座礁する方舟   作:一般トランスポーター

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続いた。


やったね。


騎兵と狩人。それと運び屋 ③

「ニアールさんから?」

 

まさか知り合いの名前が出てくるとは思わなかったのか、グラニは槍の先端をおもむろに下げた。

警戒度の減少を感じたサムは背負っていたアタッシュケースを開いて足元に置き、数歩下がる。

 

槍を傍らに立てかけたグラニは恐る恐るケースを検めた。

中央に収められたロドスの封書以外にこれといって懸念すべき不審点は見当たらない。

サムはこれ以上怪しまれたくないからか、彼女たちに背を向けて森を眺めている。

 

 

『グラニへ。スカジが我々に無断で滴水村へ向かった。

彼女はロドスから正式な任務は受けていない。

出会ったら気をつけるように。

全て上手くいくように、祈っている。 ニアール』

 

 

「サム・ポーターだったね。ごめん、悪かった」

 

「気にするな。むしろ警官としてはあるべき態度だろう」

 

読み終えた手紙を飛行機にすることなく懐にしまったグラニは状況が飲み込めていなかった護衛対象のキャロルに事情を説明する。

合点がいったのかキャロルはサムにペコリと頭を下げた。

 

「ニアールさんから依頼を受けたなら知ってると思うけど、あたしはグラニ。ヴィクトリアの騎馬警官で、今はロドスの先鋒オペレーターとして契約してる」

 

「サム、ただのサムだ。フリーの配達人(トランスポーター)をやっている」

 

よろしく、と差し出されたグラニの右手にサムは躊躇うように視線を向けた。

サムは接触恐怖症であり、人が彼に触れてしまうと手の形をした痣ができてしまうのだ。

 

「えっと、あたしは鉱石病(オリパシー)じゃないけど……」

 

「悪い。そういうことじゃないんだ」

 

「そっか、じゃあ無理にとは言えないね」

 

グラニの手は少し残念そうに背中に隠れ、立てかけた槍を拾い上げた。

 

グラニは滴水村の村長──彼女の背後にいるキャロルを騎士の財宝が見つかるまで護衛することが今回受けた依頼だ。

 

騎士の財宝とはカジミエーシュの騎士たちが埋葬した宝である。

カジミエーシュには自らの宝を埋めておけば死後もそれらが土地を守護してくれるという言い伝えがあるが、実際のところ先祖たちの願いとは裏腹になってしまっているのが現状だ。

 

騎士の財宝を狙う賞金稼ぎたちが「この村に騎士の財宝の在処を知っている奴がいる」という情報を耳にしたことからこの村は奴らの横暴に晒された。

 

器物を壊し、田園を蹂躙し、およそ情報を引き出すための卑劣な手段のほとんどを受けただろう。

 

村を襲う凄まじい惨状に対して村長のキャロルは諸悪の根源というべき財宝を元手に用心棒を雇うことを決意。

しかし財宝を発見したとしても賞金稼ぎたちに奪われては元も子もないので、今回彼女はグラニを雇ったというわけである。

 

キャロル当人はこんな辺境の依頼を受けてくれる人などいないとグラニが来るまでは半ば諦めていたようなのだが。

 

「あの、サムさん」

 

「サムでいい。なんだ?」

 

「もう一通あるみたいなんですけど……」

 

キャロルが指し示したアタッシュケースの中にはグラニへの手紙と同じ位置にもう一つ、確かに便箋があった。

そんなことは彼女から聞いてないがと怪訝に思いながら、サムはそれを手に取って宛先を確認する。

 

「俺宛?差出人は────」

 

 

『サムへ。観光ついでに滴水村に行ったあなたに頼むのは心苦しいが、同封した依頼書を見て欲しい。

グラニは同年代の中では実力者だがまだ経験不足だ。

故に、あなたに彼女の監督を任せたい ニアール』

 

 

同封された紙は確かにロドスから発行された依頼書だ。

依頼者はニアール他二名。名目は要人警護。対象は先鋒オペレーターのグラニ。

彼女がロドスに帰還するまでの護衛が今回の任務だ。

 

サムも何度か人を所定の場所まで()()する経験はあるものの、明らかにミュールや分離破壊主義者(ディメンス)を凌ぐ戦闘力を持つ人間を運ぶ──いや、護衛する業務を受けたことはないし、そもそも依頼されたことすらなかったはずだ。

 

正直なところサムから見てグラニを護衛する必要はないように思えるが、手紙の配送をサムに依頼したり、要人警護の名目の元に彼女を監督する依頼を出したりとかなり気を揉んでいるようである。

気を揉むということはそれだけグラニが引き受けた任務に危険性が伴うということだろう。

 

未だ他者と深く繋がることを避ける傾向にあるサム。しかし──

 

「……わかった」

 

大切な人を失う痛み。サムは身に染みてそれを知っている。

だから、グラニを案ずる彼女らの想いをむざむざ無碍にするわけにもいかなかった。

 

「あー、グラニ。たった今からこの依頼に基づき、俺はお前を警護することになった」

 

「ええぇっ!!?」

 

 

……その依頼は当人にとって寝耳に水だったようである。

 

 




グラニ
→スカジの内ももとは正反対の外ももえちえち騎馬警官。
あそこに冷えた手を突っ込みたいとか思ってしまった理性0のドクターはロドスCEOに連行されます。

ニアール
→グラニ心配ウーマン。グラニへの手紙の配送、そしてサムに要人警護依頼を託した。本編よりも何故か気を揉んでる。

キャロル
→村の被害を受けてグラニに自分の警護を依頼した人。まだあんまり書けてないから次こそ色々描写したい。

ボブおじ
→まだ出てない。

騎士の財宝
→先祖の願いが裏目に出るって悲しいわね。


【プロローグは方舟の中で】の最後に記載したサムのプロファイルの第一資料〜第三資料は彼が正式なロドスのオペレーターというわけではないため現時点で追加予定はありません。

が、こちらで彼をストーリーに組み込む準備が出来次第追加しようと思います。
まあ当分はイベントの中にサムが介入したりオペレーターとの交流が当SSの主な成分にはなりそうですが。

メインで書きたいネタは色々あるんですが、そこに繋がるまでのルートが上手く作り出せなくて……。


※アンケートは騎兵と狩人完全優勢なんで締め切ります。

騎兵と狩人を書くか、復刻に合わせて青く燃ゆる心書くか

  • 騎兵と狩人で
  • 青く燃ゆる心で
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