二人のパーティの邪魔にならない?」

 

「いえっ! むしろ一緒に作って下さったんですから、そのお礼も兼ねて一緒に食べたいと思ったので! それにきっと姉も喜んで迎え入れてくれると思うので」

 

「それなら安心だね~。だけど、こうして二人でお姉さんの元を訪ねるなんてなんだか結婚報告をするみたいだね?」

 

「な、何を言い出すかと思ったら、どんな冗談ですか……?」

 

 いつもの彼方さんが戻り、この光景に対して茶々を入れるが俺は平静を装いながらジト目で彼方さんを見つめる。

 

 だが、こういう弄りになると少しでも顔が紅潮するのを彼方さんは知っているので、すぐにこちらを見つめ頬をつんつんと突いてくる。

 

「おやぁ? かーくん顔が赤いぞ~? もしかしてドキドキしてしまったかな~?」

 

「分かっているなら聞かないで下さい……それと頬を突かないで下さい」

 

「ははっ、やっぱりかーくんはかわいいね~! ……はっ、これは遥ちゃんとかーくんがくっつけば彼方ちゃん万々歳では!?」

 

「変な事を言わないで下さいよ! 僕は別にそういう関係はないですから……」

 

 彼方さんの発想がどんどんエスカレートして収拾がつかなくなってきた。

 

「でも、二人なら性格もばっちり合うと思うけどな~?」

 

「大好きな遥さんが自分の事を見なくなっても良いんですか?」

 

「えっ……そ、それは勘弁だよ~! や、やっぱりかーくんに遥ちゃんは渡せない!」

 

「……全く調子が良いですね」

 

 遥さんへの愛情で二転三転する彼方さんの反応を見て、俺は思わず笑いが出てきてしまった。

 

 そんなやり取りをしている内に自宅へと到着した。

 

「かーくん家はアパートなんだね?」

 

 彼方さんの質問に頷いて肯定を示す。

 

「はい、二人暮らしならば丁度良いという事で姉さんが選んだんです」

 

「うぅ。彼方ちゃん、なんだか緊張してきたよぉ~」

 

 他愛無い話で時間を潰していたが、彼方さんは武者震いを抑えるように両手で身体を包む。

 

「別に僕の姉ですから、そこまで緊張することはないんじゃないんですか?」

 

「そうだけどさ~、いざこうして喋るとなるとねぇ……」

 

「ふふっ、僕も一緒ですから大丈夫ですよ」

 

 彼方さんの気を紛らわせようと俺は笑顔を見せる。

 

 そして、ずっと立っていても仕方ないと部屋の鍵を開ける。

 

「ただいま~」

 

「おかえりー」

 

 家に入りながら挨拶をするとリビングにいるであろう姉さんから返事が返ってきた。

 

 そして、彼方さんの方を振り向く刹那、足元を一瞥した。

 

 そこには普通ならば当たり前のことだが姉さんの靴しか置いてなかった。

 

「ほらっ、彼方さん。行きましょうよ」

 

「ふぅ~、こうなったら是非も言ってられないねぇ……。じゃあ、お邪魔します」

 

 彼方さんも観念したかのように苦笑いを見せ、家に上がる。

 

 俺も靴を脱いでフローリングに上がり、彼方さんを先導する。

 

 リビングに顔を出すと姉さんがこたつの中に入り暖を取っていた。

 

「ただいま、姉さん」

 

「おかえり、輝弥」

 

 俺達がいつも通りのやり取りをしていると彼方さんはドアの陰からひょこっと顔を出すように覗いてきている。

 

「えへへ、どうもお邪魔します~」

 

「あらっ……?」

 

 彼方さんの姿を見て、姉さんは怪訝な表情を見せた。

 

 だが、部活の先輩と言っても客人であることに変わりはないのですぐにその表情を消して笑顔を見せる。

 

「う~ん? どうかしたのかな?」

 

「……いいえ、なんでもないです。近江彼方さんですよね? 輝弥から話はかねがね伺っています。今日はゆっくりしていって下さいね」

 

「むむっ、凄く礼儀正しい……。やはりお姉さんある所にかーくんありなんだね……!」

 

「何を変な事を言ってるんですか?」

 

 顎に手を当てながらジト目で考察する彼方さんに俺は呆れる声を出した。

 

「輝弥、彼方さんへは私がお茶を用意しておくから貴方は手洗いうがいをしてきなさい」

 

「うん、ごめんね。ありがと」

 

 姉さんに一言お礼を述べて彼方さんを任せ、俺は席を外した。

 

 

 

 

 

 

 洗面所でうがいをしていると姉さんが声を掛けてきた。

 

「どういうことなの?」

 

 姉さんは怒っているわけではないが少し表情が硬かった。

 

 そんな姉さんの表情に臆する様子は見せずに俺は普段と変わらないトーンで返事をする。

 

「何が?」

 

「何がって……貴方こそ何を言ってるのかしら? 今日はここで何をしてるのか分かってるわよね?」

 

「そんなの俺も分かってるよ。だからこそここに連れてきたんだよ」

 

「……それは一体……」

 

 姉さんが更に問い詰めようとした時に扉が開く音がした。

 

「おっ、帰ってきた」

 

「流石にそれは……!」

 

 姉さんはここに彼方さんがいる事をバレるのはまずいと思い、玄関へと駆け出す。

 

 そんな後ろ姿を見て上手く行ってると喜ぶ半面、姉さんに嘘を付いていることに背徳感を味わっていた。

 

「……ごめんね、姉さん……」

 

 そんな事を呟きながら俺は後を追った。

 

 姉さんに付いていくように歩いていくと玄関先には遥さんが立っていた。

 

「ただいま戻りました!」

 

「おかえり、遥さん」

 

「輝弥さん、戻ってたんですね!」

 

 遥さんは俺の姿を見て安心したように笑顔を見せる。

 

 姉さんは俺達が焦りを見せない様子にただ茫然としていた。

 

「貴方達、どういうことなの? それに遥ちゃん、その荷物は……?」

 

 姉さんは遥さんが持っているものを指差して余計に混乱した様子を見せる。

 

 無理もない、遥さんが持っているのは()()()()()()()()()()()()()だからだ。

 

「姉さん、後で解説するから今は部屋に上げてあげよ?」

 

「……はぁっ……そうね、ここで喋っていても仕方ないし、既に待たせてるお客さんにも失礼だわ」

 

 姉さんは深くため息を吐くと、気持ちをリセットしたかのように遥さんに笑顔を向ける。

 

「遥ちゃん、上がって頂戴。温かいお茶を用意するから」

 

「はい、ありがとうございます……!」

 

 遥さんのお礼を聞くと姉さんはリビングへと歩き出した。

 

「……大丈夫でしょうか……?」

 

「大丈夫ですよ。……多分……」

 

 心配そうに見つめてくる遥さんを安心させようとするが、俺も内心冷や冷やしていた。

 

 リビングへ戻ると彼方さんは机に顎を乗せながらこたつでぬくぬくしていた。

 

「やぁ~かーくん、遅かったねー? 宅急便か何かだったかい?」

 

「それが……」

 

 俺が少し溜めると遥さんが背後からひょこっと顔を出してきた。

 

「えへへ、お姉ちゃん♪」

 

「……えっ?」

 

 遥さんの姿を見て彼方さんは固まっていた。

 

 それもそのはずだ。

 

 遥さんは部活で帰ってくるのが遅いと連絡を貰っていたからだ。

 

「な、なんで遥ちゃんがいるの!?!?」

 

「それはこちらも同じ台詞です。輝弥、貴方何か知ってる顔よね? それに……」

 

 言葉を切り、姉さんは遥さんを一瞥した。

 

 彼方さんはそんな姉さんと遥さんを交互に見返して状況を整理しようとしていた。

 

「とりあえず言えることは……。姉さん、彼方さん。騙してごめんね?」

 

「えっ、かーくんどういうことなの?」

 

 彼方さんの催促に一つずつ解説する。

 

「まず、今日はそれぞれにこういう話をしてたはず。姉さんには()()()()()()()()()()()、そして、彼方さんには()()()()()()()()()()としてね?」

 

「うんうん」

 

「でも、今日やりたかったのはそれだけじゃなかったんだ」

 

 姉さんは怪訝な表情を緩め、真顔でこちらを見つめている。

 

 彼方さんも状況が分かってきたようで静かにこちらの話に耳を傾けていた。

 

「今回やりたかったのは……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってこと」

 

「……まさか、さっき持ってた荷物って……」

 

 俺の目的を聞いて、姉さんは納得がいったような表情が見せる。

 

「偶然な事に姉さんと彼方さんの誕生日がちょうど二週間空いてるんだ。だから、今まで姉さん達に沢山世話になっていた分、俺達もそれぞれ姉さんに恩返しをしたかった」

 

「はい、輝弥さんと話してたんです。お姉ちゃんたちは誕生日でも変わらず自分たちでご飯を作って、私たちの事を喜ばせようとしてくれてたって事を。でも、やっぱり私達もせっかくの誕生日だから私達もお姉ちゃんたちを喜ばせてあげたかったの!」

 

 俺の言葉に追随するように遥さんも自分の想いを吐露する。

 

 姉さんたちは何も言わずに聞いている。

 

「だから、俺達も何か料理を作って姉さんを喜ばせたいって思ったんだ。でも、料理は姉さんたちはあまりやらせてくれないから、だから同じ境遇である遥さんと話してそれぞれのお姉さんから教えてもらおうって話にしたんだ」

 

「これはお姉ちゃんたちを騙しちゃったのはごめんなさい。でも、私たちはお姉ちゃんたちが大好きだから、喜んでもらいたかったから……!」

 

「輝弥」

 

 遥さんの訴えを遮るように姉さんは俺の前に立った。

 

 彼方さんも同じように遥さんの前に立った。

 

「遥ちゃん」

 

 その瞬間、二人はいっせいにそれぞれの弟たちを抱きしめた。

 

「もう……変なことしないでよ……」

 

「そうだよ~……彼方ちゃん、嬉しくて泣きそうだよぉ……」

 

 彼方さんは震える声を抑えようとしていた。

 

 姉さんも声が震えないようにしていたが、抱きしめる力が強くなっていた。

 

「こんな事されて喜ばない姉がいる?」

 

「……いないよね」

 

 姉さんの問いに俺は笑って答えを返す。

 

「かーくんもずるいことをするよね……。今回は一杯食わされちゃったね~」

 

「えへへ、お姉ちゃん。今日、珠緒さんに教えてもらってシチューを作ったの! だから一緒に食べよ?」

 

「おぉ~♪ いいね~! かーくんもお姉さんにハンバーグを作ってきてあげてるから、合わせて食べようよ~!」

 

 姉さんは俺から離れると彼方さんの言葉を俺に確認してきた。

 

「本当に?」

 

「うん、それなら姉さんに……気持ちが伝わるかなって思って……」

 

 俺は改めて姉さんへの想いを言おうとしたが無性に恥ずかしくなってつい目を反らしてしまう。

 

 そんな俺を見て、姉さんは笑顔になりながら俺の頬をつまんで自分に目を合わせさせるように顔を向けさせる。

 

「ふふっ、こっちを見ながら言いなさいよ?」

 

「かーくん、お姉さんの事を考えるがあまりハンバーグが焦げちゃったもんね~?」

 

「そ、それは言わないで下さいよ!」

 

 姉さんにバレたくなかったことを彼方さんにカミングアウトされ、俺はつい声を上げてしまう。

 

「別にそんなのいくらでも食べるわよ。輝弥が作ってくれたものなんだもの」

 

「ね? 彼方ちゃんの言ったとおりでしょ?」

 

「……おっしゃる通りでした」

 

「ふふっ。輝弥さん、いつにも増してかわいいですね!」

 

「は、遥さんもそんな事を言わないで──!!」

 

 そして、流れるように俺の揶揄いが始まり、巴家の中は笑い声で包まれた。

 

 

 

 

 

 そのあと、俺と遥さんが丹精込めて作ったハンバーグとシチューを二人の姉さんたちは噛み締めて味わっていた。

 

 そして、遥さんは予約していたケーキを取りに行くために一時的に家を出ていたため、最後はそれを四人で仲良く分け合いながら少し変わった誕生日パーティーを過ごしたのだった。

 

 ケーキの上のチョコレートプレートにはこう書かれていた。

 

 

『私たちのお姉ちゃん、誕生日おめでとう!! 二人の弟妹より』

 

 




読んで頂きありがとうございました!

彼方ちゃんの回という事で遥ちゃんとの弟妹奮闘回でした。
是非気に入って頂けたら嬉しいです。


また上記とは別になりますが、本編の更新に期間が空いてしまって、楽しみにしている方々には申し訳ない気持ちでいっぱいです。

失踪するつもりはないのでそこだけはご安心ください。

紆余曲折ありながらも執筆の時間を設けておりますので、これからもこの小説を好きでいてくれたら嬉しいです。


積もる話になってしまいましたが、改めて彼方ちゃん、誕生日おめでとう!

次回もお楽しみに!
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