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やべぇ、なんか読者さんがやべぇ…!?
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さっさと書いて投稿。
最近、書く方より読む方の割合が多かったんだ。許してクレメンス(殴
魔術競技祭前日の夜。
必要最低限の物以外ほとんど何もない部屋で、俺は魔術の専門書を机に広げてながら
ここは俺が何年も前から居候しているフィーベル家の屋敷で、今いる部屋が俺に与えられた部屋だ。この屋敷に連れてこられた当初は野宿でもいいと遠慮したのだがシスティーナの両親に押しに押されてこの部屋となった。知識で知っているとはいえ、あの二人は
まぁそんなこんなで今はこの部屋を使わせてもらっているのだが……生活用品を除けば魔術関連のものしかない。今もノートと羽ペンで魔術構成を練ってる所だけどなかなか上手くいかない。
「難しいのはわかりきってたし、あともう少しなんだけどなぁ……」
一から魔術を作るのがどれだけ難易度の高いことか理解はしている。だからこの魔術学院に入学する前からずっと研究をしてきた……のだが、結果はご覧の通りだ。どんな効果の
グレン先生の
そしてその師匠兼母親であるセリカ=アルフォネア教授が使う
これらの事例から考えると魔導器なしよりも魔導器を使って発動させる
もちろん、身体能力を極限までアップさせる【
魔導器なしよりも魔導器があった方がやりやすい。それを理解した俺は、もしかしたらこれが才能の限界かもしれないと少しだけ悲観した。
「あとは魔術を刻むだけなんだけど、マジでどうすっかなぁ……」
最近は放課後にフェジテの街の店を回って納得できるような形がないか探してたんだけどあんまりしっくりこなかった。
ペンダント、ネックレス、手袋、カード……どれも微妙だった。唯一、指輪という形が納得しそうな感じではあったが買わなかった。もしシスティーナやルミアに見られたらいらぬ誤解を生みそうだし。
「でもなぁ……何かしら魔導器を使うなら常に持ち歩ける物じゃないといけないし、落としたり盗まれたりしたら終わりだしな……」
魔導器を使わずに
先程述べたように盗まれたり無くしたりしたら
「魔導器でありながら絶対に盗まれたり無くしたりしないもの……って、そんな都合のいいものがあるわけ-----------」
-----------ないだろ。そう言おうと口を動かしていたが、脳裏にとあるものが浮かび上がり、最後まで言葉を紡ぐことはなかった。
「…………………………」
顎に手を添えながらしばらくの間、黙考する。
魔導器……ではないにしろ、似たようなものなら俺の体内にあるじゃないか。
「いや、待て。何を考えている。もし失敗したらどうなるか想像がつかないんだぞ……」
もしかしたら今よりも格段に強くなれる可能性に、俺の理性と本能がせめぎ合う。
《
それに、俺が作ろうとしている
「たが……いや、しかし……」
……冷や汗が頬を伝って流れ落ちる。
自分自身へ問う。全てを賭けられるのかと。それだけの実力と覚悟があるのかと。賭けに勝てれば今よりも確実に強くなれる。だが、賭けに負ければ全てを失う。
そう考えただけで体が震え、緊張と恐怖が押し寄せる。
俺は
…………ヤバい。ただでさえ緊張とか恐怖の重圧で苦しいのに色々考え過ぎて頭痛くなってきた。
もし、失敗したら死ぬかもしれない。今ある力を失うのは最も避けなければならない事態だ。けれどそうも言っていられない。明日は魔術競技祭。天の智慧研究会の幹部がこの学院に紛れ込んでやってくる。そして今後もあの組織と戦うことになるのは明白であり、原作ではとんでもない化け物どもが後々現れるようになる。
そんな状況で、霊力で強化しなければまともに戦えない体力なしの俺がクラスメートや知り合いを守れるのか?
-----------否。答えは断じて否だ。守るどころか生き残ることさえ難しい。
グレン先生や宮廷魔導師団の特務分室所属の人達がいる限り、クラスメートが死ぬことはないだろう。しかし、全てが原作通りになる確証はない。念には念を入れておくべきだ。
(もう二度と、失うわけにはいかないんだ……新しく手に入れたこの居場所を、かけがえのない人達を)
拳を握りながら固く、固く決意する。
俺の中で、前世の忌まわしい記憶が浮かんでは消えていく。殺された大切な者の死に様をただ見ていることしかできなかった弱い自分になるのはもう嫌だ。
どんな形であれ、彼女から受け継いだ《
(《
決して方法がないわけじゃない。代償が大きくて今まで使わないようにしていただけで。
まあこの方法でも成功率を高めるだけで必ず成功するとは限らない。
俺はそっと胸に手を当てながらゆっくりと《
もう俺の中にあった迷いはない。
俺は集中力を高めるためにそっと目を閉じ-----------
「━━━《
-----------最強の天使の名を呼んだ。
◇◆◇
小鳥達が元気に
早起きして着替えた俺は、歯磨きと洗顔をしてからフィーベル家のリビングへと足を運んだ。
「おはよーでいやがります」
「何よその丁寧語のようでそうじゃないわかりづらい挨拶は……」
キッチンから呆れたような声音で俺の挨拶にツッコミを入れてきたのはシスティーナだ。
「何してるんだ?」
「……見てわからない? お弁当を作ってるのよ」
キッチンに近寄ってみれば色々な具材とパンが広がっていた。どうやらサンドイッチを作っているようだ。
ぶっきらぼうに答えるシスティーナに俺は顎に手を当てて考える仕草をする。
ふむ、今日が魔術競技祭当日であることを考慮するともしかして……
「グレン先生のも作ってるのか?」
「…ッ!? ち、違うわよっ! なんであいつの名前が出てくるのよ!?」
図星だったのか、慌てた様子を見せるシスティーナ。多分これお昼休みに弁当を捨てようとして結局グレン先生に食べてもらえるやつかな。
平和だなぁ……と暢気な感想を抱きながら俺はシスティーナが作ったサンドイッチが置いてある皿へと手を伸ばした所ではたかれた。
「何してるのよ……」
「ふっ……見てわからない? つまみ食いをしようとしているのよ」
「すごく腹立つから私の真似をするのはやめなさい」
「えー。ちょっとくらい駄目か?」
「そんな顔しても駄目よ。余分な量はないんだから」
そう言ってテキパキとサンドイッチを作っていくシスティーナ。その技量は高く、かなり手際がいい。もしかしたら俺より料理が上手いかもしれない。ぐぬぬ…。
「……手伝おうか?」
「いいわよ別に。もう少しで全部作り終えるし」
「そうか……」
手伝いを申し出たが断られた。見る限りまだそれなりに量があるはずだが、あの手際の良さを見ていると本当にもう少しで終わるのだろうと理解した。
暇なので椅子に座って背もたれに背中を預けた。
「ねぇ…」
「どうした?」
しばらく静かな時間を堪能していると、唐突にシスティーナに声を掛けられた。
上を見上げてぼーっとしていた俺は彼女の方へと視線を向ける。
システィーナ何かを言い悩むような、少し眉を寄せて難しそうな顔をした。
「あまり現実味がないんだけれど……シラヌイって本当に異能者なの?」
彼女の問いかけに俺は「あぁ、そのことか」と納得した。例の事件の後、システィーナとルミアに俺が異能者だという事を伝えたのだ。ただし『火、氷、風の三属性を扱える』という説明しかしていない。
システィーナはルミアが異能者だということはなんとなく勘づいていたらしいが、俺まで異能者だとは知らなかったらしい。ちなみにあの時はルミアも俺の事を聞いて驚いていた。
まぁ、それでなんだかよくわからないけど気まずくなって俺の異能についての話題は曖昧になった。
グレン先生らは大人だから一部を隠蔽して十一の能力の大雑把な効果を伝えたものの、彼女達に俺の能力を伝えるのは今後のことを考えてあまりよくないと判断した。
時間を操る、声で他者に影響を及ぼす、全知、物質変換……うーん、どれも使い方を間違えればとんでもないことになる能力だ。それに、彼女達には出来る限り負担はかけたくない。知らない事が幸せなことだってあるのだ。
「まぁ……そうだな。そういえば火、氷、風の三属性を扱えるっていう説明しかしてなかったっけ?」
「そうね。私とルミアが知っているのはそれだけよ」
「そっか。まぁぶっちゃけ異能って言ってもルミアみたいに反則じみたものじゃないしな。魔術よりかは使い勝手がいいっていうだけで上限あるからそんなガンガン使える訳じゃないし」
いったいどの口がほざくのかと思いながら説明する。するとシスティーナは少しだけ怪訝そうな表情を浮かべた。
「それでも異能ということに変わりないわ。このご時世、異能者ってだけで差別する人が多いんだから。人前では絶対に使っ--------------ちょっと待って。あなたってたしか実技の成績で火と氷と風の魔術の評価が他の属性の魔術より高かった気がするんだけど?」
「ふっ---------勘のいい餓鬼は嫌いだよ」
定番ネタを決め顔で言うと一瞬でこっちに近付いたシスティーナに胸ぐらを掴まれた。
「ちょっと何やってるのよ!? この事がバレたら大事になるのよッ!? あなたそれちゃんとわかってる!?」
ぐわんぐわんと前後に振られながら
「グエッ……いや、ちょ、マジで、助けて……!」
今は寝起きだし霊力で身体能力を強化してないので勘弁して欲しい。強化してない状態だと一般男性の平均値よりずっと下なのだ。この前強化なしで握力測定したら握力21キロだったんだぜ? ふっ、笑えよ。
ちなみにシスティーナは握力は余裕で30以上ある。しかも最近はグレン先生に稽古をつけてもらっているので更に身体能力が上がっている模様。あかん、強化なしだとクソ雑魚過ぎて話にならない。せめて腕相撲でルミアに勝たないと…!
「えーっと、何してるのかな…?」
「あっ、ルミア」
もう少しで窒息しそうになった所で寝起きであろうルミアがリビングに現れた。その表情はちょっと困惑気味で、俺達の様子を見て曖昧な笑みを浮かべていた。
システィーナはルミアに気が付くと胸ぐらを掴んでいた手を放した。
「ぐはっ……死ぬかと思った」
「あはは……朝から元気だね、二人とも」
「別にそうでもないわよ。それよりルミアは調子どう? 今日は魔術競技祭なんだから完璧なコンディションで挑まなくちゃ勝てるものも勝てなくなるわよ?」
「もちろん調子はバッチリだよシスティ。せっかくグレン先生が皆出場できるようにしてくれたんだからちゃんと期待に答えないとね」
笑顔で答えるルミア。
俺、補欠みたいな扱いになってて出場しない事になってるんだよね……なんて空気の読めない事は言わない。俺は空気の読める男なのだ。
「それにしても楽しみだわ……なんと言っても今回の魔術競技祭には女王陛下だけでなく歌姫様まで来るのだもの」
期待に満ちた瞳で楽しそうに呟くシスティーナ。
あー、そういや彼女は歌姫のファンなんだっけ。ルミアから聞いたことあるぞ。それに、たしかこの前料理中に鼻歌で歌姫の曲を歌っていた気がする。ルミアの方は……ちょっと興味があるくらいだろうか。
「昼間には歌姫のライブがあるんだっけ?」
「ええ、そうよ。短いけれどお昼休憩の一時間を使ってライブをするらしいの……ほんと、今から待ちきれないわ……」
「システィはほんとに歌姫さんの曲が好きなんだね」
「当然よ。それに、魔術学院に通う生徒の半数は彼女のファンだと思うわ。それくらい人気があるし」
どこか誇らしそうに答えるシスティーナ。自分の好きな有名人がとても人気で嬉しい……みたいな感じだろうか。
「まっ、そういうことだからどの生徒も女王陛下と歌姫様に良いところを見せようと必死になるでしょうね。私達も負けていられないし、何よりあの一組には勝ちたいわ」
「たしかに、グレン先生の給料三ヶ月分が掛かってるとなるとな……」
「言うところはそこじゃないでしょ……」
グレン先生の今後の(文字通りの)生命線がかかっていることに心配する俺にシスティーナが呆れたような視線を向けてきた。
「ほら、お弁当できたから二人とも早く準備しなさい」
「母親感がすごいな」
「そうだねー」
「誰が母親よ……!」
率直な感想を呟く俺と、それに対してニコニコと微笑ましそうな顔をするルミア。その様子を見たシスティーナは額に青筋を浮かべながらサンドイッチを籠に詰めていった。
これは下手したらシスティーナママ(またはシスティママ)という物凄いワードが流行りそうだ。実際に彼女は学業はもちろん、家事もほとんどこなせるので将来は良妻賢母という言葉がぴったりの人になりそうだ。むしろ流行れ。
「システィーナマ---------「それ以上言ったら黒魔【ゲイル・ブロウ】で吹っ飛ばすわよ?」-------すみませんでした」
即座に腰を90度に曲げて頭を下げる。
これは心の中だけにとどめておこう。俺は固く誓った。これでも危機察知能力は高い方だと自負している。わざわざ自滅するような事を言うほど愚かではないし二度と口にすることはないだろう。心の中ではめっちゃ言うかもしれないが。
「まったくもう……ほらルミア、笑ってないで早く支度を済ませてきなさい。まだ時間には余裕があるけれど早いに越したことないわ」
「ふふっ、ごめんねシスティ。それじゃあ、準備してくるね」
まったく悪びれることもなく笑顔で謝るルミア。その様子にシスティーナは諦めたように肩を竦めた。
「……シラヌイは朝食の準備よ」
「へいへい…」
そろそろいい時間帯なのでおふざけはやめてシスティーナに言われた通りさっさと(異世界式の)冷蔵庫から昨日の残り物を取り出してテーブルに並べる。
その後、ルミアが支度を済ませて再びリビングに戻ってきてから俺達は三人で朝食を摂った。それからしばらくの間はいつものように三人で談笑し、少し早めにフィーベル邸を出ることにした。
「行くよシスティ、シラヌイ君」
先にブーツを履いて玄関から出たルミアがこちらを急かしてくる。魔術競技祭が楽しみなのか、今日のルミアは朝からちょっとテンションが高い。もしもルミアに天使の翼があったらぴょこぴょこと忙しなく動いていたに違いない。
「ええ、すぐに行くわ」
「もうちょい待ってくれ」
この靴ちょっと履きにくいんだよね。靴紐結ぶのも面倒だし。
内心でそんな愚痴を言いながら靴紐を結んでいると、システィーナが何気ない感じで声を掛けてきた。
「ねぇシラヌイ」
「ん? どうした?」
もしかして忘れ物でもしたのだろうか。
そんな事を考えているとシスティーナはどこか怪しむように俺のことをマジマジと見てくる。いや、本当にどうしたんだろう?
「朝からずっと気になっていたのだけれど……あなた、ちょっと変わった?」
「---------------」
心臓を掴まれたような感覚とは、まさにこのような心境のことを言うのだろうか。あまりにも唐突に、そして心を覗き込まれたのかと思うほど一番して欲しくない質問を彼女はしてきた。
「そ、そうか? 俺自身はあんまり変わったようには感じないけど……」
咄嗟に違和感なく答えられたのは奇跡に近いだろう。平然を装ってはいるが、内心はこれ以上ないほど混乱の極みに
「そうかしら…? 私もあまり、上手く表現できないけど……敢えて言うなら印象が薄い…?」
「いやそれ悪口にしか聞こえないんだけどっ!?」
「あっ、いや別にそういうわけじゃないわよ? ただちょっとなんとなく感じたことを言っただけで……って、そんなこより早く行くわよっ! ルミアを待たせるのも悪いし」
「……フォローになってない上に誤魔化し方下手くそか!」
どこか納得のいかないシスティーナは、俺のツッコミをスルーしてルミアの元へ駆けていった。
俺も靴を履き終えたのでさっさと二人のもとへ向かう。
(それにしても、さっきは肝が冷えたな……)
おかげで今はまだ朝だというのに冷や汗がとまらない。
昨夜に実行したアレはかなり代償が大きかった。油断していたつもりはないが、彼女はたまにとんでもないくらい勘が鋭くなる。今後はもっと気を引き締める必要があるだろう。
それに、先程の彼女の質問も当たらずとも遠からずといったものであり、このままだといつかは彼女達にバレるかもしれない。
(虚飾、虚構、虚言……どれもこれも嘘ばかりだ。俺は彼女達に嘘をつき続けている。でも……それでも俺は-----------)
知ってほしくない。知られたくない。
自分が何者であるかを。
どこから来たのか、そして何を見てきたのかを。
大恩あるフィーベル家にはいつものように平和でいてもらいたいと俺は願っている。でもそうはいかない。システィーナ=フィーベルという少女はそんな生易しい運命にはなく、これからはもっと苛烈で、どこまでも厳しい状況に身を置くことになるだろう。そしてそれは彼女の親友であるルミアも同じ。
(だからこそ、俺は貴女達を守りたい)
余計なお世話かもしれない、傲慢だと言われるかもしれない。この前の事件でテロリスト相手にボコボコにされたことを忘れたのかと、誰かに罵声を浴びせられるかもしれない。
だが、それでも俺は思う。
(もう二度と、大切な者を失わないために)
それは恐怖。大切な者を失った時の喪失感と絶望。
そんなものは二度とごめんだ。だからこそ俺は歩き続けなければいけない。この先険しい道のりが待っていようとも、大切な者を失わないために、俺は天使の名を呼び続ける。
「だから俺は、彼女達に嘘をつき続けるのかもな……」
思わず自虐的な笑みを浮かべる。
戦って死んでしまう可能性があるのなら、その保険くらいはかけておくべきか。
「ちょっとシラヌイ、早く行くわよー!」
ルミアと一緒にいたシスティーナが俺を呼ぶ。
「ああ、今すぐ行く!」
さぁ、長い闘いの始まりだ。こちらの作戦も準備は万全。あとは状況に応じて実行するだけ。
(さぁ、来いよ
俺の
………………………まぁ、こんだけ格好つけといて今更なんだけど、今回は使わないような気がするんだよね。俺の
【わりと有名な鉄血ネタ】
読者「(完結まで)連れて行ってくれるんだろ?」(胸ぐら掴み)
作者「ピギュッ」(胸ぐら掴まれ)
作者「放しながれっ!」(手を振り払いながら立ち上がる)
作者「ああわかったよ! 連れてってやるよっ! どうせ(ハーメルンに投稿した時点で)後戻りは出来ねぇんだ……連れてきゃいいんだろッ! 途中にどんな地獄が待っていようと、お前を、お前らを! 俺が(完結まで)連れてってやるよッ!」
読者「ああそうだよ、(完結まで)連れてってくれ」
などと、こんなことを頭の中で想像してちょっと笑った作者でした。